【第1章完】スキル【編集】を駆使して異世界の方々に小説家になってもらおう!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第1話(4)エルフならでは

「ワタシならではですか……?」

 

「もっと広く考えてみても良いかもしれません」

 

 私は両手を大きく広げてみせる。ルーシーさんが首を傾げる。

 

「え?」

 

「そう、エルフという種族ならではの題材とか」

 

「エルフという種族ならでは……?」

 

「はい」

 

「な、なんだか大きな話になりましたね……」

 

「エルフという種族の特徴を活かしたお話とか面白いかもしれません」

 

「特徴?」

 

「ええ、例えば、なにかありませんか?」

 

「う~ん」

 

 ルーシーさんが腕を組んで考え込む。

 

「なんでも良いのです」

 

「……長寿とか?」

 

「ほう、他には?」

 

「男女ともに長身が多い……」

 

「ほうほう、他には?」

 

「狩猟を好む……」

 

「ほうほうほう、他には?」

 

「保守的なところがある……」

 

「ほうほうほうほう、他には?」

 

「えっと……耳が長い?」

 

「分かりました!」

 

「ええっ⁉」

 

「分かりましたよ!」

 

「な、何がですか?」

 

「完全に見えてきました……」

 

「何が見えたのですか……?」

 

 戸惑うルーシーさんに対し、私は説明を始めます。

 

「まず、長身のエルフが狩猟を行っています」

 

「はい……」

 

「あるエルフが革新的な狩猟方法を思い付きます」

 

「どんな方法ですか?」

 

「長い耳を使った狩り方です」

 

「はい? どんな狩り方ですか? それは?」

 

「当然、保守的な性格が多い他のエルフたちから反発を招きます……」

 

「それはそうでしょう、わけがわからないですよ……」

 

「そこに長寿ならではのあるある話を絡めて……」

 

「あるある話? どうやって絡めるのですか?」

 

「そこはこう……上手いこと」

 

「ば、漠然としていますね……」

 

「エルフならではの話かと思ったのですが……」

 

「す、すみません。なんだかよく分かりません……」

 

「まあ、私もよく分からなかったので……」

 

「分からない話をしないで下さいよ!」

 

「すみません……」

 

 私は頭を下げる。ルーシーさんは横顔を向けてため息をつく。

 

「はあ……」

 

「! これだ!」

 

 私は机を叩く。ルーシーさんが驚く。

 

「こ、今度はなんですか⁉」

 

「大事なことを忘れていました」

 

「ええ?」

 

「今、ルーシーさんの横顔を見て、思い出しましたよ」

 

「な、なんですか?」

 

「エルフの方々の特徴……美しいということです」

 

「!」

 

「どうですか?」

 

「ど、どうですかと言われても……自分ではなんとも……」

 

 ルーシーさんは照れくさそうにする。私は話を続ける。

 

「その美しさをフォーカスします」

 

「はい?」

 

「美女のエルフが二人います」

 

「はい」

 

「その美女のエルフ同士でキャッキャウフフします」

 

「キャッキャウフフ⁉」

 

「そうです、楽しく和気あいあいと交流しているのです」

 

「あ、ああ……」

 

 ルーシーさんはなんとなく納得する。

 

「そういうお話です」

 

「どういうお話⁉」

 

「ふと思い出しましたが、異世界ものには『ガクエン』というものが登場することがありますね。もしくは『ガッコウ』……」

 

「ああ、はい、ありますね、そういうのも……」

 

 ルーシーさんが頷く。

 

「そこに通っているエルフたちのお話です」

 

「エルフの『ガクエン』ものですか……」

 

「はい、数百年通っています」

 

「長すぎませんか⁉」

 

「だってエルフは長寿ですから。違いますか?」

 

「それはそうですけど……なるほど、その数百年間でいくつかの事件が起こって、それを解決していくと……」

 

「いや、大した事件は起こりません」

 

「えっ⁉」

 

「私のおぼろげな記憶では、ガッコウでの生活でそれほどドラマチックなことが起こった記憶がありません。無理に事件を描く必要はありません」

 

「い、いや、小説ですから、なにか事件があった方が……」

 

「読者はそういうのは望んでいないと思います。事件よりもキャッキャウフフです」

 

「事件よりもキャッキャウフフ⁉」

 

 驚くルーシーさんに対し、私は頷く。

 

「はい、美女のエルフ同士による数百年間に及ぶキャッキャウフフ……間違いなく需要があるはずです」

 

「あ、あの……?」

 

「なんでしょう?」

 

「美形の男性エルフを出して、イチャイチャさせるのはダメなのですか?」

 

「男なんて要りません!」

 

「ええっ⁉」

 

 私の発言にルーシーさんは驚く。

 

「そうです! だから舞台も『ジョシコウ』です」

 

「ジョシコウ……」

 

「女の子しか通えないガッコウです。よって、登場キャラは全員女性!」

 

「ぜ、全員女性……例えば、活発な子とちょっと内気な子の組み合わせとかですか?」

 

「いいじゃないですか! タイトルは『エルフ!』。これです!」

 

「数百年間に及ぶキャッキャウフフ……確かに見たことのないお話ではありますね……壮大なスケールを感じますし……それでちょっと書いてみます」

 

「よろしくお願いします」

 

 私は頭を下げる。最初の打ち合わせはなんとかうまくいったようだ。

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