嘗て至高だった父へ【OVERLOAD】   作:エーブリス

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皆様お待たせしました…謎の腹痛が長引き、収まったら収まったで突如流れて来た推しのゲッターに一日中笑い転げ、執筆が中々進まず本当に申し訳ない。


それと漸くオバロの書籍買えました…いや漫画だけど。
今回からダゴン子㏌トカゲ村やりまーす。


第11話

 

竜牙(ドラゴンタスク)”族。

数ある蜥蜴人(リザードマン)の中でもより戦闘力を重視する種族であり、強者であれば何者であれ歓迎し場合によってはその者を族長とするという在り様は、閉鎖的社会を形成する本種族の中では非常に寛容な部類であると言えるあろう。

 

そんなドラゴンタスクの族長であるゼンベル・ググーは…一体何故空高く放り飛ばされているのか?

 

 

「ぉおおおおおおおッ!?(な、なんてこった…あのお魚野郎、マジで強い。いや強過ぎんだろ)」

 

…何てことは無い、より強き来訪者に負かされたというだけなのだ。

しかしこれは、余りにも格が違い過ぎる…先の組手の一瞬、彼の言う“お魚野郎”――――つまりデルモんが腕を上に振るったかと思えば、身体がぶわりと浮いた。最早あの空に何時も浮かんでいた、お天道様にももう少しで手が届きそうだった。

 

――――そしてゼンベルは落下し始める。

 

「おおおおおおオオオオオオオオオッ!!(畜生!余りにも高ぇ…強者の壁も、今俺が居る所も!)」

 

ヤバい死ぬ…そんな理屈以前の、例え研ぎ澄まされていないような感覚ですら分かる強烈な死の予感が猛スピードで近づいている…最早この命が祖霊の元まで吹っ飛び、残された身体が赤い赤い肉塊と成りて果てるまで、秒読み程度の時間しかない。

 

…しかし彼の瞳に映るのは、落下地点であたふたとするデルモんの姿。

どうしようどうしよう。そんな事を叫びながらどうにかゼンベルをキャッチしようと試みている様だった。

 

 

――――その行動がどうとか、何もかもを考える前に…彼女の試みは成功したのだった。

本当に考える暇がない…今自分より幼い様な女に、所謂“お姫様だっこ”をされている現状を考える事さえ。

 

よ”が”っ”だ”~”!

殺しちゃったかと思ったよー!無事でよかったー!」

 

 

 

それが約半日前の出来事である。

 

 

 

「…それで、俺ぁ1日に2度も負けたってワケよ」

 

「成程な、それで決闘時あれほど鬼気迫っていたのか。

片手が完全に凍り付いて尚攻め入るものだから、何事かと思ったが―――それは引くに引けんな」

 

「あれで引いたら族長の名が泣くぜぇ。

――――お、噂をすりゃ何とやらだ…お前のメスも一緒だぜ」

 

「だからまだ俺のではない…」

 

2度の決闘があったその日の夜は、高々と聳える焚火に照らされて竜牙(ドラゴンタスク)族らによる宴会が行われていた。

その一角でゼンベルと共に酒を酌み交わしていた緑爪(グリーンクロー)族族長代理のザリュース・シャシャは、指差された方向を振り向いた…確かに、件の深海魚神(ダゴン)とやらはこちらに向かってきている。

 

それと朱の目(レッドアイ)族族長代理且つ、暫定的ザリュースの“赤い糸的なアレ”であるクルシュ・ルールーも一緒だった。

 

「どう?話は纏まった?」

 

「まあな。

…そっちはどうだ?ちゃんと現状を説明出来たか?」

 

「ばっちり。意外と物分かりのいい子だったから」

 

どうやらクルシュがデルモんに蜥蜴人(リザードマン)全種族が置かれている現状を説明していたようだ。

 

…今、この種族は不死の侵略者により、存亡の危機に瀕している。

 

