きくりお姉さんがぼっちちゃんとセッションして発情しちゃうお話 作:バッドフィンガー
原作:ぼっち・ざ・ろっく!
タグ:R-15 ガールズラブ ぼっち・ざ・ろっく! 廣ぼ ぼ廣 後藤ひとり 廣井きくり ギター
「...それじゃ、そろそろあれやろっか、ぼっちちゃん」
「は、はいっ!」
ぼっちちゃんは上ずった声で返事をした。さっきまで散々していた
(それに、私の赤面とぼっちちゃんの赤面とは全然別なんだし...だからどうってわけじゃないけどさぁ...)
私はもやもやとしだした思考を振り払おうとベースを構える。呼吸のあと、小さく、ぼっちちゃんにだけ聞こえるようなカウントを四つ。どうせ二人なんだし、この雰囲気でデカい声のカウントなんて無粋もいいところだ。
私のカウントを聞くなり纏う雰囲気を変えたぼっちちゃんが、そんな小さなカウントに合わせてギターを鳴らす。私のベースとぼっちちゃんのギターが、出会う。5拍子の荘厳な響きに導かれて、私たちふたりだけの演奏が始まる。その瞬間、私の下腹部はぎゅんぎゅんと音を立てているかと錯覚するほどに疼きだした。
(...ああ、やっぱ、ダメだ、これ...ヤバいっ♡)
私は早速脳をかき回し始めた快感に必死で抗いながらベースを弾く。イントロが終われば歌わなくちゃいけない。私は震えかけた足を踏みしめマイクに向かった。
「In the white room, with black curtains」
私はいつもよりありったけ大きな声で、余計な感情をすっかり振り落としてしまおうとでもするかのように、叫ぶように歌う。この曲はSICK HACKでも何度か演ってるレパートリーだけど、そんなことを言っていられる余裕もない。私にアドバンテージがあるはずの選曲なのに、ここはもう全く私のフィールドじゃないのだ。
ごめんね、イライザ。あんたのギターは最高だけど、ぼっちちゃんとは違うんだ。
ごめんね、志麻。あんたのドラムは最高だけど、ここには入れてやんない。
「Silver horses, run down moonbeams, in your dark eyes」
かといってぼっちちゃんと一緒にやってく気も不思議なほど起こらない。まあ、そんなことをしたら続かないことは目に見えている。月に一回の今でさえ快感の波を我慢して、食らいつくのに必死なのに、毎週のようにライブでもしたら私は理性を保てる自信がない。
(最初の時にお酒入ってなかったのは奇跡だよねぇ、本当に...もし酔ってたら襲ってたんだろうな、私...最低...)
それは嫌だ。ぼっちちゃんに嫌われるのも嫌だし、仮に受け入れてくれたとしても私なんかでぼっちちゃんを汚したくない。結局のところ私たちはこんな密会を繰り返すのが一番いいのだろう。月に一度ふたりだけでスタジオを何時間も借りてセッションに明け暮れる、そんな関係もずいぶん長くなっていた。未だにぼっちちゃんのギターが私のナカをかき回す快感には慣れられそうもないけど。
「I'll wait in this place...」
むしろ、ぼっちちゃんが私に慣れるにつれて、反比例するように私の快感は大きくなるのだろう。初めて会ったあの日一緒に演った時にはこんなのはほとんど感じなかった。それは、きっとぼっちちゃんがその「場」だけじゃなく、私のことも潜在的に警戒していたから。今は、なんだかんだずいぶん私のことを信頼してくれてるみたいで、あの時とはまるきり違う演奏を聴かせてくれる。それが、結束バンドでプレイしている時にさえ見せないような表情や演奏が、私をさらに興奮させるのだ。
ぼっちちゃんがバッキングの途中に私を挑発するようにフレーズを入れ込む。私は即座に3連符で反撃。まだソロでもないっていうのに細かいフレーズの出し合いになった。しばし探り合いのような、挑発しあいのような、あるいは寸止めを繰り返しているみたいな、そんな時間が流れる。
そんなことをしているといつの間にか歌のパートが終わった。しばしの静寂。ぼっちちゃんは、ちらと一瞬私を見て、それから再び視線を下に向けて、ペダルボードのブースターを踏み込み、ワウに足をかけ、そして、ギターでスタジオを切り裂いた。
「...っぁ♡」
私の食いしばった歯から小さな嬌声が漏れる。マイクの前から離れていたし聞こえていないはずだ。聞こえてちゃ困る。一応今日まで、この劣情は隠し通しているつもりなのだから。
ぼっちちゃんは一心不乱にギターソロを奏でる。助走のような低音弦でのゆったりしたフレーズから、3弦チョーキングのロング・トーン。ワウを効かせてハイポジションへ駆け上り、速いパッセージから途端にブルージーなビブラートへ。右手ですっとトーンを絞ったかと思えば、淫靡なトーンでジャジーな、間をたっぷり取ったフレージング。
私は震えて内股になってしまう足を踏ん張る。私の指は半ば意思と関係なく弦の上を滑ってしっかりとぼっちちゃんのソロを支えていて、とりあえず一安心。
(...っ、今日はまた一段とサディスティックな...ぅんっ♡)
早々に秘部が濡れてきやがったのを感じながらも私はぼっちちゃんの奏でる音を一音たりとも逃すまいと全身で聴く。ぼっちちゃんはそんな私なんてまるで気にしないかのように溢れ出るフレーズを私にぶつけてきていた。
(さいっあくの変態だよなあ、私...んっ♡...女子高生と...セッションして...っ♡...ぐしょぐしょに濡れるとか...)
