Bad Apple   作:Marshal. K

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Bait on the Hook #5

 Jan. 8th, 1943, Gura's Apartment, Upper East Side, NYC

 

「おはようございます、ミス・ワトソン」

「おはよう、ヴィック」

 

 翌日の朝。ビルのエントランスに降りると、玄関の前にはベル・デスクに電話した通り、私の39年式フォード・スタンダードが駐められていた。昨日使ったシボレーはぐらが今日、保安官事務所の押収車庫に返しに行くはずだ。

 ドアマンのヴィックに挨拶を返してキーを受け取ると、フォードの脇で待機していた駐車係(ヴァレー)にチップとして25セント銀貨(クォーター・ダラー)を渡した。

 

「ご苦労様。今朝はまた寒いわね」

「どうも。夜には二十度を切るそうですよ」

「雪が降ってもおかしくなさそうね」

 

 天気予報では、今月前半は降水無しらしいけれど、これだけ寒かったらみぞれくらい降ってもおかしくなさそうだ。

 寒いフォード――ガソリンが配給制になってから、大抵のヴァレーはエンジンを切って引き渡すようになった――に乗り込んでエンジンをかけると、ヴィックが制帽の庇に手を当てるのが見えた。

 

「行ってらっしゃいませ、マーム」

 

 いい気分だ。いかにも仕立てのいいお仕着せに、師団か艦隊を指揮できそうな金モール飾りのついたドアマンに見送られるのは。ぐらの高級アパートメントで暮らしていると、自分が目標にしているチューダー・シティの中流向けアパートメントがひどく霞んで見えてしまう。

 

 "帰っちゃうの?"

 

 鼻のテープも取れて目の周りの痣もひいた日の翌日、つまり三日に客間で帰り支度をしていると、それを見たぐらは悲しそうな声でそう言った。

 

「ズルいのよね、あいつ......」

 

 例えば、大好きな通いの乳母が帰宅する時の子供のような、あの悲しそうな瞳で見つめられたら、私はとても帰る気にはなれなかった。たとえ相手がほとんど歳の変わらない、この街でも一、二を争う狡猾さの悪徳警官だとわかっていても。

 どうしたものか頭を悩ませながら、私はクロノ・タワーに向かって緑のフォードを走らせた。

 

 

 

 

 

 パーク・アヴェニューからブロードウェイに移り、ロワー・マンハッタンに入ってすぐのことだった。

 

――ガシャーン!

 

「きゃっ!」

 

 12丁目との交差点が赤信号だったので停車すると、後続車が私のフォードに思いっきり追突したのだ。金属同士がこすれ合うガリガリいう音と、何かが割れるような音がした。

 

「ちょっと、もう!」

 

 ドアを蹴るように開けて車から降りると、フォードの後部に鼻先をつっこんでいるパッカードへと歩み寄った。そちらの運転席からも、背広姿の男が降りてくる。

 

「ちゃんと前見て運転してんの? 赤信号なんだから停まるに決まってるじゃない」

「そっちこそ前見てんのか? ブレーキかけるのが急過ぎだぞ」

「はあ!?」

 

 もうちょっと北の方の界隈なら、路上で突如勃発した言い合いを遠巻きに見物する人たちがいてもおかしくなかっただろう。でもここはロワー・マンハッタンだ。歩行者も自動車も、面倒事を避けるように通り過ぎて行く。

 パッカードの助手席からも背広姿の男が降りてきて、私はそっちに目をやった。

 

「大体、そっちがちゃんと車間距離を......あれ?」

 

 助手席から降りてきた男に見覚えがあって、私は彼をまじまじと見つめた。

 それは昨晩、ヒルデブランドの後を自宅まで尾けたあと、閉店間際のロスト・ヘブンに入って行った二人組の一人だった。

 

「......あ」

 

 私がそれに気づくのとほぼ同時に、大きな手が私の後頭部を押さえてパッカードのボンネットに叩き付けた。

 

