嘗て至高だった父へ【OVERLOAD】   作:エーブリス

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久しぶりにアマプラでオーバーロード見た反動で書きました。原作は見たことありません…つまり原作知らんのに二次創作罪で禁固100年です。

取り敢えず「書きたい」という衝動に従って書いたのでいつも以上に中身が薄い文章となっております。刑期50年追加


序章
第1話


――――“その日が明日、来たとしても”。

古く(百年前)より人はそう謳った。

 

 

 

ソレは、所謂“栄華”だったハズだ。

凄惨たる社会の悪夢より逃げるのだ…例えそれが、娯楽の1ページだったとしても。

 

ぶつかり合い、傷つき斃れたとて励まし合う。

その結果、築かれたソレは特別…そう信じて。

 

「……なんだよ?

脅かすなよ、変な声出しやがって」

 

「違ェよ…どうせあのクソ害悪ギルドだ。

連中、何か仕掛けたんだろ。趣味悪ィな」

 

彼は、栄華の影を走る。

いずれはこれも寂れ、骸すら残さず消え果るだろう。

 

しかし――――この闇を無音で駆ける、そのスキル(技術)は死ぬまで消えない。

 

…経験は死ぬ事は無い。

もっと言うのであれば、巧者は経験を殺さない。

 

陰から光へ。

彼は、飛び出すや否や…眼前の重騎士プレイヤーへと組み付いた!

 

「うぉおッ!?」

 

有無を言わさず、片腕と片脇を抑えつけ、その状態のまま“銃”を構える。

照準は別、その先の魔導士へと向かっていた。

 

「なに――――」

 

それは…余りにも弱弱しい、在ったのかすら疑ってしまう程の、地味なエフェクト。

しかしその数発で、防御に乏しい魔法詠唱者は死亡(デス)した。

 

「て、てめぇ…!

――――うわっ!」

 

逆に、フィジカルに長ける重戦士は、身を固められソレを発揮できない。

力漲る筈の腕は、まるで過激なフォークダンスを踊らされる様に振り回された。

 

いまや彼の腕は我が身を縛り、視界を塞ぐ拘束具だ。

随分と豪勢だが、囚人とあまり変わりがない。

 

重戦士が気が付かぬまま、彼はまた影へと引きずり込んだ。

 

 

――――そして再び響く銃声。

しかし、重たい装備で固めたプレイヤーは、先ほどより地味なソレには驚いていなかった。

 

…異常なHPの減り方だ。

防御に秀でたタンク役と、それに相応しい防御とHPであるのに。

 

異常だ、この減り方は異常が過ぎる。

 

ゲーマーとしての性か、まず初めにチートを疑う。

しかしこのプレイヤーは知っていた…。

 

それは1日にも満たぬ、半日前。

アンチチートツールの大規模更新が、行われたばっかりだと。

 

パッチノートの通りなら、そうそう息の出来るチーターなど居る筈がない。

欺瞞が蔓延る今時とて、不正者の放置は…運営の寿命に直結する。

 

――――そう彼是と考えた所で、ピンチは動かねば脱せない。

一瞬だった…拘束が緩んだのは。

 

「ッ…!」

 

その隙を逃すまいと、一気に前へと飛び出る…が、直後!顔面全体に衝撃が走った。

これがダイブ型ゲームである故、実際に痛みが来るわけではない。

 

しかし…だ。

視界には軽い昏倒状態を示す、視界不良エフェクトが走る。

 

 

そして身体もまた、瞬間的なスタンにより反応が遅れる。

――――この狭い空間での格闘では、十分致命的な時間だ。

 

重戦士がリスポーン地点を目にする直前の記憶は…暗闇にうっすら溶け込んだ、鋭い刃先だった。

 

 

 

 

これもまた、栄華の一ページ。

影だろうと幻だろうと、彼なりの形で歴史を書き連ねていく。

 

 

しかし…先ほども記したように、やがて栄華は骸さえ消える。

黄金樹だろうが世界樹だろうが…永遠に生い茂る事は、出来ないのだ。

 

――――その時が来た。

最早枯れ果て、朽ちて逝くまで幾ばくも無い…このユグドラシルという大樹に、その瞬間まで居残るとしたら。

 

…当然、その樹に栄華を――――思い出を刻んだ者たちだろう。

 

 

 

 

 『漸く分かった気がする――――これが、楽しかったってヤツなんだなって』

 

 

 

 

 

「――――いやぁ、丁度良かったですよランドナさん。

ついさっきヘロヘロさん、ログアウトしてしまった所でして…。

ささ!、せっかくだから座っちゃって下さい」

 

