シンデレラは遅れてやってくる 作:白雪(pixivでもやってる)
私は時代が悪すぎたんだ、とよく言われていた。
兄が三冠馬オルフェーヴル、その上の兄はグランプリ連覇のドリームジャーニー。
私はこの二頭の全妹(父と母が同じであること)として産まれた。
兄たちと同じ池上先生の厩舎に入り、研鑽をして……ひとつ上の兄オルフェーヴルと併せ馬もした。
そう、なかなかに期待されてたのだ私は。
だが、そううまくはいかない。
新馬戦、小倉二歳Sを連勝し、一番人気に推された阪神ジュベナイルフィリーズでは二着。
あのオルフェーヴルの妹が重賞を勝ったと当時は話題になったものだ。
思いだせばあのときが精神的に満たされてた気がする。
ここらは苦難の連続だが。
まずチューリップ賞を勝利し桜花賞に進むとジェンティルドンナ、ヴィルシーナの三着になった。
馬主さん?がダービーに出せと言ったので出たらディープブリランテに直線粘られて二着。
秋華賞に出走しジェンティルドンナ、ヴィルシーナのまたまた三着……。
ジャパンカップにオルフェーヴル……お兄ちゃんと一緒に出走したら直線で競り合って三着。泣きたい。
金鯱賞を勝ったものの宝塚記念ではゴールドシップに敗れ四着。
天皇賞秋も生まれ故郷が一緒の幼馴染みジャスタウェイが覚醒し二着。
そのあとは説明するのが面倒なのでそのあとから現在までの戦績を並べておこう。
2013年 阪神カップ 一着
2014年 京都記念 一着
宝塚記念 三着
天皇賞秋 二着
有馬記念 二着
現在2015年1月。
すっかり空気は冷えて馬着が離せない時期だ。
ジェンティルドンナちゃんは有馬記念勝って引退しちゃったし、ジャスタウェイは世界一になってドバイを制覇。
フェノーメノくんは春天を連覇してゴールドシップくんはG1現在5勝して宝塚記念を連覇している。
あの永遠の二番手って言われたヴィルシーナちゃんもヴィクトリアマイルを連覇だ。
ダートにも強い同期がいるらしいし……。
G2やG3は勝てるのになんでG1は勝てないんだろう、私……。
オルフェーヴルお兄ちゃんは「きっとサンドリヨンなら勝てる」って言ってくれたけど。
池上先生も、私を引退させないのはどうしてだろう?
ゴールドシップくんも現役は続けるらしいけど……もう世代交代なんじゃないのかな?
私の鞍上はコロコロ変わっていて、若干武市さん率高め。
でも六歳……今年からはお兄ちゃんの鞍上をしていたあの池副さんが乗ってくれるらしい。
心強いけど……癖馬マイスターって呼ばれてるんだよね?
え、ちょっと私そういうふうに思われてるの!?
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元気に飛び回るサンドリヨンの体調を確認し、池上はため息をついた。
こんなことは、初めてだ。
「おはようございます池上先生」
「おはよう池副くん。」
「ため息なんかついてたら幸せが逃げちゃいますよ?何か悩み事ですか?」
「いや……本格化はまだなのかと思ってね。馬格は牝馬の平均サイズくらいだが、馬体重は驚くほど安定してるんだ。こういうのって調教師の仕事なんだけど、正直いらないね。筋肉もまだ薄いのに重賞を複数勝ってるから……本格化したらきっと強くなるんだけどね……」
「メジロマックイーンも晩成型でオルフェーヴルも聞いた話によると種牡馬になってから現役より筋肉がついたとか本格化したとか言われてましたからね。今年で本格化するかもしれませんよ」
「だといいんだけどね。いい加減G1をとらせてあげたいよ」
とは言ってるが、まずは目の前の次走に集中しなくては。
「京都記念は強敵揃いだ。キズナとハープスターというG1馬も出てくる。」
サンドリヨンは強い。
善戦ウーマンとか言われてはいるが、掲示板をはずしたことはないのだ。
たとえG1の舞台であっても……。
だからこそ
「勝たせてあげたい……お前らもそう思うだろ?ジャーニー、オルフェ……」
サンドリヨン
父ステイゴールド
母オリエンタルアート
名前の由来 シンデレラのフランス語
調教師 池上泰利
馬主 谷水雄二
毛色 尾花栗毛
「なぜ兄と同じサタデーレーシングじゃないのか抗議します」
「落ち着け」