「えっへん、私、優秀ですからっ。

にしても、あれだね。死霊系モンスター…状況が状況だったら、神聖属性の魔法でドバーッ!ってするのが定石だけど…」

 

「いや、生憎ウチ―――と言うよりリザードマン全体でクレリック系の職業を収めている者は居ない。

もし居るとしても片手で数える程度だ、効果は望めんだろう」

 

ザリュースの言う通り世界宗教的な体系・構造内の職業であるクレリックは、(恐らくは)先祖の霊を“全能の力、或いはその仲介人”として崇める元始的なアニミズムを信仰するリザードマンの宗教形態とは相性が悪い。

 

普通に各集落で暮らすリザードマンには先ず縁のない職業であり、仮に旅人がその手の職業を収めて帰ったとしても余計に煙たがられ一層排斥の機運が強まるだけだ…故に今、アンデッド系モンスターへの対策として、神聖魔法の行使は現実的な策ではないのだ。

 

「じゃあ、今はどれだけの戦力が集められるか…敵もアンデッド系だけとは限らないし。何が出来る出来ないも、開戦までに集められたそれと情報次第、って段階かな?」

 

「その通りだ」

 

「んだよ、俺よりちゃんと頭回ってるじゃねーか。

やっぱりお前がウチの族長やれって」

 

「いやいや~、流石に種族が違うと難しいよー。

私はあんまり誰かに命令するって苦手だからさー」

 

「ウチぁそんな固ぇ事ぁ、気にしねえ主義なのさ。

カシラは強ければそれで良し――――ソレがドラゴンタスクよ」

 

そう言い切ったゼンベルはグイッと酒をあおった。

彼の普段からの様子を見るに、やはり間違った認識では無いのかもしれない。

 

直後にザリュースが「所で…」と、デルモんに一つの(何かと流され続けていた)疑問を投げかける。

 

「ダゴンの。何故かお前も我々の戦いに参加する事になっている件についてだが…」

 

「あ、やっぱり迷惑だった!?」

 

「いや、問題ない。

今の我々は四の五の言っていられないからな」

 

彼は賑やかなドラゴンタスク達の営みを見渡した。

このような華が、他のリザードマンの部族にもある…それらを護るために、そして悪魔を撃退するために、何もかもを学び取り込み、そしてその対価を必要経費として、どれだけでも払わなければならない。

 

何も、惜しむものはあってはならないのだ。

 

「意外と、ダゴン一人でどーにかなっちまうかもな」

 

「それはダメだよベルちん「ベルち…ッ!?」、外部の人ってローカルな社会における影響力がすっごい強いから、下手な事したら勝っても事後処理が滅茶苦茶な事になっちゃうよ」

 

「本当に、見かけによらないわね…あなた」「えへへー、とーさんに色々教わったからねー」

 

再び「えっへん」と得意げにするデルモんだが、此処まで上げて来た株を直後に落とす羽目になる。

 

 

「――――だが大丈夫なのか?敵は最低でも第四位階の魔法を行使する存在だ」

 

「うん、だいじょぶだいじょぶ、それくらい。

私の所じゃ、第四位階程度で王さま気分してたら笑われるもん。どうせ魔法使いならとーさんみたいな“Qソ持ち”でもない限り第10位階か超位でも持ち出さないと張り合い無いし…」

 

この一言にゼンベル、ザリュース、クルシュの三人は「え?」という思考が一瞬遅れた様子を見せた。

彼らの常識に置いて“第十位階魔法”とは神話や伝説にすら登場するかしないかの様な…最早無いモノとして扱われるレベルである。

 

 

普通なら冗談か比喩として流すのだが…ゼンベルを始めとして、彼女の実力の一端を知ったリザードマンは「まさか本当に…」と、どうにも嘘だと思えていなかった。

 

「――――あ!(そうだ!この世界一般的には第三位階で打ち止めって話だった!と言うか、とーさんの隠しスキルの事言っちゃった!)。

今の無し!今の無し!忘れて!聞き流して!とーさんに「あまり力を見せびらかすな」って言われてるの!」

 

