「この能力を知ったものを操る」能力   作:こんぺいと

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思考

「さて、さてどうしようか。リレリア副会長」

 

 バルガは生徒会室でニコニコとしながら聞いていた。

 視線の先には、金色の女が一人。ティータイムを楽しんでいた彼女は、ギロリと鋭い視線をバルガに向けるとため息をついた。

 

「お好きになさればよろしいのでは? 我らが会長様ならどんな窮地も問題ないでしょう?」

 

「いやいや、そんなことはないよ、本当に。僕に出来ることなんか限られているからね

 だからこそ、僕が最も信頼する君に聞いているんだ──さて、どうしようか?」

 

 はあ、と深い深いため息が響く。そして、ドサリと紙の音がバルガの机からなった。

 

「……『原田トコ』。両親、能力、経歴まで調べ尽くしました。そして、その行動も」

 

「ありがとう、流石だリレリア副会長」

 

 いつの間にかパラパラとページを捲っていたバルガに対し、リレリアはこめかみを強く押さえる。そして、続けた。

 

「正直私は……納得できないことはないと思いました」

 

「なにがだい?」

 

 他に誰もいない生徒会室に穏やかな声が反響した。そして、ああ、これは機嫌は良くないな、と当たりをつけたリレリアは、それすら無視して話を続ける。

 

「原田トコの、行動です。もちろん彼女の行動その物は否定されて然るべきと私も思います。ですが、その心情やそこに至った経緯などは私も重なる部分がありました」

 

「そうかい」

 

 変わらず穏やかな声。だが、含まれた意味はひどく冷たい。

 

「クラブ長は仕方ないと思いましたが、彼女は違うでしょう。クラブ長は完全な興味と面白さ故でした。彼女は……。

 貴方の最終的な目的自体には共感します。貴方の異能がバレる訳にはいかないのも理解します。

 しかし、私にも譲りたくない部分はあります」

 

「そうかい」

 

 いつの間にか手は止まっていた。バルガは笑みを崩さない。

 それを真っ正面からリレリアは睨みつける。

 

「──仕事はやりました。私は『処分』に反対です。他の役員もそれに同意しています」 

 

「ほう、なるほどね」

 

 バルガが今度はつかれたようにため息をつく。書類を机に置き、ぼんやりと宙を見つめた。

 

「……別に、他の役員は関係ない。というより障害にならない。

 君が僕に反対する、というのが問題なんだ」

 

 そして数秒の沈黙。リレリアはカツカツと足音をたてて生徒会室の扉へ向かう。

 カチャリと手を掛けると、最後に一言。

 

「私は反対ですよ、会長様」

 

 そしてまた音が鳴り、生徒会室は沈黙に包まれたら。

 バルガはトントンと指で机を叩く。

 

「……副会長が反対、か。恐らくすぐにでも動くだろうね。

 僕の手駒で副会長を抑えきれるかというと……物理的には無理だね。彼女が本気になれば止められる者はないだろう」

 

 まるで誰かに聞かせるように、バルガは呟いた。

 

「そう、()()()()()、ね」




補足:バルガの異能の対象から逃れる方法が一つだけ存在する。そして、副会長は一年次に()()から外れたとなった。
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