各々が見守る中、振り下ろされた剣と、構えられた腕が激しくぶつかり、金属音が大きく響く。腰を据え衝撃を一身に受けるゴードンと、反発する剣を離さんとばかりに力を掛け続けるモリアネンが、互いに感想を述べる
「硬いな」
『重い一撃だ』
モリアネンは笑みを浮かべるがそこに余裕は無く、対するゴードンは淡々とした声色で話す。見れば、刃を受けた部分に僅かな溝が出来た程度の損傷であった
『次は此方の番だ』
左腕で剣を受け止めたまま右腕を引くのを見たモリアネンは、やってくるであろう殴打に身構える。しかし、その右腕に起きた変化に目を見開いた
手首部分の装甲が展開し始め、握り拳の指を覆うように纏わる。同時に、右腕から低く唸る振動音を鳴らし、その腕を突き出してきた
現在の守りの体勢から繰り出されたパンチなど、大したダメージにはならなかったが、命中した直後に鳴り響く破裂音と共に、モリアネンの身体を後ろへ吹き飛ばした
「ぐっ!」
宙に浮いた僅かな時間で手足を動かし、何とか着地に成功したモリアネンは、追撃に備えすぐさま剣を構え直す。一方のゴードンはゆっくりと体勢を戻し、右腕を擦りだしたかと思えば、肘部分の装甲が開き、そこから小型の容器が排出された
『カートリッジのイジェクト・システムは正常に動作した。次はインファイト・スタイルのモーションチェックを…ん?』
「何をしている?」
独り言の様に見えるボイスレポートを取っていたゴードンが、ふとモリアネンに顔を向ける。追撃が来ない事に戸惑う彼女に気付き、彼は自身の胸部に手を当て説明する
『これはテストだ。意識とOSの同調具合や、この機体の機能テスト…実戦とは勝手が違うが、今暫く我儘に付き合ってくれたまえ』
相も変わらず淡々と話をされ、何とも調子が狂うとモリアネンは顔をしかめる。そこへゴードンの足元から、大型の刃がレールと連結された腕輪を乗せた台座が出現し、その腕輪に右腕を通す
輪が収縮し腕に装着され、滑るように刃が展開される。腕の長さを考慮しても、モリアネンの長剣に並ぶ長さの刃を携え、ゴードンが仕切り直しとばかりに声を掛けた
『次はコレの相手をお願いする。仕掛けさせてもらう』
その言葉と共に、機体の背中やふくらはぎ等に設置されているスラスターユニットが、爆音を轟かせ勢い良く噴射し、モリアネンの目前へと瞬時に迫る。この瞬発力に不意を突かれた彼女は、咄嗟に腕で剣を支えながら防御する体勢を取った