【第一章完】三流声優の俺、特殊スキル【演技】で異世界の英雄になってみた   作:阿弥陀乃トンマージ

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第5話(1)資金調達

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「~♪」

 

「おおっ!」

 

「綺麗な音色……」

 

「~~♪」

 

「おおおっ!」

 

「綺麗な歌声……」

 

「~~~♪」

 

「うおおっ!」

 

「見事な踊り……」

 

 通りがかったとある街の路上で、鶯さんたちがパフォーマンスを披露している。鶯さんと瑠璃さんが用いている楽器、ロビンさんが纏っている衣装は天がスキルによって作り出したものだ。瑠璃さんが声を上げる。

 

「以上になります!」

 

「ブラボー!」

 

「素晴らしい!」

 

 パフォーマンスが終わると、観衆からやんややんやの大喝采が送られる。瑠璃さんが丁寧にお辞儀をする。

 

「ありがとうございます!」

 

「良かったという方は、こちらの箱にお金を頂けるとありがたいで~す♪」

 

 ロビンさんがウインクしながら、自分たちの前にある箱を指し示す。

 

「良かったぞ~!」

 

「良いものを聞かせてもらった!」

 

「とっても良かったわ!」

 

 観衆が言葉をかけながら、次々と箱にお金を投じていく。

 

「ありがとうございます……」

 

「ど~も~」

 

 鶯さんが頭を下げ、ロビンさんが手を振る。

 

「お姉ちゃんたち、今日はもう終わりなの?」

 

「ええ、そうよ」

 

 子供からの問いに瑠璃さんが頷く。

 

「え~もっと聞きたかったな~」

 

「ふふっ、また今度ね」

 

「また歌いにきてね!」

 

「ええ、また必ず歌いにくるわ」

 

 子供の言葉に瑠璃さんが笑顔を見せる。

 

「ふむ……」

 

「今日のステージも大成功でしたね」

 

「そうだな」

 

 俺は天の言葉に頷く。

 

「やはり異なる世界でもラヴィのお三方のパフォーマンスの素晴らしさというものは伝わるのでございますね!」

 

「ああ」

 

「お三方には頭が上がりません!」

 

「いや、天の貢献ぶりも素晴らしいぞ」

 

「え、ええ?」

 

「楽器が無ければ演奏出来ないし、人目を惹く衣装が無ければ華やかさにも欠けるだろう。天のスキルが無ければやや物足りないものになっているはずだ」

 

「そ、そうでしょうか……」

 

「そうだ、大いに助かっている」

 

「て、照れますな……」

 

 天が照れくさそうに俯いて鼻の頭をポリポリとこする。

 

「それに比べて……」

 

 そう、それに比べて……。

 

「俺の体たらくときたら……」

 

 そう、俺の体たらくよ……。

 

「情けなくて涙が出る……」

 

 そう、情けなくて涙が出る……ん?

 

「……勝手に人の心情を述べないでくれますか、監督」

 

 俺は自分の脇に立っている監督に冷ややかな視線を向ける。

 

「どうかな、自分のアテレコは?」

 

「低い声を出そうと意識しすぎて声がこもってしまっています。本番ならNGですね」

 

「これは手厳しいな」

 

 監督が苦笑する。

 

「どこで油を売っていたのですか?」

 

「ちょっとね……」

 

「ちょっとって……」

 

「まあ、それは一旦置いておいてだ、現状このパーティーで自分と栄光くんだけが役に立っていない。特に栄光くんは男だというのに、いまいち頼りがいがない」

 

「ぐっ……はっきりと言ってくれますね」

 

「監督という仕事柄、はっきりと言う時は言わねばならない時が多いからね。あんまり悪く思わないでくれよ」

 

「まあ、それは良いですけど……」

 

「ところが、自分は貢献度においては君より一歩リードしたよ」

 

 監督が右手の人指し指をビッと立てる。

 

「え?」

 

「資金調達について有益な情報を得たんだ」

 

「本当ですか?」

 

「ああ」

 

「どんな情報ですか?」

 

「この街への物資の調達が滞っているらしい」

 

「物資の調達?」

 

「ああ、何者かの妨害を受けているらしい」

 

「モンスターですか?」

 

「それが良く分からないようだ。調査に派遣した者らもすぐに逃げ戻ってきたという……」

 

「そ、それは……」

 

「このままではこの街の食糧などが尽きてしまう恐れがある。それをなんとかしたいと街のお偉いさんたちは考えているようだ」

 

「つまり……」

 

「その妨害している何者かを懲らしめてくれる者がもしいれば、ある程度のお礼をしてくれるという話だ」

 

「ほう……」

 

「まとまったお金を得るチャンスだな」

 

「それもそうですし……」

 

 俺は左肩に乗るティッペに目をやる。ティッペは頷く。

 

「……その可能性は高いっぺねえ……」

 

「どうする?」

 

「どうすると聞かれれば……俺たちで懲らしめに行きましょう」

 

「ふふっ、そうこなくてはね」

 

 監督は笑顔で頷く。俺たちは馬車に乗って、街の外に出る。御者の姿になった俺が尋ねる。

 

「場所は分かるのですか?」

 

「それはもちろんだ。ナビするよ。この道を北に真っすぐだ」

 

 監督は地図を広げる。しばらく馬車を進ませると、墓地にさしかかる。

 

「墓地か、気味が悪いな……」

 

「身寄りのない者や、昔の大戦で亡くなった人たちを埋葬しているようだよ」

 

「へえ……ん⁉」

 

 墓地の土中から、人が次々と這い出てくる。ティッペが叫ぶ。

 

「ゾ、ゾンビだっぺ!」

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