「いやいや、僕ぁもうアインズ・ウール・ゴウン辞めてますから座れないですよ、モモンガさん。

――――あぁ、後…これ。いつものお土産です、まあお土産というか…返却、ですね」

 

そう言ってランドナと呼ばれた比較的細身に見える異形種プレイヤーは、豪華な衣装で身を包んだ骸骨顔(オーバーロード)のプレイヤー・モモンガに1丁の銃を手渡した。

 

「これって…四番口径式放呪砲・双(フォーゲージ・カースドフォースⅡ)、ランドナさんの主力兵器じゃないですか!」

 

あぁ、そんな名前あったな…くじ引きで決まった名前でしたね。

誰の案でしたっけ?その名前」

 

「えっと…ウルベルトさん、では?

確かたっち・みーさんが【スターフォース・ブラスター】で、ガーネットさんが【BFG-DB1】で。そしてるし★ふぁーさんが【ツヴァイフルファイエル】…でしたっけ?」

 

「あぁ、そうだったそうだった。

個人的にタブラさんの【呪村の聖剣(ザ・セイヴァーオブヴィレッジ)】とか、シンパシー感じて良いなぁって思ってたり…。

まあ、素材含めてギルドの皆で作った武器ですからね、僕が独り占めしていい思い出じゃないでしょう」

 

ランドナは一度カースドフォースⅡを円卓の上に置き、それをモモンガが再び手に取る。

改めてソレを握った彼は、相変わらず外見も性能も狂った神話級(ゴッズ)アイテムだ…と心の内で独り言ちる。

 

そしてモモンガは「そこまで言うのであれば…」と、ソレをナザリックにて丁重に保管する事を決意した所で「そう言えば…」と、眼前のランドナに対する疑問を口にする。

 

「娘さん達はもうログアウトしたんですか?」

 

「あ、いやぁ、あいつら…多分まだ起きてますよ、せっかくだからとかつって。

…正直、迷ってますよ。最後に、どちらの思い出を取るべきなのかって…」

 

吐露された悩みを聞き、モモンガもまた「そんな…」と一緒になって悩んでしまう。

 

「迷ってる、って…。

流石に…あちらを優先してあげて下さい。せっかく親子でプレイしていらしたんですから」

 

確かにモモンガとて、自分たちが積み上げて来たものの最後を共に見届けてくれる誰かが居るというのは嬉しい。

しかし…彼はリアルでは天涯孤独の身である、親がいない悲しさを知っている…それが故の、この発言だった。

 

 

「…そう、ですよね。

ありがとう…本当に、ありがとうございます」

 

深々と頭を下げ、それに比例した感謝を述べる嘗てのギルドメンバーを見てモモンガは、彼との記憶が走馬灯のように走る。

…走馬灯等と言ってしまうと、まるで今から死ぬかのような状態だったがそんな事は無く、何ならそのアバターは不死(アンデッド)である。

 

――――いいや、このユグドラシルに全てを捧げて来た彼にとっては、サービス終了は紛れもなく死と同等なのだろう。

 

「――――モモンガさん、またいつか…どこかの世界(DMMO)でお会いしましょう。

その時は、またナザリックみたいに…でっかいの、作りましょう。その時は娘達も…いるといいなーって…」

 

ランドナは只々、遠くを見つめる。

一体どこを見つめているのだろうか、聞くのは野暮を分かっていても、モモンガは気になってしまう。

 

「…さようなら、モモンガさん、皆」

 

こうして…ナザリック幻の42番は、モモンガの前から立ち去った。

すぅ――――っと、消える様に。

 

 

 

 

「…。(なんか、幽霊が成仏する前の挨拶しにきた、って感じだったな…ホントに死んじゃいないよな?)」

 

余りにも不気味に消えたので、彼は不吉な想像をしてしまったようだ。

彼がリアルで、そこそこに危険な仕事をしてると知っているので、冗談とも片付け難い。

 

「まあ、だとしたら相当律儀だよな。

相変わらず…変に大真面目な所あってさ…」

 

 

 

ともあれ、今やこの大墳墓の墓守はただ一人のみ。

 

 

 

 

 

 


 ~何時かの記憶~

 

モモンガ

「…そう言えば――――ランドナさんは普段どんなお仕事をしてるんですか?」

 

ランドナ

「僕は…エンジニアですね。

フリーランスの。主にインフラとか、ナノ工とか」

 

死獣天朱雀

「フリーランス…!

