嘗て至高だった父へ【OVERLOAD】   作:エーブリス

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ぶっちゃけると今回、すこし水増し感が抜けないのなんの。


と言うのも、もう物語の一節に王手をかけられるけど、それでもここで終わって次の章へと移行しまうには味気なないなぁ…って具合に感じてまして。

だから今のうちにあらゆる場所に種を撒いておこうかなって。


第22話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おい」

 

「あぁ…かまいたちが吹いた。

…いいや、アレは(いたち)などとヤワな生物で語れるタマじゃねえ」

 

「全くだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~かつての記憶~

 

「…確かに、今日からの立場なら耳に挟むでしょうね。

やはり貴方は素晴らしい人間だ、だからこれ以上は聞くべきではない」

 

「それは…!」

 

「いや、最早「これ以上」という言葉も適切ではありませんね。

――――何か、質問がありましたか?」

 

「えっ?」

 

「いやぁ、てっきり何か質問があるものかと勘違いしてしまいまして。

申し訳ない。変な事を聞いてしまい」

 

「ッ…!」

 

 

「きっと、こんな事を言われたら…貴方は俺を許さないでしょう。

しかし…そこは情報の禁足地だ、貴方の正義を貫けば全てが祟られてしまう。

脅しと捉えられても仕方ありません。しかし貴方が真に、貴方の奥さんとお子さんとの“平和”を守りたいと考えるのなら…」

 

「…ここで、手を引けと」

 

「その事実さえ存在を許してはいけないのです。

貴方は何も問わなかった、私も質問なんて聞いちゃいない」

 

「…。

分かりました、ありがとうございます」

 

「えぇ、すみません…僕のせいで、最後がこんなものになってしまって。

――――何はともあれ、ご昇進おめでとうございます」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伯爵だか子爵だか、その序列の爵位を持った貴族。

一度はその者の屋敷前に集められた臨時のエ・ランテル冒険者による調査隊は、既にトブの大森林へと突入していた。

 

 

「…おい見ろ、滑車弓。

此処にも足跡がある…どう見える?」

 

「これは…ふむ、深いし、長いな。

人間のモノであるのは明白ですが、女性にしては重すぎる。しかもガニ股だ…確か男女2人ずつのチームでしたよね?そのシルバー級って」

 

「あぁ、そして女の方はどちらも軽戦士(フェンサー)森司祭(ドルイド)と、重装をするような役職じゃあない。だが…確か男の方がやたら大層な全身鎧を纏っていたという情報がある。

シルバー級のくせに…実家が太いのか」

 

「それならばこの足跡の深さにも頷けます。

後、この素人臭い道選び」

 

ジョナサンへと問いかけた、ミスリル級冒険者の女性は「全くだ…」と言いながら、彼を後にして先へと進んだ。

 

…そちらは足跡の主とは違い、森林での行動において基礎となる“アウェアネス(気づき)”を尊重した森の声に耳を傾け、しかし自身の痕跡を一切残さないプロの斥候(スカウト)らしい動きを見せていた。

 

 

信頼が出来るが、故に読み易い動きだ。

 

「…凄ぇな、ジョン。

こんな足跡一つからどれだけの情報が得られるんだ」

 

関心した様子のダズが、ジョナサンへの背後より話す。

 

「スカウトの仕事だからね、こういうのが。

この足跡もそうだが、他にも草木の異変や、空気の動き…キャリーオーバー(名残・影響)。それがどんなに小さなものでも追跡者(トラッカー)気付いて、読み解けるだけの情報を読んでいかなきゃダメなのさ」

 

「ふーん…多すぎて、俺にゃどれも読めそうにねぇな」

 

彼はそうして「ほら」と、足跡の延長にある折れた枝を指差した。

ソレを見ながらある記憶にアクセスする――――嘗てある盟友(ブルー・プラネット)が残した、自然に関する膨大な文献だ。

 

 

「この乾き具合は、そうだな…少なくとも3日以上は折られてから経過していると見ていいな」

 

「3日以上…。

例の第一発見者の情報とガッチリ合うな」

 

「そう言う事」

 

折れて暫く経ったというその枝。

その乾いた傷口をつられて見ながら、ダズの丁度真後ろにいたクーランは「にしてもよ…」とぼやいた。

 

 

「なんかよ、あのミスリル…なーんか鼻につかねえか?」

 

「さあ、どうだろうね。

少なくとも階級的には彼方さんが上ではある」

 

「そうだけどよ…あの英雄モモンを見てから何となく思うんだけど、やっぱり違ぇって感じがするんだ。

本当にすげえ奴は、立ち位置にかまけて人を見下したりしないって」

 

「本当に強い人間なんて、そうそう現れないって事さ」

 

「全く違いない。

…だがクーランの言う事も分かるぜ、俺は。何たって俺達のジョンを顎で使いやがってよ」

 

ダズが吐き出した不満に「そうだそうだ」とクーランが同調し、その様子を見たジョナサンは「そんな…」とむずがゆそうな様子を見せ、己の後頭部を軽くさすった。

 

 

「僕が一番の新入りなんだぜ?

