せっかく転生したのにイケメンじゃないし大変な世界に来た   作:ケリュム

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 禪院甚壱の術式、塊打突呪法は術名はその数だけ呪力を練り固めた"呪塊"を作り出し任意の方向へ打ち出す。
 故にこの術式は基本的に呪力量に依存してちる。

 甚壱の呪力量は五条悟とそう遜色が無い。 が、六眼のない甚壱は当然ゴリゴリ呪力が減る。 それに加えて術式の関係めっぽう減りが早い。
 まだ未熟な所の多い甚壱はまだ確実と思った攻撃以外ではあまり使わないよう心がけている。


獅林

 

 

 (やしろ)付近にて……

 

 

「闇より出でて闇より黒く その汚れを禊ぎ祓え…。」

 

 

 明るい空はジワジワと黒に侵食される。

 

 

「う……わぁ…ッ!!  初めて見ましたオレ! 凄いですね正道お兄さんッ。」

 

「なんで産まれてから日々鍛錬をしてきた俺ができなくて。 学生になってから呪術を習ったお前が使えるんだッ!!。」

 

「ほんといい性格しているよ前は」

 

 

 ニヤつく正道に?マークを頭に浮かべて蘭太は疑問をぶつける。

 

 

「ん? お二方、どうされたんですか?」

 

「いやな、この特別一級呪術師様は帳すら下せないくらい結界術の才能が無いんだよ、ダセーよな!」

 

「ムキー!!正道お前バカにするなッ!! 一級でも無いくせに!」

 

 

 帳、それは呪術師達が任務を遂行をする際必ず張らなければいけない結界であり、その効果はメリットは

 

 1、外部からは観測を不可能にする。(非術師からの観測を防ぎ混乱を防ぐ。)

 2、隠れている任務対象(呪霊)の炙り出し。

 3、任務対象の逃亡防止。

(呪術師or呪霊が死亡しない限り、という縛りで内側からは脱出を困難な物にしている。 或いは外から帳を張った者も解除はできる)

 

 

 

「なるほど今日は道筋の都合で窓がついてこれないから正道お兄さんを呼んだのか……。」

 

「ハッ……気分がいいな。 なぁ蘭太君もそう思うだろう??」

 

「蘭太?」」

 

「あはは……でもそうですね…甚さんにも欠点?みたいなものがあって、なんだか気持ちが楽になった気がします」

 

「お前さんらうっせえぞ…っ!! かー蘭太郎もそっち側かッ! いだだだッッ!!」

 

 

 不貞腐れた甚壱は笑う正道から気付かれぬよう奪い呪骸をこねくり回し、甚壱の頭は正道の手によりアイアンクロウが襲う。

 

 

 その背後では家や私有地での訓練に明け暮れ任務に行ったことのない蘭太は空に天井ができる様を見て、楽しそうな心様子だ。 この年の子供が訓練でなく任務に出ることは本当に滅多に、というか無いのだが。

 

 

 

                 その時

 

 

ガゴン

 

 

 

 

 

 

 

 

ガゴンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

ガゴン ガゴン

 

 

 

 

       帳が完全に展開されると同時に状況は一変する。

 

 

「危ないッ!!?。」

 

 

ト"カ" コ"ン"!!!

 

 

 何かが猛スピードでぶつかりあったような激突音が響き、蘭太が気づいた時にはすでに呪骸を数体出し臨戦態勢になった正道の腕の中にいた。

 

 

「な…にがッ……!?」

 

 

 目を回す蘭太は回る目であたりを見ると、その光景に絶句する。

 

 

 その衝撃音の正体は、太く筋肉質だが異様に短い足に不気味な長い胴、そこに手と思われる部位は生えておらず、その頭は獅子舞と人間の間の様な、いかにも呪霊と言う(なり)でありまぁ醜い。

 

 

 ガタガタの大きな歯を持つ獅子舞の巨頭、そこには頭のてっぺんから腰までをガボリと咥えられた甚壱の姿があり、その大きな口元には大量の赤黒い()()()()()()()()()()

 

 

「なッ……甚ッ!!?」

(まずいな! あんなんでもアイツは一級術師…そるがやられたとなっちゃ…俺には)

「………あ、」

 

 

 

 正道は、目の前で起きた事に現実味が無いのか、瞬きせず呪霊を直視する蘭太を背後にまわすと声を上げる意識を戻す,

 

 

 

「…ハッ?」

「蘭太君、落ち着けッ!。 アレは私が祓う!! 君はアレより蠅頭を気にしながら隙ができたら逃げるんだッッ!!」

 

「あぁ、も しかして甚さんですかアレ…?」

 

「ッ! 安心しろきっと、アイツは石頭だからな!生きてるさ!! 

