お兄様は嫁がせたい   作:たらこ40

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弾がありません、「アパーム弾持ってこい!」状態です。


本当ならストックを一つ確保してから投下する様にしているのですが。
ストックがいつできるか分かりませんw


宜しければのんびりお待ちください><;


四宮家にて

白銀御行視点

 

 もしよろしければ、と用意された仕立ての良いスーツに袖を通す。あんなことがあった後だからな。四宮のお兄さんの印象を少しでも良くしたくて、自分で会食用のフォーマルスーツを用意するか、レンタルするか考えていたんだが。

 

 

 どうも四宮は俺が服を用意しようとしている事を察していたようで、俺と石上のサイズのスーツを用意してくれていた。招待してもらったうえでここまでしてもらうのは申し訳ないと、一度断ろうと思ったのだが、元々来客の為にこういう用意はしてあるようで、「ある物をお貸しするだけですから、お気になさらずに。」と言われてしまった。

 

 

 内心忸怩たるものが無い訳では無いが、ここは悪びれずに有難くお言葉に甘える事にする。身を整えてから、一度皆で集まり漸く挨拶、つまり俺とお兄さんの「初対面」を迎える訳だ。

 

 いまさら白々しいが、それでもこれが約束だ。表情に出なければいいのだが。

 

 

 ……一応お兄さんとはちゃんと和解、というかある意味認めてもらえたはずだが、それでも少々胃が痛む。こう、キリキリとな。ちぃ、石上からもらった胃薬を飲んでおくんだったな。

 

 

 「皆さん、ようこそ我が家へ。皆さんに紹介させていただきますね。此方が私の兄、四宮雲鷹です。いつもは少し怖いお顔をしているんですけど、今日は皆さんに会えるのを楽しみにしていたのか、ずっとこんな感じで笑顔なんです。

 

 会長、藤原さん、石上君。今後は私同様に兄も宜しくお願いしますね。」

 

 

 花が零れるような笑顔の四宮。これはいつもの駆け引きは一切ないと見て良いな。いや、油断するつもりは無いんだが、どうもお兄さんに駆け引きをしている所を見られたくない、と考えているように見える。

 

 気のせいかもしれんが、ま、俺も同感だからな。なんとなくわかる。

 

 

 ……身内に恋の駆け引きを目撃されるのも、ちょっとクルものがあるよな。

 

 

 「初めまして、私が四宮かぐやの兄、四宮雲鷹という。皆様には常日頃からうちの妹が世話になっているようで、一度お礼と、出来れば面識を得たいと考えていたんだ。」

 

 

 四宮と、顔立ちはそれ程似ていないが、どことなく目付きは似ている。あの時は動転していて良く解らなかったけど、確かに四宮の兄と言われれば、納得できる容姿ではある。ただ、どちらかと言うと兄と言うよりも弟といった見た目ではあるけど。

 

 本人が気にしていたら事だ。その辺りは流しておいた方が無難だろう。

 

 

 お兄さんの表情からは、あの日の事を匂わせるようなものは一切感じない。あの時感じた恐ろしい程の威圧は、何かの勘違いだったのではないかと思ってしまう程優しげな雰囲気で、俺の記憶の方が間違っているのではないかと錯覚してしまう。

 

 流石に四宮のお兄さんって所か。こういう腹芸は日常茶飯事なんだろうな。

 

 

 「今日は、気軽に楽しんでいってもらえると嬉しいよ。」

 

 

 そう、お兄さんが言葉をしめた。いかん、緊張で少し頭がふらついてきた。顔に出すな白銀、無様な真似を見せるな。完璧に、格好よく、挨拶をキメる。そして初対面である事を装いきるんだ。

 

 

 「本日はお招きいただき、ありがとうございます。私は妹さんの同級生で、生徒会の会長を務めさせていただいております、白銀御行と申します。

 

 お兄さんとは、宜しければ今後ともよろしくお願いしたいです。

 

 それと、今日はお言葉に甘えさせていただきます。」

 

 

 うん、ちゃんと挨拶、出来ているよな。続いて、藤原と石上が自己紹介を続ける。藤原は面識があるからお久しぶりですという言葉が出たが、その表情は先程までと違い、何処か安心した様な笑顔になっている。

 

 藤原も緊張していたんだろう。お兄さんが柔らかく笑うと珍しく顔を赤らめていた。

 

 

 「あ、後で手品見せてくださいね!」

 

 

 藤原の言葉に、お兄さんは快諾していた。手品か……。お兄さんは手先が器用という事かな。ん?まて、まさかこれ各々一芸を披露するなんて流れにならないだろうな。

 

 いや、まさかな。どこかの会社の歓迎会でもあるまいし、こういう席でそんな事は起きる訳もないな。

 

 

 石上の挨拶を受けたお兄さんが、四宮から話を聞いていたのか石上に話しかけている。

 

 

 「石上君、パソコンに詳しいんだって?俺も最近、暇でな。自分でゲーミングPCを組み立ててみたんだが、組み立てるだけ組み立てて一度も使っていないんだよ。

 

 それはそれで何かを作っている感があって楽しかったんだが、全く使わないのも何か違うだろう?

