ランチラッシュのサイドキックは正義の味方 作:アイン_BD’sR
………思いつきで書いたのに今までで一番伸びてるの何で!?正直めっちゃ驚いてますよ!
あと、結構急ぎで書いたのでおかしい点あるかもしれません。
そんな所があったらおせーて下さい!
「
息を吸い一言ポツリと呟く。その言葉はまるでスイッチの様に全身から力を溢れ出させる。やがてその力は形を得る。右手には装飾も何もないシンプルな長剣。左手には鈍く輝く黒い洋弓。それぞれを手に取りゆっくりと弓を構える。右足を後ろに移動させ、長剣と共に弦を引いていく。
「………」
その瞳に映る光景は一般人が見れば「直ぐに解決するだろう」と考えるだろう。しかし弓を引く男はその逆を考えていた。雄英のプロヒーロー達と一部の人間もその逆を考えるだろう。
No.1ヒーロー『オールマイト』を包み込む大量の蒸気のような煙。そしてオールマイトへ飛び掛かる2人の
「
緑髪の少年を巻き込まないよう小規模な爆発を起こした。
雄英の廊下を歩く衛宮。チャイムが鳴り学校備え付けの時計を見る。時刻は昼前。学校で言えば4時限目の開始の時刻だった。
「おや?衛宮少年!」
「……俺はもう大人ですよ。オールマイトさん。」
呼びかけに応じ振り向くとそこには普段の筋骨隆々な姿とは打って変わって骨と皮しか無いガイコツのような姿をしているNo.1ヒーロー……教師の『オールマイト』がいた。
「おっと……すまない。生徒たちを呼ぶ時の癖が出てしまったね。衛宮くんは今から食堂かい?」
「……本当ならもう仕込みをしていないといけないんですけどね。『スナイプ』さんとお話していたんです。」
ホーミングの個性を持つヒーロー『スナイプ』彼はUSJの一件の後、衛宮を呼び出していた。というのも自分と同じ遠距離個性である『アーチャー』に惜しむ事なく遠距離の戦い方と立ち回りを教えるためである。彼の個性は衛宮と共通点があり、それぞれに弱点は当然ある。だからこそお互いの情報共有は大切なのである。
そしてスナイプ自身が認めたもう1人の遠距離個性を持つ元プロヒーローの話も……
「ところでオールマイトさんは休憩ですか?」
「ん、あぁ……体育祭関係で昼休みにやらなくてはいけない仕事ができてね。早めのお昼ごはんにしようと食堂へ向かうところだったんだ。お弁当とか用意すれば仕事しながらでもいいんだが、なかなか作る暇が無くてね。作る時間があれば作るんだけど……」
オールマイトは少し照れ臭そうにそう話すと食堂へ歩き始める。勿論向かう先が同じな衛宮も歩き始める。弁当を作るオールマイトは流石に予想外だったのか少し驚く衛宮だったが、ヒーローの時間の無さと好きな時に好きなタイミングで食べれる弁当は確かに都合がいいと納得する。……作る時間を考えなければだが。
「お昼はしっかりと食べないと午後のいざという時に力が出ないからね。うーん……それも考えると結局食堂に行くのが1番かもしれないな。」
「………!オールマイトさん。少しだけ時間ありますか?」
「ん……?ああ、お昼休み前にご飯を用意してもらうからね。作る時間も含めて少し余裕はあるようにしているが……」
腕時計を見て頷くオールマイト。
時間がない事を承知の上だが、今日が丁度いい……今日の日替わりメニューだからこそ、昼休み前の今だからこそ丁度良かった……と衛宮は考える。
「それなら……一緒に料理しませんか?オールマイトさん。」
少し早歩きになりながら衛宮はオールマイトに笑いかけた。
「しかしだ衛宮くん。今日のメニューが何かはわからないが食べる時間もあるしそこまで長くはできないぞ?そりゃあまあ、多少時間に余裕はあるが……」
「安心して下さい。1人前なら時間があまりかからないですし、簡単な料理ですから。」
全身を軽く粘着クリーナー……通称コロコロで掃除したオールマイトに白いエプロンを手渡す。
多めに油を鍋に入れ先に温めておく。温まりすぎないように見ながら、豚肉の下処理をする。厚切りのロースをまな板に乗せ、筋を切る。脂身と赤身の間を等間隔に5.6箇所切れ込みを入れる。これをする事で火を通した時に筋に引っ張られ全体が小さくなることが無くなる。切れ込みを入れすぎると肉汁が多く出てしまい、パサパサになってしまうので注意。
その次に肉を叩く。……がその前に全体に塩と胡椒を振る。塩は全体的に満遍なく、胡椒は塩よりも少し少なめに。そして反対側も同じく振る。叩く前に味付けをするのは叩く理由に繋がる。叩く理由は繊維を壊して肉を柔らかくするためとよく言われている。確かにその通りだが、それ以外にも理由はある。表面に傷を作る事で肉の中まで味を染み込ませるからだ。だから叩く前に味付けをする。そうする事で肉自体にしっかりと旨味が現れる。