 

 

 覚悟を決めている自分たちとは違い、何時死んでもおかしく無い状況に放り出され混乱する子供を見てしまい、正道はやはり連れてくる事は間違いだったと、あのときあの馬鹿を殴ってでも止めていればとぐるぐると考え歯を食いしばる。

 しかしそんな事を気にしている暇はない状況。

 

 正道は護衛タイプの呪骸ハリネズミのガード君に呪力を込め、蘭太の隣に置くと、呪霊を睨む。

 

「蘭太君、この子をもって帳まで行け」

 

「俺も…戦い」

「いや今はこの状況を窓に伝える方が大事なんだ」

 

「でも「蘭太君ツ!!」ツ!?」

 

 ここで顔が怖いが今まで優しかった正道に怒鳴られ蘭太は目を丸める。

 

 

「一度しか言わないぞ、よく聞け」

 

 呪霊から目を離さず正道は言う。

 

「ガード君の背中を帳に押し付けながら鼻と腹辺りの所を抑えながら呪力を流すんだ、君1人なら出られるくらいには破壊できるはずだ」

 

「………」

 

「分かったら隙を見て行けツツ!!」

 

 

 そう言うと正道は蘭太のギリギリ捉えることのできる速度で駆け出す。

 

 

「メルヘン、大和ッ! 叩き潰せッ!!。」

 

 

 走り出したと同時に呪骸を動かす為と叫び声。 その裏で、正道は攻撃型の呪骸"ナックル"、"ビタニ"を背後の木を登らせ、ナックルは上空、ビタニは背後へ回し奇襲を、そして己とメルヘン、そして大和は呪霊を囲んで叩く。

 

 

 呪霊は動いていた。

 甚壱を咥えた呪霊は無情にも、犬が獲物の脊髄を噛み砕き トドメを刺す様に頭を乱雑にヨダレを撒き散らし振り回す。

 

「ッ!!」

 

 が、走り来る呪骸と正道を終始蠢き(うごめ)続けていた二つの大きな眼で捉えた時、咥えた飯以外には気を一切向けていなかったのが嘘のように意識を向けると襲撃時の音速に届きうる素早さを可能にする筋肉質な2本の脚に呪霊は力を込める。

 

 

「わ" わ わァ" わ" あ"ッじョ ょヨ "い" 」

 

 

 獲物は二つ、1番の脅威はどの呪骸よりも正道だと認識すると、その短い脚は軽く2回りは大きく肥大し、地面を陥没させる。

 

 

 

 しかし正道と呪骸が直角に別れ両側から挟み込もうと動き、呪霊との距離7メートル。 だがその秘めた力を遺憾(いかん)なく発揮しようとしたその刹那……

 

 

 

「わ わ"ッし

 

 

ゴチュン!!!

 

 陥没し、ひび割れた地から足が浮き、そのスピードが発揮される事は遂に無かった。

 

 

「 な""ッ でィ えッ? …!」

 

「ツ!!?……死んでなかったか!」

 

「は、あッ…甚さんッッ!!!?」

 

 

 呪霊は何も無かった筈の真下からの強い衝撃に大混乱する。 その衝撃は呪霊の顎が砕け潰れ、紫の液体が大量に空中に散布する。

 

 突然 の重い音と共に浮いた呪霊に足を一度止めるがその正体に正道は気付くと、突然1人で祓う事になったせいで起こった緊張感、そのおかげで固く閉じていた口を開け歯を剥き出しにやりと笑う。

 

 

 その正体は襲撃からずっと咥えられ、ぶらりと浮いていた甚壱の()による蹴りあげであった。 吹き飛ぶその呪霊の口内からは血液と大量の唾液を纏い()()かを持った甚壱が現れる。

 

 甚壱に上に吹き飛ばされ無防備になった呪霊はその後も止まらず進行したナックルとビタニにより追撃は完璧に決まりると、呪霊の身体は上半身と下半身がなき別れデカい樹木に激突し止まるまで数十メートル吹き飛ぶ。

 

 

「問題無いならもっと早く脱出しやがれ馬鹿野郎ツ!!」

 

 

 こちらの名も知らずに隣に来た甚壱に正道は言う。

 

 

「ん? ガハハッ もしかして心配してたのか?!。」ニヤニヤ

 

「本当に勘弁してくれ…本当に…’

 

「悪い悪い、コレ調べるのに夢中だったんだ。」

 

 その両手には買い物袋を持ち上げるような動作で、膝から下が噛みちぎられ溶けかけた男と、上半身が無くなった推定女の下半身を持ちあげるのだった。

 

 

 

 甚壱は帳が落ちると少ししてから山頂付近から3人の位置へと猛スピードで近づいて来たその存在に接近される直前に気が付いた。

 術式に起因する速度でないとしたら本来の一級呪霊から逸脱していたその速度、目視した時俺は一切縛りを使用せずともソレを目視できることを確認した。

 

 

 いくら早くとも俺()狙ってバカみてぇに一直線に突っ込んで来るとなれば対処は容易い!。

 気持ちを切り替えた甚壱は塊打突呪法の術式を発動し呪霊が突っ込んでくると同時にカウンターで術式をぶち込もうと拳を構えたその時。

 

 ガパリと開いた触手だらけの口内で今、喉に引っかかる血まみれの正気のない目の人間の顔と目が合った。 そしてその一瞬の時間で甚壱は考えつく

 

 

(9割死んでるだろうが呪霊の腹の中すこし気になるしやってみるか!)

