「恋人にしたいタイプぅ!?」
それはある日のトレセン学園。ギャルのウマ娘達が集まっていた。その中でもとにかく明るいウマ娘・ダイタクヘリオスがテンションが高そうに叫んだ。
「え? なになに!? シチーの恋バナ!?」
「いえ、仕事の話です。雑誌のアンケートで…」
ダイタクヘリオスが話しかけているウマ娘の名前はゴールドシチー。金髪でロングヘアーのウマ娘なのだが、容姿は整っていてその容姿を活かしてモデルもしており、モデルとしての彼女はとても人気が高いのだが、本人としてはいつかアスリートとしても名を上げる事を目指している。性格はクールだが、熱いものを持っている。
そしてそんな彼女は1個上の先輩であるダイタクヘリオスや仲良しのトーセンジョーダンと喋っていた。
「けど、何も思いつかないんですよ。2人ならどう考えるかなと思って聞いてみたんです」
「なる~」
シチーの話にジョーダンが理解した。
「けど、それって定番じゃね? てっきり答えなれてるもんだと思ってたし」
「今までは適当に流してたんだけど、最近となってはガチで参考にしてる子もいるから、そろそろ真面目に答えないといけないかなって」
「…真面目じゃね?」
ゴールドシチーはギャル気質な性格ではあったが、モデルの仕事は真面目にこなす律儀な一面もあり、ジョーダンに至ってはそこもシチーらしさを感じていたが、本心では適当に流しても良いんじゃないかと考えていた。
だが、親友が真剣に悩んでいるという事もあるので、ジョーダンも真面目に考えてみることにした。
「はいはーい! うちもうピカった!」
ジョーダンが考えていると、ヘリオスが明るい口調ですぐに考え付いた。
「アゲでウェイな神よいちょ丸ぴとしか勝たん!」
「それヘリオスじゃねーか。ナルシか~?」
ヘリオスのらしい答えにジョーダンが腹を抱えて笑った。ちなみに本作ではヘリオスはジョーダンとシチーの1個上の先輩という設定である。
「ウチ自分アゲだし~☆ てか、別にウチっぽさいらんくて! 陰も陽も関係ナシ! 2人で無敵になれたらもうラブっしょ! てかウチ全人類好きピかも~☆」
「流石っつーか、格が違う…」
本当にヘリオスらしい答えにシチーも思わず苦笑いした。明るすぎる所はあるものの、誰にでも分け隔て内優しさを持てるのはヘリオスの良い所である。
「…まあ、参考にはなんねーかな」
**
「あたしの好きなタイプさ~。かっけくて~ちょっとオラ系かな~」
ジョーダンの発言にシチーが驚いていた。
「マジ? 上から来られるとムカつかね?」
「いやー。ガチでオラオラは無理だよ? 急に蹴ってくるとかヤバいのはヤダし。でもそういうヒトって、ちょっとセンサイだったりするじゃん? けど、かっこよくいようとするのがさ…なんていうか、キュン! 的な?」
そう言うとジョーダンはしおらしくなるが、シチーはジョーダンの考えに関心を示していた。
「…皆意外と考えてんだな」
「いや、こんなのノリでもあるから。サクッとでいいから考えてみ?」
「うーん…」
ジョーダンに言われてシチーが考えると、一人の男が思い浮かんだ。
(いや…あいつは違うな…)
シチーがそんな事を考えていた時だった。
「ねえ、あれやばくない…?」
「先生を呼んだほうが…」
という女子生徒の声がしたので、シチーたちはその女子生徒達の方を見た。窓から外を見てたがとても心配そうに見ていた。
「どったん?」
シチーとジョーダンが気づいたころにはヘリオスがその女子生徒達に話しかけていた。女子生徒達はヘリオスを見て少し驚いていたが、事情を説明する事にした。
「外で喧嘩をしてるみたいで…」
「えっ?」
女子生徒に言われてヘリオスが外を見ると、シチーとジョーダンも窓から喧嘩の様子を見ていた。大柄で褐色肌の男子生徒が3人の男子生徒に絡まれていたが、絡まれている生徒は動じず、ふてぶてしい態度を取っていた。
「テツマ!!」
「シチー!! 待って!!」
シチーがそう叫ぶと急いでその場を後にすると、ジョーダンとヘリオスが後を追いかける。
****
「てめえ! ふざけんなよ!!」
「……」
男子生徒3人から怒鳴られるが、褐色肌の男子生徒・縹テツマは動じず欠伸をしていた。
「聞いてんのか!!」