このご時世に、大変でしょう…それにインフラって」

 

ランドナ

「まあ、生傷は絶えませんね。

かなり厳しい守秘義務があるので、詳しくは言えませんが…危険地帯での作業が主ですので」


 

 

 

 

 

 

 

プレイヤーネーム・ランドナ、本名は町田 怜雄(まちだ れお)

古参勢では珍しく、ガンナー系装備を専門とする、中途半端なパワープレイヤー。

 

日本最大級のDMMORPG【ユグドラシル】の衰退と共に、多くのプレイヤーが引退する中…何故彼はモチベーションを保ち続けることが出来たのか。その答えは今所属している小規模クランの拠点にあった。

 

 

それは、先のナザリック地下大墳墓と比べて規模も装飾も大きく劣るものの、ごく少数が住む屋敷としては十分な広さがあった。

 

「ただいま…皆」

 

「お帰り、お父さん」

「お父様…おかえりなさい」

「おっかえりー!」

「遅い、パパ。もうサ終5分前なんだけど!」

 

彼を出迎えたのは、共にユグドラシルをプレイしてきた4人の娘達だった。

 

「悪かったよ“カーキィ”。

“ニモエル”と“リリューム”、それに“デルモん”も。

皆、眠くないか?」

 

そしてランドナは、自らの娘達を一人一人見つめた。

 

 

 

「えぇ、大丈夫よ。

皆もそう…特にデルモんはこの後ちゃんと眠れるか心配なくらい」

 

プレイヤーネーム・ニモエル。

古いアクションRPGに出てくる職種系クリーチャーのようなアバターをした彼女は、4人の中では長女的存在である。

 

文武両道の優等生気質で、実生活でも彼女が率先して家事等で父の手伝いをすることが多い。

種族は天使系上位種の一つである【星海使(スターゲイザー)】で、クラン内では主に補助魔法を担当。

 

尚、最大瞬間火力は【頭突き】からの【脳喰い】であった。

 

 

「お姉ちゃん、私絶対起きれるってー-!!

だから今日だけは、ね!?ね!?お願い!!」

 

「いいよデルモん…でも明日は自分で起きるんだぞ?」

 

プレイヤーネーム・デルモゲニー…愛称デルモん。

当初は図鑑から自分の名前と関連のある絶滅生物から取ったのだが、命名後に“可愛くない”名前を後悔。以降、デルモんと呼ばれる事を望む。

 

四姉妹の中では最も活力に溢れるムード―メーカーである。

名前通りに種族は【深海魚神(ダゴン)】で半魚人のようなアバターを持つが基本的に装備で大体隠れている。

 

クラン内ではタンク役と弄られ役で、水の無い所で滅茶苦茶水を出す。

 

 

 

「デルモちゃん…目覚まし2個使っても起きないのに大丈夫でしょうか…」

 

「起きれる!

おーきーれーるー!

 

プレイヤーネーム・リリューム。

儚げな雰囲気だが、そのアバターは血の滲んだ白いドレスを着た人間の女性型の上半身に、数多の骸が中途半端に溶け合った半スライム状の肉塊の下半身と、4人の中でトップクラスにショッキングである。

 

クラン内の役割は攻撃魔法、兼、トラッパー。

現実では常に何かしらの書物を読み漁っており、ユグドラシル含めた知識量は姉妹中最も多い。

 

彼女の肉片による罠は、数多のPKプレイヤーにとって悪夢のような都市伝説の一つだった。

 

 

「絶対起きないっしょ。

まぁたアタシが起こす羽目になるんだから、もう寝れば?」

 

「カキちゃん!いじわる言わないでよーー!!」

 

プレイヤーネーム・カーキィ。カーキ色とリアルロボット大好きだからカーキィ。

彼女の反骨精神(ツンデレ)は、この中で唯一無機物である自動人形(オートマタ)系の種族【シンギュラノイド】を選んだ所にも強く出ている、と言えるだろう。

 

今も尚新作の作られる老舗SFシリーズの人型ロボットのような外見を持つ彼女は、可変機構を用いて最大速力で敵に突っ込んでは2本のビームサーベルで目標をズタズタにして去っていく、バリバリのアタッカー兼探知役。

但しシステムの都合上可変して出来るのは一定高度の低空飛行のみである。

 

飛行形態の突進を、喰らってはいけない。

 

 

 

「分かったよ…明日は特別に起こしてやる。

――――それで、どこ集合になったんだ?」

 

「リビングの食卓よ。

うちは玉座なんて無いから」

 

「あぁ…ま、そうだな。ここが一番だ」

 

