後、今回はちょっと短めです。
正直、思いもしていなかった。
出し抜かれる?先を越される?
冗談にも思わなかった。
己が、愚鈍な人類種たちに。
もう少し余裕があると思っていた。
…現状が、その結果だ。
何も言い訳が出来ない、慢心…只管に、慢心。
結果は、慢心への咎。
「アインズ・ウール・ゴウン魔導国外交団団長アルベドだな?
速やかに投降しろ。
…大人しく付いて来てもらおうか?」
「ッ…」
恥辱の極みで、頭がどうにかなりそうだった。
ここから大人しく、奴らに捕まってやるつもりも無い。
だが【
最悪の事態には至らない?それは無い。
シャルティアの前例がある。
もしかするとソレは、目前まで迫っているのかも?
――――そこまで考えた所で、突如破裂音が連なる。
バンバンバンバンッ!と、短い間隔のリズムを刻んだ。
銃声なのは明らか。
これを聞き、彼女は遂に撃たれたか…と、歯を食いしばった。
…だが、何時までも感覚は来ない。
想像以上に銃撃が弱かった?
だとしても、この状況で“僅かな刺激”まで逃すワケが無い。
…倒れたのは、眼前の敵兵たちだ。
頭部から血を流し、うつ伏せに倒れた。
奴らの後ろには、えらく見覚えのあるシルエット。
「お待たせしました、アルベド様
このレオン・マチルダ…何だっけ…ノーマン・スタンフィールド。お迎えに推参いたしました」
いや、眼前の男――――否、眼前の“御方”はそんな名前ではない。
あぁ忘れられる物ですか、41人と…そのもう一人の“御姿”を。
「ら、ランドナ、様…!?
よくぞ、ご無事で……」
「――――僕の事覚えてくれてたんだね。
てっきり…裏切り者だと思われているとばっかり」
「ッ…!?
その様な事が――――」
この瞬間、潜んでいた敵兵が飛び出して来た。
その時だったのだ…アルベドの後ろで、ヒルマが撃たれたのは。
~いつかの記憶~
怜雄
「真相は、自殺…か。
しっかし釈然としない、被害者の両親の冤罪どうにかするのがメインだったし。後は考察任せ、って所か」
町田家の三女
「…恐らく、被害者の人は…自分が何か、特別だったんだと、肌で直接感じたかったんだと思います。
いい生まれなのに…全てが上手く行かなくて、周囲との差に追い詰められて。それに起因する、親との軋轢が…あの人の心を更に追い込んで。
それで…遂には“復讐”にまで至った」
怜雄
「……」
町田家の三女
「自分が死んで…両親を悲しませたかった。
でもそれは、自分が“愛されている”って知ってはいたから…冷たく当たり続ける両親に、戸惑いがあった。口では愛されてないなんて言っても」
怜雄
「追い詰められ…自身を失い…か。
――――成程な。よくそこまで考えられるね、ユリ。俺じゃ出来ない」
町田家の三女
「は、はい…。
本を読むとき、ずっとそう言う事を考えながら、物語に浸っていたので…」
怜雄
「そっか。
…久しぶりだな、こんなに人を羨ましく感じたの」
その軍隊は“国父閣下”に言わせれば【無敵の軍隊】。
曰くに、軟弱な魔法になど一切頼らず、戦士らしく勇ましい鉄火のみ。
歯向かう者共、悉く屠る…冷徹に。
其れは
彼らが奏でる火薬とブーツのマーチこそ、その証。
全てを的確に、正確に追い詰め…そして跡形も無く焼き尽くす。
例え、あの恐ろしきアインズ・ウール・ゴウン魔導国に属す者共であっても。
――――今が正にそうだった。
彼らがその為に見せる統率力は、上記のプロパガンダが一切合切夢想でない事を証明していた。
無言の軍隊が、ブルパップAKを構えて廃屋を囲む。
ここに外交団長アルベド…他数人が逃げ込んだ事は既に割れていた。
彼女自身の力とて侮れず、彼女と同行していた“謎の協力者”もまた実力者だと聞く。
けれどもこの人数に…【人外殺しの力】が込められた武装の数々。
そしてバックアップには【竜】の片割れ達が付いている。
現状、打てるだけの手は打った。
全力という奴だ。
徹底――――それのみが殲滅への道筋であるから。
ぼろぼろのドアを蹴破ってからの、ダイナミックエントリー。
…その事前準備、手順は完璧だった。
ブリーチング役の兵士が位置につき、後続の兵士たちも今一度銃の動作を確かめる。
隊長より、合図が放たれた。
それを認識したブリーチャーは、すぐさまドアを破る。
――――いや、その前に、ドアの方から爆ぜた!
