嘗て至高だった父へ【OVERLOAD】   作:エーブリス

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なんか無効票のドムドムバーガーが人気なので、本二次小説ではアウラがアニメ二期序盤辺りでペストーニャに作ってもらっていたのはドムドムバーガーという事になりました。




んでんで、今更気が付いたけどザリュースの声優、クリス・レッドフィールドと同じなんだね。


第14話

 

――――一体…何が?

ザリュースの呻くような声が、彼自身の意識を覚醒させるように…再びその視界に光が灯った。

 

彼を必死に揺らすクルシュの姿が先ず飛び込んだのち、まだ朧げな聴覚が幾つかの爆裂音を拾った。まだ戦が終わっていない事を悟ると、ふらつく身体をどうにか起こし、愛剣フロストペインを握り直して、迫りくるたった一つの究極的な脅威へと備えた。

 

 

最前線はアンディ率いるインスマスの親衛隊、そして敵と体格が近いロロロが抑えている…が、どうにも長く持ちそうにない。

その余波で吹っ飛ばされ、転がって来たゼンベルはザリュースに気が付くと、すかさず声を掛けた。

 

「無事だったか、ザリュース。

かっこいい(オス)の背中を見せてもらったのはいいが、それで死んじゃいけねえや」

 

「ゼンベル…随分傷だらけだが」

 

「なぁにこんなもん、ツバ付けりゃ治る!

それにこちとら、折角のパーフェクトゲームをおじゃんにされて虫の居所が悪ぃんだ…!」

 

パーフェクトゲーム…というのは、準備時に彼とデルモん(ダゴンの子)が話していた内容の事だろうと…その時の会話を聞いていたザリュースは合点がいっていた。

 

 

既に、集合する死体の巨人(ネクロスウォーム・ジャイアント)にも似た巨大生物が湿地へと落下して来てから日が傾く程の時間が経っている…味方が消耗し切る前に、決着を着けなければならない。

 

「奴らニ…死をあタえんッ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~いつかの記憶~

今でも、あの人が悔しさで泣きじゃくる姿を覚えている

町田家の次女

「あわわ、わわ、あわわわわわわわ………!

ね、ねね、ねーねー!、こ、この書き込みさ、もしかしてわわわ、私達の!?」

確かに…この世界は希望なんて無かった

町田家の末っ子

「相ッ変わらず馬鹿ねアンタ。

PvPなんてユグドラシルのそこら中でやってるんだし、そもそも掲示板の書き込みなんて半数が偏屈人間のヤツなんだから気にするだけ無駄よ」

その途中で、変わり果てて壊れてしまった子もいた

町田家の三女

「しかもそのコテハン、かなり悪名高い人じゃないですか…所謂【リプ欄が地獄】の常連です」

彼の感情の薄さは相変わらずだった

町田家の末っ子

「やっぱそーじゃん、ハイ撤収撤収。

所で深海魚神(ダゴン)の情報集められたの?」

それでも私達は、結局のところは幸せになれた

町田家の次女

「わっかんないよーー!

みーんなインスマスが硬いとかウザいとかばっかりでプレイヤー種族としての情報は話さないしー、かといってニャル測はウソばっかりって話だしー」

あの■■■という形ではないけれど、もっと寄り添える形で集まれた

町田家の三女

「一応ニャル測のダゴンのページ見てみますね…。

…あ、あの…ものすごく、アクセス数が…」

あなたの祈りは価値を作ったの

町田家の末っ子

「何………うっわ少なっ!www、嘘でしょ?ここ1か月でアクセス数が2とか」

至高じゃなくたって、普通でもいい

町田家の三女

「つまり…ダゴンの運用はサヨちゃん自身で切り拓くしか無い、と………」

私とあなただけではない、当たり前のような幸せをありがとう

町田家の次女

「うわぁあああああああああああああああ!!!そんなぁああああああああああ!!!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元よりは“それ”が落ちて来たのが始まりだった。

リザードマン連合側に大きく傾いていた戦局は一気に瓦解…リザードマン・インスマス問わない多数の死者を出しながら、しかし悪夢は終わらなかった。

 

悪夢は“巨大な半不定形の怪物”という形で続いた。

 

 

その自らをイグヴァと名乗った怪物は、最下級とは言え防御力に定評のあるインスマス兵でさえ数撃…酷い時にはたったの一撃で次々と葬り、正に生物災害の名を恣に連合軍への被害を拡大していった。

 

イグヴァが用いる攻撃はただ体格に身を任せた重撃だけではない、身体の至る所より放たれる(と言うより、撒き散らされる)強力な火球(ファイヤーボール)雷撃(サンダーボルト)…これこそが真の脅威であるのだ。

