【完結】異世界TS少女はVtuberになってスローライフを配信したい   作:水品 奏多

9 / 37
第九話 雑談配信と来訪者

 タニア達が帰った日の昼下がり。

 昼食を食べ終えた私は、自分の部屋で配信を始めようとしていた。今回のタイトルは「【大切なお知らせ】皆さんに相談したいことがあります」。

 配信開始のボタンを押した後、出来るだけ真剣っぽく見えるように両肘を机に付け、口の前で腕を組む。

 

【こんにちわー】

【ちわーす】

【これまた典型的な釣りタイトルやなあw】

【まて、カタリナちゃんはゲンドウポーズを見ろ……】

【これは、、お腹減ったとか考えてる顔ですね 間違いない】

 

 パラパラと流れていくのは真面目とは程遠いコメントたち。

 

 な、何か私のイメージがおバカキャラで固定されてる気がする……。昨日の百人一首で負けたのが痛かったなあ。

 とまあそれはともかく。

 

「皆さん、こんにちは。

 本日お集まりいただいたのは、タイトルの通りリスナーの皆さんに相談したいことがあるからです。とても大切な相談ですので、心して聞いてくださいね」

 

【りょーかい】

【ワクワク】

【ドキドキ】

 

「議題はそうーーお母さんへの誕生日プレゼントをどうするか、です。

 来月に迫ったお母さんの誕生日。皆さんには私と一緒に何を贈るか考えてほしいですよ」

 

【はい、終了! 解散~】

【しょーもねえww】

【お前らちゃんと聞いてやれよw 微笑ましいお願いじゃん】

 

「本当ですよね、そんなんだから彼女の一人もいないんですよ? 

 あ、それと××さん、昨日の配信も見ていただいてありがとうございます」

 

【は?】

【やめろ。その術は彼女いない歴=年齢の俺に効く】

【てめーはおれを怒らせた】

【ってか、リスナーの名前とかちゃんと覚えているんやね】

 

「覚えてますよ。空いた時間なんかによく配信を見直していますからね。どこが皆さんの受けが良かったとかは重要ですし」

 

 それにSNSでの交流ができない以上、こうして見に来てくれる人とのつながりは大切にしていきたかった。

 まあ予想以上の反響で、全てを見切れていないのが本音なんだけどね。

 上の方だと同接が5桁を越えるのザラらしいし、本当にVTuberってすごいなあ。

 

【はえー、意外と真面目なんだな】

【カタリナちゃん俺のこと覚えてる~?】

【俺は初回から見てる古参勢や】

 

 私の言葉に一気に加速するコメント欄。

 ちらほらと流れる見覚えのある名前に反応したい気持ちになるもーーぐっと我慢。多分、こういう身内ノリはほどほどにした方がいいんだよね。依怙贔屓にも担がりかねないし。

 

「えと、ごめんなさい。時間が足りなくて、全部拾いあげるのは難しいです。

 たたこんな個人勢?の私を見に来てくださっている時点で、皆さんには本当に感謝しています」

 

【まあそれはそう】

【悪い、俺らも大人げなかったよな】

【真面目モードのカタリナちゃんもいいなあ(ボソッ】

【これが今回の本題かあ……】

 

「あ、いえいえ。話を戻しましょうか。

 皆さんは自分の母親の誕生に何を贈っていますか? もう贈っていない人は過去の話でも可です」

 

【く、先手を打たれたw】

【俺はいつも花を買ってるなあ】

【コンビニで売ってるお菓子とか】

【俺は掃除機を買ってやったで 勿論親の金で】

【↑ニートがあげられる最高のプレゼントは仕事することだぞ?】

 

「うーむ、やっぱり物をあげるのが多い感じですね。

 ただお母さん、食べ物以外だと喜ばないんですよね。それ関連の面白いものは全部あげつくしてしまいましたし」

 

 昔から料理が好きで、変わった食材を見ると一層目を輝かせるお母さん。

 今までは魚屋さんとかに頼んで探してもらっていたけれど、今年は無理そうだとあらかじめ言われてしまっていた。

 

【面白い食べ物とは一体……(哲学)】

【前のジャガイモムシみたいなやつじゃない? 知らんけど】

【それなら手作りの何かは? 料理はーー駄目か。手編みのマフラーとか?】

【俺らのカタリナちゃんがそんなことできるとでも!?】

【正直、イメージが全然沸かないww】

 

「失礼ですね、私だってお母さんの手伝いでやったことくらいありますよっ。

 ……全部やり直しになりましたけど」

 

【だめじゃん】

【いつもの】

【「急募」カタリナちゃんのできる事】

 

 コメントに辛辣な言葉が並ぶ。

 たださっきのコメントに一つ刺さるものがあった。

 

「料理配信という形でコメントを見ながら作るのはアリかもしれませんね。

 あの回は結構評判良かったですし、最悪失敗しても皆さんのせいに出来ますから」

 

【最初から失敗前提かいw】

【俺ら責任重大じゃん】

 

 とこんな感じで、おぼろげな輪郭が見えてきたところで部屋の左奥ーー玄関の方が騒がしくなる。

 

【? 誰か来た?】

【大丈夫? 配信落とした方がいいんじゃない?】

 

「ちょ、ちょっとーー」

 

 お父さんたちの慌てる声。心配してくれるリスナーたち。

 それらに反応する前に襖がバシンと開き、小さな女の子が勢いよく入ってくる。額に真っ赤な二つの角をはやした彼女はーー

 

「マハタ様っ!?」

 

【鬼娘キターーー】

【ロリっ娘キターーー】

 

「町に行くぞっ、カタリナっ。

 地球の小童共に儂が育てた町をみせてやるのじゃっ」

 

 機嫌よく振られるモフモフとした尻尾。

 ナキア村の村長ーー鬼とキツネの化身であるマハタ様は意気揚々と私の手を取ったのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。