成り代わり真依は姉のために死にたい 作:トートロジー
「あー、あー、ちゃんと撮れてるかな?」
しっかりと音声を記録できるように、鮮明な映像を残せるように、少し高めのカメラを買った。
今から僕はここに禪院真依という少女が、姉さんの妹が生きた印を残す。
「これは姉さんへの遺言です、それ以外の人がこの映像を開いてしまったら今すぐ閉じてください………じゃあ始めるよ」
僕は転生者だ
だから知ってる、故に知ってしまっている、姉さんの天与呪縛が不完全である理由を。
僕が死ねば姉さんは強くなれるのに、完全なフィジカルギフテッドになれるのに、僕はなかなか自分を殺すことが出来なかった。
大好きな姉さんの側に居たいと、そんな身分不相応な願いを抱いてしまったのだ。
「色々と言いたいことはあるけど」
でもそれもようやく決心がついた、今日ようやく両面宿儺が受肉した。
原作が始まったんだ。
姉さんのために死にたいけど、姉さんの側で生きていたい、そんな矛盾した思いを抱えるのももう終わり。
でも、僕は死んでも姉さんの中で生き続ける。
記憶の中に留まり続ける。
「まずは姉さんに一言」
そのために生きている頃の僕の映像を残す、姉さんに忘れてほしくないから。
姉さんの側で死ぬ、死に様をその目に焼き付けて欲しいから。
出来るだけ悲劇的に、出来るだけ喜劇的に、最後まで『純粋でお姉ちゃん思いの優しい真依ちゃん』を演じ続ける。
そうすれば、僕は貴方の記憶の片隅くらいには残れるでしょう?
「今までありがとう」
本当は打算まみれで貴方に好かれることばかり考えているというのに、貴方に嫌われてしまわないように仮面を被り続けているというのに。
でも、それでも好きなんです大好きなんです。
いつも呪霊に怯える僕の手を取ってくれた姉さんが、家の連中にバカにされても前を向き続けた姉さんが、この世のなにより大好きなんです。
「ずっとずっと僕は姉さんに救われてきた」
死ぬのはちょっぴり怖いけど、どうせ二度目の人生なんだ。
姉さんのために、僕のために、この命を使い果たす。
「大好きだよ、姉さん」
だからこれは、妹から姉への感動のメッセージなんかじゃない。
───愛という呪いのメッセージだ。
・・
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・・
「よし、撮り終わった。後はこれをUSBに移して保管しておくだけ。決意したとはいえ死ぬのはまだまだ先、渋谷事変が終わった後だし」
僕は積み重ね続けてきた。
同じ東京校に通って、隣の部屋に住み、毎日一緒に生きてきた。
姉さんの側にいるという楽しい楽しい日々を送ってきた、誰よりも姉さんの近くにいた。
姉妹とはいえ人間、相手のことを全部は理解できない。
だから確証は持てないけど、今この瞬間死んでもある程度は悲しんでくれるはず。
「でも、ただ悲しんでくれるだけじゃ嫌だ」
劇的に、貴方を守って貴方の側で貴方のために死にたい。
命を賭した縛りで形見代わりの呪具を作って、貴方に呪いの言葉をかけて、それでようやく最低な僕は死に至る。
もう姉さんの足を引っ張らなくて済むという満足と共に、この二度目の生を終わらせる。
「……姉さん、こんな最低な僕をどうか許さないで」
出てきそうな涙を気合で堪える、僕に泣く資格なんかあるはずない。
「泣かない、僕は泣かない。後悔も未練も全部全部抑えつける」
何回か、なんでここまでして姉のために死のうとしているのか考えたことがある。
でも毎回たどり着く結論はいつも一緒。
禪院真依は禪院真希がとてもとても大好きだから、ただそれだけなんだ。
歪んだ自己満足も突き詰めれば献身と化すかもしれない
姉さんの枷になっているのに耐えられない
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僕が死ねば姉さんの夢の叶うかも
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でも死ぬのは怖い、けど死なないのは姉さんに申し訳ない
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じゃあ姉さんの記憶にくらいは残りたい
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思考がエスカレートしオリ主が無害なヤンデレっぽくなる
みたいな
割と破綻者