 

その様を災害と呼ばずして語り尽くせるものでは無いだろう。

 

 

対して、シャースーリューを筆頭とする族長ら指揮官兼別動隊の面子は遂に自らの出陣を決意。

 

その際アンディが主人であるデルモんの持つ効果付与スキル(と言うよりダゴン及びインスマスそのもの)が多頭水蛇(ヒュドラ)とのシナジーが存在する事に気が付き、厳重な隠ぺい工作の元に件のヒュドラであるロロロへと能力強化及びに、火属性ダメージへの絶対的耐性を得られるスキル強化も施した。

 

これによりヒュドラの大きな弱点である炎を遮断。

代償として雷ダメージの通りが良くなってしまうが、そこは元来の強力なものにブーストまでかけた自然治癒で相殺できる。

 

 

準備が整うと彼らはすぐさま突撃を決行、目論見通りロロロは飛来するファイヤーボールの弾幕を全て防ぎきりサンダーボルトにも耐え、イグヴァとの肉薄にも成功。

 

二の矢としてザリュースがロロロの右から3番目の頭(以下頭を「一郎、二郎…」と表記)から飛び掛かり、絶技【氷結爆散(アイシーバースト)】を放とうとした――――そこからここまでの成功を裏返すような不幸が続いたのだ。

 

 

先ずその一撃は、イグヴァが何気なく振るっていた触手の一本*1に偶然弾かれて後方へと飛ばされ、その着地地点が運悪くクルシュの立ち位置と重なり、二人は絡まり合うように衝突。

 

立ち直りこそ早かったが、間髪入れずにその二人の元へ、イグヴァとロロロの衝突によって吹っ飛ばされてきた先の飛行物体(V2ロケット)残骸が襲う。咄嗟にザリュースが弾き飛ばした事により、クルシュは無事だったが直撃を喰らった彼は昏睡状態に陥ってしまった。

 

幸い、残骸が落ちて来た角度と元から付与されていた数々のバフ…それにロロロに掛けられた防護が触れた味方にも薄く伝染する仕様でなければ、この時点で間違いなく彼は死んでいただろう。

 

 

 

…以上が、冒頭の場面までのあらましである。

そして現在クルシュが回復魔法を施した事によりザリュースとゼンベルは再び戦へと向かえる程の体力を取り戻した。

 

「行けるな?ゼンベル」

 

「おうよ。

…俺と植物系モンスターは左足への攻撃に加わる、右足への加勢は頼んだぜ」

 

「あぁ!」

 

ロロロの一郎と四郎が敵の両手にそれぞれ噛みつき、その重撃を止めた瞬間に3人は前線復帰を果たし、当初の打ち合わせ通りにゼンベルとクルシュが(イグヴァの)左足へ、そしてザリュースは右足へと突撃した。

 

 

ロロロを除く別動隊の皆はイグヴァとの体格差に開きがあり、効果的な攻撃は容易に届く者ではない。

故に一度その獣竜のような足を砕き、体幹を崩す作戦へと移るのはごく普通かつ有効的であった。

 

「羽虫ガぁ…!纏わリツくナ!」

 

元がエルダーリッチであった事が嘘のような知性の無い癇癪で暴れ続ける巨体の、その隙間という隙間を縫ってザリュースは攻撃を数回ヒットさせる。

 

「ッ…!(身体が、軽い…軽すぎるッ。これがダゴンの力)」

 

デルモんより施された強力なバフの効果を実感しながら、彼はとんぼ返りのように再び右足へと突っ込み、更に多い連撃を加える。その勢いのまま、跳んだ先に居た兄シャースーリューと並び立った。

 

此方もこちらで、攻撃魔法の嵐を加えたまま大剣で足の腱にあたる所を切り裂いて引いてきた所である。

 

 

「むぅ、やはり硬いな…!

――――!、ザリュース!無事だったか」

 

「クルシュのおかげだ、兄者。

しかし…中々に崩れない。ロイヤルガード達も攻撃に参加していると言うのにッ――――っと!」

 

「時間が経ち過ぎている…ロロロの防護壁も、そしてあの幼神――――ダゴンの加護も何時まで持つのか分からん」

 

短期決戦を望む二人の元に、アンディがイグヴァの胴体を足場にして、まるでサーカスの曲芸のような動きで降りて来た。重い鎧を身に纏いながら、良くやれるものである。

 

 

「アンディ!