自慢にもならないが、それでも散々音楽をやってきたつもりだった。色んな舞台に立って、色んなセッションもやってきた。素晴らしい仲間とも出会った。
それだというのに、ぼっちちゃんは私をこれまでになく、どうしようもなく興奮させる。言葉を選ばないのならば、"発情"させる。音楽でそんなことになっちゃうなんて私はこれまで知らなかった。特にこの曲はダメだ。シンプルなコード進行ゆえのフレージングの自由さ、ワウペダルを使うことによる表現の増加、全てがぼっちちゃんのギターに力を与え、私のナカを快感の手でいじくりまわしてくる。
(幸せスパイラルとかそういう次元じゃない...!これは本当に依存したらダメなやつだ、この快感はダメだ...っぁんっ♡)
私をすっかりぐちゃぐちゃにしたぼっちちゃんは最後の一音を弾き終わり、放心したような表情で天井を仰いで、しかししっかりとバッキングに移った。煽るようにカッティングなんかまで交えながら、私のソロを待っている。その健気ながらも挑発的な佇まいに、私はすっかりびしょびしょになってしまった股ぐらの奥が再びきゅんと疼くのを感じながら愛器の弦に指を走らせた。
撫でるように。突くように。ぶん殴るように。寄り添うように。私は思いつく限りの愛を指先から音に変えてぼっちちゃんへぶつける。きっとぼっちちゃんは気付かない私の歪んだ愛欲は、低音の塊になってスピーカから飛び出す。
ひとしきりソロを終えて、お互いに疲れきった表情でエンディングへ。私はせめてもの強がりとしてぼっちちゃんの目を見てニッと微笑む。そのままアイコンタクトで終わりのタイミングを合わせ、演奏は終わり。たっぷりのサステイン。私は脳天まで突き抜けそうなほどの快感をいそいそと仕舞いこみぼっちちゃんの方を向いた。いつも通りの『廣井きくり』に見えるように。
「...いっやぁ~、今日も良かったよ~ぼっちちゃん」
「っ、はぁっ、はぁっ、ありがとうございましゅ...」
演奏中ほとんど呼吸を止めていたのか、荒く息をして噛んでしまうぼっちちゃんの姿が愛おしい。
「それじゃ、今日はもうそろそろ帰ろっか~。時間もいい頃合だし、White Room10分以上やってたみたいだし、どっちみちこっから演奏するにはお姉さん疲れたよ~...」
「はい...ふぅ...」
楽器を片付け、支払いを終えてスタジオを出た私たちは夜風に当たる。私のこの劣情を知ったらぼっちちゃんはどんな反応をするかな、なんてふと妄想。初心な反応をするぼっちちゃんがありありと想像できて微笑ましい。案外、受け入れてくれたりもするのかな。ぼっちちゃんは優しい子だし...。
「...お姉さん?」
「わっ、えっ、ぼっちちゃん!?」
気がついたらぼっちちゃんの顔が間近に迫っていた。思わず声を上げて飛び退いてしまう。
「あっ、ご、ごごごめんなさい!お姉さんだいぶぼうっとしてたので、つ、疲れてるのかなって心配で...!!」
「...ぼっちちゃん」
こんな私を心配してくれるぼっちちゃんがたまらなく愛おしく感じられて、私の頭の中はぼっちちゃんでいっぱいになる。抑えていた言葉が口をついて出そうになる。「ホテル行こっか」「この後いい?」「大好き」「一度だけでいいからヤらせて」、どれも違う。そういうことじゃない。私はいくつもの言葉をぜんぶ飲み込んだ。
「...っ、ありがとねっ、それじゃ私もう電車来ちゃうから!」
また来月ー!と私は照れ隠しのように叫んで駅の方へ小走りに駆ける。これでぼっちちゃんとはお別れ、次はまた一ヶ月後だ。それまでに、もっといい演奏ができるようにならなくちゃ。
あわよくば、私の音で、ぼっちちゃんを私みたいに興奮させられるように。
この2人のWhite Roomが聴きたいだけではあります。