「うぁっ! ちょっと、何をむぐっ」

 

 柔らかい布が口の中につっこまれて、私の抗議は中断させられた。

 もう一度頭をボンネットに叩き付けられた私が目を回している間に、男たち――もう一人の男も車を回って加勢に来たようだ――は手際よく私の手足を縛めると、私をかついでパッカードの後部座席に放り込んだ。

 後席ドアが閉まり、前のドアも次々と閉まる音がして、パッカードはタイヤをキュルキュル鳴らして慌ただしく発進した。

 

 

 

 

 

 突然だけど、直感あるいは虫の知らせってやつを、あなたは信じる?

 アタシは信じてる。なぜなら4年前のあの日、オールド・テンダーロインでたまたま見かけた街娼に声をかけてなかったら、アタシはまだ交通課あたりにいただろうし、レノックス・ヒルの高級アパートメント・ホテルになんか一生手が届かなかったと思う。

 だからアタシは38年式シボレー・マスターのエンジンをかけた後、ブルックリンの市保安官押収車庫に向かう代わりに、いやな予感に従ってアメの後からパーク・アヴェニューを下った。

 そしてブロードウェイと12丁目の交差点まで来た時、ちょうどアメがパッカード12型に放り込まれるところを目撃した。

 

「ああくそ、そういうこと......」

 

 咄嗟に車を降りようとドアハンドルに手を掛けたところで、アタシはクロニーの意図に気付いて呻くようにそう呟いた。

 アメリアは釣り餌(Bait)だったんだ。そしてこの場合、釣り針(Hook)はアタシだ。

 

「ふーっ......待っててアメ、ちゃんと助けてあげるから」

 

 腹立たしいけど、ここはクロニーの思惑通りに動いた方がいい。アタシはハンドルを握りなおして、逃走するパッカードの後を目立たないように尾けた。

 

 

 

 8:12 AM, Lower West Side, NYC

 

 ロワー・ウェストサイドの倉庫街、二十年くらい後にトライベッカと呼ばれるようになる地区のボロアパートに、男たちはパッカードを駐めた。借主不在の倉庫と、今にも崩落しそうなアパートメントが立ち並ぶこの界隈に、ピカピカのパッカードはあまりにも場違いだ。きっとアタシがあの建物から出る頃には、盗まれて無くなっているだろう。

 アタシは半街区(ブロック)ほど離れたところの路肩にシボレーを寄せて停めた。自分のクライスラーならともかく、このおんぼろシボレーは見向きもされないだろう。

 男たちはパッカードからアメを引っ張り出すと、抵抗するアメのお腹に一発ぶちこんでから担ぎ上げて、アパートメントの中に入って行った。

 アタシは十秒数えてからシボレーを降り、念のためにしっかりドアを施錠してから件のアパートメントに向かった。

 

「うわ、見れば見るほどおんぼろね、ここ......」

 

 前世紀に建てられたとしてもおかしくない古さだった。玄関ドアの錠は壊れていたし、ロビーの内扉にいたっては蝶番が外れて壁に立てかけられていた。

 集合ポストを見る限り、住人のほとんどは来るべき崩壊の時を予期して逃げ出してしまった後らしい。郵便物の溜まり具合からして、管理人はもう一年近くこの建物に来てないようだ。あるいは管理人室で死んでいるか。

 

「拉致監禁にはもってこいの場所ってわけだ」

 

 足音をさせないように、注意深く階段を登る。

 二階の廊下では公衆電話が壊されて、ばらばらになって床に散らばっていた。誰かが小銭目当てで叩き壊したらしい。

 埃っぽい廊下に残った最新の足跡は、三階のアパートメントの中に続いていた。

 

「ふーん、デッドボルト二つ、か」

 

