石上君と会長さんが四宮家にお呼ばれになりました。
Twitter事件小話
早坂さんが四宮家を半裸で歩き回る事件ですね。私はそうとらえましたw
次弾0です。
充填率も0です。忙しい月末と月初めに入る前に書ければ……いいなぁ。
石上視点
「よう、石上久しぶり。」
黒い高級外車から顔を出して声を掛けてくる会長に、軽く手を上げて答える。
「久しぶりと言う程期間は空いていませんけどね。精々1週間ですか。」
「あぁ、すまんな。俺のバイトの都合に合わせてもらって。それにしても態々黒塗りの高級車でお迎えとは、少々気が引けるがな。」
八雲さんがドアを開けてくれて車に乗り込む。うん、男の娘な八雲さんの方だ。正直、男の人だってわかった時には本当に驚いたし、男の人もこんなに可愛くなれるんだって初めて知ったんだよな。あの衝撃は少々、僕の中の何かを揺らしてしまったけど、この一週間で何とか立て直せた。
今日また出会って、少し揺らいでいるけど。
あぁ、それにしても車内はクーラーが効いていて涼しいな。別の事を考えて心の健全性を確保しよう、うん。
「夏ですからね。家に着く前に汗をだらだらかいていたら、匂っちゃいますし、会長の家ってそれなりに距離がありますから、気を使ってくれたんだと思いますよ。」
「匂うか、マジか。ヤバいな。」
会長の顔が少し引きつって、体臭チェックを始める。いや、普段からその辺は気を使っていますから、汗臭かったりはしないんですけどね。
「大丈夫ですよ、普段、そんな汗の匂いしたりしませんし。ただ、あちらが気を使ってくれたって話で。」
そんな事を話していると、ボソッと車を運転してくれていた男の娘八雲さんが呟く。
「お客様の会話に口をはさむ無礼をお許しください。
雲鷹様は今後もお二人をお呼びする際には車をやると思いますが、どうぞ遠慮せずにお受けいただけると助かります。
少々、事情がありまして……。」
運転席の八雲さんの表情は良く解らない。だけど多分、これ詳しく話を聞いちゃ駄目な奴……だよな?ここで「事情って何ですか?」なんて聞いたらまたやらかしてしまう気がする。
「そうですか、わかりました。態々お手間を取らせるのが少々心苦しかったもので。
そうおっしゃるのであれば、お言葉に甘えさせていただきます。」
会長は深く突っ込まずに、軽く流す事にしたようで、僕にも目線をくれた。了解です、会長。無言で少しだけ頷く。
うん、僕にもこういうやり取りは出来るんだな。
1週間ぶりに訪れた四宮先輩の家では先輩とお兄さんがそろって出迎えてくれた。……四宮先輩が満面の笑顔で会長を見つめているんだけど、本当に会長の事何とも思っていないのかな。
いや、ここに突っ込むのは命がいくつあっても足りない行為。学んだじゃないか石上優。それに本当のところがどうであったとしても、多分、触れないでいた方が良い様な気がする。ラブコメとかギャルゲなんかのパターンでもそう言うのあるよな。
周囲が囃し立てるせいで駄目になっちゃう恋とか。四宮先輩、結構意地っ張りの様な気がするし。僕が下手に口をはさんだせいでどうにかなってしまったらと思うと……。うん、やめとくほうが無難だ。
会長は……どうなんだろう。多分、四宮先輩のこと好きだと思うんだけど、以前四宮先輩の地雷を踏んだ時の事がトラウマになっていて、聞けないや。
自分に置き換えてみると、と。あ……、多分聞かれても素直に認めないだろうし、会長だってきっと否定するだろうから。会長から何かを言わない限り黙っている方が正解なんだろう。
雲鷹さんのお部屋は仕事の資料があって、使えないという事でリビングにPCを何台か持ち込んでレクチャーをする事になった。
この前も来た事があるけど、本当に広いリビングで、ゲーミングPCも……、また持ち込まれてきたけど全部で何台あるんだろう、これ。
「いや、PCについては仕事で使う以外では詳しくはないからな。何も調べずに必要なパーツをとりあえず買い集めて、パズルみたいに組んでいたんだ。
