シンデレラは遅れてやってくる 作:白雪(pixivでもやってる)
私の担当ウマ娘、サンドリヨンはその人柄と容姿、走りからたくさんのファンがいる。
能力はあるが、あと一歩G1に届かない。
そんなもどかしさもあり応援されやすいのだろう。
トレーナーとしては、複雑というか……。
本人が気にしてないならいいのだが。
「トレーナーさん、すみません。ホームルームが長引いてしまって…」
「いや、大丈夫だよ。今日はトレーニングじゃなくて、お出かけしよっか。サンドリヨン」
「?」
怪訝に見つめてくる彼女ににっこりと笑顔で返す。
最近彼女は無理しすぎだ。トレーニングも過ぎれば毒になる。
息抜きをさせてやるのもトレーナーの仕事である。
「連れていきたいところがあるの」
「そういうことなら……わかりました。私も、ちょうどゆっくりトレーナーさんと話したかったんです」
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ザザ……ザザ……と波の音が聞こえる。
潮の匂いが鼻を刺激する。
ここは海辺。
トレセン学園からもそこそこ近いので、トレーニングに使うウマ娘も多い。
石垣にハンカチを敷いてサンドリヨンを座らせる。
彼女、いいところのお嬢さんだからね。
結構庶民的だけど。
「よっこらせっと」
「トレーナーさん、おばさん臭いですよ。」
「ええ?言わない?」
「少なくとも私は言いませんね…」
サンドリヨンが静かな口調で答えるからダメージが……。
「それで?サンドリヨンは何かお悩みごとでもあるのかな?」
「なんか、楽しそうですねトレーナーさん」
「弱みを滅多に見せてくれないサンドリヨンが私にはじめての相談だからね。やる気も出るよ」
ふう、とため息をついたサンドリヨン。
「私が、シンデレラのようになりたいと……そう思ってることはご存じですよね」
「うん。」
子供っぽい……と思われるだろう願い。
けど、子供のような純粋なものではなく、もっと切実な……
「私は幼い頃からある夢を見るんです」
「それは、どんな?」
「悪夢です。えぇ、とんでもない、悪夢……」
すっと空色の瞳が陰る。
「ずっと、ずっと……見てきて。私は夢でずっと助けを求めているんです……」
「そんなにつらいことが……?」
「私には何をされてるかわからなかった……けど、夢の私はひどく傷つけられ、辱しめられ、痛ましい……。王子様が助けに来てくれたら、なんて。思ってたわけです。」
「シンデレラは魔法が解けても、幸せになった。私もそうなりたい。そうすれば……あの夢のような末路を辿ることはない。」
「……まあ、そのためには、いつまでの灰被りのままではいけないわけです。ということで、次走のエリザベス女王杯は絶対勝ちましょう」
「いつか……魔法が解けても、大丈夫なように」
「私、夢を見ているんです。ずっと……」
サンドリヨン
たくさんのひとから慕われるウマ娘。
後輩からも先輩からも尊敬され、同期と常に切磋琢磨している。先にトゥインクルシリーズで活躍した姉二人が目標。
自分の名前を気にしており、物語のシンデレラのようになりたいと思っている……らしい?