嘗て至高だった父へ【OVERLOAD】   作:エーブリス

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現実世界での設定を練り過ぎて、いきなり行き詰まるかと思ったけど何とかなりました。
それと当分はナザリックパートは主人公の影響を描写するシーンになりそう。



追記:一部内容を変更しました。


第3話

 

 

 

 

 


 ~いつかの記憶~

 

LEO_TTTO0325

「――――重三、こっちは片付いた。

ちと多かったが…一人でどうにかなったよ」

 

G=R=G=D-1

「…またファンメを貰うぞ」

 

LEO_TTTO0325

「クソ真面目にスナイパーをしているお前程じゃ無いさ」

 

G=R=G=D-1

「…真面目というのは、お前のような男の事だ…決まった曜日の、決まったタイミングに、決まった時間だけナム戦のゲームをしている。

それに……昨今のシューティングではスナイパーよりショットガンの方が嫌われる」

 

LEO_TTTO0325

「そうかい、最高だね。

――――と。撤退指令だ。行くぞ」

 

G=R=G=D-1

「分かった。

…所で怜雄、MMOに興味はあるか?」

 

LEO_TTTO0325

「お前の要件を当ててやる、ユグドラシルの素材集めを手伝え…だろ?」

 

G=R=G=D-1

「………偶には別のゲームに触れてみろ。

本当に、地獄が頭から離れなくなるぞ」

 

LEO_TTTO0325

「地獄だと思っちゃいないさ、何も。

しっかし、ユグドラシルねぇ。まあ偶にはハイファンタジーも良いだろうな」

 

G=R=G=D-1

「どうせ基本無料だ、やるだけやってみろ」


 

 

 

 

 

特に異世界だとか関係なく、ランドナの朝は早い。

 

技術職(エンジニア)など大概そうだ。

歩合制故に、より多くの仕事を片付けるのだ。

 

企業が支配して以降…あの業界は地獄と化した。

出来る人間だけが、あらゆる数字を稼いでいく。

 

売上、名声…そして、死のリスク。

 

――――当たり前だ、時には強酸溜まりさえ足元にあった。

そうでなくとも業者間での奪い合いさえ、時たま見られた。

 

これらが存在しなくとも、反メガコーポゲリラは構いやしない。

自由の為と、オンボロのテクニカルで突撃し…今にも壊れそうなAKを振るう。

 

 

アーコロジーから離れれば離れる程、インフラ周りは戦場である。

成金共が“理想”とのたまいた、底なしの欲望…そのツケの煉獄だ。

 

 

そうした弱肉強食の中で、ランドナは頂点捕食者(エイペクス・プレデター)だった。

豊かな自然に、今や目もくれてはいない。

 

工具(ライフル)をじつと点検するストイックさが、その一端かもしれない。

 

「…っ」

 

彼は慎重に…愛用の魔導銃から、弾倉を抜いた。

続いて薬室より、弾一発を取り出す。

 

知る通りならば、これで銃に力は無くなった。

 

…でも魔法だしな

 

そう呟くように…魔法はエンジニアの常識を、軽々しく嘲笑う。

まるで…それまでに蓄えた専門知識が、単なる自己満足の雑学それ以下でしかないのだ…と。

 

 

周囲に人影無し。

照準の先、壊れ物無し。

その他危険物、他室へ退避済み。

 

他多数…。

膨大なチェックリストをクリアして、漸く実験に辿り着く。

 

 

彼の鋭い眼が照準を覗き、精密な指がトリガーに指掛けた。

 

 

――――無音、カチリという音すらしない。

実験は成功…いくら魔法で動くと言えど、弾の無い銃が火を噴く等は夢物語らしい。

 

もし花火の一つでも出れば、次女は喜んだだろうか…。

でも…ランドナには、余りに強いノイズの他無い。

 

 

ともあれ、安全性は確保された。

彼は続けて、二度三度…そして四度と、構えを変えつつ引き金を引く。

 

