成り代わり真依は姉のために死にたい   作:トートロジー

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姉の為に死ぬ死ぬ言ってても単なる元一般中学生の転生者が友達への情を完全に捨てれるかって言ったらどうなんでしょうね。
人それぞれでと言ったらそれまでですけど、今の所のオリ主には無理そうです。


それでは不穏な空気を漂わせながらの第二話です。


暗躍

 無から有を生み出す。

 その現象を人類は有史以来あらゆる方法を使って追い求めてきた。

 ある学者は錬金術に夢を見て、ある坊主は呪霊と契約し、ある王は国中から有識者を集めた。

 されどその術は見つからず、現代社会において無から有の生成は基本的に不可能だとされている。

 

「そんな夢のある術式も、呪力量が乏しい僕には扱いきれないのが現状」

 

 転生者故か、はたまた単なる偶然か、ここに存在するはずだった本物の禪院真依よりは呪力量は少し多い。

 けれどそれは微々たるものだ、刀を生み出したりバイクを生み出したり出来る程じゃない。

 そんな僕は準二級術師、恐らくこれで頭打ちだろう。

 余程とんでもない何かが起こらない限りこれ以上の昇格はあり得ない。

 

「ま、どうせ後一年も立たずに死ぬんだから昇給なんて考えるだけ無駄かな」

 

 死ぬ、僕は死ぬ。

 それは確定事項だけれどどう死ぬのかはまだ決めていない。

 プランは幾つか用意してあるけど、一番確実で危険性のないのは()()()()()()()

 少年漫画のキャラクターとしては失格な立ち回りだけど、準二級の中でも下の方の実力を持つ僕に出来ることは多くない。

 

「渋谷事変を生き残って扇に切られる。そして命を賭けた縛りで呪具を生成して姉さんに託す。これが最善、これが一番確実性の高い計画」

 

 でもこの計画にはいくつかの懸念がある。

 一つは渋谷事変と死滅回遊で姉さんが死んでしまう可能性があること、もう一つは五条悟封印によってこの世界がバットエンドを迎えてしまうかもしれないこと。

 前者については心配はしてるけどこのプランで僕に出来ることは少ない、せいぜいフィジギフの肉体強度を信じることくらいだ。

 出来ることなら渋谷事変の間は姉さんを軟禁しておきたいけど、僕と姉さんじゃ姉さんの方が強いしそんなことしたら嫌われてしまう。

 そして後者。

 

「僕は姉さんが直哉呪霊を倒すところまでしか知らないけど、少年漫画なんだしハッピーエンドとまではいかないまでも羂索の宿儺も死ぬエンドにはなるはず」

 

 そして完全なフィジカルギフテッドとなった姉さんならそんなエンドまで生き抜けると思うし、その先も生きて幸せになってくれると思うという単なる予測だ。

 でも僕は預言者でもなければ未来予知ができる超能力者でもない、自分が死んだ後のことを予測するなんて不可能に近いんだ。

 だからせめてもの考えを張り巡らせる。

 

「これをプランA、原作に忠実に動く作戦とすると……プランBなら『僕の死に様』を決められなくなること以外は姉さんの安全を確保出来るし最適なんだよね……原作とは違って東京校に通ってるし勝算はある……」

 

「お客さん、さっきからブツブツとどうしたんですか?」

 

「あ、声に出てました?」

 

 タクシーの運転手が僕に問いかける。

 そう、僕はタクシーで山の麓まで移動していたのだ、とある目的の為に。

 バスは生憎本数が少なく時間も合わないことからやむを得ずタクシーを使っているのだ。

 

「いや、声が小さくて聞こえませんでしたけど、あまりに長く呟いていたんでちょいと気になってしまって」

 

「すいません、癖なんですよコレ。頭の中で考えてるつもりでもたまに声に出てしまう」

 

「変わってらっしゃるんですねぇ。しかしお客さん、どうしてあんな山の中へ?あんなとこ何もないでしょう?観光地でもないですし」

 

 よくいるお喋りな運転手、だけど残念ながら正直に答えるわけにはいかない。

 京都東京どちらの高専でも吐いている嘘をここでも吐く。

 

「ダムがあるでしょう?」

 

「ダム?」

 

「そう、ダム。僕好きなんですよ彼処が。だから最近学校の合間を見計らって()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「へー、そりゃまたいい趣味してますね」

 

 もちろん嘘だ、ダムになんて微塵も興味はない。

 もしも姉さんがいるならコンクリートのダムも光り輝いて見えるだろうが、生憎姉さんは高専だ。

 僕の目的はメカ丸、その本名は与幸吉。

 高専に提出されている書類に記された住所に彼がいないことは確認済み、そして馴染みの情報屋に依頼して究極メカ丸を作るのに必要な資材を運び込んだりしている業者を調べた。

 結果、ここが浮かび上がってきた。

 僕は今から彼に会いにいく、ここでの会話次第で僕が『プランC』を選択するかどうかが決まる。

 なんなら『プランD』を視野に入れる必要が出てくるかもしれない。

 

「着きましたよ」

 

「あ、もうですか?」

 

 料金を払いタクシーを降りる。

 この山のダムにあの子はいる、僕の友人である与幸吉がいるんだ。

 そう、僕は彼と友人だ。

 案外話があったりするのだ、と言っても話す内容は呪術関連ではなくくだらない事ばかりだが。

 

「よし、覚悟は決めた。会いに行こう」

 

 ねぇメカ丸、生身の貴方に会って僕は何を思うんだろう。

 改めて友情を感じるのか、はたまた何も感じないのか。

 

「この前、いつか本当のメカ丸に会いにいくって言ってたよね」

 

 今、行くよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




姉のことは大好きで大好きで歪んでいますが、まだまだ今は致命的な破綻はありません。
多分メカ丸のこともそれなりに大事に思ってます。
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