後で聞いたけど、色々と相性とか、元々使えないパーツとかがあるようでな。
だから、余ったパーツで良さそうなものを組んでいたら、PCが増えた。」
いや、増えたって……。この部屋に置いてあるだけでも6台くらいあるんですけど。
「調子に乗って色々とそろえたからな。まだ使えていないパーツもあるし、後何台かPCを組めるとは思うけど、これ以上作ってもな。
もしよかったら余っているパーツ、幾つか持っていくか?」
……金持ちなんだなぁ、本当に。まぁ、新しいグラフィックボードは欲しいとは思っていたし、遠慮なく後で見せてもらうとして、先ずはやるべき事をやらなくては。「ええ、宜しければ後で見せてください」と返事をして、自分のノートPCを取り出し、準備を始める。
「あぁ、会長さんはPCにはあんまり興味はないかな。」
「いえ、そんな事はないのですが、自宅には自分のPCがありませんから、あんまり詳しくないんですよ。」
「なるほどな。もしよかったら余らせてしまっている奴を何台か持って行ってくれてもいいんだが。」
会長は先輩の方をちらりと見てから少し考えていたようだ。
「いや、残念ですが頂いても多分使う時間が無いと思います。色々、やらないといけないことも多いですし。」
会長の言葉に何度か頷く雲鷹さん。そりゃそうですよね。生徒会業務にバイトと試験で1位になる位の勉強、だけじゃない。他の生徒が起こす面倒事に巻き込まれたり首を突っ込んだり。そのおかげで救われた一人が僕だ。本当にちゃんと眠れる日ってほとんどないんじゃないかな。
「そうだろうな。何せ秀知院の生徒会長さんだ。」
成績もトップなんだって、と聞きながら僕が開いたノートPCを覗き込む雲鷹さん。
「あぁ、そうなると会長さんは時間を持て余すかもしれんな。かぐや、悪いが会長さんの相手をしてもらえないかな。
ホストの立場である俺がもてなせないのは心苦しいが、俺達がただゲームをしているところを見ると言うのも二人とも詰まらんだろう?
良ければ二人でお茶でも飲んでいてくれ。」
悪戯をしているかのような表情をお二人には見えないように背を向けて、顔はノートに向け、軽く僕にウインクをする雲鷹さん。
……あぁ、なるほど。
「ゲームを見学するにしても、最初の内はダウンロードとかインストールで結構時間がかかりますし、暫くは特に見るものも無いですから、暇つぶししておいた方が良いですよ?」
ここは合わせた方が良いよな。
「え、ええ。私としては皆さんとご一緒するのも
「え、あ、はい。お気遣いありがとうございます。折角ついてきたのに放っておく事になってすまんな石上。」
意外と素直に誘導に乗るお二人。やっぱり、間違いなくそうだよな。ただ迂闊に触れちゃいけないって感じはするから、ここは流されておこう。
以前、四宮先輩に殺されそうになったのって……。
「かぐや様、あちらでお茶の準備が出来ております。」
流れるようなタイミングで女八雲さんが二人を誘導していく。部屋を出る前に右手でサムズアップしていた。
「……えっと、まだ作業続ける必要あります?これって僕が出汁に使われたって事ですよね。」
別に腹は立ちませんけど。お二人を応援したいって気持ちはちゃんとありますし、二人がお似合いだって言うのは前から思っていたから。
それに会長には返しきれない位の恩義がある。……ついでに言うなら、四宮先輩には怖いから逆らわない様にしておいた方が無難だし。
「いやいや、出汁にしちまったのは悪いとは思うけど、あっちはついでだよ。かぐやや会長君の気持ちも俺は確認した事がないからな。
気晴らしになってくれればと思っただけだ。」
素直にその言葉を信じる程単純な性格じゃないけど、お兄さんも良い人だしな。ここは捻くれずにそのまま受け取っておこう。
「ゲームに興味があるのは事実だから、頼まれてくれないかな?
実際やる事が無くて暇だってのは本当なんだよ。今はネットワークで人とゲームしたりできるんだろう?