どうする、流石に今回は防御陣形が得策とは思えん」

 

「分かっているさ!策もある、一応…」

 

三又槍を握り直した彼女は、ジロリと村の方角を見た。

 

「…まさか、また“奇跡”を呼ぶのか?」

 

「ダメだ!危険すぎる!

今戦っているのが、敵の最高戦力とは限らんのだぞ!」

 

シャースーリューが大剣で触手を捌きながら、アンディの策を否定した。

…彼もそうだが、指揮官の誰もが此度の戦闘は彼らリザードマン達を試す目的がある事を薄々感じて居る…まだデルモんを前線に出すのはマズいと心の何処かで叫んでいるようだった。

 

しかし彼女とて無策ではない。

イグヴァから十分な距離を取り、

 

「…前線を、村の手前まで下げる。

そこならば魚神様が捕捉される可能性は低い、そこでなら我々ロイヤルガードの“合わせ技”だと勘違いさせ易いだろう。

後は視界さえ塞げれば…」

 

「作戦自体は納得したが、生憎視界を塞ぐ手立ては――――」

 

二人の会話を遮る様に、ザリュースが「わかった」と、視界不良化の手段について名乗りを上げた。

 

「ザリュース…!

出来るのか?」

 

「俺のフロストペインならば、或いは…いいな?兄者」

 

「…ああ!

俺は左足側にいる族長達に伝えに行く!ザリュースはロロロに、そしてアンディ殿は前線のインスマス達…そしてダゴン本人に頼むぞ!」

 

「おう!」「了解した!」

 

打開策の方向性が定まり、3人はそれぞれ任された者への情報伝達に向かった。

 

 

火球や雷撃を掻い潜り、ロロロの元へとたどり着いた彼は、イグヴァの攻撃をやり過ごす為に縮まっていた二郎の耳元へと駆け寄った。

 

「ロロロ、一度下がるんだ。

出来るかぎり皆と足並みを合わせて…いいな?」

 

彼は相棒の大きな目をじつと見つめた。

この欠落したヒュドラには、他の同種と同じく獣程度の知能しかない…が、幼い時から面倒を見てくれた主人の言いたい事は理解する事は十分に出来る。

 

 

作戦を理解したロロロは、今まさにイグヴァの膂力によって“競り負けたように”押し返されていた。

 

「【大地の束縛(アース・バインド)】ッ!」

 

それを手助けする様に、クルシュが魔法によって敵の右足に蔦を巻き付けた。

…しかしそれも拘束力が足りあっという間に引き千切られ、抜けられてしまう。

 

「小癪なア!」

 

伸びた触手が、クルシュへと襲い掛かるがそれらは全てスーキュがスリングショットで撃ち落とし、更にイグヴァの身体を駆けあがったキュクーが触手の数本を根本より断ち切った。

 

 

そうだ…少しずつ、少しずつ。

敵に戦略的撤退を悟らせることなく、体力と精神を削りながら行う釣野伏せ或いはチャーリーダウン作戦は、刻一刻と運命の瞬間へと近づいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~いつかの記憶~

 

ランドナ

「四インチのドリルの話、あるじゃないですか。

客が欲しいのはドリルじゃなくって、四インチの穴が開いたという結果そのもの…別にドリルである必要は無いって奴です」

 

モモンガ

「古くからあるマーケティングの格言…らしいですね」

 

ランドナ

「その通り…しかし、エンジニアの僕から言わせてもらうと、正直穴開ける道具がドリルであるに越した事はありません。

代替品は非常事態にだけあればいい、使い慣れた道具は仕事が上手くいく要因の一つです」

 

モモンガ

「ええ、まあそれは…」

 

ランドナ

「それこそ、多少値が張って尚且つ苦労をしてでもより良いドリルを手に入れたい…雇い先から支給される微妙な品質の道具なんて、最悪それが事故や死を招きますよ。

敢えて言うなれば――――なんにでも容易く穴を空ける、最強のドリルって所ですかね?いいドリルって」

 

モモンガ

「そんなにドリルの貫通性って欲しくなるんですか?」

 

ランドナ

「僕の業務内容だと特に、あと静穏性。

とは言えそういうドリルって少々扱い辛いし穴の仕上がりもやや悪い事が多いんですが………ま、そんなものは“誰も見ない”上に“穴が開いても問題ない”所でガーッ!っとやっちまえば大抵問題ありません」

 

モモンガ

「そんな都合のいい所ってあるんですか?」

 

ランドナ

「あるとも言い切れないですが、無いとも言い切れませんよ。

――――それで、この話の纏めですけど」

 

モモンガ

「え、え…?(何が言いたかったんだ…?)」

 

