テスト開始から十数分経った頃、経過観察していたサーニャの手元のタブレットからCOLE音が鳴る。応対の表示をタップし、すぐさま通話を始める
「もしもし」
『サーニャ、進捗はどうだ?』
「現在、重火器でのテストが進行中。進捗は67%程度です」
発信相手のゴードンが、テストの監督役であるサーニャへ進行具合の確認を取る。サーニャからの報告を聞き、前屈みだった上体を背もたれに沈めるように下げ、ため息をつく
『……データの整理は?』
「予想以上に得られるモノが有る、との事で…」
『効率的なデータが、逆に滞らせるとは…』
ケンイチとパンジーがデータ収集に勤しむ姿をタブレット越しに見て、手の平で顔を覆う。その後、手元の引き出しからヘルメットの形状をした装置を取り出し、それを頭に装着しながら指示を出す
『今行っているテストを切り上げ、模擬戦を至急開始せよ。時間が押している』
「分かりました、直ぐ手配致します」
予定変更の旨を受け、タブレットを軽く操作した後、片耳タイプのイヤホンマイクから、テスト中のサラやデータ収集作業を行う2人が付けているヘッドセット越しに通達する
「皆様、現在のテストを中断し、模擬戦の準備をお願いします」
連絡を受けた3人の動きが一瞬止まる。最後の武器を準備していたサラはそのまま手を止めたが、パンジーは困惑した表情で、ケンイチは焦った様子でサーニャへと振り返る
「待ってくれ!次で最後なんだ!それに…もう動かすつもりか!?」
「時間がありません。残りの作業はまた後日に_」
「そもそも機体のOSが調整出来て…まさか、彼女を使ったのか!?だからこんな短時間に!」
彼女を問い詰めていたケンイチが1人で納得したかのように話を切り上げ、コンソール横に置かれたノートPCを操作し始めた。呆気に取られていたパンジーも、何事かと画面を覗き見ている
隣から見られている事に気にも留めず、慣れた手つきで次々とタブを開いていく。様々なグラフや羅列された数字で埋め尽くされたタブが画面に表示され、それらを一通り閲覧していたその時、ステージ横の地面が割れるように開き、ロッカーのようなコンテナが迫り上がる
厳重に閉ざされた扉が開き、格納されていたモノが姿を見せる。白い装甲を身に纏う、所謂人型ロボットが直立状態で鎮座していた。各部を固定していたロックが自動で解除され、目に相当するバイザーに青い光が灯り、ゆっくりと踏み出しコンテナから出てきた