どんな状態からでも安定するグリップ。

そして滑らかで、重すぎず軽すぎもしないトリガープル。

 

やはり完璧な仕上がりだった…。

それは我儘・凝り性・神経質の三重苦の関門さえ、容易く通ってしまった。

 

 

続いて予備(ピストル)の試験だ。

此方も同じく弾倉を抜き、薬室を殻にして安全性を…そしてその他使い心地を。

 

こちらも合格だった。

 

 

しかし、まだ検査は終わらない。

これまでのは、大前提の前座。最終的に弾がどう出るか…それが重要なのだ。

 

獲物を抱え、ランドナは外に出た。

 

 

…ガチャリとマガジンを叩き込んだ、黒い突撃銃。

そのコッキングレバーを素早く引き、咄嗟に十数m先の木版へと狙いを付ける。

 

視界に映るのは、ランドナ自身がデザインした無機質で味気ない光学サイト。

…そのレティクル、またその奥の的。

 

あっという間に照準を合わせ、ブレない内に引き金を引いた。

――――結果的に、弾丸は木版のど真ん中をぶち抜いた。

 

完璧、想定通りに真っ直ぐ弾は飛ぶ。

初速も問題は無い…彼の道具として、非の打ち所がない。

 

 

唯一つ…その後の事象さえ除ければ。

 

 

弾丸は木版どころかその後ろ…それも複数の木々を貫いた。

ついでに何らかの作用でソレら全てを内側から爆破!文字通りの木端へと化していた。

 

…原因はいくつか考えられる。

着弾対象の内部爆破を誘発する【インプロージョンバレット】のデータクリスタル。

重装甲目標(HVT)撃破を念頭に置いた、高貫通弾頭の使用。

その他諸々…同レベルのPKや高難度ボス戦を想定した、複数バフの使用。

 

これは一言で済まされる「単に過剰だった」と。

己の失態に苦笑いしかできず、ランドナは一歩二歩と後ずさった。

 

けたたましい音を立て、雪崩れていく木々を見ながら。

 

 

…思えば、そもそもから答えが出ていた。

 

彼が手に持つアサルトライフル【霊柩車の車列(ペインティット・ブラック)】は神話級(ゴッズ)の武器。

つまりは神造兵器…平穏な地上で出していい格ですら無かった。

 

…そんなものが、単に弾丸のサイズ相応の弾痕を残すのみに留まれるか?

無理だろう、容易に言い切れる。

 

後に控えていたセカンダリの拳銃【フランツカフカ】の試射でさえ、彼はやや怖くなっていた。

 

こちらはC.A.Rシステムを交えた近接戦闘での使用を考慮し、取り回しに重点を置いたクリスタル構成となっているが…それでも神話級の一つグレードを落とした伝説級(レジェンド)程度。

 

伝説が、そう慎ましくあるものか?

 

 

ユグドラシルでは、こうした処理は行われなかった。

やれば、容易にサーバーの崩壊を引き起こす。

 

だから…本来この銃は、人が死ぬなど思いもしないエフェクトだけがあった。

その外見詐欺こそが強みの一つであったのだが…。

 

 

というか、そもそもこの世界に銃火器が普遍的に存在しているのか…。

 

いっその事で威力過多問題の解決も兼ねて、聖遺物級(レリック)以下だったハズの滑車弓(コンパウンドボウ)を持ち歩いた方が良い様な気もしていた。

 

そして銃を使わねばならぬ時は…何かしらの工夫がいるだろう。

非貫通弾頭を使うなり、デメリットの多い消音機構を敢えて使うなり、と。

 

陰が目立つ等、言語道断である。

 

 

「――――お、お父様!?