吹っ飛んだドアごと押し流されたブリーチャーは、そのまま後方の民家へと激突。
血しぶきを撒き散らして絶命した。
反撃か…!
兵士達は素早く判断はしたが、一歩遅かった…彼らの視界がホワイトアウトする。
それを“煙幕”だと判断したのも、速度としては十分。
けれども“彼ら”は、その一歩先を行っていたのだ。
バババッ、バババババッ…と、軽快なリズムが爆ぜる。
銃火器の音であるのはそうだが、AKの出す銃声では無かった。
それが複数…確認出来るだけでも6丁分。
――――多すぎる。
確かに協力者が銃器を持っていた事実は、既に広く共有済み。
だが仮にこの者が全身を銃火器で武装したとしよう…6丁分の銃声はいくら何でも多い。
…その謎は、かなり速い段階で解けたのだった。
「ゴーゴーゴー!」
「全く、何時もより楽しい任務だ」
「ああそうだ、楽しい楽しい“授業参観”だッ…!」
煙幕の中を、空気を刺すような枯れた声が響く。
そしてチラつき、揺らめく姿はまるで、否、彼らこそ幽鬼そのもの!正確に言えば、
それは魔導国の鋭き細指。
細さ故、精密さ故、仕事の過半数は最難関。
一片の粗雑など、任務と彼らの技術・誇りが許さない。
…何を隠そう、彼らこそは
他の任務を終えた直後の、魔導王直々の緊急指令。
9人総出でこのリ・エスティーゼの地に駆り出て、数刻ほど前にアルベド達と合流した。
部隊を5人と4人に分け、それぞれが陽動と救出を担当していた。
現在、陽動部隊は破竹の勢いで、オリーブドラブの包囲網を破っている。
創造主であるランドナを部隊長とし、瞬く間に最初の目標地点へ到着した。
「まさかシージの君達が来てくれるとは…モモンガさんも粋な事をする」
「幸い、目と鼻の先にいたもので。
それに…我々としても、貴方とまた肩を並べられるのは光栄であります」
「そうかい。
――――所で
「はい、本日は野外任務だったので。
我々の判断で、ガーネット様の工房より拝領いたしました」
確かに今彼らが持っている魔導銃は、黒色のSCAR系列に酷似したものだった。
普段のスコーピオンEVO3擬きでは、屋外戦闘には耐えられまい。
アングマールと呼ばれる“本日のシージ部隊長”に、ランドナは小さくサムズアップを送った。
「最高の判断だ」
「シージとして当然です。
――――ところで将軍、奴ら…どうも可笑しい。無言なのもそうだが、あまりに冷静すぎます」
「おまけに、痛みすら感じて居ないようです」
「やっぱり気が付いたか。
奴さん、案外金持ちなんだろうね」
ランドナには、兵士達の異常性に覚えがあった。
彼が本来生きていた2130年代の世界。
その正規軍は、ナノマシンによる軍隊の制御が実装されて久しかった。
…使い捨ての、寄せ集めはその限りでは無いが。
大雑把に言い捨ててしまえば、MGS4の【
あれと大体同じだ。
それはまだまだ非常に金のかかる、高級システムではあった。
企業たちは、それらを莫大な資本で押し通してみせた。
これが“金持ち軍隊”の所以である。
じゃあなぜそんな物が?しかもこの世界に?