これぞ、正に「後の祭り」。

そもそも自分を“神”と名乗った時点で手遅れだったのだ。

 

 

確かに頭は割と良い…が、どうにも“正直”過ぎるようだ。

三人はソレを感じて、目の前であたふたする魚神の扱いを改める事にした。

 

「その言いつけ、守れてねーだろ。

俺の事ぶん投げちまってよ」

 

「…この子、情報戦に参加させちゃダメね」

 

「実力含めて、奥の手として後方待機…情報統制は必須だな」

 

ザリュースの発言に「そんなぁ」とやや無念さを滲ませるデルモん…何せ彼女はタンクとしての防衛が本懐であって、後方に居座るのは余りにも居心地が悪かった。

 

――――しかし転んでも割とタダでは起き上がらないのが彼女だ。ふとしたひらめきで、一つの代替案を提示する。

 

「あ、だったら…労働力の提供って大丈夫かな?

私スキルで深海魚人(インスマス)っていう下位種族を召喚できるし――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~いつかの記憶~

 

タブラ・スマラグディナ

「やあっべぇ、思ったより容量残ってねぇ。

これ多分イシムラの入り口作るだけで終わりますよ…他の階層の事考えたらそこらで打ち止めですわ」

 

ランドナ

「削りに削った初代準拠でもこれかぁ。

やっぱ「何とかなるやろ精神」はダメだね、ダメ…リアルの施工中だったら何かしら事故って死んでますよ僕ら」

 

タブラ・スマラグディナ

「試算はするもんですね…所で、このスラッシャー(ポクテ)どうします?

ここまで完成度の高いNPC、このままサイヨナラバイバイするの勿体ないですよね」

 

ランドナ

「牢獄組にしておきますか。

…名前どうします?特に決めて無ければ【ポクテ宗一郎】のままになりますが」

 

タブラ・スマラグディナ

「んー、言うてスラッシャー1体じゃあなぁ…。

特に、何も思いつかないなぁ…設定共々、今回はお任せしますね」

 

ランドナ

「はーい(設定は…まあ適当に『大威震八連制覇を過去一度優勝した経験アリ』とでも入れておくか)」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コキュートス様。こちら追加分戦力の内訳、及びに深海魚人(インスマス)の情報ですぅ」

 

「感謝スル…」

 

此度、主人たるアインズ・ウール・ゴウンよりリザードマン集落への侵略を任されたコキュートスは、そのお目付け役であるエントマ・ヴァシリッサ・ゼータから手渡された資料に目を通し、それらをリモートビューに映る敵戦力と見比べた。

 

映る光景は“異様”そのものだった…閉鎖社会を構築するリザードマンに混じり、何と“深海魚人(インスマス)”の集団が陣地構築の作業に勤しんでいるのだ。

 

ユグドラシルにおけるインスマスは、一部例外を除きごく限られた地域のみでしかスポーンせず、加えてその地域のみでしか行動しないというレア且つ強い部類に入るモンスターだった。

 

更に言えば、その限られた地域もインスマス自身も別段有用なアイテムをドロップする事も無く、また経験値稼ぎに用いようにもインスマス系自体どいつもこいつもレベル以上に硬いので効率が悪く、プレイヤー達はこのモンスターを特に相手する機会は稀であった。

 

 

お陰でインスマスの情報はレベルと防御力以外に不明瞭な部分も多く、その記載された防御力に至っては“要検証”の注釈が付いている…つまりは『ニャルちゃん測定(通称:ニャル測)』からそのまま引っ張って来たままの信頼性に欠ける事実を表していた。

 

とは言え、だ…10レベル差以上の開きでは(レベルの)高い方が確実に勝つという、ユグドラシルの法則が働いているのであれば、レベルだけでも確定していれば十分参考にはなる。

 

 