そうして彼ら5人は、誰に案内されるでも無く各々が自発的に食卓へと向かう。

 

…このテーブルも、そこそこに一悶絶した記憶があった。

家族全員が等しく接せられる為にと、最初はラウンドテーブルを設置する事になっていたのだが、テーブルそのもののデザインと部屋の間取りの相性が絶望的に悪く、かといって丁度いいサイズの円卓は5人で使うには不足過ぎたため、仕方なく長方形テーブルで妥協したのだった。

 

当時の記憶を思い出し、

 

「……このテーブル、本当にリリュのお手柄だったな」

 

「いえ…もういっその事って、ヤケクソになっただけですよ…」

 

「でもアタシ達、円卓にすることに固執しちゃってたから…リリュ居なかったら大変だったわよ」

 

「お、珍しくリリュの事褒めるんだな」

 

バっっ…!

違うわよクソオヤジ!何言ってるの!?」

 

「2か月振りに褒めたねー!」

 

「そう言えばアンタ、机の時に「私も今思いついたモーン!」って、変な意地張ってたっけ?」

 

「ちょぉおおおッ!?

なな、な、なんな、なん、ななな何でそれ掘り返すのー!?」「あ、クリった…*1

 

ここで繰り広げられる幾多の寸劇も、これが最後だと思うと溢れて来るものが多々ある…ランドナはそう感じて居たし、娘達もきっと同じなのだろう。

 

このテーブルだけに留まらない。

眼に見える部分にも、そうでない部分にも…家族間の思い出が詰まっていた。

 

「本当、色々…やって来たな。長い事」

 

「うん。

いっぱい思い出、作ったね――――あ、そう言えばアストロノーツ山田は?」

 

「お前の後ろだよデルモん」「うわッ本当だ!」

 

アストロノーツ山田とは、ここの拠点に存在する2体のNPCの内1体であり、人狼(ワーウルフ)のゾンビをベースとし、顎をサメに尻尾を機械(掘削用レーザー付)にしたキメラの防衛用NPCである。

 

名前にあるアストロノーツとは、大昔のバンドから適当に引っ張って来ただけなので他意は無く、また設定も蒲焼きのタレ宜しく事ある毎に継ぎ足されたので非常に長い。

 

とは言え、ナザリックにはこのレベルの長文を一人で書き上げた文豪が居たりするのだが。

 

 

因みに2体目のNPCは庭先を警護しているス○ープドッグである。

本来は世界観を加味して○ンバインのガワを持った昆虫系異業種NPCだったが、カーキィの気まぐれでスコ○コに換えられた。

 

「ブフッ…ったく、誰だよ関西弁設定付けた奴は」

 

「え、それ薩摩弁設定だったわよね!?

誰!?変えたの?」

 

「あ、ごめんなさい…そこ薩摩弁だったのね。

間違えて消してしまったの」

 

「な、ならいいわよ…最後だし」

 

「(似非、って付けておくか…)…うん。

主食は魚…まあそうだろうな。食べるときは七輪で塩焼き一択、おろし醤油を添えて…随分とグルメな設定だな」

 

「そう?こういう環境なら逆に庶民的って奴じゃない?」

 

「確かにそうですね。

所でカキちゃん、この設定ってまさか…」

 

リリュームはそっと、デルモんへと目を移した。

“この設定”というのは『半魚人系の知的種族を見ると物腰の低い様子で体の一部だけでも食べさせてもらえないか、真剣に交渉しに来る』というモノである。

 

「あー、それ確かにデルモん見ながら書いたわ」

 

「丁度真後ろにいるのってそういう…」

 

ニモエルの一言の数秒後…ガタッ!と、デルモんは席を立ち、ランドナの後ろへと隠れた。

 

「だ”ず”げ”で”ぇ”ェ”!父さんー!

だ”べ”ら”れ”ぢゃ”う”よ”ぉ”ォ”ーッ”!」

 

「泣くな泣くな、本気にするなって。

それに…ホラ、いきなり噛みつくよりはマシだろう?」

 

彼は大げさに泣き叫ぶ彼女の頭をそっと撫でた。

 

「あッ!ちょ、デルモんズルい!」

 

「へへーんだ!」

 

「?、お前も来るか?」

 

「いや…別に。

――――って、もう終了30秒前じゃない」

 

「あ、本当だ」

 

デルモんは素早く自分の座席へと戻った。

 

 

気が付けばユグドラシルサービス終了まで1分も無かった。

しかし皆は、何をしようでもなく、単に“その時”を座りながら待つだけである。

 

もう、何も…出来やしないのだ。この程度の残り時間で…。

 