一体何が…ッ!、こ、これ…」

 

先の爆音を聞きつけたリリュームが、大急ぎで遠くから駆け付けて来た。

 

「…神話や、聖遺物って付くのは伊達じゃない、という事らしい」

 

ランドナは遠い表情をするしかなかった。

まさか己がゲームで作っただけの代物が、こんな破壊兵器と化してしまうとは。

 

 

…何あれ、これ以上考えても“対策する”以外に他無い。

気持ちを綺麗サッパリ切り替えた彼は、とある事に気が付く。

 

「所でリリュ、下半身は?」

 

「えぇ…この通り」

 

彼女はいつもの泥肉塊スライムではない、人間らしい二本足を見せた。

 

…なまめかしく、スカートをたくし上げて。

 

中の“お召し物”こそ見えない。

だが、どうにも生足が目に眩しい。

 

「…」

 

…いや、彼は自分の娘にそういった感情は一切持ち合わせていない。

しかしリリュームの方が、なんか少々怪しい。

 

 

因みに何故このような事をしたのかと言うと、一度周辺地域の調査を行う事にしたからだ。

 

その際グロテスク極まる異形種は、余計な摩擦を生みかねない

何としても隠し、人を装うべきという結論に至った。

 

 

…際して、先ずニモエルとカーキィは明らかに人間離れしたシルエットである。

その上に人間態への変身手段が見当たらなかった。

 

逆に人間態を持っていたデルモんは色々首を突っ込みがちな性分を心配された。

親切が過ぎて、結局トラブルになるのでは…と。

 

それぞれ留守番を余儀なくされたのである。

――――アストロノーツ山田は最早論外である。あんな文句なしの化けモン何処に出せんだよ

 

 

とは言え…だ。

個々の能力からしてもリリュームを連れていくのは正解だったかもしれない。

 

何せ、居残り組が発生する以上、それぞれに集団を纏める能力がある者が一人居るべきだ。

 

 

――――その第二の纏め役は、長女のニモエルが該当する。

父親と出会う前より姉妹を纏めていた彼女には、ピッタリの役職だ。

生来的にも、事務的な仕事を覚えて貰った方が安定するだろう。

 

また、装甲値の高く防衛に適したビルドのデルモんも、残ってくれた方が助かるだろう。

コミュニケーション力が諸刃の剣すぎる以上、単に性能で判断するべきかもしれない。

 

カーキィは本人の素質もビルドも案外万能で、人間態さえあれば同行者として選択肢に挙がっていた事かもしれない。

しかし性格が問題だ…どうにも熱しやすい。

 

 

リリュームは錬金術師ビルドの関係上、クラフト担当の側面もあり、未知を探索する以上は備品補充のためにも同行して貰うのはほぼ確定だった。

正確も温厚かつ静かで、そうそう人とぶつかる事も無いと思われる。

 

 

 

 

…アストロノーツ山田は、どうにも言えなかった。

あれのビルドはリリュームかニモエル任せだったし、NPCが動き出したメカニズムが解明されていない以上下手に信用し過ぎるのも危ないし、そもそもとしてあのそそっかしさは何か足を引っ張りそうである。

…そそっかしさは皆で考えた設定の影響なんだが。

 

後何度も言うけど、あのトンチキモンスターを人里に下ろしたくない。

いや、思っている様な“人”の里があるかは怪しいのが、それでも嫌だ。

 

 

ついでの話だが、ランドナは“素の状態”が人型に近いため、手袋や仮面等…場合によってはアイテム等を用いた幻術で偽の素顔を作る事で対策していた。

 

「その足どうやったんだ?」

 

「ふふふ。

…乙女の秘密、です」

 

知識魔のリリュ―ムの事だ、何か驚くべき方法を行使したのだろう。

 

「…分かった。取り敢えず何かあった時の為に偽名も用意しよう。

――――俺は【ジョナサン・ウイング】、お前は…そうだな。【タチアナ】とかでいいか」

 

「うーん…響きが微妙なので【ナターシャ】で。

…それとジョナサン・ウイングは狙い過ぎでは?」

 