 

ランドナ

「まず一つはね、■■■社はクソ。

皆さんを僕個人がショットガン作りたいが為に顎で使っているってタイミングで裏口から割り込みで仕事入れて来て、尚且つクソ品質の支給品を無理やり使わせて、挙句の果てに変な所怪我させて、トドメに難癖付けて報酬減らそうとまでしてきた。

次は今回の20倍の金積まないと受けねぇぞあいつ等」

 

モモンガ

「(あぁ、あの会社って一際ヤバい噂ばっかりだしなぁ…それにショットガンの件は、そもそもランドナさんに手伝わせっぱなしだった事もあるし)いや、まぁ…アインズ・ウール・ゴウンは困った時はお互い様ですよ」

 

ランドナ

「いやぁ、本当に申し訳ない。

――――そしてもう一つ」

 

モモンガ

「はい?」

 

ランドナ

「…さっきのキレ方、無かった事になりませんかね?

なんか柄にもなくやってみたけれど、クソ程失敗した感が拭えなくって」

 

モモンガ

「えぇ…(やっぱこの人、大分感覚で動いて無いか?)」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指令部の一角で身を隠していたデルモんへ、アンディからの伝言(メッセージ)が飛んできた。

 

『聞こえますか?デルモ様』

 

「うん、聞こえるよアンディ。

どうしたの?バフの追加注文?」

 

『いいえ…砲撃支援の要請にございます』

 

「わかった、今からババーッ!っと特大水砲を『お待ちを、それでは敵に存在を悟られます』あ…そうだね。

作戦があるんだよね?」

 

『ご察しの通り。

既に対象を指令本部まで誘い込んでいます…念の為更に引きつけ、そしてザリュース殿が敵の視界を封じた所で――――』

 

「隠れながら、飛び出してドカンだね?分かった」

 

作戦内容を聞き終えた彼女は、建物の物陰から外を見た。

確かに“バイオなハザード的な怪物”が、縦横無尽に大暴れしながら近づいているのが見える。

 

 

遂に来た…と、奮い立つ彼女の身体から白い煙が沸き立つ。

一個下の妹(カーキィ)から「1990年代の萌えアニメの人外系娘じゃん」とか何とか言われた人間態…それに覆いかぶさるように展開した鱗状の装甲が、露出している皮膚を覆い隠していく。

 

その一連の“変身”が完了すると、今度は同じくらい古い特撮の悪役幹部(ビルゲ○ア)然とした外見へと変化した。

一歩踏み出すたびにガシャリガシャリと音の響く甲冑姿で、デルモんは入り口の前に立つ。

 

 

 

 

一方イグヴァは、クルシュが召喚魔法で呼び出した湿地の巨腕(スナップ・グラスプ)の手足をもぎ取り、胴体を踏み砕いて異臭放つ()()()()を湿地に撒き散らすや否や、足に付いたカニ臭を気にする事も無く…近づいていたゼンベルへと意識を向ける。

 

「くタばれィ!」

 

「嫌なこった!

抵抗する屈強な肉体(レジスタンス・マッシブ)】!――――うぐぉあッ!」

 

防御系のスキルを発動するも、それすら紙吹雪のように容易く突き飛ばす触手攻撃によってゼンベルは防壁へと叩きつけられてしまった。

 

幸い、防壁自体はインスマスの介入により強度がかなり増していたので無事だった。

しかしゼンベル自身はそうでもないようだ。

 

「うぐ…クソが」

 

満身創痍で身体を起こす中、彼はもう一人…スーキュが雷撃を喰らって倒れ伏す瞬間を目撃した。

直後にピクリと動くのも見たので死に至ってはいないだろうが…やはり動けないようだ。

 

続いてキュクー、シャースーリュー、そしてクルシュまでもが敵の攻撃…或いはその余波で遂に力尽き、戦闘不能状態へと陥ってしまう。無理もない…敵に悟られぬ様、ジワジワと時間をかけて戦術的撤退を行ったのだ。それも持久力に優れるアンデッド相手に。

 

 

「…バケモノめ。

我々の数は?」

 

「もう3人減った…。

隊長のアンディが残っているだけ御の字だが………やるしかない」

 

インスマス達も大分数を減らした、精々アンディら数人が息を切らしながら誘導の調整を行っている程度。

 

しかし、今肝心なのは彼女らでは無く、まだまだ余力の残るザリュースだった。

作戦の要の一つである彼に回復を集中させた為、リザードマンの中で彼だけが今も戦えるのだ。

 

 

「(畜生…もうすぐかっこいいオスの背中が見られるって時によ…俺はこう、カッコ悪く地べた這って逃げにゃならねぇなんてよ)ま、仕方ねぇや。アイツや…それに、あのお魚野郎の鉄拳制裁を、しっかり………がふッ!」

 

ゼンベルが血を吐いた!