 

 だがこういう事にはどうにも疎くてな、どういうゲームをやればいいのかがわからん。

 

 良ければ後で、お勧めを教えてくれると嬉しいな。」

 

 

 「あ、はい。その位の事でしたら喜んで。まさか四宮先輩のお兄さんがゲームとかに興味があるとは思っていなかったです。」

 

 

 石上も先程迄緊張してビクビクしていたはずだが、そんな様子を察したのか、お兄さんは普段とは違うであろう、おっとりとした話し方で石上に話題をふる。お兄さんの優し気な雰囲気に緊張も解けたようで、いつもの調子が出てきたみたいだ。

 

 元々、空気を読まずに強烈な突込みを入れる特性を持っている奴だからな。一度気が緩めば、意外とこういう場合には向くのかもしれんな。

 

 

 「この年になるまで、その手の物には触れてこなかったけどね。人間、暇になってやる事が無くなると駄目だな。

 

 定年を迎えて突然やる事が無くなった奴が認知症になるという話はよく聞く話だ。ボケ防止には新しい事を始めた方が良いらしいしな。」

 

 

 なにやら苦笑を浮かべるお兄さん。冗談にしても外見にそぐわない内容に少々違和感を覚える。そう言えば、お兄さんって幾つくらいなんだろう?四宮のお見舞いに行った時に仕事が忙しいとか話があったから、少なくとも24~5歳といった所だと思うんだが。

 

 こういう家柄だから、大学を出ていないという事は無いと思う。本人の希望がどうあれ、進路にそれほど自由があるようには思えない。

 

 ……東京に居を構えている、という事は仕事か四宮、いやかぐやかどちらかが理由か。もしかしたら俺達の先輩、という線も十分にあるな。家柄からして秀知院を卒業していてもおかしくない。

 

 

 ふむ、生徒会で昔の資料を調べれば何か出てくるかもな。

 

 

 

 「あははは、お兄さん、認知症になる様な年齢でもないでしょうに。任せてください、寝る暇もなくなるくらいに遊べるゲームを幾つか紹介させていただきますから。」

 

 

 ん?気のせいか、微妙に四宮と藤原の顔が引きつっている。

 

 

 「嫌だわ、お兄さまったら。あんまりそう言う冗談は言わないでくださいな。さ、会長も、皆さまもこちらへどうぞ。」

 

 

 「あ、そうですよね、何時までもここでお話していても仕方ありませんもんね。ささ、会長も石上君も行きましょう!」

 

 

 何やら慌てた藤原に背中を押され、四宮の後をついていく事になった。

 

 

 

 

 会食は、特別な挨拶とかは無く、お兄さんの簡単な言葉と乾杯の一言で始まった。始める前は色々と緊張もし、お兄さんから何を言われるか不安でもあったが、最初にお兄さんの、

 

 

 「特にマナーを気にせず、ファミレスで食事をするような感覚で構わない。気楽にやってほしい。肩が凝る様な礼儀を守るのは、仕事の付き合いのパーティーだけで十分だろ。

 

 まぁ、顔合わせ、人脈作りとして決してパーティーは馬鹿にできんのだが。」

 

 

 との言葉に、俺も石上も幾分救われた気分になった。

 

 

 全く経験が無いという訳では無いが、それでもこういう席に場慣れしている訳ではないからな。

 

 食事中、石上は雲鷹さんに気に入られたのか、PCとゲームの話で盛り上がり、幾つかのゲームを薦めていた。お兄さんも興味を持ったらしく、一人で始めるのもつまらないからと、夏休み中に一度遊びに来ないかと誘われていた。その流れで、彼も一人では来にくいだろうから、と俺も誘われて快諾した。

 

 

 夏休みに四宮に会うための口実としては悪くない。ご家族にお呼ばれすれば出会うのは必然だろう。

 

