「何者だい?」
「昨日のゼノオーカ達を追い返したエルフです。四天王の最高戦力と評されています」
「…凄いんだね、彼女」
「エンシェントエルフ特有の身体能力に加え、装備も高水準との事です」
ステージ脇の階段を上がるモリアネンを見て、ケンイチとサーニャが質疑応答する。その2人の会話を尻目に、モリアネンは自分を呼び出したロボット…もとい、ゴードンの前に立つ
『グウェン君、だね?此方の都合で急な誘いを出した事を謝罪させて頂く』
「モリアネンでいい。何の用だ?」
『失礼、訂正しよう…モリアネン君、昨日の戦いぶりを見て君に興味が湧いた。今回の模擬戦は当初の予定には無かったので、予定に軋みが出てしまってな』
「御託は要らん。斬るぞ」
ゴードンに指名され、上がる時から腰に提げている剣の柄を握っていたモリアネンは、睨みを利かせながらその力を強める。しかしその威圧をも意に介さず、『そう、それだよ』と剣を指差す
『君と一戦交えたいのだ。その類稀な戦闘力は、このプロジェクトの完成度を高めてくれる。報酬も、色を付けさせてもらうよ』
先程から見せてくる言動と態度に腹を立てたのか、苦虫を噛み潰したような表情で不快感を露わにするモリアネンだが、外野から飛んできた野次が耳に入ると、意外そうな顔で声がした方へ振り返る
「アンタなら負けないでしょ、モリアネン!」
一触即発の雰囲気に固唾を呑むサラやユミ、喧騒の予感を察知しはしゃぐコーゼズの横から、パンジーが声高らかに焚きつける。食べて寝る事以外は知的好奇心を満たす物にしか興味を示さない彼女が、モリアネンにデータ収集の手伝いをさせようと声を上げたのだ
「…惚れたのか?」
「ゾッコンよ!」
そう返したパンジーは無邪気な笑顔を浮かべる。彼女がここまでして夢中になる何かがコイツには有ると察したモリアネンは、ゴードンへと向き直りいつもの笑みを浮かべながら剣を引き抜く
『…事情は判らないが、請けてくれるのかね?』
「そうだ。それと、貴様は私を測ると言ったか?訂正しろ、私が貴様を測ってやる。アイツの期待を裏切るなよ?」
柄を両の手でしっかりと握り締め、剣を構えるモリアネンに対し、ゴードンは左腕を盾のように構え、それを指差しながらモリアネンに案を出す
『先ずは君の一撃を受けてみようと思う。私は君の破壊力を学び、君は私の耐久力を知る…如何かね?』
「良いだろう。ヤワなテツクズとなれば、話にならんからな」
提案を承諾したモリアネンは、剣を空へ翳す様に振り上げ、構えられた左腕目掛けて勢いよく振り下ろした