「…そっか。

終わり、か」

 

彼もまた、モモンガの様にユグドラシルでの記憶が走馬灯のように走る。

…始めたきっかけは、ずっと前に死んだ友人の誘いであった。最初は片手間にやるつもりだったが、次第にムキになってしまい…結局のところはそこそこに強いプレイヤーとなっていた。

 

それから成り行きでアインズ・ウール・ゴウンに入り、そして今はこうして家族間で作ったクランでその活動を終えようとしている。

 

 

――――彼の近くから、すすり泣く声が聞こえた。

 

「…ごめんなさい。

終わってしまうって思うと、つい…」

 

「いや、いい…辛いよな、ニモエル」

 

このネームで呼ぶことも無くなると思えば…そう思う内に、残された時間は5秒を切っていた。

ランドナは目を瞑る…そしてまた、町田怜雄としての生活だけになるのだと。

 

 

 

 

そうなる、筈だった…。

 

 

 

「…え、何、バグ?

こんな時に?」

 

可笑しい…タイマーはもうゼロを過ぎたハズだ。

そう思いながら、運営からの情報が無いか、インターフェースを拓こうとするが…。

 

「?、おい…アレ?」

 

「可笑しいわね…何があったのかしら」

 

一気に涙の引っ込んでしまったニモエル含め、誰もがそれを出す事が出来ない。

こんな時にログアウト不能バグか、今までこんな事も無かったハズだが…最後の最後で要らない不手際をするものだと、彼は内心憤りを感じて居た。

 

 

――――しかしそれも、不思議と一瞬で引っ込む。

否、不思議等では無い…明らかに怪しい「何か」を感じたからだ。

 

「…待て、静かに」

 

各々頭を捻ったり、不安を口にする娘達を鎮めて、彼は注意深く周囲を見渡す。

その際、最悪のケースを想定して彼は武器に手をかけていた。

 

 

…異変は直ぐに分かった。

 

「…デルモ、後ろの、山田…どうした?」

 

「え…?

居ない…ど、どこッ…」

 

いつの間にか彼女の背後にいたハズのアストロノーツ山田が消えいる。それを確認した時、すでにランドナの指は引き金に掛かっていた。

彼の反応速度ならば、気配を感じた時点で素早く脳天に照準を合わせられる。

 

 

…のそっ、と。彼の背後から誰かが迫る気配がした。

彼は凄まじい反応速度――――それこそ本人でさえ若干驚くほどの神速で振りむき、対象のバイタルへと狙いを付けた。

 

「ッ…!?」

 

しかし引き金までは引かなかった。

何故なら…。

 

 

 

「あの、すまへん。

旦那はん、少し相談がありもす」

 

「(や、山田!?というか、えッ)しゃ、喋…」

 

背後にいたのは、NPCのアストロノーツ山田本人(人…?)だったからだ。

しかも自発的に“声”を発した、関西…というか薩摩…まぁ、あれが似非関西弁の模範解答の一つだろうか?

 

そんな事は兎も角、前提としてユグドラシルのNPCにはそんな機能は無かったはずである。

 

 

ここに来て緊急アプデか?ならばサービス終了は嘘か?

そんな無茶苦茶な事をいくら何でもするものか?と、疑問に疑問を重ねる内…誰もが状況に追いつけず、無言が空間を満たしていく。

 

 

「…旦那はん、大丈夫でっか?」

 

「あ、あぁ…ああ。

うん。問題ないよそれで?」

 

静寂を割った山田の相談を、ランドナは聞く事にした。

 

「いやぁ、少々腹が減ったもので…フナでも頂こうか思うとったんですが、箱ん中は菜っ葉ばかりでして。

そこでデルモゲっどんの眷属をどうか頂けへんかと」

 

…腹が、減ったらしい。

アンデッドに空腹などあるのか?と言う疑問は兎も角、彼はデルモんと視線を合わせる。

 

彼女は首を左右に振った、どうやらその類のスキルは無いらしい。

 

 

「…すまない。

後で、釣りにでも…行こ、か」

 

「ご迷惑かけもす」

 

そう言って山田は、深々と頭を下げ、何故か部屋の掃除を始めたのだった…。

 

 

*1
「クリティカルダメージ入った」の意




 サクッとオリ主概要(適当)
  ・4児のパパ
  ・元アインズ・ウール・ゴウン所属
  ・ガンナー職

こんな感じの、リアルじゃしがない宇宙船の修理工やってるのが主人公です。




どこまで続くか分かりませんが、感想等お待ちしております。

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