私がユーノくんに想いを伝え、晴れて恋人同士になった少し後、観戦しに来ていたお父さんやお母さん達が病室にやってきた。
「シャマル先生から聞いたぞ、また入院しなきゃいけなくなったんだってな……」
「あ、あははは。耳がお早いようで……ごめんなさい」
「謝らなくてもいいのよなのは、なのはが考えて決めたのなら無理も無茶も私達は仕方ないと思う」
「だけど仕方ないと思うだけで、普通に心配も悲しみもする、家族だからな。それだけは忘れるなよ」
「お兄ちゃん……うん、絶対忘れないよ」
「ちなみにそこで関係ないって顔してるけど、ユーノもだよ!」
「え、僕?!」
「そりゃそうだよ、今回の無茶含め今までだって良く無茶してるって聞いてるんだから」
「い、いやでもソレは僕の勝手と言うかその……みゆきさんに態々心配してもらうほどの事じゃないと言いますか」
「はぁ、なーに言ってるんだかこのおたんこなす君は」
「へ?」
ユーノくんの苦し紛れの言い訳を聞くと、お姉ちゃんは呆れたようにため息をついた。
「ウチの可愛い妹と〝生きる〟ってんだから、無関係じゃないでしょ」
「あ」
「そうでなくてもお前と俺らの仲だ、心配くらいはさせてくれよ」
「恭也さん……はい、ありがとうございます」
そう言いながら涙をにじませるユーノくんの頭を、お兄ちゃんはよしよしと撫でた。
そんな中、お父さんはなにやら浮かない顔をしていた。
「…………」
「お父さん? どうしたの、そんな難しい顔して」
「ん? あぁいや悪い、なのは。ちょっとな」
「ちょっとなって、なに?」
「そうだよ父さん、そんな浮かない顔してたら俺達も心配になるぞ」
「いや、そのぉ……」
何かを言い渋るも、お兄ちゃんやお姉ちゃんにも突っ込まれて仕方なさそうにお父さんは話し始めた。
「なんだ、まだ小学生の娘が好きな男の子とガチの全力な殴り合いをして、あまつさえそんな最中に公開逆プロポーズをするという事態をどう飲み込もう悩んでる所なんだ」
「「「あぁ…………」」」
お父さんの言葉に私達は言葉が出ませんでした。
(よくよく考えたらあの時の私って、ものすごくやばい事をとんでもない場所で叫んでた! うぅ、フェイトちゃんやはやてちゃんとどういう顔で会えばいいんだろう)
自分がした事がうら若き乙女的に、どれだけ凄くてやばい事なのか再認識して顔の熱が急上昇した。
「なーにーアナタってば、ユーノ君の事認めないつもり? お前なんかに娘をやれるものかー! って」
「そういう訳じゃないよ桃子、ユーノ君の事はなのはの友人としても、それこそ一人の男としても信頼してる。それこそ、なのはを任せてもいいと思えるくらいには」
「じゃあ何が問題なんだ父さん?」
「うーん、強いて言うなら気持ちの問題というか、余りにも想定外な展開だったから気持ちが追いついてないだけだよ」
「なるほどねー、確かに私もあの時はびっくりしたよ。まさかなのはがユーノ君にそんな重ったい気持ちを寄せていたなんてね」
「重っ?!」
「いや、ぶっちゃけ重たいでしょ。楽しい時間も嬉しい時間も一緒に生きて欲しいはまぁ普通に良いとして、苦しい時も悲しい時もそして死ぬ時も一緒にってのは普通に重たいよ。ねぇユーノ君」
「そこで僕に話を振るのは余りにも酷ではありませんか?!」
そうだよみんな!? 私! ご本人が目の前にいるのですよ!?
「まぁ、聞いた時は何を言ってるんだって本気で思いましたけど」
「え?」
「くっ…………」
「はいそこお兄ちゃん笑わないで!」
「僕もなのはに対しては人の事いえないとは自覚してますし、そこらへんは言いっこなしかなって」
「肝座ってるねぇ〜」
「そうじゃなきゃこんな事態になりませんよ」
「それもそっか」
そう言いながらお姉ちゃんはユーノくんの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「…………」
「ふっ、そう目くじらたてなくてもみゆきにそんな気は無いだろうから安心しろ」
「え? あ、いや! そんなんじゃなくて!」
「そうかぁ? 俺にはとてもこわ〜い顔をしてるように見えたが?」
「うぐっいやね、ユーノくんって前は家で一緒に居たじゃん? ソレで私がお世話って体で一緒に暮らしててさ、だからその……」
「その?」
「頭を撫でるのは私の特権で居て欲しいなぁって」
「ほぅ?」
そう言うとお兄ちゃんは私の傍から離れ、そのままユーノくんに近づく。
「よしよし、俺も撫でてやろう」
「ああああー?!?」
「きょ、恭也さん?」
「ん? 俺に撫でられるのはイヤか?」
「いえ、とっても心地良いです。ただ周りは大人ばっかりの環境で育ったから……お兄ちゃんって感じの人にこうやってされるのに、少し憧れてたんです」
ユーノくんは安心したような、ふにゃっとした顔でお兄ちゃんのお腹に頭を預けた。
「………………」
「ん? なのは、どうしたの?」
「…………せに」
「え?」
「私にもそんな顔見せた事ない癖に!!!」
「えぇーッ?!」
「私にもそんな安心しきって、ふにゃふにゃな優しい顔見せた事ない無い癖に! なぁにお兄ちゃんに頭撫でられただけで見せてるの! 禁止! 今日から私以外にその顔見せるの禁止!」
「そんな無茶苦茶な?!」
「おいおい、彼氏をそんな束縛してたら先短いぞー?」
「その時は私もユーノくんの彼女に立候補しようかな〜」
「うぇ?!」
「ふーっ!」
「はいはい2人とも、妹達が可愛いからってからかい過ぎないでね」
「ユーノ君、なにかあれば何時でも言ってくれな。キミはもう家族で、俺の息子なんだから」
「は、はい!」
「お父さんが1番何言ってんの?!」