ドラゴンクエストⅪ 闇の帝王の君臨   作:紫玉ねぎ

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姫の語り

私は小さい時にはお母さまはいなかった。お父さまに聞いてみると、私を生んだ時に亡くなったんだって。 お母さまがいない悲しみは大きかった。 3歳になったある日お父さまに連れられ、ユグノア王国に行った。ユグノア王女のエレノアさまはお母さまを失った私によく遊んでくれた。中庭でお花摘みをしたり、城を使ってかくれんぼをしたりしていた。 エレノアさまと遊ぶある時、もう一人遊んでいる人の事を聞いた。エレノアさまは彼をトム、って呼んでいた。 彼は頭がよく、月に一回チェスをしているのだと言っていた。私はその時嫉妬した、私だけと遊んでくれているんじゃないんだと。子供ながらの嫉妬を持ちながらも、彼とは一度も顔を合わせたことがなかった。 そんなある日いつもの通り、エレノアさまに会いに行ったら、知らない男の子がいた。

誰だろう?と思っていると。彼は自己紹介をしてきた。

 

「マルティナ王女初めまして。エレノア様からお話は聞いていると思いますが、僕はトム。オーキデウス(花よ)、どうぞ。」

 

彼は挨拶とともに、何もない手から色とりどりの花をだし、器用に手を操り冠を作りそれを被せてくれた。

 

「ありがとう!」

 

お礼と共に顔を見る。途端に今までの嫉妬が吹き飛ぶ、カッコいい。最初にそう思った。透き通った青い目、整った顔つき、ニコリと微笑む、笑顔。 そう、私はいつしか彼に恋をしていた。

 

彼は私の我が儘を聞きマジック(手品)を見せてくれた、鳥が出て、ウサギに変って踊る。 初めて見るものだった。 私は彼のマジックが好きになった。

 

 

それ以来、私がエレノアさまに会いに行くといつも彼がいた。そしてチェスを打つ。涼しい顔をしながら、エレノアさまを追い詰め、最後にキングをとる。 その後はエレノアさまにチェスのアドバイスをする。 私はその様子を彼が淹れてくれた。お茶を飲みながら眺めるの。 不思議とエレノアさまと私と彼。この空間は以前よりも楽しいものだった。

 

 

変化に気づいたのはエレノアさまの結婚する1年前だ。エレノアさまはアーウィンさまと付き合うようになり始めたころ。彼はアーウィンさまを睨みつけるのだ。氷よりも冷たい目で。 しかし何もしない。だけど、気づくとアーウィンさまを睨みつけていたのだ。 そのときはなんでかは分からなかった。

 

 

それが分かったのはエレノアさまとアーウィンさまの結婚式の時だった。 彼は複雑な顔をしていたが素直に祝っていた。 そしてサヤさまと話をして、アーウィンさまに近づいていった。 そして決闘を申し込んだ。 ビックリした。 彼はエレノアさまを深く愛していたのだった。 私よりも。

 

その夜、彼とアーウィンさまの決闘を見に行った。私以外にロウさま、エレノアさま、サヤさまが一緒にいた。 アーウィンさまは全身装備を着ていたが、彼は両手杖以外持ってきていなかった。 油断でもない、相手を軽く見ているのでもない。本気で彼は必要ないと判断したのだ。

 

決闘は初めて見るものだった。兵たちの訓練が子供の遊びに見えるよう。 彼は魔法で一手二手を繰り出し、アーウィンさまはそれに臨機応変に対応していく。 決着は案外早く着いた。 大剣の振りかぶりの衝撃で彼が気絶した。だが彼も気絶する直前に魔法をだし、アーウィンさまを気絶させた。圧巻だった。 二人共無事だった。

 

その夜と朝まで彼に付き添った。目を覚ました彼にアーウィンさまの無事を伝えると、アーウィンさまの所へ向かっていった。 私ははしたないけどドアに聞き耳を立てて聞いた。 アーウィンさまの覚悟と彼の覚悟。二人から深く愛されるエレノアさまを少し羨ましく思った。

 

 

結婚式から一年後、エレノアさまに子供ができた。 私も自分の事のようにうれしかった。 彼も口角が緩んで、上機嫌だった。 生まれるとされる日。不安でいっぱいだった、もし、エレノアさまが死んじゃったらどうしよう、赤ちゃんが死んじゃったらどうしよう。 お母さまに重ねて不安になる。 彼も不安で表情が暗いのに、私を気遣って、お茶とお菓子を出してくれた。 いつもより甘く、少しばかり、安心する。

 