 誰であれかつてこの部屋に住んでいた住人は、古めかしいレバータンブラーの仮締(ラッチ)錠だけじゃ心許なかったらしく、本締(デッドボルト)錠を二つ追加していた。玄関の様子を見る限り、その気持ちはわからないでもない。

 ただこのタイプのデッドボルト錠は、内側からも鍵を使わないと開け閉めできなかったはず。不法侵入者が鍵を持ってるとは思えない。

 アタシはコートの内ポケットから飛び出しナイフを取り出すと、ぱちっと刃を開いて、ドアとドア枠の間に差し込んでラッチを探った。

 

 

 

 

 

「よーし、それじゃあ質問だ、お嬢さん。あのヒルデブランドって税理士を尾けまわしてる理由はなんだ?」

 

 両手足を縛られて埃っぽい床に転がされた私は、その質問になんとも言えないデジャヴを感じていた。それに対する私の答えもまた、いつかしたようなものだ。

 

「浮気調査よ、奥さんからの依頼で」

「ほーん、そうかい。じゃ、昨晩俺たちをロスト・ヘブンまで尾けて来たのはなんでだ?」

 

 背筋に寒いものが走った。バレてたのか。

 

「......さあ? 何のことかわからないわ。私は昨晩、イリノイ州まで行ったりした覚えはないけれど?」

「面白いお嬢さんだ」

 

 男は内ポケットからアルミ製の何かを取り出した。手首のスナップですぱっと開く。折り畳みナイフだ。

 

「その態度がどれくらい保つか、試してみようか」

「や、やめて......」

 

 一番親しい友人がナイフ使いだったから、その凶器の恐ろしさはよくわかっていた。一瞬で命を奪うかと思えば、殺さず苦痛だけを与えて拷問することもできる。何をされるにしても、ろくなことじゃないのは容易に想像がついた。

 芋虫のように体を動かして、部屋の隅へ這って逃げようとする。といっても、その先に退路があるわけじゃない。私は簡単に追い詰められて、ナイフ男に組み敷かれてしまった。

 シャツの襟をつかまれ、ナイフの刃が前合わせを切り開くのとほぼ同時に、バチンと大きな音がアパートメントの入り口の方から響いた。

 

「な、なんだ!?」

 

 もう一人の男は狼狽えたようにそう叫んだけど、ナイフ男は素早く私を抱きかかえると、喉元にナイフを当てて部屋の入り口に向き直った。

 ナイフ男と同じで、私も音の正体がすぐに分かった。ラッチ錠をこじ開けた時の音だ。探偵稼業をしていると、割とよく耳にする。つまり、誰かがこの部屋に押し入ってきたのだ。

 ごく短い沈黙の後、青灰色のチェスターフィールド・コートにすっぽり覆われたような人影が姿を現した。それはどう考えても、親友の悪徳警官に他ならなかった。

 

「や、アメ。ひどい恰好じゃん」

 

 ぐらはいつもと変わらないニヤニヤ笑いを顔に浮かべていた。なんでかわからないけれど、その腹の立つ笑顔を見た途端、私はちょっと安心した気分になった。相変わらず喉許にはナイフが突きつけられているのに。

 

「誰かと思えば、ミス・オーロの飼い刑事(ポケット・ディテクティブ)か。こんな薄汚いところまでご足労どうも」

 

 ナイフ男が皮肉めかしてそう言うと、ぐらも同じような調子で返した。

 

「普通なら、こんなところに足を運んだりしないんだけどね。この靴なんか20ドルもしたんだよ? でも、あんたらが攫ったその探偵は、アタシの親友なんだ」

「その親友さんが、俺たちの後を尾けてたんだよ」

 

 ぐっと喉元に刃が食い込む。

 

「あんたは何か知らねえか?」

「知ってるよ。でも引き換えに、アタシも教えて欲しいことがあるんだけど」

「何だ?」

 

 ナイフ男の声は、人質をとっていることから来る優越感に溢れていたけれど、ぐらのほうも負けず劣らず余裕綽々といった風で訊いた。

 