それを考慮し、コキュートスはじつと両方を見比べた。

何よりも注視するのは、恐らくインスマス系の最上位種とされる【親衛隊深海魚人(インスマス・ロイヤルガード)】の内1体である。恐らくこの、右の二の腕に赤いバンダナを巻く本個体こそがインスマス達の指導者だろうと予測できる。

 

 

その何よりの証拠として、他の魚人達へと指示を飛ばす様が見受けられるのだ。

 

「――――コノ戦力ナラバ、或イハ…」

 

正直な所彼が抱いた感覚は“何とかなるだろう”と言ったものだった。

レベル差は開いておらず同じ程度だが、その数は明らかにこちらが優勢だ…リザードマン側はインスマス勢を加味しても物量的に上回る事は無い。

 

だが…ここで、コキュートスの脳裏に二つの言葉が過る。

 

「『“何とかなるやろ精神”はダメ』、ソレニ『できる限り自分の判断で動け』カ…。

ヤハリ、戦術的ニモ何カ…見直スベキダロウカ…」

 

後者は他でもないアインズの言葉、前者は誰だったか既に確かでは無いが…過去に至高の41人(と42人目)の誰かが言っていた言葉であるのは間違いない。そしてこれらの言葉を基に動くとするならば…。

 

 

そうして彼は現在の布陣に関する改良へと着手したのだった…共に司令部として席に着く、自らのしもべ達と共に。

 

「コレヨリ一度、アインズ様ヨリ賜ッタ軍勢ノ運用ニツイテ見直ス。

皆モ何カ、意見ガアレバ申スガイイ」

 

「はっ。

ではコキュートス様――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~いつかの記憶~

 

ガーネット

「お、ドナさん自分でも魔銃作ったんですね」

ウルベルト

「そして安心と安定の黒色無双」

 

ランドナ

「えぇ。一応全体のモデルとしては我々の会話ではド定番のCZ75ですね。

…グリップとハンマー辺りはデザイン性の都合上、ややP210っぽくなりましたが」

 

ガーネット

「本当だ…ある意味先祖返りですね。

所で性能の方は?やっぱり命中補正系はナシですかね」

 

ランドナ

「そう、ですね…誘導弾とかは扱いに慣れていると、返って邪魔なだけですので。

反動対策としては、1発消費の3点バースト化を軸として…多めのブレ軽減とバーストレート上昇、それに多少の反動遅延…これでバーストの終わりにようやく反動が来る仕組みとなってます。後はいつもの火力セットで必要最低限の火力を保持しつつ、取り回しもある程度補強しています」

 

ガーネット

「バーストの高速化による反動制御と火力増強の両立は、古くはアバカン等で見られた工夫ですね」

 

ウルベルト

「とは言えその構造だと、流石に火力が足りないんじゃないですか?」

 

ランドナ

「まあ、結局のところはマーカードロップの起点ですからね。

後はこの前皆に手伝ってもらった…名前何だっけ

 

ウルベルト

四番口径式放呪砲・双(フォーゲージ・カースドフォースⅡ)

 

ランドナ

「そうそうそう。

マグロの切り身をぶつけた後、あれで()()()()()ばPvEもPvPも大体片が付きますからね」

 

ウルベルト

殺戮豪雨(マーダー・スコール)のその俗称、流石に最低過ぎませんかね!?」

 

るし★ふぁー

「ニャル測だとアレのコンボに“3点マグロホロポ4545コンボ”とか“誘導自家発電炸裂コンボ”とか、酷いと“女神冒涜4545フレッシュマグナム”とか名付けられて大喜利――――」

ガーネット

ドクターストォーップ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵戦力は全てアンデッド系列のモンスター。数にして、およそ6千強程。

うち数体はかなり高位のアンデッドだと見受けられました」

 

「高位アンデッド…。

スーキュ殿、それらの特徴を教えてもらえるだろうか?もしかしたら私の知る者かもしれない」

 

