ウマ娘ハーメルンダービー   作:ダシマ

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第8話「それぞれの格言」

 

 それはある日の事。トレセン学園のとある教室では勉強会が行われていた。

 

「はぁーあ。座学なんてマジでだりぃよ。レースで勝てりゃそれでいいじゃねぇか」

 

 勉強嫌いのウオッカは乗り気ではなく、文句たれていた。それを見てメジロマックイーンは困った顔をしていた。

 

「真剣にやりなさい。これも私達の義務の一つですわ」

「ていうかこの勉強会、あんたの為にやってるようなもんだから、こうして見てやってるだけ有難いと思いなさいよね」

 

 メジロマックイーンに続き、ダイワスカーレットも若干不機嫌そうに言い放つと、ウオッカはまたばつが悪そうにしていた。そこには飛鳥の姿もあった。

 

「ウオッカ」

「な、何だよ…」

「ビビってんのか?」

「は、はぁ!?」

 

 飛鳥の言葉にウオッカが反応すると、スカーレットとマックイーンも流石に驚いていた。

 

「ビビってんのか?」

「ビ、ビビってねーよ! ただ勉強が…はっ!」

 

 飛鳥の言葉にウオッカが反論しようとしたが、ウオッカはある事に気づいた。

 

「そ、そうか…。いくら苦手だからってやろうとしないのはダサすぎる…」

「ダサいとまでは行かないけど、レースで勝ちたいなら苦手な事もやっていかなきゃ。トップのウマ娘はそれを乗り越えて行ってるんだから。ウマ娘は度胸と愛嬌だよ」

 

 飛鳥がそう言うと、ウオッカだけでなくマックイーン達も飛鳥を見た。

 

「分かるよ。オレ人間だからね。お前にウマ娘の何が分かるんだって話だ。でも言ってる事は間違ってるか?」

「間違っておりませんけど…」

「どうして度胸と愛嬌の二つなのよ。男は度胸、女は愛嬌じゃないの?」

「諺はそうだけど、レースで勝つには物おじしない『度胸』がいるし、ライブで皆に楽しんでもらうためには、皆から愛されるような『愛嬌』のあるウマ娘でなきゃ」

 

 ダイワスカーレットの問いに飛鳥がそう答えると、皆ある程度納得した。

 

「まあ、話はここまでだ。勉強会やるぞ!」

「ターボもやるー!!」

「!?」

 

****

 

 そんなこんなで勉強会が始まり、ウオッカは苦悶な表情を浮かべながら設問を読み上げる。

 

「なになに…以下の空白を適切な言葉で埋めなさい。今日できる事は〇○○○○…」

 

 ウオッカがそう読み上げたが、眉をひそめた。

 

「こんなの分かるかよ。パス」

「何言ってんのよアンタ。こんなの簡単じゃない」

 

 ウオッカがすぐに音を上げるとダイワスカーレットが呆れたように突っ込んだ。

 

「今日できる事は明日に延ばすな。でしょうが」

「ハー…。やっぱり優等生様は答えが普通だな」

 

 ウオッカの発言にスカーレットは殴ってやろうかと思ったが、皆がいるし本当に殴るとターボが騒ぐので抑えた。

 

「普通で良いんだよ普通で」

 

 飛鳥も呆れてウオッカにツッコミを入れたが、納得してない様子で考えていた。

 

「まあ、そういう事だったらオレの答えはこうだな。今日できる事は興味ねえ。っと…」

「意味が分からないわよ!!」

「ていうかそれってダジャレ?」

 

 ウオッカの珍回答にスカーレットが突っ込んだが、飛鳥のツッコミにウオッカが顔を真っ赤にすると、スカーレットが噴出した。

 

「ちげぇえええええ!!」

「あんた…見直したわ…wwwww」

「こんなに楽しそうに笑ってるスカーレットを見たのは初めてかもしれない…」

 

 と、話題がどんどんズレていった。

 

「ちょっとちょっと! そうじゃないよ!」

 