…その疑問は一度置いた。
後で調べればいいのだ、現実それが目の前で敵対しているのに変わりはない。
とは言え相手の主武装は、古めかしいAK系列に、2000年代初頭前後の装備。
ついでに実用性に怪しい改造モーゼル拳銃。
…少なくとも、弾丸以外は。
「…あと奴らのマズルフラッシュ、流石に怪しいな。
掠るのも不味い気がする」
「“男ばかり”ですが、アテにならなそうですね。」
「全くだ、最悪性別の概念すら無いかもな。
――――休憩終了、陽動を再開しよう」
「了解、打ち合わせ通りで?」
「そう。
先も言ったが、僕はプロに遠慮するつもりはない」
「もちろん…我々もプロであります」
「…だね。
それじゃ、存分に目立とうじゃないの」
陽動部隊が、再び進撃を開始した。
遮蔽物から遮蔽物へ…常に遮蔽物を意識して、神速で彼らは突き進む。
…態々、敵の位置を共有する真似はしなかった。
“プロ”にとって、その程度の把握は大前提。
その上で如何に協力するか…自立行動もまた前提条件である。
高度な自立性こそ、シージが他の魔導国隠密隊と一線を画す特性だ。
やはりというか、ランドナの
先頭に立ち、目についた敵兵士を片っ端からヘッドショットしていく。
シューターゲームのチーターもかくやという様相だ。
これら全て彼本人が持つ、ゲーム由来でない…本来の意味での
ふと、遠方より飛来した弾丸を…ランドナは首を傾け回避した。
「(狙撃手か…)…。
――――主よ、どうか我が手と我が指に、戦う力をッ」
彼は古い映画で、狙撃手が放っていた言葉を呟いた。
敵側の狙撃手にとって、初弾を外したのは致命的だった。
彼らが移動するよりも速く、ランドナは
セミオートで狙撃手へのカウンタースナイプを行った。
黒い魔導銃の狙撃は見事命中、2人の狙撃手は高く聳える塔より落下した。
…その際、敵狙撃手の手から零れた銃がスプリングフィールドM1903だったようにも見えた。
敵軍隊は弾薬については妙にケチだ。
まさかそれも7.62×39㎜弾仕様に?等と思いもした。
…この際どうでもいいので考えるのをすぐ辞めた。
ランドナに続くシージ達もまた…流石に彼ほどではないが、中々の腕前だった。
常にワンショットワンキルを実行し、場合によっては制圧射撃で一個小隊丸ごとの動きを封じる。
国一つ滅ぼしそうな勢いの彼らこそ、正に“死に至る風”だった。
――――その後ろで、爆発が轟いた。
「迫撃砲かっ…!」
「やり返す」
有言実行、すでに断種を炸裂弾に切り替えていたランドナ。
彼は迫撃砲の位置を素早く割り出した。
…その上空に【
倍返しなんて言葉も生ぬるい。
報復には「極上の苦しみ」を与える、魔導国の理念通りの反撃だ。
けれども、一難去ってまた一難。
ガシャンガシャン…と、聞き慣れない音がする。
――――いや、ランドナにとっては聞き慣れた駆動音が近づいて来た。
尤も、この世界で聞くものとは思いもしなかったが。
「おいおい、対人用の歩行自立戦車って…」
2130年代の戦場ではありふれた、ダチョウの怪物めいた無人の有脚兵器。
股の間に逸物よろしくぶら下げた機銃は、ご存じブローニングM2だ。
流石にそれまで7.62×39㎜弾仕様という徹底ぶりではなかった。
「成程、噂に聞いたウォーカーなる兵器ですか。
将軍、奴の対処法は?」
「関節かセンサー、小火器で十分」
「ラジャラジャ」
6人の射線は、ウォーカーに集中した。
脆い部分を徹底的に撃たれた機動兵器は、あっという間に損壊し、動かなくなってしまった。
「…想像以上の肩透かしだ」
「結構前の、しかも激安モデルだからな。
もう少し値段を妥協すればいいのに」
シージ達の絶句を他所に、ランドナはさも当然という雰囲気で作戦を続行した。
もうこのまま、国中の兵士を殲滅してしまうのではないか?
