ウマ娘ハーメルンダービー   作:ダシマ

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You don't have to worry,worry,
守ってあげたい
あなたを苦しめる全てのことから…



第12話「守ってあげたい」

 

 

1. ドトウのお昼ご飯

 

「遂に購買部で人気のパンが買えましたぁ~」

 

 そう言ってはしゃぐ彼女の名前はメイショウドトウ。内気でとても後ろ向きな性格であるのだが、

 

「カーッ!!」

「ふぁあああああああ~~~~~~~~~~~!!!!」

 

 …とてつもない不幸体質の持ち主で、後ろから来たカラスにパンを取られてしまった。

 

「そ、そんなぁ~~~~~!!!!」

 

 またいつもの自分の不幸体質が出てしまった事を嘆くメイショウドトウだった。だが…。

 

 ドカーン!! という音がしてカラスが撃ち落されたのだ。勿論ドトウだけでなく他の関係者たちも何事かとカラスや音がした方向を見ていた。

 

 するとそこには、バズーカ砲を持ったゴールドシップの姿があった。

 

「腹立つよな。パンを横取りするカラスって」

「ふぇ、ふぇえええ…!?」

 

 ちなみにカラスは死んではいないが、大きな音と衝撃によって気絶していた。

 

「コラー!! 何をしてるんだゴールドシップー!!」

 

 今度は生徒会副会長のエアグルーヴがやってきて、ゴールドシップは彼女を見るなり、逃亡していった。

 

「待てと言っているだろう!! 待たんかー!!!」

 

 そして呆然とするメイショウドトウだったが、カラスが起きだしてパンは咥えずにそのまま逃げだした。

 

「え、えぇぇぇぇ…」

 

 今回はそんなメイショウドトウの不幸を何が何でもぶっ壊すお話です。

 

「ええええええええええええええええええええええええええ!!!?」

 

****

 

2. ドトウと海

 

 この日、ドトウはウララやライスたちと海に来ていた。

 

「雨が降らなくて本当に良かったですね~」

「そうだねー」

 

 ゼンノロブロイやヒシアケボノが喜んでいると、メイショウドトウが浮かない顔をしていて、隣にいた天智が話しかけた。

 

「…どうされました? ドトウさん」

「海は気を付けないといけません…」

「……」

 

 メイショウドトウがそう言うと、天智にも緊張感が走った。天智は特に不幸体質ではないが、考えが大抵後ろ向きで、それによってとんでもない行動を起こすことがあるのだ。ある意味一番危険な人物である。

 

「カニさんを怒らせて指を挟まれたり…」

 

 ドトウの発言にライスの表情が曇り、そして怯えていた。

 

「そうだよね。ライスも此間海に来たら指を挟まれた…」

「それから、浮き輪が海に流されたり…」

「ライスも流されたの。お母様が折角用意してくれたのに…」

 

 ライスとドトウの言葉によって、一気に空気が沈んでいた。

 

「もう! そういう事言うんじゃないわよ!!」

「そうですわ!」

 

 と、キングヘイローとカワカミプリンセスが思いっきりツッコミを入れたが、

 

「よくある事ですわ!!」

「ないわよ!!」

 

 カワカミプリンセスがどこかズレていて、キングがまたツッコミを入れた。

 

 そしてどうなったかというと、浮き輪が流されることもなく、カニに挟まれることもなかったのだが…。

 

「な、なんかジロジロ見られてる気がしますぅ~…」

 

 ドトウはトレセン学園で屈指の巨乳だった。正直高等部よりも勝っていて、そのデカさは男性陣を釘付けにするのには十分だった。それに加え一緒に来ていたヒシアケボノ、ゼンノロブロイ、カワカミプリンセスもそこそこでかかったので、一気に注目の的になった。

 

「こ、これはライスのせい…?」

「いえ、違うと思います…」

 

 ライスシャワーはまた自分のせいでこうなってしまったのかと泣きそうになっていたが、マンハッタンカフェが死んだような目でツッコミを入れていた。

 

 そして天智はというと、果たして自分は生きてトレセン学園に帰れるのかと思い、空を見ていた。

 

(まあ、嫌われたら嫌われたで、後は死ぬだけの人生だからな…)

 

 この後、この心の声が皆にバレて泣かれたのは言うまでもなかった。

 

 

3. ドトウとお花見

 

 この日、ドトウはウララやライスたちとお花見に行く約束をしていた。だが、雨だった。

 

「あ、雨…」

 

 ドトウは自分の不幸体質によってこうなってしまったのだと、申し訳なさそうに俯いていた。だが…。

 

「や、やっぱりライスのせいだよね。ライスがいたから…」

 

 隣にいたライスシャワーはもっと落ち込んでいた。彼女もまた不幸体質なのか、運がないのかなかなか思い通りに行かない体質なのである。

 

