悪魔に転生してしまった元人間の私、とりあえず現状のやるべき事は能力の制御かと思う。強い能力は制御出来ておかないと自分やその周りにだって危険を及ぼしてしまう恐れがある・・・というのは建前で本音は俺TUEEEEをやりたいからである。やはり私も男の子・・・しかも思春期を終える前に死んでしまった身なので自身が強キャラや無双に多少なりとも憧れはある。俺の固有能力【
あれから暫く経ったが・・・進捗はあまり宜しくない。母様を筆頭に我が家の女性陣にことある事に妨害されるのだ。俺は見た目がフランドールそのものだから、父様を筆頭に兄様方の様な筋骨隆々のムキムキになって欲しくないのだろう。とはいえ父様を筆頭に我が家の男性陣は私の筋トレに賛成のようだ。お陰様で我が家は私の教育方針で意見が二分割されている。可愛く愛しい男の娘になれるように強くなるにしても筋力より魔法の技術を向上させたい母様率いる女性陣、スカーレットの男児に相応しい魔法のみならず鍛え上げた肉体美を持つ漢になれるよう肉弾戦でも猛威を振るえるような圧倒的パワーをつけさせたい父様率いる男性陣。正直家族内で対立されるのは非常にめんどくさい、しかも原因が私と言うのが何とも言えない・・・。確かに俺とてフランの見た目でゴリマッチョには成りたくは無い、とはいえ無力なままでいたくないのだ。しかし少しの筋トレも見かけたら止められるのだ。そして罰と称して着せ替え人形にさせられる、お陰様で女装にはもう慣れてしまったよ・・・。何とか母様たちの目を盗んでこっそりやっているが一日あたり精々10・・・長くても20分程度、とても効率が悪い気がする。一方で能力の制御はそこそこ順調である、身体能力向上に使うはずだった時間をこっちに割いているのが原因だろう。この対立は長いこと続いており、祖父母も参加してくる始末・・・ホントにやめて欲しい。
そんなこんなで修行に難航している毎日、しかしある日のこといつも通り食卓を囲んでいると・・・
「ルビー、悪魔学校“バビルス”に通ってみないか?」
言ったのは父様、母様は初耳だと言わんばかりの表情で父様を見ている。
「お前もそろそろ頃合な時期だろう、お前は誰かさんのせいであまり外に出なかったから知り合いも少ないだろう。これを機に家族以外にも交流を作るべきだと思うのだが・・・どうだ?」
「な・・・何を言ってるの貴方!?」
母様は酷く動揺していた。因みに父の言う誰かさんとは主に母様、危ないからという理由で外出があまり許されていないのだ。
「何を驚いている?他の子らもルビーと同じぐらいのときだったろう」
キョトンとした顔で母を見る父様、母様の俺への溺愛っぷりは周知の事実だが父様にとって母様が驚くのは意外だったようだ。
「・・・だ、駄目よ・・・」
「何?」
「駄目よ!ルビーに学校なんて!!この子はこんなにも可愛いのよ!?もしこの子を外に出してしまったら・・・悪い悪魔にどんな目に合わせられるか・・・」
「私、男なんだけど・・・」
「ルビーは黙ってなさい!!」
えー私の将来のことなのに?と思ったがあまり波風立てたくないので口を閉じた。
「!!あ、貴女たちは反対よね!ガーネット!カーネリアン!」
母様は縋るように2人の娘の方を向いた。しかし・・・
「え?私は別にいいと思うけど・・・」
「私もです、特にルビーを止める理由はありませんわ」
意外や意外、私を溺愛していた2人の姉は私の学校生活に賛成のようだ。母様もこの返答には衝撃を隠せないようで貴族に有るまじきすごい顔になっている。
「母様のおっしゃる通りルビーは可愛いですけど・・・か弱いか?と聞かれればそうではないでしょう」
「そうですわお母様、お父様たちのように体躯の大きい身体にさせたくないからと魔術をひたすらに教え込んだのはお母様ではなくて?傍から見させて頂きましたが既にルビーの実力は他の兄妹が同じ歳の頃よりも強いのは明白ですわよ」
「ですわねぇ・・・何より学生生活でしか得られない物もある。かくいう私も貴重な経験を得られましたし、大切な方々がいっぱい出来ましたし」
・・・意外だ、まさか姉様方がここまで考えてくれているとは。そして何より意見が凄いまともだ・・・。
「・・・お前たち、凄いまともな発言だな。ベリィが反対してもしやお前たちも・・・と嫌な予感がしたがどうやら杞憂だったようだ」
父様が驚かれている・・・無理もない、兄様方も目を丸くして驚いているのだから。
「いやですわお父様、私たちはこの子が・・・ルビーが私たちの妹として生まれた時から今に至るまで・・・そしてこれからもこの子を愛していますわ」
「愛しているからこそこの子の成長を理解してますし、この子にとってホントに大事なものの為ならばその道を尊重しますわ」
・・・何度も言うようだが普段の女性服を着せようしてくる姉様方とは思えない、今の二人は何だが輝いて見える・・・。だが私は妹では無いのだが?
「ちょっと待て?つまり、ルビーに筋肉は必要無いと言いたいのか?」
「「まぁそういうことですわね」」
「・・・スカーレットの男児として単純な膂力は・・・溢れんばかりの筋肉は大事なものだ」
「ルビーは例外です」
「えぇ、可愛いあの子には必要ありません」
意気消沈中の母様を尻目に言い争いを始める父様及び兄様方と姉様方、暫くして父様が一つ咳払いをして言い争いは終わるが私の方をキリッと見つめてくる。
「・・・話が長くなったが結局のところ私やベリィ・・・他の者が何と言おうと決めるのはお前だ、ルビー・・・お前はどうしたい?」
え・・・そりゃあ
「勿論行ってみたいです、兄様や姉様方の学校での話を聞いて待ち望んでいましたから」
「・・・ふむ、なら手続きをしよう。勿論、受からなければ意味は無いぞ?実技および筆記の試験があるからな?あと一年近く、油断せぬように」
「はい、父様」
こうして未だ戻ってきていない母様を置いて話はトントン拍子で進んで行った、受験に向け実技の特訓を少しハードにし勉学も他の兄姉に見てもらった。そして時が流れて悪魔学校“バビルス”の入学試験、筆記試験こそ危うかったものの私は見事に合格を果たしたのだった。