そして生まれた時、私はうたた寝していたけど、アーウィンさまの喜びの声で目を覚ました。 無事だと知ると、私もアーウィンさまと同じく飛び跳ねたのだ。 そしてエレノアさまの部屋に行き、サヤさまから男の子と告げられる。 ちょっぴり女の子を期待してたけど、かわいい赤ちゃんを見て、すぐに男の子でも良かったと思う。 アーウィンさまの名前にはビックリした。 エレノアさまが一瞬躊躇った顔をして、違う案を言う。 『イレブン』っとアーウィンさまはピンとこなかったらしく、眉を顰めてたけど、エレノアさまが決めたならそう。って決めちゃった。

 

そしてしばらくはエレノアさまとイレブンを会いに行く日々だった。 イレブンはかわいく、私が守らないと思う存在だった。 将来のことを考えるとワクワクした、一緒に木登りしたり、グレイグやホメロスをからかったり、遊んであげることができる。イレブンのお姉さんだもん!

 イレブンの左手には痣があり、そのことで結構問題になった。

 

 

悪夢の日。私はお父さまと一緒にユグノア王国に来ていた。四大国会議のために、知らない貴族や王族から大きくなったね~と言われても、つまらなかった私はエレノアさまの所に行っていた。 イレブンは生まれた時から大きくなっていて、私の指を小さい手で掴んでくる。 雷にビックリしてエレノアさまに隠れたりしていたら、アーウィンさまがやってきて、イレブンと一緒に会議に向かっていった。私はその間エレノアさまと話をしていた。 随分時間がたった頃、兵士が魔物襲来を告げた。 そしてアーウィンさまがイレブンを連れてやってくる。サヤさまは常に警戒して回りをジッと見ている、 アーウィンさまは地下通路から逃げろと言い、私はエレノアさまとサヤさまに連れられて地下に行った。アーウィンさまは途中まで居たけれど、魔物の追手を食い止めるために残り、エレノアさまがイレブンを抱き、片手に私を連れて走る、サヤさまは私の後ろを警戒しながら、走る。 しばらく走ってた時、骸骨の魔物が追い付きそうになり、サヤさまは爆発呪文で骸骨を倒した。 そしてまた走り出す。 だけどサヤさまが空からの魔物の奇襲でやられてしまい、その魔物は吹き飛んだ。その方向を見ると、怒りで顔が歪んだ彼がいた。 エレノアさまと彼はサヤさまに声を掛けていたけどサヤさまはそのまま亡くなってしまった。その瞬間、彼の目が赤く光る、そして魔物を睨みつけ、杖から緑の閃光を飛ばす、命中した魔物は消えてしまう。 彼はエレノアさまに逃げろといい、私たちに背を向けた。 エレノアさまに手を引かれ、走る。でもまだ追手はくる。 エレノアさまは私にイレブンを託し、囮になると、行ってしまった。 私はエレノアさまの最期の言いつけ通りに逃げる。 だけど、魔物に追いつかれ、死ぬと、思った瞬間。川に落ちた。イレブンの入った籠を離すまいと掴んでいたが、子供の力では雨で強くなった川の流れに敵わず、離してしまった。 

 

 

私は後悔しかなかった。嵐が過ぎ去った後、ロウさまが見つけるまで、半狂乱になって探していた。だけど見つからなかった。 イレブンのことを考えるとエレノアさまに顔向けできない、どんな面下げて会えばいい。エレノアさまは何のために囮になった?。 イレブンのためだ。 エレノアさまの犠牲でなにが残った?私だ、私だけ生き残ってしまった。アーウィンさま、エレノアさま、サヤさま、トム兄ちゃんの犠牲の末私だけだ。 なんで? 私よりイレブンが生きれば良かった。 私こそが冷たい川底に沈むべきだった。ロウ様も助けるのは私よりも、イレブンの方だっただろう、勇者。世界の希望なのだから。 ロウ様に助けられた私に掛けられた声は 無事じゃったか?だった。 怒鳴り散らされた方がよっぽどよかった。ロウ様は知らないからこそ、私に無事かと言える。 私が4人の犠牲の末生き残ったと知ったら。...ロウ様だって孫が見つからなくて悔しいに決まっている。私に恨み節の一つや二つ絶対あるだろう。でも優しいロウ様は絶対に言わない。だからこそ、私を責めず、自分を責める。

 

 

結局、ロウ様は私以外を見つける事が出来なかった。 一人魔物に立ち向かったアーウィンさま、私とエレノア様を逃がして盾なったトム兄ちゃん、私にイレブンを託し、囮となっていったエレノアさま。そして川に落ちたイレブン。 サヤさまが亡くなった場所に行ったけどサヤさまの身体は無かった。 

 