「俺は昔からキアヌ・リーヴスに似てるって言われてるだろ?それもマトリックスの時の」

 

これは驕らぬ父が、唯一積極的に自慢する部分だ。

ずっとずっと…それだけが取り柄みたいに。

 

 

もう百年近く昔の俳優など、古い作品ばかり見る彼以外誰も知らぬというのに…。

本当に、懲りないモノである。

 

お陰でカーキィは20世紀末から21世紀初頭のロボットアニメ作品に詳しくなった。

リリュームもその余波で、多少の情報を得てしまった。

 

「サングラスをかけた時は似てましたけども…。

それに…今は絶対似ても似つかないです」

 

「だな。

――――後、武器防具は高くても聖遺物級か遺産級に抑えた方が良い。

派手な効果がある奴も避けろ、悪目立ちする。

探知系の魔法職は…阻害でどうにかなるが、あの森のような事は何度も起こすべきじゃない」

 

両者ともに、一部が跡形もなく崩れ去った森林を見つめた。

 

「そうですね。

確か…遺産級のロングポールメイスがあったので、そちらも装備します。

お父様は何か持ってきて欲しい物はありますか?」

 

「あぁ、そうだな…コンパウンドボウをよろしく頼む。

保管室の端っこに飾った、聖遺物級か遺産級のヤツだ」

 

「はい。

すぐ取ってきますね」

 

リリュームは返事の後、すぐに屋敷へと駆け出した。

…彼女が走る姿が新鮮に見えるのは、嘗ての現実世界の環境と、普段のアバターが関係しているのは直ぐに分かった。

 

それに彼女の種族【不完全蕩泥(ハーフスライム)】はレベルを上げる事で専用のゲートを通じた短距離ワープを行使する事が可能となる。

 

瞬時発動でない分、消費MPが極微量かつ、かなり連続的に発動できる為、それを繰り返した【地上バタフライ】なる高速移動手段も生み出していた…それとは別に、複数スキルによるMPの自動回復システムも自ら構築していた為、余計にゲーム内で自らの足を用いる事が無かったのだ。

 

 

何はともあれ、彼女が草原を駆ける姿は…在りし日の想い人を、彼にフラッシュバックさせた。

少なくともあの瞬間だけは輝きがあった。

 

あの輝きを、彼女達に宿す等…リアルでは諦めていたというのに。

 

「…(彼女を、彼女達と…。何て表現すればいいんだ、この自由な土地を)。

よかったよ、本当に」

 

もしやもすれば、どんな地獄が薄皮一枚の下に隠れていよう。

でもランドナは、自身の娘達が何物にも抑圧されない…とても自由な様子を見せるこの世界が理想郷(エデン)の様に感じた。

 

 

嘗ての重い空気と閉塞感に覆われた世界で、明日が薄氷の上にあるように不確かで。

それでもただ抗い続けるしかなかった悲しみ――――それが終わる場所、なのかもしれない。

 

 

「お父様、お待たせしました。

――――お父様?」

 

「…リリュ、もう出れるか?」

 

「は、はい。

…何か、ありました?」

 

「いや。

…何だろうな、その…この世界が、できれば良い場所である様に…ってさ」

 

彼はリリュームの頬を撫でた。

彼女はその異形の手に、纏う衣服のように白い手を添える。

 

「はい…。

皆で、幸せになりましょ――――それと皆も同じように撫でてあげてくださいね」

 

「山田もか?」

 

「アレはいいです、アレは」

 

「冗談だ。

…行こう」

 

もう夢見る時は終わった…いつか口にした、その希望を真実にする時だ。

紅い火を纏い燃え尽きる事になるとも…地平の果てまで未知の広がる世界を進むだろう。

 

その自由さえも奪わせる気は毛頭ない。

彼らはまだ何も知らない…世界の事も、そして敵の事も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやあのさ、ワイさ、度々さ、話のギャグ落ちに使われてんやけど…マジエグいて!エグいで!マジで!