そこまでメアリースーされる資格なんて、僕にあるのか……」

 

因みにだが2130年代において「メアリースー」とは動詞であり、最早ミームの継承に次ぐ継承によって100年程前とは遠からず近からず…或いは似て非なる意味合いで(ごく一部の層にて)使われている様だ。

 

「なぁに言ってんだ。

メリーだかショウだかしらねーけど、どれだけ俺達があんたに助けられたと思ってんだ!」

 

「全くだ、アンタは俺達のいいパートナーだよ。な?」

 

いいパートナー…そう言われてか、ジョナサンは一度足を止めた。

そして彼は見渡す…トブの森の、木々や小動物たち。そして自分を含めた、冒険者というこの大森林への来訪者の数々。

 

まるで澄み渡る風であるかのように、それらの情報を肌で感じ始め――――最後に後方の二人へと、その屈託のない笑顔を向けた。

最も、それは仮面で隠れており…見えたとしても種族の違いから理解されないのだが。

 

 

「――――ああ、最高のパートナーさ」

 

「おぉ、ビックリさせんじゃねー」

 

「急に立ち止まって、何かと思えば…。

…ともあれ、今の内にそのパートナーに次ぐけどよ」

 

仲間たちとの現実に戻った彼は、ダズの小声へと耳を傾けた。

 

「何だいダズ」

 

「正直、今回の仕事はヤバい。

何か…言葉じゃ難しいんだが、もうどうにもならないような、絶望ってやつか?そう言うのが近づいている感じがする」

 

先ほどの飄々とした余裕を感じさせる表情とは違い、何処かに潜む凶刃への警戒を見つけんとする目をする彼に、ジョナサンは「それは分かってる」と何時もと変わらぬ冷静さで答えた。

 

「イナミさんとも話したよ。

とは言え未知の探索だから当たり前じゃないかな?」

 

「うーん、確かにそりゃそうだが」

 

「そんなに心配なら…」

 

ジョナサンは歩きながら、より後方を歩くヴェルレーヌを指差す。

もうこれ以上の言葉なんて必要無いように思えるが、敢えて彼は声に出した。

 

 

「…“真の意味でのパートナー”の心配をした方が良いんじゃないか?」

 

「あ、ああ、あぁ…そう、だよな」

 

そうしてダズは、何か歯切れの悪い返事を残し彼女の元へと向かって行った。

 

 

「…喧嘩した?あの二人」

 

「いいやその逆だ。

ヤったんだよ、初めて」

 

「――――はい?」

 

正直、今のクーランによる発言を彼は信じる事が出来なかった。

ジョナサンは初対面からあの自称純愛カップルの様子を良く見ているから猶更だ…まさかあの外見の男が、いままで童貞(チェリーボーイ)であった等と。

 

…最も、ヴェルレーヌが処女であったかは少々怪しいが。

 

 

「冗談は止してくれ…どんなに少なく見積もってもいままで3回はシてたんじゃないのか?」

 

「いやぁマジマジ。

今まで寸止めだったけどよ…今回に限ってはマジで挿入まで行ってたんだぜ。それでちょっとヤりすぎちまって、少し…何てか、アレになってんだ」

 

「そうか…そんな初心だったとは。

――――で、クーラン。何で詳しく知っているんだい?他人のプライベートを」

 

急な切り替えしで跳んできた質問に、クーランは面白いくらい飛び上がる。

 

「えッ!?い、いや…ほ、ほら、何というか…えー…」

 

「ウチは他メンバーの詮索は禁止。

…だったかな?」

 

「は、はは、ははは…いやぁ、みえちゃった、と言いますかぁ」

 

「………僕も男だから、気になるのは分かるよ。

けれどクーラン。前々から思ったがもう少し節度は持ったらどうなんだい?」

 

うへぇ…と、静かに説教された彼は目に見えるくらいに項垂れた。

 

 

「くっそぉ、この年になって説教されるとは…」

 

「(そういえばクーランの年齢って一体…種族的にヴェルレーヌとか、後リーダーと副リーダーも色々怪しいが…)所でナターシャは?」

 

