それはある日の事。トレセン学園のとある教室では勉強会が行われていた。
「はぁーあ。座学なんてマジでだりぃよ。レースで勝てりゃそれでいいじゃねぇか」
勉強嫌いのウオッカは乗り気ではなく、文句たれていた。それを見てメジロマックイーンは困った顔をしていた。
「真剣にやりなさい。これも私達の義務の一つですわ」
「ていうかこの勉強会、あんたの為にやってるようなもんだから、こうして見てやってるだけ有難いと思いなさいよね」
メジロマックイーンに続き、ダイワスカーレットも若干不機嫌そうに言い放つと、ウオッカはまたばつが悪そうにしていた。そこには飛鳥の姿もあった。
「ウオッカ」
「な、何だよ…」
「ビビってんのか?」
「は、はぁ!?」
飛鳥の言葉にウオッカが反応すると、スカーレットとマックイーンも流石に驚いていた。
「ビビってんのか?」
「ビ、ビビってねーよ! ただ勉強が…はっ!」
飛鳥の言葉にウオッカが反論しようとしたが、ウオッカはある事に気づいた。
「そ、そうか…。いくら苦手だからってやろうとしないのはダサすぎる…」
「ダサいとまでは行かないけど、レースで勝ちたいなら苦手な事もやっていかなきゃ。トップのウマ娘はそれを乗り越えて行ってるんだから。ウマ娘は度胸と愛嬌だよ」
飛鳥がそう言うと、ウオッカだけでなくマックイーン達も飛鳥を見た。
「分かるよ。オレ人間だからね。お前にウマ娘の何が分かるんだって話だ。でも言ってる事は間違ってるか?」
「間違っておりませんけど…」
「どうして度胸と愛嬌の二つなのよ。男は度胸、女は愛嬌じゃないの?」
「諺はそうだけど、レースで勝つには物おじしない『度胸』がいるし、ライブで皆に楽しんでもらうためには、皆から愛されるような『愛嬌』のあるウマ娘でなきゃ」
ダイワスカーレットの問いに飛鳥がそう答えると、皆ある程度納得した。
「まあ、話はここまでだ。勉強会やるぞ!」
「ターボもやるー!!」
「!?」
****
そんなこんなで勉強会が始まり、ウオッカは苦悶な表情を浮かべながら設問を読み上げる。
「なになに…以下の空白を適切な言葉で埋めなさい。今日できる事は〇○○○○…」
ウオッカがそう読み上げたが、眉をひそめた。
「こんなの分かるかよ。パス」
「何言ってんのよアンタ。こんなの簡単じゃない」
ウオッカがすぐに音を上げるとダイワスカーレットが呆れたように突っ込んだ。
「今日できる事は明日に延ばすな。でしょうが」
「ハー…。やっぱり優等生様は答えが普通だな」
ウオッカの発言にスカーレットは殴ってやろうかと思ったが、皆がいるし本当に殴るとターボが騒ぐので抑えた。
「普通で良いんだよ普通で」
飛鳥も呆れてウオッカにツッコミを入れたが、納得してない様子で考えていた。
「まあ、そういう事だったらオレの答えはこうだな。今日できる事は興味ねえ。っと…」
「意味が分からないわよ!!」
「ていうかそれってダジャレ?」
ウオッカの珍回答にスカーレットが突っ込んだが、飛鳥のツッコミにウオッカが顔を真っ赤にすると、スカーレットが噴出した。
「ちげぇえええええ!!」
「あんた…見直したわ…wwwww」
「こんなに楽しそうに笑ってるスカーレットを見たのは初めてかもしれない…」
と、話題がどんどんズレていった。
「ちょっとちょっと! そうじゃないよ!」
トウカイテイオーが間に挟まってきた。
「どうしたテイオー」
「明日に伸ばさないとか、興味ないとかじゃなくて、もっと大事な事があるでしょ?」
「ほう。聞かせて貰おうじゃないか」
テイオーが自信満々に言うと、飛鳥が回答するように促した。
「今日できる事は…楽しむ!」
と、いかにもテイオーらしい回答に飛鳥は苦笑いしていた。
「まあ、テイオーらしいといえばテイオーらしいね」
「そうそう。で、僕たちは日々夢を叶えるために走ってるわけだけど、結果ばかりを追い求めて楽しむことを忘れそうになるんだよ。だからね…座学も気分が載らない時はそこそこにしよう!」
「うん。本当にテイオーらしいわ」
「前半は良い感じでしたのに…」
「ウオッカの話聞いてた?」
テイオーの発言に飛鳥、マックイーン、スカーレットが順番にツッコミを入れたが、3人とも呆れた目でテイオーを見ていた。
「それを言うならマックイーンや飛鳥はどう書くの!?」
「私の答えはこうですわ。今日できる事は昨日済ませてある」
「さ、流石ね…」
マックイーンの優等生過ぎる回答にスカーレットも驚きを隠せなかった。
「飛鳥は?」
「そうだな…今日できる事は…」
テイオーが飛鳥に話を振ると、飛鳥は回答しようとしたがターボが割り込んできた。
「はいはい! ターボは今日できる事は…今日やる!!」
ターボの言葉に皆が面食らうと、飛鳥が困惑していた。
「オレも似たような感じだね。すぐやる」
そんな中、一人の男性がやってきた。
「増田トレーナー」
「皆さんお揃いで。勉強会ですか?」
「ええ…」
増田の問いに飛鳥が反応すると、
「ねーねー! トレーナー! ターボたち今今日できる事はについて話し合ってたんだ! 誰が一番良い答えだと思う!?」
「今日できる事?」
飛鳥が事情を説明し、ウマ娘達にもう一度発表して貰い、それを聞いたうえで増田は考えた。
「ターボさんですね」
「やったやったー!!」
「ええええええええ!!」
増田の回答にターボが喜び、他のウマ娘が驚いて、飛鳥が苦笑いした。
「ど、どうしてターボなんですか!?」
「やっぱりシンプル・イズ・ベストって奴か…」
「い、いえ。勢いと達筆だからではないでしょうか?」
「勢いなら僕だって負けてない…」
ウマ娘達の会話を聞いて、増田が一息ついた。
「皆さんの回答も個性が出て良かったですが、ターボさんの解答が一番設問が求めている回答になっていますね」
増田の問いにウマ娘達は驚いていた。
「やったやったー! ターボが一番だー!!」
ターボが大喜びすると、一番という単語を聞いてスカーレットが反応した。
「テイオーにも勝って一番だー!!」
「はいはい。分かったから落ち着いて」
はしゃぐテイオーを飛鳥が宥めようとすると、テイオーとスカーレットにスイッチが入った。
「ふ、ふん! まだ一問目よ! 二問目はそうはいかないんだから!」
「ウオッカ! 次の問題読んで!」
「ま、まだやるのかよ~!!」
「一問しかやってないでしょう!」
「次もターボが一番になるもんね!」
と、ウマ娘達の勉強会はまだまだ続くのだったが、ウマ娘達のやる気の出し方に飛鳥は呆れるのだった。
「いいじゃないですか。仕事も勉強もやる気は不可欠ですから」
「増田トレーナー…」
おしまい
キャスト
一丈字 飛鳥
トウカイテイオー
メジロマックイーン
ウオッカ
ダイワスカーレット
ツインターボ
増田