 

山田、一体何処に向かって話してるの…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~いつかの記憶~

 

ぷにっと萌え

「これですよこれ…。

ついに完成だ、第七階層と第八階層の間の…言わば「7.5階層」とも言うべき確殺領域(キルボックス)

 

ランドナ

「まさかこれほどのモノになるとは…正に石兵八陣、流石はナザリックの諸葛亮だ」

 

ぷにっと萌え

「何を言いますか、ランドナさんが居てこその本領域ですよ…ミスターその他役(ワイルド)

 

ランドナ

「なんかその呼び方微妙に引っかかるんですよね…なんか。褒めてるってのは分かるんですけど」

 

 

モモンガ

「い、一体何を作って…」

 

ぷにっと萌え

「おや、モモンガさん。

…究極の防衛装置、いや…防衛機構ですよ。ね?ランドナさん」

 

ランドナ

「うんうん」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある時、ナザリックの主アインズ・ウール・ゴウンは、戦闘メイド集団プレアデスが一人・シズデルタに疑問を投げかけた。

 

「時にシズデルタ」

 

「アインズ様…何か?」

 

「シズ。

御身の前ですよ」

 

「大丈夫だ、ユリ。これと言って大した事でもない。

――――シズの本名…CZ-2128・Δの、CZとは何だ?」

 

主人より投げかけられた疑問に対し、しかし彼女は答えられずにいた。

…何せ、シズもまた「CZ」が何か分からないのだ。

 

「…分からない。

けれど、博士は…銃に関係すると、言っていた」

 

「銃…(ん?なんかそんな話を…あー、そうだ。ガーネットさんとランドナさんがなんかそんな話してたな。そう言えばその中にもCzナントカって固有名詞っぽい言葉が出てたっけ?絶対それだ…そうか、つまりCZは銃のブランドかメーカーの名前…いや、他の可能性もあるのか?)。

そうか、わかった――――すまなかったな」

 

結局のところ、シズデルタのCZが「チェスカー・ズブロヨフカ社」のCZなのかは、今や誰にも分からない。

 

「いえ…至高なる御方の、ご命令とあらば」

 

 

「…アインズ様、ご報告がありますわ」

 

矢継ぎ早に前へと出たのは、同じくプレアデスが一人・ソリュシャンイプシロンだ。

 

「ソリュシャンイプシロン…何があった?申すがいい」

 

「はっ。

…【確殺領域(キルボックス)】の領域守護者である【黒単九・死寺(ダークオンリーナイン・シージ)】の者達が、アインズ様への面会の為、外出の許可を求めています」

 

第七階層と第八階層のつなぎ目付近に存在する領域【確殺領域(キルボックス)】及びその守護者【黒単九・死寺(ダークオンリーナイン・シージ)】は、ナザリックの諸葛孔明ことぷにっと萌えが主導し、アドバイザーとして環境利用能力に長けたランドナも制作に参加した、ナザリック式PvP戦術の凝縮版とも言うべき領域だ。

 

三国志の石兵八陣にも例えられたその領域は、しかし領域守護者の援護射撃とソレの構造及び特性を熟知したプレイヤーが居て初めて完成するものである。

 

現状、この世界でキルボックスの性能を十二分に発揮できるのは(まだアインズは存在を周知していないが)ランドナのみ。

一応アインズは領域の取扱説明書(トリセツ)こそ渡されているが、古い表現でいう電話帳を2つ重ねた程の内容を、アインズ(鈴木悟)が全て読み解けるはずもなく、現在は宝物殿にお蔵入りとなっている。

 

 

因みに領域守護者の黒単九・死寺(ダークオンリーナイン・シージ)は、全員が同じ灰のボロ布に身を包み同じ魔導銃でぴしゃっと武装した、アストラル系最上位種の一つ【指輪の幽鬼(ナズグル)】の九人組である。