ロウ様は私を連れ、旅に出た。グロッタの町でクレイモラン王とサマディー王、ユグノア国民の無事を聞いたときはホットした顔をしていた。 不幸中の幸いだった。トム兄ちゃんにアーウィンさまが託したことだけがうまくいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

16年がたった。 私はデルカダールで死んだとされ、デルカダールに戻る事が出来なくなった。そして、世界中を旅する中、ロウ様はユグノアが滅んだ元凶を突き止めた。ウルノーガ。私ができるのはウルノーガを倒すこと、そうではないとエレノアさまたちに顔向けできない。 

 

 

旅の一つ奇妙な噂を聞いた、グロッタの町の仮面武闘会に出た闘士が行方不明になる事件を。ロウ様はと私は、グロッタの町の仮面武闘会に参加した。私は8番、ロウ様は9番。 聞き込みをするうちチャンピオンのハンフリーは試合前に小瓶を飲んでいると耳にした。 ハンフリーの部屋に押し入り、小瓶を入手すると、ハンフリーは、魔物と繋がっている可能性があると。

 

抽選会の時、11番の番号の青年と組みかけた。イレブンが生きていたらこういう感じに成長していたな、と思い、胸が苦しくなる。 ロウ様は私と青年の組をやめさせ、ロウ様と組んだ。

 

武闘会当日、予選を勝ち越していき、本番。本戦一回目に女戦士と女魔法使いのコンビが相手だった。ロウ様は色仕掛けを食らったが、私は順調に倒し、決勝戦。 決勝戦は3チームだから特別ルールで行われる。決勝戦までに残ったのはハンフリーと11番の青年と、青い髪の青年と、不気味な仮面を付けた黒ローブだった。 そして名前を聞いて驚いた、11番の青年はイレブンという。 偶然と思い直し、試合に臨む。黒ローブの名前はヴォルデモートと聞いた。

 

試合が始まり、私は青い髪の青年、カミュの相手をしていた。黒ローブの魔法で強化されたカミュは中々に強敵で、ロウ様と二人がかりで、相手をする。 いつの間にかイレブンが居なくなっており探すとイレブンは黒ローブに切りかかっていた。 黒ローブの仮面が割れ、驚く。目が赤い。トム兄さんの目を思い出す。

油断した隙にロウ様がカミュに倒されていた。 私はカミュに向き直る、するとイレブンが向かってきた。

中々に強く防御で必死だが、カミュの隙を見つけ攻撃、会心の一撃でカミュを倒し、イレブンに向き直る。ハンフリーの炎のツメを食らったイレブンの隙を付き、攻撃しようと、踵落としをしようとし、イレブンが防御する。 そして、呆然と左手を見つめる、痣だ、そんじゅそこらにあるものではない。勇者の痣だ。この時点で核心に迫っていた、エレノアさまに似た髪、イレブンと名、痣。確定だ。 声を絞りだそうとしたら背中に魔法が命中し崩れ落ちる。

 

 

気が付いたら、試合が終わっていた。 ヴォルデモートの勝利によって、表彰式が開かれようとした時に、ハンフリーが胸を抑え倒れた。 表彰式が後日となり、私はわざと油断して、一人だ歩いた。そして攫われた。 長い道を終え降ろされる体。 ハンフリーが魔物を呼んで、アラクロトロが現れる。そして起き上がり、ハンフリーを凶弾する。ロウ様とイレブン達がやってきて、戦闘を任せ、私は繭に閉じ込められた闘士たちを助ける。

 

助けてる最中アラクロトロがその場にいる全員を糸でグルグル巻きにした。そう、私もだ、天井で作業していた私は支えを失い、10mもの高さから落ちる。 もはや死の覚悟をしたところ。彼の声が聞こえ私は浮いていた。 優しく地面に降ろされ、彼を見る、割れた面から覗く赤い目はアラクロトロを見て喋る。

 

そして彼は魔法を唱える、アラクロトロが苦しみ、最後は彼が杖から炎を出した、大きな蛇になり、アラクロトロの噛みついた、そのままアラクロトロ包み、消えていった。 イレブンは彼にお礼を良い、どういえばいいか戸惑っている。 しかし彼は最初から見ていたという。 つまり私が攫われたふりをしたときから見守ってくれたと。 彼は明日の表彰式があると言い立ち去ろうとする。 私はその背に声を掛けていた。

 

「待って!」

 

全員の視線が向く

 

「何だ?」

 

「あ..ありがとう。」 

 

「..気をつけろよ。」

 

彼はぶっきらぼうに言うと、去っていった。 私は残された闘士たちに肩を貸し、さっきのことを考えて居た。

ヴォルデモートのドラクエ呪文使用について。

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