「ん、あぁ。

あっちだ…金魚の垂れ下がるフンみてぇにライハルトもくっ付いてらぁ」

 

指差された方角を見れば、確かに足場の悪い獣道に苦戦するナターシャの姿があった。

ライハルトは彼女の手首を何とか握り、エスコートしながら進んでいる。

 

…女への耐性が随分と付いたものだ。

 

 

「割とどういう風の吹き回しなんだか…」

 

「どうだろうな。

大方、お前さんの娘がからかって遊んでいるだけじゃないかい?」

 

「そうだとしたら…全く。

あれほど業務は真面目に遂行しろと」

 

少し注意しに行く…と、進路を変えたジョナサンを「まあ待て待て」と、クーランが相変わらずの呑気な様子で引き留めた。

 

 

「いいじゃんいいじゃん、今回は前のヤルダ何とかん時ほどにも人が残りそうにも思えねぇし。

アレでナターシャの気が解れるってんなら、カッカする事もないんじゃねーのか?」

 

「――――あぁ、そうだね。

これが、最後に………いや、何も言わないでおくよ。ウチのチーム、どうやら僕の調子で占いをしてるみたいだからね」

 

「え?何ソレ」

 

「クーランは加わってないのか。

…まあ、何とかなるさ!割と多数が生き残るかもしれないっ!」

 

「おお、お?おぉ、おお!そうだな!

目指せ全員生存!」

 

「…ところで君、自分がタンクだという事を忘れてないだろうね?」

 

「い、いやぁ全く?」

 

とぼけたクーランの口笛が、そよ風に乗って森の中を突き抜ける。

その時にはチームはトブの大森林…そのかなり最深部に当たる場所を突き進んでいた。

 

 

 

オーバーロードたちの陰謀は何処までも蠢く。

“かれら”の…それぞれの“意思”に従い、賽は投げられたのだ。

 

誰もが抜け出すことが出来ない所まで到ったその時、起こされていた撃鉄が勢いよく振り下ろされ、号令の銃声が各々の耳元で囁き始める。

 

 

最早戻る事は無い…まるで、撃ち放たれた弾丸のように。

それは何かにぶち当たり、変形し、転がり落ちて野ざらしになるまで止まる事を知らないのだ。

 

たとえそれが最初から弾道の決まっていた出来レースだったとしても…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~かつての記憶~

 

UltraLeo(ランドナ)

「いやぁ、やっぱり4人でやると違いますねぇデッドスペース」

 

Taki_KURYU(獣王メコン川)

「ヤバいどうしよう。

結構怖いですねコレ」

 

BerilTB(タブラ・スマラグディナ)

「因みにマップとかアイテム配置とかランダム生成な上に任務タスクもバカみたいに種類多いので

 

TtoE(チグリス・ユーフラテス)

「こればっかりはドナさん先頭頼みますよ?」

 

UltraLeo(ランドナ)

「あいあいさー」

 

 

Taki_KURYU(獣王メコン川)

「にしても“アイザック・クラーク”って名前、何か元ネタがあるんですか?」

 

BerilTB(タブラ・スマラグディナ)

「所謂【三大SF作家】と呼ばれる小説家の内二人の名前を組み合わせたらしいですよ。

アイザック・アシモフとアーサー・C・クラーク」

 

UltraLeo(ランドナ)

「クラークの小説は大昔に読んだ事ありますね、ホント丁度幼年期って呼べるくらいに。

けどアシモフの小説って…何だったかな?ロボット三原則しか出てこないな」

 

BerilTB(タブラ・スマラグディナ)

「【夜来たる】とか、そうじゃありませんでしたっけ?」

 

TtoE(チグリス・ユーフラテス)

「でも雰囲気的にはなんだかラヴクラフトみたいで――――って、ギャアアアアア!ポクテだぁああ!?

 

BerilTB(タブラ・スマラグディナ)

「よしきた。

――――はい足!

 

UltraLeo(ランドナ)

腕ぇ!