「あんたらもヒルデブランドを尾けまわしてたのはわかってる。問題はその理由。ヒルデブランドをそっちに引っ張り込むスキを伺ってたからなのか、あるいは......ネズミの監視役をしてたのか」

「こいつ......!」

 

 男が気色ばむのと同時に、だぶだぶのコートの裾がばさっと跳ね上がった。きらきら光るものがしゅっと飛び出し、私の頭のすぐ横をかすめて男の喉に突き刺さった。

 

「ごぼっ」

 

 生暖かい液体が私の頭に吹きかかって、男は湿った音を立ててナイフと私を取り落とした。

 

「お礼に教えてあげるけど、探偵があんたたちを追っかけてたのはクロニーがそう命じたからだよ......聞いてないか」

 

 ぐらは青いスーツの下から大きなKA-BARナイフ――大抵の刑事が拳銃を保持している左腋下に、ぐらは野戦用ナイフを仕舞っていた――を取り出すと、こちらも投擲用ナイフが喉に刺さっているもう一人の男に歩み寄って、太腿の裏側にその刃を走らせながら私に訊いた。

 

「大丈夫、アメ? どこか怪我してない?」

「ええ......ええ、大丈夫」

 

 頭を振ると、赤い血潮が床に飛び散った。早く洗い流さないと、固まって髪の毛ごと切り取る羽目になる。

 ぐらはこっちにやってくると、ナイフ男の太腿にも同じ処置をして――血飛沫が20ドルの靴と200ドルのコートを濡らした――から、血塗れのKA-BARナイフで私の手足を縛っているロープを切った。

 

「やれやれ、アメには一人で帰ってもらって、アタシはここで後始末をするつもりだったんだけど。今のあんたを見る限り、それは無理そうだね」

「そうね。私もおっぱい丸出しで出歩く趣味はないわ」

 

 ナイフの刃はシャツだけじゃなくて、その下のシュミーズも引き裂いていた。つまり、今の私はおっぱい丸出し女だ。頭から血を被って、密かに誇りを抱ける程度には大きいおっぱいを丸出しにしてる女なんて、あまりにも目立ちすぎる。

 ぐらはけたけた笑って、立ち上がりながら言った。

 

「ここで待ってて。"信頼できる"人間を呼んで、そいつに後片付けを押し付けちゃうから」

 

 

 

 9:35 AM, Amelia's Apartment, Greenwich Village, NYC

 

 ぐらが呼んできたのは、グリーンフィールドとかいう制服巡査だった。ガリガリに痩せていて顔も土気色で、私服で路地裏にいるところに出くわしたら大麻密売人(グラスホッパー)と勘違いしそうな風体だ。たぶん、自身も薬中(ジャンキー)ポン中(ホプヘッド)なんだろう。こんなナリじゃ、徴兵を免れてるのも納得だ。

 そいつと、後から来るらしいベルビュー病院の知り合いとやらに死体を任せて、私とぐらはウェスト・ビレッジの私のアパートメントに戻っていた。

 久しぶりに戻ってみると、我が家のみすぼらしさがよくわかる。さっきまでいたおんぼろアパートメントほどじゃないにしても、ロビー内扉の錠は壊れているし、エレベーターはないし、暖房の効きは悪いし、シャワーのお湯はちょろちょろとしか出ない。おかげで髪に付いた血を洗い流すのにかなり時間がかかった。

 

「お待たせ、ぐら」

 

 バスタオルを巻いて部屋に戻ると、ぐらは私のベッドに腰かけて葉巻を喫っていた。ちっぽけなスタジオ・アパートメントには似つかわしくない、ハバナ煙草の香りが立ち込めている。

 ぐらは懐に手を突っ込むと、ダンヒルの白い包装紙に包まれた葉巻を取り出して勧めてきた。

 

「いる?」

「いや、私はこっちでいい」

 