職業もまた、創造主であるランドナも最大レベルまで収めているガンナー系職業の一つ【ザ・デューティ】で統一されている。

 

…彼らに関する問題はと言えば――――その、ランドナイズムと言うべきか、とにかく設定が珍妙なものばかりであるという事か。

例えば「右脚から“臭いを誤魔化せばいい程度の効果の消臭剤”みたいな匂いがする」とか、「情報伝達はマッスルポーズ又は2000~2023年までに流行した芸人のダンス・ポーズ芸で行う」とか、それらが9人全員、全く同じ内容が書かれているのだ。

 

 

正直言って、その設定を知るアインズは彼らに会いたくは無かった。

しかし忠臣の誠意を無下にする訳にも行かない。

 

「む、キルボックスの…。(なんだかランドナさんの話題が続くなぁ…恐らくあの人もサ終ギリギリまで居たし、恐らく来てるんだろうな。これも所謂“お告げ”って奴、なのかな?)

分かった、こちらから出向こう」

 

「そんなッ…至高の御方が態々出向くなどッ!?」

 

「よいのだ。

恐らく黒単九達は今も来るべき侵入者に備え、絶えず模擬戦を行っている事だろう…それが彼らなりの忠義ならば、私は応えなければならない(それにマッスルワードを理解出来てない所なんか見られると幻滅されそうだし…)」

 

この発言を聞いたプレアデス一同及びセバスは、アインズに「なんと慈悲深き御方…」と、尊敬と賞賛の言葉を送った。それを彼は「あぁ」と聞き流し、スタッフオブアインズウールゴウンを用いたテレポートで確殺領域(キルボックス)へと向かった。

 

 

 

 

――――んまあ、これが大体20分ほど前の話なんだけども。

 

 

 

 

現状、キルボックスの入り口付近…そこにアインズは立ち尽くし、その目の前には黒単九・死寺(ダークオンリーナイン・シージ)全員が横一列にズラリと並ぶ。

 

九人はそれぞれ、思い思いのマッスルポーズを取りながら、ある時は「そんなの関係ねー!」という声が聞こえてきそうなダンスをし、時には右肘と左肘を交互に見せて、ある幽鬼は所謂「ラ○○○イ体操」をし、ある物はサムズアップ前面に押し出したかとおもえば、右から二番目のモノがマッスルポーズで天高く振り上げた腕を「パワーッ!」という掛け声と同時に振り下ろし、中央のものが「ゲッツ!」と叫びながら両手の人差し指と親指をまっすぐ伸ばし、絶妙に右足の匂いが強烈なものがやや匂いが薄めのモノを「ニーブラッ!」と叫びながら捕獲した。

 

「…お、おう、そうか。分かった。(何も分からねぇよ!何て設定残してくれたんだランドナさーん!居るならASAP(なるはや)で来てくれー!)」

 

アインズは頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ~かつての記憶~

 

たっち・みー

「互いに戦う理由があり、互いに譲れない理由があるからこそ止まれない!

そして数多のインベスを率いて行う、二人の最終決戦が今ッ!始まるッ!」

 

あまのまひとつ、ランドナ

「うぉおおおおおおお!」

 

 

ウルベルト

「あの人まぁたやってるよ。

んだよ、フルーツで変身するヒーローって。カッコいいと思ってんのかこの野郎」

 

モモンガ

「大量の雑魚を召喚しての総力戦…今度の模擬戦でやってみます?」

 

ウルベルト

「あぁ…それは確かに面白そうだ。

やってみましょうか」

 

ぷにっと萌え

「ふっふっふ…」

 

モモンガ

「ッ!この声は!」

 

ウルベルト

「紛れもなくッ!」

 

ぷにっと萌え

「話は聞かせてもらいましたよモモンガさんウルベルトさん…ならばこの私もその総力戦に参加――――」

モモンガ、ウルベルト

「「あ、ぷにっと萌えさんは解説でお願いします」」

 