「あー…聞いてるよ」
テツマはそう言って男子生徒達を見つめたが、特に動じることはなかった。
「テツマ!!」
シチー、ジョーダン、ヘリオスがテツマ達の所にやってくると、テツマはゆっくりした動きでシチーたちを見た。
「話をしてたら本人のお出ましか」
「は?」
「え、いや。マジでどうしたん?」
ジョーダンがそう聞くとテツマが一息ついた。
「オレがお前らとつるんでるから、エロい事でもしたんじゃないかってよ」
テツマがそう言い放つと空気が止まり、ジョーダンとシチーは呆れながらも納得した。ヘリオスはそれを聞いて驚くと、
「で、実際にエロい事したん?」
「させてくれると思うか?」
ヘリオスの問いにテツマがそう答えると、シチーは呆れたように男子生徒達を見た。
「え、まさかそんな事を聞くためにこいつにいちゃもんつけてたん?」
「そうだけど?」
シチーの問いに男子生徒がそう答えると、シチーは眉間に指をあてて理解に苦しんでいた。
「オレ達だってこんな事したくねーよ!!」
「どうしてこいつばっかり実力のあるウマ娘が寄ってくるんだ!!」
男子生徒達はトレーナー科の生徒で、将来はエリートトレーナーとなってウマ娘をトップウマ娘に育成する事を夢見ていた…のだが、トレーナー科に在籍する生徒は無駄にエリート意識が高い無能も結構いた。
当然この頃から実力のあるウマ娘達の事は目をつけていて、トレーナー契約は出来ずともコネクションを作っておきたいと考えていた。だが、この縹テツマという男のせいでウマ娘達の関心が彼の方に向かっていた。
そんな男子生徒達を見つめるなり、テツマはまた一息ついた。
テツマ「もうこれで何度目だ?」
「ああ!?」
テツマのつぶやきに男子生徒達が更に激昂した。
「弱ェ奴って本当に他人のせいにするんだな」
「何だと!?」
「オレに寄ってくるかはどうかは置いといて、こいつらにも選ぶ権利はあるからな。トレーナーの独りよがりじゃ上手く行かねぇって事はオレでも分かるよ」
「うるさい!!」
「ああ言えばこう言いやがって!」
「大体、先輩を先輩と思わないその態度も前からムカついてんだよ!!」
「ムカついてるから、こうやっていちゃもんをついても良いと?」
男子生徒達の言いがかりを一言で一蹴するテツマに沈黙が起きた。
「そんな自分勝手な奴に誰がついていくかよ。そんなにウマ娘とヤりてぇなら目の前に本人がいるから交渉してみな。あばよ」
そう言ってテツマが去っていくと、
「本当に何なんだアイツ!!」
「どうして理事長はあいつをこの学園に…」
「シチー! ジョーダン! ヘリオス! もうあいつに関わるな!!」
男子生徒達は正義感を振りかざしてシチーたちに注意をしたが、シチーとジョーダンはゴミを見る目で男子生徒達を見ていた。ヘリオスは少し気まずそうに視線をそらした。
「アタシとしてはアンタ達と関わりたくないんだけど」
「同感」
「いやー…ウチもイジワルするオキラはちょっと…」
「ヘリオス。他の皆にも知らせようよ」
「りょ」
「ちょ、ちょっと待ってぇええええええええええ!!!」
ヘリオスがギャル仲間にこの事を伝えようとすると、男子生徒達は泣きながら止めに入った。そしてシチーはテツマが去っていた方角を見た。
***
後日、
「で、結局インタビューどうなったん?」
再びヘリオス、シチー、ジョーダンが集まっていてジョーダンがシチーに話しかけた。
「ああ。ちゃんと答えたよ」
「なんて?」
ヘリオスの問いにシチーはこう答えた。
「アタシより強い人」
「え?」
シチーの問いにヘリオスとジョーダンがきょとんとするが、シチーは苦笑いして続ける。
「フィジカルでもメンタルでも強くなきゃアタシに勝てなきゃ話になんねーって言っといたわ」
その問いにヘリオスとジョーダンは顔を合わせたが、すぐに笑みを浮かべてシチーの方を見た。
「それなー!!」
「ていうかシチーらしくてウケる~!!」
と、そのまま笑いあった。
「あ、そうだ。ハラ減ったし購買行こ~」
「うえ~~~~~い!!!」
今日もトレセン学園は平和です。
購買部付近
「テツマくん! 一緒にお昼食べよー!!」
「……」
テツマは購買部付近を歩いていたが、ウイニングチケットに捕まっていた。
おしまい