普通のts少女 作：まるべー
「あ、おはよう達彦！」
「おはよう、ユウ子」
翌日、学校へと向かっていた俺は、その道すがらユウ子と出会った。そして、せっかくだからとそのまま一緒に登校することになった。
「今日も学校だよ。素晴らしくだるいねぇ」
「そうだな」
その幼なじみの様子は昨日とは打って変わって元気溌溂《はつらつ》で…。いや元気すぎない？これ絶対俺関連以外で何かあっただろ。さては宝くじでも当たったか？
まあ、そんなことはどうでもいいんだが。とにかく、ユウ子が元に戻って良かった。あの状態のユウ子を見るのはだいぶ心が痛かったし。
「むぅ。ちゃんとボクの話聞いてる？」
「え？あ、ああ聞いてる聞いてる。やっぱり、俺もそう思うぜ」
「だよねぇ、良かったぁ」
やば、何も話聞いてないのバレそうになった。まあ、バレなかったからよしとしよう。
それにしても本当に昨日何があったんだ？こんなに幸せそうな顔浮かべやがって。流石に気になる。
「なぁ、お前…」
「あ、そういえばボク今日日直じゃん！先行かなきゃだから、じゃあね！」
「え、おう、気をつけろよ！」
聞こうとした直後、急に走り出したユウ子のせいで聞けずに終わってしまった。まあ、あとで学校で聞けばいいか。
「おう、タツヒコ。お前佐倉さんと仲直りしたんだな。良かった良かった」
教室に着いた途端、挨拶もなしに話しかけてきたのは神藤涼成《かんどうりょうせい》だ。
「いや、仲直りというか、すれ違いというか…。ていうか、何でわかったんだよ？」
「佐倉さんの纏うオーラが違う！！」
「オーラってなんだよ…」
「みてみろ」とでもいうようにアゴをクイっとする涼成に倣ってユウ子の方を見てみると、確かに昨日とは全然違う雰囲気であった。というか、朝に自分でも感じていた気がする。
「あ、タツくんおはよう。その様子だとゆうちゃんと仲直りはできたようですなぁ」
聞こえてきたその声に顔を向けてみると、そこには柏瀬茉由《かしわせまゆ》がいた。彼女は、俺とユウ子の数少ない友人の1人であり、共通の友人でもある。
「ああ、おはようまゆ。まあ、普通に仲直りできたよ」
「ああ、いいなぁ。私も落ち込んでる時に颯爽と駆けつけてくる白馬の王子様的な存在が欲しいなぁ」
流し目でこちらを見てくるまゆ。口元が笑っているので、からかっているのが丸わかりだ。
「お前なぁ。別に俺とユウ子はそんなんじゃ…」
「まゆちゃん。おはよう」
嗜めようとする俺の声を、ユウ子が被せてきた。あれ？こいつさっきまで日直の仕事してたんじゃ…？
「あ、ユウ子おはよ〜！」
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