 テーブルの上に置いてあったキャメルのパックを取ると、中身を一本振り出す。パックでとんとん叩いて喫い口を空けると、鳥目(バードアイズ)マッチをテーブルの裏で擦って火を着けた。

 

「で? 彼らはベールズの手下ってことで間違いないのね?」

「そうだよ」

 

 葉巻をぷかぷかやりながら、ぐらは答えた。

 

「前に会ったことがあるんだ。と言っても、こっちが勝手に見たことがあっただけだけど。顔を覚えられてるとは思わなかったな」

「どうかしら。ぶかぶかの高価そうなチェスターフィールド・コートを着たチビのサメなんて、そうそういないと思うけど」

「それはそうか」

 

 にたっと笑ったぐらに灰皿を差し出すと、ぐらは長くなっていた葉巻の灰を擦り落とした。

 

「でも、ちょっと気になるんだけど」

「なに?」

「ロスト・ヘブンの支配人はアイリスなんでしょ? ベールズが関わってくるのはなんでなの?」

「あー、言ってなかったか。ロスト・ヘブンのオーナーはベールズなんだよ。アイリスはベールズの相談役だったころからあそこの支配人をしてて、独立した今でもそれを続けてるの」

「ベールズはそれを良しとしてるの?」

 

 天井あたりに揺蕩う紫煙に、ふーっと新しい煙を追加して、ぐらは答えた。

 

「アイリスの歌が目当てで付いてる客も多いからね。それに、あの二人はなんだかんだ仲がいいし」

「そういうもんなの?」

「そういうもんなんだよ」

 

 そういうものらしい。ちょっと納得できないけれど、ぐらはそこに疑問を感じてないみたいだから、私が口を挟むようなことじゃなさそうだ。

 ぐらは喫い差しの葉巻を灰皿に置くと、ベッドから立ち上がった。

 

「じゃ、アタシは今度こそあのシェビーを保安官のとこに返してくるから。アメも着替えて、ヒルデブランドがネズミだってことをクロニーに報告しに行きなよ」

「髪の毛が乾いたら、そうするわ」

 

 

 

 11:06 AM, Krono Tower, Financial District, NYC

 

「なるほど、ヒルデブランドにはベールズの息がかかっていたか」

 

 クロノ・タワー70階の社長室。オーロ・クロニーは自身のデスクでなにかしらの書類を読みながら、私の報告に相槌を打った。

 

「思っていた通りだった?」

「まあね」

 

 書類のページを繰って、何か気に喰わないことが書いてあるらしく眉間にしわを寄せながら、クロニーは続けた。

 

「ベールズはここ最近、野心を見せ始めてるから。私のシマとコネを奪うことができれば、評議会(カウンシル)の存在も彼女の脅威ではなくなるからな」

「ふーん」

 

 私は大して興味もなく、部屋に入った時に注いで貰ったウィスキーを舐めた。ライ・ウィスキーっぽいけど、いつも呑むようなものとはちょっと違う、独特の風味がする。ボトルのラベルに楓葉(メープル・リーフ)が描かれていたところからして、カナダ産らしい。

 

「これが報酬」

 

 立派なデスクの上に置かれていた、みすぼらしい紙袋――そこいらの雑貨店で買い物をしたら貰えそうなやつだ――をこっちに押し出しながら、クロニーは言った。

 

「またなにか依頼したいことができたら、君の探偵社か自宅に電話する」

「どうも」

 

 グラスの中身を干してバー・カウンターに戻す間に、クロニーはデスクの上の電話機から受話器を取り上げていた。その背後のフランス窓をガタつかせて、四発エンジンの爆撃機か輸送機が飛んでいく。

 航空エンジンの爆音を背後に社長室のドアを閉めるとき、クロニーが電話に話しかけるのが小さく聞こえた。

 

「ジョン? ミスター・ヒルデブランドにクルージングの手配をしてあげて......」

 

 

 

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