【完結】異世界TS少女はVtuberになってスローライフを配信したい   作:水品 奏多

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第二十四話 【料理配信】世にも奇妙な料理配信、開店です R 

【待機~】

【こんちゃ^^】

【こんにちわ】

【14時開始か 今日はちょっと遅いんやな】

【みなさん、お疲れさまです】

【ここにいる名前も結構見慣れてきたなあ】

【↑そりゃあ平日昼間に長時間配信を見れる層なんて限られてるし】

【まあ確かに暇な大学生とか特殊な勤務形態の人しか見られないか】

【おっ、そうだな(適当)】

【……(もう一つあるんだよなあ)】

【……(仕事中にスマホで見てるなんて言えない)】

【動画タイトルのRって?】

【多分リベンジの略だと思われ 

 ほら前にカタリナママさんが料理配信したことあったじゃん】

【なっつ カタリナちゃんの料理下手属性がバレた回かww】

 

 次の日の昼間、わが家のキッチンにて。

 待機枠にリスナーのみんなが集まっているの確認して、私とアネットはカメラで小さく手を振った。

 

「こほん……どうもみなさんこんにちは。

 異世界一の凄腕美少女料理人、カタリナ・フロムです」

 

「お姉ちゃんの妹兼カメラマンのアネットだよっ」

 

「えー、というわけで今日はこの二人で料理を作っていこうと思います。

 つまりお母さんの誕生日に向けた練習ですね。お母さんたちにばれないよう、声控えめ・アーカイブが残らない形式でお送りしています。

 また、お母さんたちも結構動画を見返していたりしますので、他の配信とかでもスルーしてくれると嬉しいです」

 

【なるへそ】

【了解】

【確かママさんへの誕生日プレゼントはカタリナちゃん特製料理になったんやっけ】

【ん? 何か嫌な予感がしてきたな……】

【恐ろしく早い伏線回収 オレでなきゃ見逃しちゃうね】

【隠れて作って大丈夫なん? お腹はいっぱいにならない?】

 

「今日作るのは一人前のおかずだけだから大丈夫なはずです。

 当面の目標は当日の夕食のメニューを一品追加することですから。

 ただし品数は練習の出来次第ではどんどん増やしていく予定なので、みなさんふるってご参加ください。

 まあ私の腕があれば、余裕で全品作れちゃうと思うんですけどねっ」

 

「うんうん、カタリナお姉ちゃんなら絶対にできるよっ」

 

【まかせんしゃいっ】

【アネットちゃんの応援が重い重い】

【やっぱ俺ら責任重大じゃん】

【>私の腕があれば

 何で彼らって妙に自己評価が高いんでしょうね……】

【そりゃああれよ 基本何でもおいしく食べられるからよ】

【何の料理を作るかはもう決めてあるの?】

 

「ええ、Y〇utubeで「初心者おすすめ」で検索したり、肉屋のミミコロさんに相談したり紆余曲折ありながら決めました。

 今日作るのはーー生姜焼きです。

 勿論材料も用意済み。実は既に昨日町に行った時に貰って、冷蔵箱の底にこっそりと入れておいたんですよ」

 

【あー、うん】

【何というか……めっちゃ無難】

【これで何を失敗させろっていうんだよっ】

 

 台座に乗り、タブレットを持ったアネットが厨房の上の食材を写す。

 薄切りの豚ロース3枚、たまねぎ1/4、小さなショウガ、その他もろもろの調味料。色んな動画を見て料理方法とかも確認済みだから、そう酷いことにはならないはず。

  

「全く。みなさん、私に何を期待してたんですかね?

 私だってお母さんたちにおいしい料理を食べてほしくて作ってるんですよ。今まではちょっと何かが嚙み合わなかっただけで、作り方さえ知っていれば私でもパパっと作れちゃいますよ」

 

【お、フラグか?】

【>お母さんたちにおいしい料理を食べてほしくて

 うう、俺の唯一の良心がががが】

【頑張れ!負けるな! 

