せっかく転生したのにイケメンじゃないし大変な世界に来た 作:ケリュム
甚壱らが向かう前〜〜
「か〜、あの野郎一級呪霊の強度じゃないね絶対」
曾野一級呪術師は社まで吹き飛ばされており、服に付いた埃を叩きながら愚痴る。
神谷 曾野一級呪術師 術式
「まぁとにかく」
どぉおオォーンッッ
曾野はパチンと指を鳴らすと吹き飛ばされた方向から爆発音が空気を震わす。 吹き飛ばされる直前曾野一級呪術師は獅子舞の頭に触れ、マーキングを付けており、それが爆る。
アタシが野郎に吹き飛ばされた場所からすぐ近くでアタシの呪力が爆ぜたね、呪霊はまだそこまで動いてない様子だし今の手応えだと吹き飛んだって事も無さげね。
「お返しと」
(なら当たるかしら)
「おまけッ!」パチン
2度目は足でマーキングを付けていた地面を爆破させる。
「ビンゴツ!」
「ア"ッァジジジヨォオアオオオ」
爆破と共に呪霊の断末魔が森中に響き渡り、曾野の元までそれは届く。
「耳障りの悪い声しか出せないのかい呪霊は?」
神谷 曾野一級呪術師
一般家庭出身であったが遠い親戚に丸に三狛の家紋の呪術師家系があり彼女が十四の頃に高専に術式を使用している所を観測され、後に本家に養子として連れられて行った。
そして本家としては女である彼女に期待は元から無く、現在衰退の一途を辿る本家には彼女が持つ相伝の術式、その血を一族に取り入れる事が目的であった。
しかし彼女は強かった、志も呪術師としての腕も、そし才能を伸ばしてゆき三十を超えた頃彼女は当主へと上り詰めた。 閉ざされた暗い道を無理やりこじ開け突き進んだ彼女は今や年食った母親と本家を往復する生活をし、現在の楽しみは若い世代の成長を見る事と夜の晩酌が楽しみである。
「この体たらく…だから若いのが逝くんだ、しかしアタシもああはならない様に気をつけとかないとねぇ」
(1人で来ればよかった、早く戻らないとあの子達が危な)
突然の急襲に神谷曾野が付けることができたマーキングは3つ程度、二つは既に使い、ラストの一つも獅子舞呪霊の頭である。 そしてそれを発動させようと降ろしていた左手を再度持ち上げる。
ボト
「ッ!!?」
持ち上げた腕、そこには何も無かった。 指も手も、腕さえも。
気配
彼女は痛みが襲う前、咄嗟に術式を発動する。
「グ"ぅ"ッッ!!」
爆破後、数メートル退いた曾野は左腕が根本から綺麗に切り落とされ、血液が噴水のごとく溢れていることは目で見ずとも感じると残った腕を白髪混じりの銀髪へと伸ばし、数本抜くと、呪力を通し強化し素早く使い止血する。
「新手ッ!? 気付かなかった……アタシもまだまだね…クソッ!」
「ごほッ ぁ"あー、煙たいババアをよこしたなアイツ…教育のやり直しだの」
「ッ!?」
(呪詛師……)
「煙たいから砂かけババアかとおもったわ」
「ふふッ 面白い表現だね悔しいけどちょっと面白いよ、しかしアンタ レディを背後から襲うんじゃないよ、玉無しかい?」(切られた事に気付かなかった…この男)
「その年齢で何がレディじゃ笑わせるのう、しかし顔は悪くないが〜シワのないもっと若い頃に出会いたかったの〜」
「あいにくだけど耄碌したジジイの戯言を聞くほど今のアタシゃ暇じゃ無いのよ、後にしてくれるかな?」
その横目でチラリと若い呪術師達の方角を見るとそれに気が付いた呪詛師は淡々と言う。
「それはさせられんな女、アレは俺の家畜にしたばかりでな、流石に一級呪術師には分が悪いんだ」
「それは随分便利な呪具見つけたみたいね?」
「呪具?……あぁ、その類の物もあるな、しかしあいにく武具以外の呪具にはあまり興味がなくてな、丹精込めて調教し、契約したのよ」
「なッ!?」
(あのレベルの呪霊を?! アタシは見たこと無いけど、呪霊は一応契約する事はできるらしいが………)
しゃがむ曾野の背後で話かけてくる呪詛師の話を聞き終わると、動揺を隠しながら振り返り、背後の男の顔を下から見下げ見る。 そして痛みで垂れる汗を拭き取ると立ちがり向き合う。
「そういう訳でな、行かせられんのだ しかし、本当は若いのを……ハァ…ババアでは滾らんが」
「不能なだけだろう」
「ふんッ 女というのはいつも口だけは達者よ、しかしまぁ今は腰が軽くなったし今回は我慢かね」
ぼんッ
呪詛師が喋り終わる前、呪力を込めた砂を爪で弾くとその足元は小さく爆発し体勢を崩させる。 それと同時に足の呪力を爆発させ急加速した曾野は膝を呪詛師顔面にめり込ませると、自身が着用していた黒の革ジャンを呪詛師の頭に投げつけ、流れる様動きで空へ向いた拳を開き手のひらの呪力を爆発させ素早く地面に着地すると腹を蹴り上げた。
(手応えがあんまり無いね)
「ッア"ァ"?? いてぇなクソアマがッ!!」
「十二回」
「なんだ……」
弓握三郎の呪力を吸収して体に現れた油膜のような12の呪力の印は不定形な形を保ったまま弓握の腹に向かって行くと、それらは結合し一つの印へと変わる。
「まさかッッ!!?」
圧炸呪法
ト"カ"ァン"ッッ
___________________________
カ"コ"ン""ッッ"
数十分後弓握の元に向かって呪霊は戻る。 その体には浅い傷しかなくそれも既に治り消えていく。 残るは新鮮な赤い血液のみだ。
「あの呪術師ども死んだのか、若いもんは堪え性がない」
「ワ"ァァッッシ“ョッッィ"いイ“ィ」
「おぉ見た目変わったかの? 可愛げももう無いくらいきしょく悪くなりおって…」
呪霊の接近に気がついた弓握 三郎は殴り続け中身が散乱した頭蓋から手を離すと自身の胸に触れる、その手からは男の様子とは真反対の温かなエネルギーが溢れて出ると先の戦闘で受けた破れた皮膚を一瞬で癒していく。
その死体は死んで時間が経ち呪力を放っておらず、呪霊も一切興味を示さず、それを見た弓握は森の林方へ蹴り飛ばして処理を済ませた。
「ヤりたいがこれ以上は注目が集まりすぎるのぅ、女だろうがなんだろうが次でしばらく姿を隠すとするかの…」
今後の計画を考えないといけないが、まずは目の前の呪霊の強化を喜ぶ弓握だった。
「ワ"ァァッッシ“ョッ
「それはそうとお前は、ちょっと躾だ」
「わ"ッ……!、!?、?、」
して次の獲物、それが甚壱一派、気配を隠し観察していた三郎は3人の男が獅子舞呪霊を祓いそうな事を確認するとつまらなそうな顔をすると、とぼとぼと拠点へ姿を隠し呪術師が帰還するのを待った。
しかし、獅子舞の呪霊。 その
長年呪術師達にバレないよう過ごしてきた三郎は今更高専に追われる、そんな面倒は容認出来ない、さすれば当然目の前の呪術師を口封じするほか無かった。