――――解体完了!キネシスで持って行きますね」

 

Taki_KURYU(獣王メコン川)

「いや手際よ…」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず初めに、彼女は別に長女(ニモエル)の事を強く…いいや、それどころか微塵も嫌ってはいない。

偶にカーキィと彼女はどうも噛み合わず、酷い言葉で罵る事はあるが…それは薄い鉄のように熱しやすい、彼女の気質によるモノだ。本人もそれを自覚して、時に自己嫌悪へと陥る。

 

姉妹間の絆と信頼は本物だ。言うなれば疑い無き、本物の運命共同体。

不穏に思われるようだが此度、その言葉には嘘など存在しない…尊敬と好意は常に存在している。

最も、それを表に出す事は無いのだろうが。

 

 

 

その上で語ろう…彼女にとって長女とは、どこか“得体の知れない”存在だった。

 

 

「ありがとう、修行僧さん。

荷物はこれで全部よ。にしても一人で運べるなんて…私と背丈あまり変わらないのに

 

「どうって事ないわ、これくらい。

また何かあったら呼んでね…あまりウロチョロはしないから」

 

成り行きで立ち寄った村の力仕事を手伝った後、再び何処かの民家に体重をかけてくつろいだ。

…機械の身体は、全身を覆うボロ布のお陰で、ここの誰にも見られてはいない。

 

 

さて、話を長女ニモエルに対する主観へと戻そう。

カーキィから見れば、彼女の語る言葉は――時折ではあるが――同じ世界を生きた人間のように思えなかった。

 

その詳しい内容を覚えてはいなかった…何せ理解すら拒みたくなるのだから。

 

瞳さえ、写っている何かが余りにも怖すぎて覗けなかった。

自分を見ている様で…全く別の(それも悍ましい)モノを見ている様な、正に「人の形と人間性だけを持った怪生物」だったのだ。

 

 

それが今や、人間性は兎も角…姿形まで星海から迷い込んだ化け物と成ったのは皮肉なのだろうか。

或いは“あるべき形へと戻った”だけだったのか…。

 

何より怖くて――――だからこそ安心できるのは、それでも“自分が考え得る中で一番良い姉”であるという事実だ。

 

 

…最も、彼女の何処か意識高めに気取った様子までもを好きと言い張るつもりは無いのだが。

でもよく考えれば、それは前述の未知性を和らげる人間性の一つではないのだろうか。

 

 

ホント、偶にズレた事を提案するのも“そう言う事”なんだか…。

(それよりも、さっきから村のあちこちで微妙なステルス使ってるアレ…いくら何でも怪し過ぎでしょ、多分性格も悪いし)」

 

そう言って、カーキィがメインカメラを向けた先には…本来誰の眼にも映る筈の無い【完全不可視化】を使い、村全体の監視を行っている様な“邪悪な誰か”が居た。

 

極小クランの探索役を任されているだけあって、自分より低レベル帯の者によるステルスなら即座に見破れる。

何よりも姿が風景に溶け込む事にかまけてか、自分という存在を忘れている――――それ即ち、自然が語る痕跡や、他人の気付き(アウェアネス)すらも何処か疎かにしている様でもあるのだ。

 

最も、それが相手にするのは殆ど非戦闘員だ…そうでないにしても、どうにもソレと他の住人には決定的なレベル差がある。

故に適度に手を抜いているのだろう…あれの“本性”からして、カーキィはそのように予想した。

 

 

そう、その“本性”――――アレが無邪気に放っている“悪意”はどうにかならないものか。

獣か?しかしそう表すには余りにも知的な邪悪さを放つそれが、鼻について仕方が無かったのだ。

 

とはいえ、そのクレームを直に叩き付ければ…ここで望まぬ戦いを生むのは目に見えていた。

何しろ怪しいのはソレだけではない。

 

「…ハァ(私もこんな格好だし、十分怪しいわよね。あの自警団の人やゴブリン達からすれば。中身は一応ちゃーんと主人公機体がモチーフのヒロイックなデザインだけど、それが現地の人にどう映るか)」

 

例え姿を現したとして、ロボットアニメの文化など存在しない土地の人達にはどのような悍ましさを抱かれる事か。

それに“元ネタ”の名は(ユグドラシルにも存在する)死を司る騎手より肖ったものだ…主人公機体と彼女は言ったが、どちらかと言えば敵機体という捉え方が主である。

 

 

 

…所で、何故この村は何故ゴブリンと共生しているのか。

どうやら先ほどカーキィが話していた、村の代表的存在である少女を慕っているようだったが。

 

それもあの邪悪な誰かの手の内なのか?

 

 

ある程度思案を巡らせた所で…やはり得体のしれない策謀の影を感じて、彼女は考えるのを止めた。

何処も彼処も陰謀やら思惑やらで満ち溢れて、いい加減倦んでくる。

 

 

 

 

 

 





所でウルフェン2のBJの

「お嬢さん、それが全力なら…力不足だったな。
狼に囲まれたぞ、狼の森でな」

ってセリフかなり良くね?




今回はちょっと設定集おやすみです…まだ描き切れてないンゴ。
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