 生きている可能性を俺は考え付くと優しさ100パーで術式を発動させず飲み込まれてみることにした。

 

 

「安心しろ!これは俺のじゃなくてこの呪術師と一般人達の血だ。 俺はピンピンしてる無傷だ。」

 

「なんであんな振り回されて死なないとは石頭超えてるぞッ…!?」

 

「いや中は結構気持ちよかったぞ?。」

 

「かぁ〜キショいな! いや、そう言う事を言っているんじゃ…」

 

「……蘭太よ、呪力による強化の凄さが分かったろ?。」

 

「え、? あ、はいッ!。」

 

「こういう状況でも鍛えた呪力操作、それに加えて鍛え上げた己がボディは裏切らないッ!!。」

 

 甚壱は誇らしそうな表情で色々なものでドロドロの服越しの胸を叩き「どちゃッ」という音を出す。

 

 

「甚ッ…」

(話がうすいな…。)

 

 正道は頭を押さえ、何が言いたげな顔を一瞬するが気持ちを切り替えると呪霊を真っ直ぐ見る。

 

「さぞありがたいんだろうがな、お前らそろそろ授業は切り上げて今はあの呪霊を対処するぞ!」

 

ィタたタタ"タタ"ァッだ だ だ だだだだだだだだだだだた"た"た"ァアア"ァー!!。

 

           ボコボコボコッ

  

 

「「ッッ!!??」」

「面白いな、どっちみち醜いがかなり形態が変わのか! そしてさっきよりは少し…いや、だいぶ遅くなったな…」

 

 甚壱は呪霊を確認すると興味を持ったのか顎に手を当て、ふむふむと観察をする。

 

 

 暴れる呪霊の容姿は先程の短足胴長に獅子舞の大きな頭、という容姿を気持ちの悪い音を立てながら変態すると、大きな鱗を持つ蛇の様な長細い身体(からだ)に何十本もの手が生えた形態に変化をしていた。

 

 

「お、」

 

「来るぞ!」

 

「ぅッ!?」

 

 

 呪霊は苦しげな声を出して暴れていた体をピタリと静止させるとギョロリと眼球で3人を捉えると大量の足で地団駄を踏み散らかし地鳴り森中に響かせる。

 そして「来る」タイミングのその時森林へ姿を消す。 

 

 

「よし!パターン変えてきたぞォォッッ!!  お前ら気を張れ!」

 

 

 甚壱は2人に気合を入れ直したかと思えば、林中を動き回る呪霊の呪力を一拍遅れて目で追う蘭太と数体の呪骸で構える正道の方へ体を180度回転させる。

 

 

「正道、蘭太、ここからはおれはぁ2人であの呪霊は2人で祓うんだ! 流石に死にそうになったら俺がどうにかするからやってみろ」

 

「それと蘭太、術式使っての実戦だ気を張って行け、俺が言ったこなせてなかったらもう教えねぇぞ、いいな?」

 

 

 木々を掻き分け呪霊は甚壱は飛びつく…が。 

 

 甚壱は飛び込んでくる軌道上に呪塊作り出す、そうふれは呪霊は手の形をした呪塊張にビタんとぶち当たる。 そして張り手の要領で押し放つ。

 

 

塊打突呪法(かいだつじゅほう)……(めん)(壱)」

 

ふ"ェ" ッ が  ボエッ!!?

 

 

ハ“ ギ"ョ"ン"ッ!!!

 

 

 呪霊は太い木を何本もへし折れ吹き飛ばされる。

 

 塊打突呪法・(めん)・は標的を祓う為で無く"吹き飛ばし距離をとる、移動させる事を目的に開発された呪法だ。

 

「す、すごいツ!!」

 

「とんでも無いな、クソ!」

 

「よし、今のが掌じゃなければ祓えるくらいには俺はあの呪霊に対応できる、だからいい機会だ、後先考えず突っ込んでこい野朗共! 強敵での実戦訓練をやってみるぞ!」

 

 

 

「正道は準一級への昇級を賭けて、蘭太は俺の時間を使って強くしてやるに足るのかの試験だ。 軽く教えてやった事ができてるかチェックしてやろう!」

 

「昇級…か。 確かにアレを祓えれば俺も呪術師として一皮剥ける気がするな…‥やろうか蘭太君」

 

「ッ!……ま、任せてください! 一緒に祓ってやりましょう!」

 

 

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