「この能力を知ったものを操る」能力 作:こんぺいと
薄暗い部屋には、4人の人間が集まっていた。いつもなら6人でいたはずのその部屋には、あるべき活気すらなかった。
最初に会話を切り出したのは青髪の男。
「……おい、聞いたか?」
隣の男子生徒はそれにビクリと震えると、ゆっくりと口を開く。
「あぁ……クラブ長、昨日から音沙汰ないって……」
「……ねぇ、マズいんじゃない? 別にあんな噂本当だとは思ってないけど……ほら、ね?」
続いて口を開いたのは金髪の少女。隣の女生徒も、うんうんと激しく首を振っていた。
「確か二日前、クラブ長は『核心的な証拠を見つけた! 行ってくる!』とか言い残して消えた。そして、昨日から音沙汰なし……その日にいなくなったと考えるのが妥当」
「……そう、だよな」
4人の中に、『もう止めよう』という雰囲気が溢れ出した始めたときだった。
──扉が勢い良く開かれた。突然入ってきた新鮮な空気に、そして光。
「──皆! 見つけたよ!」
それと共に入ってきたのは、金髪を靡かせる1人の少女。その手には黒い箱のようなものが握られていた。
「……トコ、あんた何持ってるのよそれ」
そしてその少女の到来は4人にとっては迷惑とすら言えた。諦めよう、という流れになったいたのだ。だが、恐らくこの少女は諦めようとはしないだろう。
「それはもう、クラブ長が遺した【メッセージ】だよ!」
面倒そうに4人が視線を交差させる。端的に言って、消えて欲しかった。もしこれで4人の身にもなにか起きたらたまったものではない。やがて、無言の意思疎通が終わる。
男子生徒の1人がゆっくりと立ち上がった。
「よし、分かった。原田さん、副クラブ長のアンタには申し訳ないが、俺達はここで抜けさせて貰う」
「……え?」
4人がうんうんと頷くのを前に、原田トコは目を丸くする。そして絶叫した。
「えーーー?! なんで! 皆! あれだよ! 今チャンスなんだよ!! あのいけ好かない生徒会長の秘密を暴くことの出来るさ!!」
そして、これだ。見た目に反してとんでもなく性格が悪い。
この少女の行動原理は、大体が『他者を貶めたい』というものに基づいていることはクラブの中では周知の事実だった。
「……いや、でも」
「……ねぇ?」
「マズい気がするんだよなぁ」
「……トコちゃんは止める気ないの?」
それを聞き、むむっとトコは頬を膨らませた。外見的には可愛らしいその動作に当初はメンバーも絆されたものだったが、今では全員が何も思わず殴り飛ばす事が出来る自信があった。性格が悪すぎる。
「ないですぅー! だってさ! これがなにかは分からないけど、あのクラブ長が遺した遺産なんだよ?! 絶対に会長の秘密に近付く
そして、『だから嫌なんだよ』、と男子生徒が言おうと立ち上がる。だがその言葉が放たれることはなかった。
その理由は至極単純なもの。なにせ──
「──原田トコくんだね。そして広報クラブのメンバーの方々も……全員集まっているみたいだね。手間が省けて助かったよ」
──トコの後ろに笑顔で立っている男の姿。それは、やけに見覚えのあるモノだったからだ。