「雨が降りましたか…」

 

 天智がやってくると、ライスが天智に頭を下げた。

 

「ご、ごめんなさいお兄様! やっぱりライスがいたから雨が降っちゃったの!」

 

 ライスの言葉にドトウも思わず前に出た。

 

「い、いえ。私がグズでのろまだから…すみませんです…すみませんです…」

 

 ライスとドトウが謝ると、ロブロイやアケボノたちは何も言えなくなるが、ウララは諦めていなかった。

 

「また来週行けばいいよ!」

「ウ、ウララちゃん。来週はレースが…」

「あ、そっか…」

 

 ウララの提案に対し、ライスが申し訳なさそうに否定するとウララもまたどうするべきか考えていた。

 

「ねえトレーナー。雨でもお花見できる場所ってないかな?」

「ウララさん。そんな都合の良い場所がある訳が…」

 

 ウララの言葉にキングが呆れたようにツッコミを入れるが、天智は真顔だった。

 

「ありますよ」

「えっ!!?」

 

 天智の言葉にライスたちは驚き、ウララは喜んでいた。

 

「ホント!? どこどこ!?」

「こんな事もあろうかと、雨でも出来るお花見の場所を増田トレーナーから聞いていて良かったです。ついてきてください」

 

 そう言って天智はウマ娘達をとある場所に連れて行った。そこはトレセン学園内の木造のおしゃれなレストランだった。

 

「理事長先生達が雨の時に使われていて、増田トレーナーに使用許可は既に貰ってあります。もし皆さんが良ければ、ここでお花見をしましょう」

「わーい!!」

 

 天智のファインプレーに皆が大喜びをしていたが、ドトウとライスは驚きを隠せなかった。そして天智はそんな2人を見つめる。

 

「ドトウさん、ライスさん。人の事は言えませんがあまり自分を責める事はありませんよ」

「!」

「一人がつまずけば皆で支える。そういうものだと思います」

 

 天智の言葉にライスとドトウの両目から涙があふれ出ていた。

 

「うん…! うん…! ありがとうお兄様…!」

「ありがとうございますぅ…!」

 

 2人の涙を見て他のメンバーも安心したように笑みを浮かべた。

 

「あのね! 雨でも良い事ばっかりなんだよ! 今みたいにちゃんとお花見も出来るし、雨の中でも走るの楽しいんだよ!」

 

 ウララはいつも通り明るく話しかけてきて、ライスとドトウが笑みを浮かべた。

 

 こうして暖かい空気の中、お花見が行われることとなったが…。

 

***

 

「はあ!!? あいつウマ娘と彼女侍らせて花見してるぞ!!」

「オレ達を差し置いて!!」

「邪魔してやる!!」

「お、おい! 警備ロボットがこっち見てるぞ…」

 

 途中、天智達をやっかむ生徒達が邪魔をしようとしたが、何故か建物の前に設置されていた警備ロボットによって防がれていた。悪さをする生徒を捕まえるまで追い掛け回すという都市伝説がある。

 

「……」

 

 そして天智は窓からその生徒達を見て困惑していたが…。

 

「気にする必要はないわよ。やっぱり二流はやる事が間抜けね」

「ですわね」

 

 キングヘイローとカワカミプリンセスが冷たく切り捨てると、ドトウとライスが寄り添った。

 

「お、お兄様…。ライスもついてるからね…」

「私も…戦力にならないかもしれないですが…」

「ライスさん…ドトウさん…」

 

 寄り添うドトウとライスを見て琴美が笑みを浮かべた。そんな琴美に気づいたドトウとライスは青ざめた。

 

「…あっ!! そうでしたぁ!」

「ごめんなさいお姉さま!!」

「あ、気にしないでください…」

 

 謝罪するドトウとライスに苦笑いする琴美だったが、外が明るくなったので空を見ると、雲が晴れてきて青空が見えた。

 

「晴れた…!」

 

 琴美に続いて他のメンバーも空を見上げると、ウララがあるものに気づいた。

 

「あー!! 虹!!」

「ホントだー!!」

 

 ウララの言葉にアケボノも叫ぶと、皆が目を輝かせた。

 

「ライスさん。ドトウさん」

「な、なに?」

「どうしたんですか…?」

「雨が降ったのはお2人のせいだって仰ってましたが…。この虹を見せる為に振らせてくれたんですね」

 

 天智がそう言うと、ライスとドトウが酷く慌てていた。

 

「ち、違うよぉ!」

「虹は本当に偶然で…」

「謙遜することはないわよ」

 

 そんな2人を見て他のメンバーは苦笑いし、キングもわざとからかう。

 

「ありがとうございます。ドトウさん、ライスさん」

「ありがとー!!」

 

 皆がライスとドトウにお礼を言うと、2人とも恥ずかしそうに縮こまるのだった。

 

 

おしまい

 

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