 チラリと目をやると四宮も笑顔を浮かべている。問題は無いと考えていいだろう。惜しむらくは、お兄さんは仕事で7月の終わりに一度アメリカに行くらしいから、機会はあっても1~2度といった所かな。

 

 このままだと、藤原を利用しての四宮と夏休みを過ごす計画は、藤原自身に予定が詰まっているせいでおじゃんになる所だったから、渡りに船とはこの事だな。

 

 

 「お兄さんがこんなに話しやすい方だったなんて、意外でしたよ。失礼ですけれど、もうちょっと怖い方かなって。

 

 でも、本当にお若く見えますよね。

 

 四宮先輩のお兄さんって事は18歳以上でしょうし、もしかして秀知院を卒業された先輩なんでしょうか。

 

 お仕事って言われていましたから、お若く見えてももう成人されているのかもしれませんけど。」

 

 

 

 俺も興味がある質問だったが、四宮と藤原の空気に微妙なものを感じて、躊躇った質問だったのだが、流石、石上だな。躊躇なく踏み切った。

 

 そして案の定、四宮と藤原、もしかしたらお兄さんも表情を少し強張らせ、空気が凍っていくのを感じた。

 

 

 

早坂視点

 

 

 会計君の一声で会食の空気が凍り付く。いえ、凍り付いているのはかぐや様と対象F(藤原千花)ですけれど、雲鷹様も会長さんも二人から感じる雰囲気に顔を引きつらせてしまっている。

 

 まぁ、当然、こうなりますよね。解っていましたよ。

 

 

 「速やかにプランBに移行。女八雲さん、時間を持たせるために男八雲さんのフォローに向かってください。

 

 プランCの方も準備を始めておいてください。視覚に訴えるイベントで話の流れをうやむやにしましょう。」

 

 

 

 「やっぱり早坂のいう通り、トラブルが起きたわね。折角ゆっくりお休みできるよう雲鷹様が取り計らったというのに、結局仕事をさせる事になってごめんなさいね。」

 

 

 女八雲さんの言う通り、今回は生徒会の皆さんに私の素性を明かさない為、という名目で私は午後半日の休暇を頂いている。

 

 書記ちゃんの前では私は男の子のハーサカだし、会長の前ではスミシー・A・ハーサカだから、雲鷹様が気を使ってくれたのだけれども、この面子が集まってトラブルが起きない訳、無いものね。

 

 

 心配になって裏方に混ざっていたんだけど、案の定、って奴ね。

 

 

 「いえ、どの道かぐや様と雲鷹様が気になって、碌に休めませんから、ここにいる方がいくらか気が楽です。

 

 それに事態が悪化してからフォローする方が大変ですし。」

 

 

 因みにプランBはシェフが、「本日の料理を担当させていただきました。」と乱入するプランで、会話をぶった切る役目を負っている。

 

 そして、プランCは目の前で仕上げるタイプの料理、この段階だともうデザートを出しても問題ないタイミングだから、パティシエが目の前でデザートの最後の仕上げをして、提供するプラン。

 

 

 目の前でブワッとクレープに火をつけたりして、会話の流れをコントロールするきっかけを作る訳ね。

 

 かぐや様と雲鷹様なら、ここから話を別方向に持っていく事は容易い筈。雲鷹様がおふざけにならない限りは、だけど。

 

 

 あの方、たまにフォローできない悪ふざけをなさるときもあるから……。

 

 

 既に四宮家料理人総責任者、とは言っても厨房は2人態勢なんですけどね。えっと、責任者が会長さん達の所まで出て行った。

 

 

 んん……!?会長さんの目が訝しげに料理長の顔を見ているけど、何かあったかしら。二人に面識なんかある筈が……あ、いや、もしかしてスマホ作戦の時とか?

 

 ま、まぁ、家のコックが休日に街中を歩いていたとしても何もおかしくない訳だから、バレたとしても問題は無い筈。ただ、次の作戦に彼は使えないわね。

 

 

 間を持たせるために、八雲ーズ達もメインの二人が飲み物を注いで回っている。

 

 

 女装していた男八雲が態と低音の声を出しての性別バレという自爆技で、完全に話の流れを吹き飛ばしてくれた。主のためとは言え、その自己犠牲の精神に思わず涙する私。

 

 

 やらかした筈の男八雲の何となく「やってやった!」とでも言いそうな表情に、ちょっとだけ微妙な気持ちになりながら、最後の止めとして出撃していくパティシエの背中を見守った。

 

 




今から次弾装填を開始します。

次は夏休みの小話か花火大会か……

原作そのままなぞるのもなんですから、どうやろうかな……。
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