 俺たちカタリナちゃんの泣き顔を見るためにここいるんじゃないかっ】

【正真正銘の最低やろうじゃねえかww】

【勝手に仲間にしないでもろて】

 

「さて。それじゃあ早速。

 カタリナ’sキッチン、開幕ですっ」

 

「いえーい。どんどんパフパフっ」

 

【よっしゃ腕が鳴るぜ】

【どんどんぱーーって、アネットちゃんに取られてるっ!?】

 

 このままじゃあ埒が明かない、と包丁を持って料理開始を宣言する。

 ふっふっ、全世界100万人のカタリナファンのみんな、私の華麗なる包丁さばきを見るがいいですよっ(てきとー)。

 

「えーと、まずは筋切り? というやつをするんでしたよね。

 確かこんな感じに縦方向に切って、と」

 

「あっ。あの、もうちょっと力を抜いて、刃を立てた方がっ」

 

【お、おお】

【肉がめっちゃ動いてる……】

【身ごと切れちゃってない、これ?】

 

 アネットたちの言うように、まな板の上にあるのは力の入れすぎで不格好になった肉の塊。上の方にも若干切り込みが入っている。

 い、意外と難しいなあ。めっちゃ簡単そうにやってたのに。

 

「こ、こんな感じですかね?」

 

「そうそう、基本的には刃先で刺すみたいにやればいいよ。

 後はそれを1cm感覚で繰り返してーーあ、もうちょっと横かな。うん、大丈夫」

 

【よしよし、今回は良い感じ】

【ほっ。あのままだったら生姜焼きもどきになっていたぜ】

【恐ろしく早い伏線回収ーー(ry】

【懐かしい 俺も最初の方はこんな風だったなあ】

【まじで作り慣れてないんやなあ 正直かなり誇張してると思ってたわ】

【4歳(暫定)に料理を教わる14歳JCとは一体……?】

【↑そもそも4歳で色々指示できる方がおかしいからなww】

【……そして、カタリナちゃんは前のママさんみたく黙っちゃう、と】

 

「えへへ、いつもの元気なお姉ちゃんも可愛いけど、真剣なカタリナお姉ちゃんもいいよね。

 ……食べちゃいたいくらい」

 

【??】

【あれ、今なんか変な空耳が聞こえた?】

【なるほどね 完全に理解した】

【い、いや料理配信してるせいで言い間違えた可能性もあるから……(震え声)】

 

 と、私の知らないところでそんなやり取りがありながらも手順は進みーー

 

 

 

 

「か、カタリナお姉ちゃんっ!?

 猫の手はどこにいっちゃったのっ!? 猫の手はっ!?」

 

「えっ、でもこんな小さいと猫の手だと支えられませんよ?」

 

「そ、そういう時はたまねぎを倒して……そう、そうだよっ」

 

【ひえっ】

【今一瞬俺の頭にスプラッタな光景が広がったぞ?】

【これ、俺たちだけだったら危なかったんじゃ……?】

 

 なんて些細なミスがあったりーー

 

 

 

 

「……暇です。私も雑談に混ぜてください。

 そろそろみなさんも私とのやり取りが恋しくなってきたと思うんですよね~」

 

「駄目、だよ。カタリナお姉ちゃんはフライバンに集中してて。

 それと勝手に火加減とか変えないでね、絶対だよ?」

 

「うー、分かりました」

 

【そんなガチトーンで言わんでも……】

【まあでも……うん。気持ちは分かる】

【完全に主従が逆転してる件についてww】

【ママ~】

【アネットママ、だと!?】

 

 心配性なアネットの監視を乗り越えてーー

 

 

 

 

「ーー生姜焼き、完成ですっ。

 いやあ流石は私。めちゃくちゃ美味しそうにできましたねっ。これにはリスナーのみんなもぐうの音も出ないんじゃないですかっ!?」

 

「わ、わあー……」

 

【よ、ようやく終わった……】

【生姜焼き単品で1時間近くかかるってマ?】

【あれ、おかしいな

 何で俺、休憩していたはずなのにこんなに疲れてるんだろ……?】

【↑それが恋ってもんよ】

【そんな恋はイヤだ……】

【アネットちゃんの死んだ目を見ろ 俺たちはみんな同士さ】

【うう。みんな、生きてて良かったっ!】

 

 沸き立つような高揚感と共にアネットの方を見れば、そこに並ぶのは死屍累々と言った体のコメントの数々。

 

 ……あれ、そんなにひどかったかな?

 私にしては珍しく一回も作り直しにならなかったんだけど……

 

「す、すごくおいしいよっ。流石はカタリナお姉ちゃんだねっ」

 

【よかったよかった】

【アネットちゃん、俺たち頑張ったよ】

【うう、目から汗が……】

【やっぱり本人の幸せが一番なんやなって】

 

 何も言わずにいきなりパクリと口に運び、泣きながら微笑むアネット。

 

 ??? そんなにお腹がすいてたのかな?

 まあでも、それくらいおいしかったってことだよね。それなら良かった。

 

「この調子で早速二品目をーー」

 

「それは駄目っ!!!」

 

「アッ、はい」

 

 

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