肉を叩く道具は「ミートハンマー」があるが、包丁で問題ない。包丁のみねを両面に少し強めに叩きつける。あまり強くやりすぎると……
「SMAAAASH!!!!!」
「あ゛っ」
あまり強くやりすぎると肉が潰れてしまうから注意……隣で申し訳なさそうに煙をだし萎んでいくオールマイトへ「気にしないで下さい」と声をかけて改めてもう1枚用意する。
下処理を1.2枚(1人前の場合)終わらせたら衣をつけていく。まずは薄力粉をまな板の上から軽く塗す。両面に満遍なく振り掛けたら肉を持ち余分な薄力粉を落とす。
次に卵をつける。バットを用意すると手早くできるが、大量に作る時に限るので1人前のみを作る今回は豚肉が入っていた食品トレーを使う。使い終わったらそのまま捨てられて楽なので家で料理する時はこっちがおすすめ。トレーに卵を割り入れかき混ぜたら肉を入れる。この時に強く持つと薄力粉ごと剥けてしまうので優しく持ち、軽く卵を切ったら再びまな板に乗せる。
最後にパン粉。一般的なものでも問題ないが、粗めのパン粉の方がザクっと揚がるのでおすすめだ。パン粉を全体に塗し、しっかりとくっつくよう強めに押し付ける。……勿論潰さない程度の力加減で。持ち上げた時にパン粉がポロポロ落ちるようなら衣自体を剥がさないよう軽く落とす。
そして衣が時間経過で落ちないよう直ぐに温めておいた油へ入れる。油の温度は180℃程度が綺麗に揚げられる。菜箸を入れた時に大きめの泡が軽く出るくらいが目安。油に入れたら全体が濃いめのきつね色になるまで揚げる。揚げている間にキャベツを千切りにしておいたり、片付けを進めておく事で時間の無駄を減らせる。いい色になったら網などに乗せて油を切りながら5〜7分余熱で中まで火を通す。最後に食べやすいように切り、皿へ盛り付けたら………
「おお……本当に手早く完成しちゃった……」
「お疲れ様です。今日のごはんは『とんかつ』ですよ。」
「手早くと言っても今日は20分くらいかかりましたね。先に持って行ってて下さい。俺はご飯盛って行きますね。」
とんかつの乗ったお盆を持ちガラガラな食堂の席に座る。程なくして衛宮がご飯を盛った2つの茶碗ともう一枚のとんかつをお盆に乗せオールマイトの前へ座る。
「衛宮くん。君も一緒に食べるのかい?」
「昼休みは忙しいので今食べないと食べるタイミングが無いんですよ。」
「なるほどねぇ……それじゃあ食べるとしようか。」
「「いただきます」」
まずは何も付けずに1切れを箸で持つ。衣のカリカリとした感触が箸伝いに感じられ、肉の香りが食欲を促す。ザクっとした食感と共に一口。
「おお!しっかりと下味が付いているから何も付けなくても美味しい!むしろ肉の旨味が引き立っている感じがするよ!」
「叩く前に下味を付けたので中まで味付けが染み込んだんですよ。勿論下味を薄めにしてソースとか醤油をかける前提でも美味しいですけどね。食べる時間がない時はかける手間を減らすこともできます。」
「それに今回は20分くらいかかりましたけど、慣れてくると15分とかでも作れるくらい意外とお手軽な料理なんですよ。しかも一定の温度で揚げて、油切りをしっかりすれば朝に作っても昼までサクサクさせる事ができるんです。」
「………!」
最初オールマイトは無理に手早く料理をして衛宮が何をしたいのか理解できていなかった。しかし、オールマイトは今の言葉で理解した。衛宮はオールマイトの忙しさを知っていた。というよりこの学校の職員は誰でも知っているだろう。ただでさえNo.1ヒーローとしての活動があるのに、それに加えて教師をするとなるとオールマイトの個性の力がないとやっていけなくなる。そしてその個性の力すらも彼には……
だからこそだった。短時間で作れて時間が経っても美味しい『弁当を作る時のとんかつ』を教えていたのだ。
「……衛宮くん。ありがとうね。」
「俺でよければいくらでも力になりますよ。ヒーローとしても、相談相手としても。」
感謝を伝えながら教わったレシピを思い出す。
いつか来るであろう完全に個性の力が失われた時のために。
いつか来るであろう自分の後継者をサポートする時のために。
いつか来るであろう彼の心を支える時のために……
最後まで読んでいただきありがとうございます!
可愛いおじさんことオールマイトの話し方変じゃないかな……とずっと考えてました。
ひとまず人気落ちない限り神野区くらいまではやろうと思ってます。
2024/11/10:加筆修正しました。