武人建御雷

「それじゃあ俺が実況で」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはりというべきか。

嘗て拠点があった、ヘルヘイムの森林地帯とは植生が大きく様変わりしていた。

 

 

木々はそれほど代わり映えはしない。

だが、見た事もない伸び方をする蔦に、嗅いだことも無い匂いを発する薬草。

 

知識欲に溢れた18歳のリリュームは勿論、ランドナもまた童心に帰っていた。

もう三十路も少し過ぎたかという年だと言うのに。

 

 

ヘルヘイムの森――――その言葉で彼が思い出したのは、嘗てのギルメンとの会話。

 

「たっち・みーさん、ひょっこり来てたりしないかなぁ」

 

「あの人が居てくれたら、私達も心強いですね。

何か大事に巻き込まれても…守ってくれそうです」

 

「…やっぱ来ないでいいかな。

親としての威厳とかがゴッソリ奪われそうだ」

 

「お父様はお父様だから大丈夫ですよ」

 

何気ない会話と並行しながら、サンプルとして赤紫色の薬草を一つ回収する。

それは非常に強烈な臭いを発し、僅かながらに血の匂いも含まれているようだ。

 

血液の様に脈打つ植物…。

確か…そのようなアイテムが、古いアクションRPGゲームに存在した気もする。

 

レアアイテムだったのは確かだ。

 

 

――――ここでランドナがある事に気が付いた。

 

「…?

リリュ、もう一回…その薬草貸してくれ」

 

「え?はい…」

 

「…ッ!(やっぱり、違う…っ)」

 

もう一度臭いを嗅ぎ直してみれば、血の匂いはこの薬草によるモノでは無い。

どこかから漂うモノだった…つまり、近くに何れかの危険因子が存在しているのだ。

 

「…リリュ。

父さんの後ろに、隠れていなさい」

 

「でもお父様、今の私は「早く」はい…」

 

確かにリリュームも戦う力を今や持ってはいるが、それは慢心に値しない。

そも、慢心など彼は許しはしない。

 

…何度も言うが、彼らは今いる地域がどんな場所かを知らない。

最悪、自分たちより遥かに強い“何か”が、平然と飛び出す可能性もあるのだ。

 

正直、そんな場所に娘を置いておくだけでも不安ではある。

…彼はゆっくり、弓に矢をつがえて構える。

 

「…言い付けは覚えてるな?

頭と腰は常に低く、そして常に何かを背にして――――」

 

「動きと音と臭いには敏感に。

基礎は大丈夫です」

 

「それでいい」

 

右に左、そしてまた右にと、何かが飛び出してくる可能性のあるすべての遮蔽物を彼は注視する。

 

鬼が出るか蛇が出るか…。

まさにこの言葉通りの緊張感が、木漏れ日の刺す森林を満たした。

 

 

 

――――左方、ランドナから見て10時の方角より、何かが飛び出した!

 

「ッ!」

 

とっさにコンパウンドボウの狙いを付ける…が、放つまでには至らなかった。

 

飛び出して来た中肉中背の男は、既に死に体。

全身に打撲痕という打撲痕が見られ、両目は何か鋭利なもので貫かれた様子だった。

 

男は、二言三言呻くと、その場に倒れた。

 

 

「あの人…」

 

「もう手遅れだな。

それとまだだ、殺した奴が近くにいる」

 

気が緩みそうになったリリュームを、引き締め直す様にランドナは注意した。

 

 

 

――――その直後に飛び出す、華奢な人影。

今度は其方に狙いを付けた。

 

出て来たのは…金髪のボブカットに、やけに露出の多いスケイルアーマー。

その顔には薄笑いを絶やさぬ、目に見えて不気味な女だ。

 

「おやぁ?