所変わって、今度はリザードマン側の司令本部。

小さき牙(スモール・ファング)族族長スーキュ・ジュジュが偵察の結果を伝え、それに対し赤いバンダナの親衛隊深海魚人(インスマス・ロイヤルガード)が質問を投げかける。

 

…彼女の名はアンディ、機密保持の観点で不安の残る主人デルモんに代わり、“仮の”インスマス軍指導者として出席している上級インスマスである。いくら族長の一部からの推薦があるとは言え、まだ過半数の信用が勝ち取れていない…故に慎重かつ誠実な対応を彼女は心掛けていた。

 

「えぇ…先ずは約2~3m程の、甲冑に巨大な楯、そして波打つような剣が特徴的な個体です。

こちらが一番目立ちました。数は百体ほどでしょうか」

 

「波打つような…成程、死の騎士(デス・ナイト)か」

 

「アンディ殿、何か知っているのか?」

 

「とても良く。

…魚神様は勿論、我々インスマスにとってはそこまで苦でもない相手だが…ここに居る全てのリザードマンには天敵となり得る存在だ。

失礼を承知で言うが…正直それを百数体とは、余りにも過剰だ」

 

「むぅ。

つまりそのデス・ナイトとやらは、インスマス軍に合わせた戦力…ということだな」

 

「あいても せっこう むかわせてた?」

 

「恐らくそうでしょうね。

…十分に周囲は警戒していたハズなのに」

 

「間違いなく魔術的な斥候だろう、対策には最低でも第四位階の魔法が必要となる」

 

十分高位である筈の第四位階魔法を“最低限”と評する彼女に集った族長たちは再び慄く。

何かのハッタリとして処理する事も出来たが、そんな単調な嘘を付く理由が何処にもないし、現に今敵として立ちはだかっているアンデッド軍団は確かに第四位階相当の魔法を行使してきた。

 

敵も規格外だが味方も味方で規格外…最早伝説や神話の域に達しているこの戦い、我々が付いて行けるものなのか?そのような不安がリザードマン達を襲う。

 

 

しかし自分たちが弱気になる訳にはいかない…例え明日の朝が来なくとも、あらゆる全てで道筋を輝かすのが族長らの使命なのだ。

 

「…話がそれましたな。

他にも上位アンデッドは――――」

 

再び、敵戦力の情報をスーキュが共有する。

 

「――――後はごく低位のスケルトンやゾンビといったものが大多数でした。

恐らくは人間の死体を利用したものかと」

 

「先手を打とうにも、あのデスなんちゃらがいるのか…」

 

参ったなこりゃ…ゼンベルがそう頭を抱えている隣で「いや…」とアンディが呟いた。

 

「まだ、何か他にあるのか?」

 

「あぁ。

――――奴ら、恐らくは魚神様の存在に気が付いていない。隠し玉があるにしても、プレイヤーキルまで考慮した戦力としては余りにも中途半端だ」

 

「でも…彼女をそう簡単に前線へと出すわけには行かないわ。

もし下手にカードを切れば、望まぬタイミングで敵の最高戦力を呼び寄せるかも」

 

「それについては問題ない…我が神には、指揮官系のスキルがある。

それを行使する程度なら早々にバレないだろう」

 

多少の工夫がいるが…と、その手段を幾つか模索する隣で、鋭き尻尾(レイザーテイル)族族長キュクー・ズーズーが疑問を抱いた。四至宝の一つである白竜の骨鎧(ホワイト・ドラゴン・ボーン)の副作用で知能が低下しているようだが、元がリザードマン屈指の賢者と呼ばれていただけに最低限の知能は保持できたようだ。

 

「しきかん…?」

 

「あぁ。

自身が所属するチーム或いは軍に恩恵を与えるものだ。それも多少のモノではない…リザードマンで言えば、兵1体につきそこのザリュース殿程の力を持つ事になる」

 