そんな破竹の勢いは――――突如として終わりを迎えた。
相変わらず、この世界に似つかわしくないローター音が聞こえる。
一先ずランドナが上空を見上げると、そこにはハインドDが闊歩していた。
彼からすれば、古めかしい兵器の一つだ。
これの装甲は理論上、車列の弾丸一発で用意に貫ける事を知っている。
フルオートで5発ほど機関部に向けて撃ち放つ。
――――が、それら弾丸は全て弾かれてしまった。
しかも、
正確に言えば、謎のエメラルドグリーンの光に阻まれた。
「…?(電磁フィールド…いや違う、アレの発光とは別物だ。何だアレ?)」
もう一度、ハインドDに向けて掃射を行うが…やはり“何か”に弾かれている様で、全弾エメラルドグリーンの光の前に運動エネルギーを失い、自由落下した。
「魔法…でも無さそうですね」
「科学かも怪しい。
…恐らく弾丸と同種のエネルギーだろうが」
その瞬間、彼らに気がついたハインドDが機銃を向けて来た!
無数の弾丸をソレが放つ前に、6人は素早く物陰にすっこんだ事で事なきを得た。
しかし、今までの様に自由には動けないだろう。
不味い事になった…と、ランドナは周囲を見回す。
だが一番不味いのは、ハインドDが救出部隊の方に向かってしまう事だ。
それだけは本当に避けなければならない。
一応、向こうもニモエルの認識阻害で上手く隠れている。
だがこんな正体不明・詳細不明の塊に、どこまで持ち堪えられるか。
ならば、寧ろ自分たちが引き続き派手に動く方がいいだろう。
兎にも角にも“陽動部隊”だ、隠れてどうする。
どんな兵装が積んであったって、所詮はハインドD。
2130年代じゃ博物館の展示物だ。
骨董品の砲塔旋回など、たかが知れている。
前の世界で散々戦って来た、超精度の最新タレットには及ばない。
「いくぞ、シージ。
引き続き陽動だ」
「ラジャラジャ」
「所でその挨拶、教えたっけか?」
「貴方が時折発しておりました」
「そうかな、そうかも」
再び、日の当たる場所へと躍り出た。
――――そこでまた、更なる災難へと直面する。
シージの一人が、撃ち殺したハズの兵士たち。
よく見れば多少異なる装備をした彼らは…銃撃を受けたにも関わらず、むくりと立ち上がって見せたのだ。
更に目を凝らせば、銃創も瞬く間に塞がっていく。
「なっ、再生能力…!」
「ただの人間種だぞ!?」
「(再生…まさかナノマシン?知る限りじゃ実験段階だぞ)…近接戦だ。
手足か中枢を千切り飛ばせば、容易に立ち上がらんハズだ」
とうとう兵士一人にしても、一発の弾丸では済まなくなってきた。
こうなれば、プラズマカッターのような“工具”の方が欲しくなる。
そう考えたランドナは、自分の今の姿を思い返して、内心苦笑いをした。
古めかしいだけだった、黄昏の国は今…夕日では無く地獄の業火で、赤く照らされている。
道筋は大きく形を変えた…誰がこの様相を仕組んだというのだ。
13人は、その未舗装の悪夢を走った。
見据えていたゴールなど…本当は見えていないかもしれないのに。
えー、っと…これオバロ二次だよな?
GATE自衛隊の二次とかじゃないよね…うん。ちゃんと原作:オーバーロードって書いてある。
それと今回の設定集。
久しぶりだからね、二つあるよ↓。
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