どうにもマズイ所を打ったらしく、意識が少し飛びかけてくる。

 

 

――――しかし決着の瞬間は近かった。

アンディが大きく飛びのくのと入れ替わり、駆け出したザリュースがフロストペインを逆手にイグヴァへと近づく。

 

「へへ…遂に、きやがった…!」

 

ゼンベルは己が死ぬ可能性など顧みず、再び身体を起こし、英雄の突貫をしかと見届ける…!

 

「いいぜぇ、いいぜぇザリュース…ダゴン…!

――――ぶちかませぇ!!

 

更には叫んだ!

自分の命が何だ、俺達の英雄が命張ってるってんだ!そんな強烈な感情が籠ったエールが、ザリュースへと届いたのだろうか――――

 

 

 

 

「(ゼンベル…クルシュ…兄者、そして皆…ありがとう、それしか…言葉が…!)氷結爆散(アイシーバースト)】ォォォォォォォォォ――――ッ!!!

 

――――放たれたその絶技の威力は、過去使われたどの瞬間よりも強力なものとなった。

 

「っ…――(後は、任せたぞ…ダゴン!)」

 

しかし相手はアンデッド。

吹き荒れた氷結波は、一寸先すら漂白されるホワイトアウトを引き起こしたが…与えたダメージは僅かにも満たない。

 

だが!それで良い、とても良い。

敵の視界を邪魔しただけ?大いに結構!全くもって十分、いいやそれ以上だ!それこそ此度のアイシーバーストが目論んだ狙いなのだ、上記の“一寸先すら漂白されるホワイトアウト”こそザリュースが狙った瞬間!

 

 

 

イグヴァは最早何も見えない…何も感じて居ない。

視覚は勿論、吹き荒れる猛吹雪に聴覚さえ潰され、近づく最大の脅威に気付きさえしていないのだ…!

 

「何、ガ…。

――――――――ッ!?!?!?」

 

漸くその気配に気が付いた時――――それは怪物の目の上で、黒い影を下ろしながら迫っていた。

隠す気も無く解き放たれる、尋常でない殺気は…イグヴァに己が主人(アインズ)の姿をフラッシュバックさせるのに十分過ぎた。

 

 

「あァ、アアあ…あぁアあアア…ッ」

 

「【深積(ディープ)…――――」

 

深く構えた愛剣【土星ダーツ】の切っ先には、押し固められた海流が轟々と蠢いている。

それが解放されればどうなるか…知性の低下したイグヴァにも見えていた。

 

「…お、ツた、え…シなケ、れば…ッ!!」

 

――――…圧砲(ブラスト)】ッ!!!!

 

ばしゅっ――――と、水とは思えない鋭い轟音を響かせた後…イグヴァの身体は粉々に飛び散った。

 

負けたとか、そんな馬鹿なとか、何も考える隙すら与えられず…身体の一切合切が挽肉と化し、偽りの生命に幕を閉じたこのエルダーリッチは、やがて肉体の腐敗が進み、その欠片さえこの世から一つ残らず消滅したのだった。

 

 

「やっ、た…みたい、ね」

 

「あぁ…ここまで、すり減らした…甲斐が、あった」

 

その様を、這いずり寄りながら共に眺めていたザリュースとクルシュ。

二人が見つめるのは、それと…ぽっかり穴の開いた防壁。

 

…あの一撃の瞬間、スキルの反動でデルモんは後方へと吹っ飛んでいたのだ。

 

 

しばしの空中飛行の後、一つの民家へと頭から突っ込んだ彼女。

暫しの真顔を見せた後…えへっ、とお茶目に笑ったのだった。

 

「リコイル制御、失敗しちゃった~…」

 

 

この瞬間、リザードマン連合の“一旦の”勝利が確定したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
かなり不規則な動きをしていた




もう少し引き伸ばすべきだったか、それとも。と言うか最後のトドメは原作のスキル使いたかったけど…wikiしらしても、ちょうど良いスキルが無かった為オリジナルとなりましたわ。

ともあれ次回でダゴン子㏌トカゲ村編終了となります。

設定集、12話後書きみたいな形でどうかな?

  • アリだと思われ
  • 普通に後書きに書いて
  • 貼る必要も書く必要もない、他で勝手に
  • どむどむばーがー(無効票)
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