三度、リザードマン達がざわつく。

話に上がったザリュースは、彼らの至宝の一つである【凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)】を持つ、リザードマン最強の戦士だ。

 

その戦力を、末端の…それも若く未熟な戦士の一人一人が持つのだと思えば、その効果は絶大なものとなる。沸き立たない訳がなかった…最早それは灯火等と言う細やかなものではない、もっと大きな“太陽”そのものだった。

 

 

「成程な、正真正銘“神のご加護”ってワケか」

 

「そうだともゼンベル殿。

――――異教の神だが、問題ないか?」

 

彼女は問いかけつつ、周りの族長たちを見回した。

…彼らに否定の意は見受けられなかった。技術だろうと戦術だろうと、この機に惜しんで無駄にする気はないようだ。

 

「だいじょーぶ」

 

「問題ないさ…何が何でも勝たなければ」

 

「…そうか。

とは言え魚神様の隠蔽及びにリザードマン達の士気も考慮し、効果はそちら側の信仰対象によるものとする演出を行うのは如何か?」

 

「それは有難いが…インスマス達は問題ないのか?」

 

「我々はあくまで召喚物、主の御心に従うまでだ。

…我が神は、下手にそちらの社会への影響を残す事を望んではいない」

 

何から何まで、余りにも自分たちにとって都合が良すぎる条件。

インスマス側への利益が見えない状況に、最初に出会った3人以外の族長たちは少し身構える程だった。

 

 

その空気を察してか、リザードマンの中で最もデルモんについて知るゼンベルが口を開く。

 

「ま、アイツが“そう”思ってんなら…そうだな、なーんも問題は無ェ。

善意100%ってヤツよ。俺より賢いが、俺以上にやかましい腹の探り合いにゃ向かねぇよ」

 

「ゼンベルの言う通りね。

致命的に素直だったから」

 

「そうだな…(はかりごと)が出来る様には思えなかった」

 

3人の言い分に、何処か解れていなかった他族長の警戒が、かなり氷解した。

 

「むう…お前達がそう言うのならば…。

――――所で、彼女の方は大丈夫なのか?」

 

デルモんの隠ぺい状況について質問する緑爪(グリーンクロー)族族長シャースーリュー・シャシャの問いに、アンディは首を縦に振って応えた。

 

 

…セキュリティの関係上、口には出さなかったが彼女の身の回りにはとても厳重な偽装工作が施されている。

 

先ず基本的な部分として戦場となる湿地からやや離れた集落の民家の一つに彼女を匿い、その上でロイヤルガードを敢えて警備には付けず、緊急時の連絡役としてインスマス一般兵を一人常駐させているだけだ。

ロイヤルガードは今族長とアンディが集っている家屋を厳重に警備している。

 

さらに彼女自身にも、もし(例えば先の魔術的偵察によって)覗かれた場合に備えて変装をし、インスマスの未成熟者だと思わせるように仕向けている。彼らが流れ者だとして、子供が一人や二人いるのさして不自然ではないし、それを手の届くギリギリまで遠ざけるのも自然な行為だ。寧ろ“召喚物”である事を悟らせない、良いブラフともなり得る。

 

 

 

…ともあれ、それらが吉と出るか凶と出るか。

全てはもうじき開かれる戦が結果を語るのだ…全ての苦難と努力は、その瞬間の為に。

 

 

 




ぶっちゃけ…んとね、コキュートスのセリフかなーり気を使うんだよね。
カタカナだから、下手にセリフ長くするとひらがなよりも見づらくなりがちだし…感じとの組み合わせも割と。



というか、もうやだぁああああ!頭使う話もう書きたくないぃいいいい!


それとアンケートの方は次の話までには閉じておきますね。

後書きのオリジナル設定集要るかな?

  • 要るからリリュのセクハラ削れ
  • 要らんからリリュのセクハラ増やせ
  • リリュのセクハラ削らなくていいから書け
  • どむ・しゅとぅっつあー(無効票)
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