妖精國産三騎士が入れ替わるはなし   作:眠りたい時だけ手が進む人

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入れ替わってるー!?

「お母様のすることに異議申し立てするつもりは毛頭ないけれど……よりにもよってなんでこの身体にっ……!尻も胸もデカくて品がないし靴だって殆ど採寸合わねぇじゃねぇか!この私に安全靴だけ履かせるつもり!?だから痩せろって言ってたんだよ犬ころ!!」

「ガウェインの肉体で金切り声を挙げられると流石に煩いんだけど……というか、文句があるのは君の身体もなんだけど?幾らなんでも貧弱にも程がある……僕の性能の10分の1もないんじゃない?これならまだ下手なアサシンのほうが性能あるよ。身体、ちゃんと鍛えたら?」

「……これが、妖精國最強とも名高いランスロットの霊器……素晴らしいですわ、視界は低いけど……」

 

モルガンによって宣言された【職場体験】は、初っ端から各々の霊器批判から始まった。

 

『バーゲスト』は自分の身体の胸や足を触ってはその太さに絶望し、こんな身体では下手なハイヒールどころかオシャレな靴すら履けず、いちいちオーダーメイドするしかないためその怒りを怒鳴り散らすことで発散しようとしている。

尚、ただでさえ声の通るバーゲストの肉体から発せられる怒鳴り声はモルガンの拡張された部屋の中を響き渡ってとても煩い。

 

ただでさえ寝起きで少し機嫌の悪かった『バーヴァンシー』は、その声でイライラ度が増してきたのか(元の自分と比較して)あまりにも弱すぎるこの霊器に嫌気が差しており、同じように悪態を付きつつ頭の中では

(早くマスター吸いしたい。マスター吸いしたい。バーヴァンシーの肉体だろうと僕の恋人なら関係ないし……あ、或いはこの身体を使って周りに僕とマスターの仲を広めておくのもあり……?)

などと考えており、公衆の面前であろうともはやマスターに出会い次第、即密着しマスター成分を補充するつもりである。

 

『メリュジーヌ』はあまりにも低い視界、そして普段は第三者視点からしか分からなかったこの霊器の強さを実感し、多くの新鮮な体験をしているからかあまり不安はなさそうだった。

 

「言ったでしょう、職場体験です。こういう機会だからこそ知れることも沢山ある……」

 

3人の様子を面白げに眺めていたモルガン、こんなことをしでかしたのには当然ながら理由がある。

 

「……今後、我が妻へはまだまだ試練が襲いかかるでしょう……本人も、この戦いは7つの空想樹を切除したところで終わりはしないことは薄々分かっていたかもしれませんが。」

 

漂白された汎人類史

7つの異聞帯

7本の空想樹

7人のクリプター

3騎の異星の使徒

異星の神

 

人理修復を成し遂げたマスターと、そのファーストサーヴァント達を筆頭とした【ノウム・カルデア】の、異聞帯攻略。

 

【永久凍土帝国】

【無間氷焔世紀】

【人智統合真国】

【創生滅亡輪廻】

【神代巨神海洋/星間都市山脈】

【妖精円卓領域】

【黄金樹海紀行/空想樹海紀行】

 

幾多の犠牲を産み、そして最後には己自身すら一度死した旅であっても。

汎人類史は、漂白された地球は戻りはしなかった。

加えて待ち受けていた事実。【カルデア】の謎。

そして、果たさねばならない罪の清算────────【オーディール・コール】

終わらぬ旅路。一人の人間が成し得るには、重すぎる戦い。

 

 

「故にこそ、私達は彼女のサーヴァントとして、せめてその負担を減らさねばなりません。」

「……それは勿論だけど、だからってなんでこれ?」

 

モルガンの独白に三騎士達は聞き入り、何より自分達自身も

「マスターの力になりたい」

という気持ちは間違いなくあったため当然ながら肯定的な意見ではあるものの、『バーヴァンシー』としてはそれとこの【職場体験】に何の繋がりがあるのかと疑問が消えない。

その質問に、待ってましたと言わんばかりにモルガンが再び口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女達は、ここ最近仲が悪すぎます。」

 

「………」

「……い、いやお母様、仲が悪いっていうか……」

「そ、そうです。どちらかといえばよく知る仲だからこそ……」

 

「連携も、全くと言っていいほど拙い。龍殺しの夫婦や北欧のワルキューレ達の連携を思い出しなさい。」

(それは比較対象が悪すぎるってお母様……!)

 

モルガン視点からすると、三人の仲は最悪な印象に写っていた。

連携も、視線を合わさずとも背中合わせで戦い合うことができる戦士たちと比べればあまりにも拙い。

故に、改善すべき。

それも、根本から、意識改革を。

 

「マスターの良きサーヴァントとして、貴女達には期待しているのです。だからこそ、より強くなって欲しい。」

「……こ、この入れ替わりにはなんの意味が……?」

「相手の肉体になれば、第三者から見た各々の弱点や自分とは違う本人特有の問題に気付くことが出来るはずです。」

「……し、失礼ながら陛下?それならもっと手段があったのでは……」

「……意見は許しません、バーヴァンシー。」

「が、ガウェインです、陛下。」

「お、お母様?私はこっちよ?」

「……………………………」

 

 

 

 

 

「とにかく、その肉体で今日一日を過ごしなさい。」

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