 トウカイテイオーが間に挟まってきた。

 

「どうしたテイオー」

「明日に伸ばさないとか、興味ないとかじゃなくて、もっと大事な事があるでしょ?」

「ほう。聞かせて貰おうじゃないか」

 

 テイオーが自信満々に言うと、飛鳥が回答するように促した。

 

「今日できる事は…楽しむ!」

 

 と、いかにもテイオーらしい回答に飛鳥は苦笑いしていた。

 

「まあ、テイオーらしいといえばテイオーらしいね」

「そうそう。で、僕たちは日々夢を叶えるために走ってるわけだけど、結果ばかりを追い求めて楽しむことを忘れそうになるんだよ。だからね…座学も気分が載らない時はそこそこにしよう!」

「うん。本当にテイオーらしいわ」

「前半は良い感じでしたのに…」

「ウオッカの話聞いてた?」

 

 テイオーの発言に飛鳥、マックイーン、スカーレットが順番にツッコミを入れたが、3人とも呆れた目でテイオーを見ていた。

 

「それを言うならマックイーンや飛鳥はどう書くの!?」

「私の答えはこうですわ。今日できる事は昨日済ませてある」

「さ、流石ね…」

 

 マックイーンの優等生過ぎる回答にスカーレットも驚きを隠せなかった。

 

「飛鳥は?」

「そうだな…今日できる事は…」

 

 テイオーが飛鳥に話を振ると、飛鳥は回答しようとしたがターボが割り込んできた。

 

「はいはい! ターボは今日できる事は…今日やる!!」

 

 ターボの言葉に皆が面食らうと、飛鳥が困惑していた。

 

「オレも似たような感じだね。すぐやる」

 

 そんな中、一人の男性がやってきた。

 

「増田トレーナー」

「皆さんお揃いで。勉強会ですか?」

「ええ…」

 

 増田の問いに飛鳥が反応すると、

 

「ねーねー! トレーナー! ターボたち今今日できる事はについて話し合ってたんだ! 誰が一番良い答えだと思う!?」

「今日できる事?」

 

 飛鳥が事情を説明し、ウマ娘達にもう一度発表して貰い、それを聞いたうえで増田は考えた。

 

「ターボさんですね」

「やったやったー!!」

「ええええええええ!!」

 

 増田の回答にターボが喜び、他のウマ娘が驚いて、飛鳥が苦笑いした。

 

「ど、どうしてターボなんですか!?」

「やっぱりシンプル・イズ・ベストって奴か…」

「い、いえ。勢いと達筆だからではないでしょうか?」

「勢いなら僕だって負けてない…」

 

 ウマ娘達の会話を聞いて、増田が一息ついた。

 

「皆さんの回答も個性が出て良かったですが、ターボさんの解答が一番設問が求めている回答になっていますね」

 

 増田の問いにウマ娘達は驚いていた。

 

「やったやったー! ターボが一番だー!!」

 

 ターボが大喜びすると、一番という単語を聞いてスカーレットが反応した。

 

「テイオーにも勝って一番だー!!」

「はいはい。分かったから落ち着いて」

 

 はしゃぐテイオーを飛鳥が宥めようとすると、テイオーとスカーレットにスイッチが入った。

 

「ふ、ふん! まだ一問目よ! 二問目はそうはいかないんだから!」

「ウオッカ! 次の問題読んで!」

「ま、まだやるのかよ~!!」

「一問しかやってないでしょう!」

「次もターボが一番になるもんね!」

 

 と、ウマ娘達の勉強会はまだまだ続くのだったが、ウマ娘達のやる気の出し方に飛鳥は呆れるのだった。

 

「いいじゃないですか。仕事も勉強もやる気は不可欠ですから」

「増田トレーナー…」

 

おしまい

 




キャスト

一丈字 飛鳥

トウカイテイオー
メジロマックイーン
ウオッカ
ダイワスカーレット

ツインターボ

増田
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