あれで終わりだと思ったんだけどぉ…まだ居たんだ」

 

目の前の女性から発せられる殺気から、彼は無事に事を終える想定を諦めた。

 

「早速で悪いんだけどさぁ――――」

 

「誰だか知らんが、死んでくれ以外なら極力受け付けるぞ」

 

「――――なら苦しんでッ!!

その後、勝手に死んでいいからァ!」

 

 

女は、いつの間にかスティレットを構えていた。

直後、まるで火薬の燃焼ガスに押し出された弾丸の様…一直線に飛び出して来たッ!。

 

 

 

 




実はこのままアインズ訪問後のカルネ村まで行かせる予定だったけど、主人公の力量測定装置に困ったんで、急遽私の二日前の抜きネタだったクレマンに出て来て貰いました。

というか、想定してる主人公の戦闘スタイル的に、対クレマン戦が一番映えそうで。



…ちょっと念の為wikiとかで確認してきたんだけど、クレマンの強さ割とすげぇな(現地基準)。


【オリジナル設定解説】
 ・武器【霊柩車の車列(ペインティット・ブラック)】
非常に高い光の吸収率を誇る黒色で染められたアサルトライフル型魔導銃。形状はこの作品で度々登場するCZ社の比較的新しい商品(2023年現在)である「CZ BREN2」のBRモデルを基に、使い勝手に影響を及ぼさない程度に悪魔的な造形的装飾を入れられている。
セミ/フルでの使い分けが可能、高いアーマー無効能力を誇る上に【インプロ―ジョンバレット】のデータクリスタルの効果で、着弾した目標の内側を破裂させる効果を持つ。
基本的な火力面での強化はクリティカルダメージ増加に重きを置かれたプロ仕様。他にもHPが一定割合以下の相手へのダメージ増加等が存在する。無論、飛び道具無効対策は万全。
名前の元ネタはローリングストーンズの名曲から。主人公はこの古い曲のファンという設定。

 ・武器【フランツカフカ】
同じく光吸収率の高い黒色の、こちらは所々に昆虫のような意匠が加えられた拳銃型魔導銃。形状は前回前々回と話題にしていた「CZ75」をモデルにしている。
当然のように飛び道具無効など意に介さない。
名前の元ネタはCZ75と同郷の作家、昆虫のデザインはその作家の代表作から。

 ・黒単九・死寺(ダークオンリーナイン・シージ)
説明は前回の地の文参照、名前の元ネタはレインボーシックスシージ。
というか虹六を色々ひっくり返しただけのウケ狙い。何故かロードオブザリングのナズグルで構成されているのも、丁度9人だったからと言うだけ。
因みに彼らのコミュニケーションの設定は「戦闘時以外」という注釈が付く。あと例の懐かし一発芸の濁流の意味を考えるのは時間の無駄なので辞めましょう。

 ・職業【ザ・デューティ】
ガンナー系職業でもかなりのアグレッシブさを求められるスキルが多く存在する。また、最終レベルで一度HPがゼロになっても特定の行動により最大HPの半分で復活出来る【ラストスタンド】が獲得できるが、余程に余裕のある場所で力尽きないと結局そのまま確殺を入れられる、分の悪い悪あがき系スキルなので人気が無かった。

 ・種族【不完全蕩泥(ハーフスライム)】
簡単に説明すると、ダクソ3のエルドリッチ。
例の泥穴ワープをスキルとして覚え、それを用いた【地上バタフライ】という移動手段は下手な加速スキルを凌駕するが、いちいち視界が揺れるし暗くなる上に方向転換も難しいので、三半規管の強い玄人向け。
リリュームは初使用で軽い眩暈を覚えた結構危険な技。





 【サクッとオリキャラ紹介:デルモゲニー】
 ・デルモんって呼んで!
 ・良く言うと元気いっぱい、悪く言うとちょっとうるさい
 ・種族名ダゴン…とか言ってるけどアバターは萌化した古代甲冑魚怪人
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