一緒に遊ぶ奴もいないから、君が友達になってくれるなら嬉しいんだけどな。」
最初からそのつもりだったけど、本当に良いのかな?四宮家の人でお仕事していて、従者の人達が沢山いるような人とやり取りするのは緊張するけど。ま、リアルであんまり接触しないなら問題も無いだろうし、後は怒らせないように気を付ければいいよな。うん。
四宮先輩よりは怖くないよな……多分。
「友達、ですか。もちろん良いですよ。最初から僕が所属しているディスコードのサーバーを紹介するつもりでしたし。」
「ディスコードと言うのはロインとはまた違うものなのか?」
何度もされた事のある質問に思わず苦笑を浮かべてしまったけど、初心者では仕方ない。凄い人が仲間に増えるな、と少しウキウキしながら僕はレクチャーを始めた。
早坂視点
「くぷふぇぇー。」
思わず変な声が漏れて出る。さっきから何度もかぐや様に半裸で連れまわされたから、落ち着いてお風呂にも入れない。
折角、雲鷹様の計らいで夏休み中にも会長さんと会えたのに、結局この後の約束が出来なかったみたい。
考えてみたら当り前よね。自分から誘う事が出来ないから書記ちゃんを出汁にしようとしていたのに、今更二人きりにされてもいつもの駆け引きが始まっちゃって、お互いにお誘いなんかできないでしょうに。
喉が渇いた時に中途半端に水を飲むと余計に喉が渇くように、会長さんの姿を見れなくなって僅か数日で欠乏症のようになったわね、かぐや様。
結局会長さんの鍵垢も見れなかったし、どうしようもない方達よね。どちらかが素直になれば簡単に幸せになれるのに。
会長さんの態度を見れば、かぐや様に気が有るのは確かなんですし、なんであそこ迄バレバレなのにかぐや様が躊躇うのかが分からないわ。
私なら……。
「ぷふぅー。」
また声が漏れる。
私なら、こんな簡単な場面で二の足を踏むだろうか。少しだけある人の事を考える。何度考えても、優しくはされても真面に相手にしてくれる姿が頭に浮かんでこない。
ふと、なんでそんな事を考えたのかという疑問が浮かんで、のぼせかけた頭を左右に振る。そしてここ数日私を悩ませている問題に思考をさく。
「あれは一体何だったんでしょう。」
目の錯覚だったのでしょうか。最近、ちょくちょくお休みを頂けていたから、以前よりも疲れがたまっているという感覚は無いのですが、やっぱりどこかに疲れがたまっていたのかな。
暫くはショックで仕事が手に付きませんでしたけど、かぐや様が今日の様に色々トラブルを持ち込んでくれるので、何とか日常に戻ってこれた。
でも、あれが本当に目の錯覚では無かったとしたら、らしいと言うかなんというべきか。何となくあっさりと納得できてしまう気がする。
それなりにショックだったはずなのに何で今はこんなに落ち着いているのかも……。あぁ……。そうだとしても不思議じゃないって思っていたから、かなぁ。
「やっぱりハードル高いかなぁ。」
そんな呟きが漏れたのとほぼ同じタイミングで浴場のドアが勢いよく開かれる。
「早坂!!すぐ来て!!」
「いい加減にしてください!!」
結局半裸のまま私は連れ出され、何の因果かそれとも必然なのか、偶然通りかかった雲鷹様に半裸を見られてしまい、更なるトラブルが起きるのですが、それはまぁ、不幸な事故だったという事で。
かぐや様、まじ反省してください。
……雲鷹様の顔は吃驚して、赤らんでいたから、私に対して何も感じていないって事は無い筈よね。少なくとも子ども扱いされて、全く相手にされていないって言う事はなさそう。
「ま、今はそれでいいです。」
「何か言った?早坂。」
「いいえ、何も。いいからかぐや様はマジで反省してください。」
シュンとするかぐや様。悪いとは思っているみたいね。
そんな雲鷹様がアメリカに向かう2日前の出来事だった。
流石に雲鷹さん、前世ではブラックで働いてはいましたが、ゲーム位はやったことがありますし、ロインの原型やディスコードも解っています。
ですが自分のこの世界の経歴、キャラクター的に知っているのは不自然かな、という判断で知らないふりをしています。
早坂さん何かに悩んでいます。そのせいで思考が中途半端になって「私もあれ位誰かを好きに」のセリフは出てきません。