妖精國産三騎士が入れ替わるはなし   作:眠りたい時だけ手が進む人

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独自解釈が多くてすみません。


職場体験 バーゲストinバーヴァンシー

「……図体はデカいけど、やっぱ顔はいいんだよなコイツ……この胸だって、言ってみりゃ武器の1つだしな……」

 

今日一日のみの入れ替わり。

互いのことをよく知るいい機会だということでその場は解散になってしまったものの、今日一日丸々を母からの司令のために使い潰すつもりだった『バーゲスト』には、これといった予定は無かった。

 

因みにだが、入れ替わりのことは既にカルデア中に広まっているらしく

「外見はバーゲスト様ですが、中身はバーヴァンシー様でお間違いないですね?お探ししておりました。バーゲスト様の御身体でも履くことのできる、バーヴァンシー様と同じデザインの丈夫な靴を仕立てさせていただきました。」

「あっ、あの!な、なにかお困りでしたら拙にもお手伝いさせてください!それで、その……頑張ってください!」

「その身体では弓を引くことも難しいでしょう……もし貴女の助力が必要な戦闘が発生しましたら、私にお任せください。同じトリスタンの名を冠する者なのですから、やってやれないことはないでしょう。……その代わり、後でお写真を一枚いただければ……」

 

最後のはとりあえず蹴り飛ばしておいたが、全員わざわざ律儀なものだと呆れてしまう。

私にそこまでする必要はない。何度そう押し伝えても、全員困ったような表情を浮かべるか、或いは分かっていると言わんばかりに「ならこっちが勝手にやってることだから気にするな」という趣旨の言葉を返される。

 

 

妖精國に居たころには

そんなことをしてくれた相手が、居ただろうか。

否、違う、私は、お母様の、みんなの、役に────

 

「……くそっ、何考えてんだ私は……!……まぁいい、とりあえずは……気に入らないものから矯正してくか。」

 

忘れかけていたトラウマを振り払い、眼前の鏡に映る今の自分の姿を見つめる。

鎧は取り払い、下着姿になっておいた。

 

元の自分とは何もかも違う肉体。

大きな胸も、程よく絞られた筋肉も、美しく輝くような金髪も、何もかも違う。

……食人衝動はともかく、見た目は悪くない。

だからこそ、気に入らない。

 

「普段から鎧ばっか着込みやがって……女なら男を見ただけで落とせるようになっとかなきゃ、損だろ。」

 

幸いにして問題点であった丈夫な衣服や靴は、何故かガラテアが全て用意してくれていた。

……あの灰被り姫のような女も手伝っていてくれていたらしく、二人とも、

「「バーヴァンシー様(さん)ならそうする、と思っていました。」」

などと言ってきた。

約1年以上の付き合いとはいえ、見透かされているのが気に食わなかったが、まぁ好都合。

 

 

「フフッ、戻ったらコイツの馬鹿面を死ぬほど拝めるかもしれねぇな……♪」

 

鏡に映る『バーゲスト』は、普段の倍以上凶悪な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うわー、スゴイなー……ほんとに入れ替わってるんだ……あのバーゲストがゴスロリ着てるよ……ぷぷぷ……」

「勝手に人の部屋に入って来といて何笑ってんだよ……まぁ確かに面白いけどさ?」

 

様々な衣装を着ては捨て、着ては捨てを繰り返す『バーゲスト』の傍らにはいつの間にやらあの予言の子が立っていた。

妙に話しの合う彼女にどうやって入ったのかと問い質せば

 

「マーリン魔術。」

 

野蛮人の田舎娘らしい、とりあえず軽く小突いてやった

 

「いったぁ!?ちょ、バーゲストの怪力でそんなことやられたら頭弾けとんじゃうんですけど!?」

「オマエが貧弱なのがイケないんだろ?悔しかったら肉付けろよもやしっ子。」

「な、なにをー!?こ、これでも調理場の何故か生暖かい視線を送ってくる赤い人よりは力強いんだから!」

(心は硝子だぞ。)

「はっ、村正!?……えっ、村正?違うか……」

「勝手に一人芝居初めてんじゃねぇよ、気持ち悪いな……」

 

小煩くて気に食わないが、何故だか追い出すつもりにはなれなかった。

一緒に居ると妙に落ち着くのだ。ファッションセンスは皆無だったが。

 

「っていうかバーヴァンシーらしいよね、入れ替わって真っ先にすることが『生真面目なバーゲストに似合う衣装を見付ける』なんてさ。」

「コイツ、ずっと同じドレスばっかり着やがるからな。」

「料理のレパートリーだけは無駄に多いのにね。」

 

バーゲストといえば、基本的に鎧姿……第一再臨とやらの姿で居ることが多い。

偶に脱ぐこともありはするのだが、第二再臨とやらのドレスばかり愛用している。

曰く「……わざわざオーダーメイドをするのが恥ずかしくてな。……というか、鎧を脱ぐ姿をマスター以外にあまり見られたくなくなってきていて……」

 

そんなくだらない理由で、この私の前であんな無骨な姿を晒していたのか。

我慢ならない、私自らオシャレで似合う衣装を見付けてやる。

それが今回の行動理由であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うわっ、何これ……ビキニアーマー?うわー、過激過ぎー……絶対着たくないなぁこれ。」

「それ貸せ。……うわ。」

「……うわぁ、バーゲストが着るとめちゃくちゃ似合っちゃう……くっころせって言いそう。」

「コイツの場合、くっころす、じゃなく食い殺すだけどな。」

「それ以上いけない。」

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