【第1章完】キラキラ!~美人七姉妹とのドキドキ同居生活!?※キラキラしたものとは言ってない~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第4話(2)無理難題

「くっ、出資者は無理難題をおっしゃるわね……」

 

「す、すみません……」

 

 道を歩くアメジストの後に続く山田が謝る。

 

「あなたが謝ってもしょうがないわ、もう方々への根回しはしっかりと済んでいるみたいだし、いつの間にか……」

 

「根回し……」

 

「まったく、こういうことは仕事が早いのよね、なにが狙いかよく分からないけれど……多分面白がっているのね」

 

「あ、あの、アメジストさん……」

 

「なに?」

 

「俺は何をすれば……?」

 

 アメジストが振り返る。

 

「私たちのマネジメントよ」

 

「私たち?」

 

「お店で私たちのイベントを見たでしょう?」

 

「あ、あれは通りすがっただけというか……」

 

「そういえばそうだったかしらね」

 

「はい」

 

「私は『アッシェンプッテル』というアイドル声優ユニットで活動しているの」

 

「え? アメジストさん、アイドルなんですか⁉」

 

「一応ね」

 

「す、すごいですね!」

 

「まだ駆け出しよ、大したことはないわ……」

 

 アメジストは再び歩き出す。

 

「そ、それでもすごいと思います!」

 

「甘いわね」

 

「え?」

 

「私はこれからもっとすごくなるつもりなの」

 

「!」

 

「今は若いからアイドル的な扱いだけど、私は声優、役者として自分の実力をもっと多くの人に認めさせたい、評価してもらいたいの。だからこのユニットは悪いけど踏み台の一つにしか過ぎないわ」

 

「ふ、踏み台……」

 

「踏み台は言葉が悪いかしらね、ステップよ、ステップ」

 

「ステップ……」

 

 同じ意味じゃないかと思ったが、山田は黙っておく。

 

「とはいえ、仕事である以上はきっちりとこなすわ。そうすることで私の評価に繋がるのならね。まずはこのユニットでドームライブを成功させる!」

 

 アメジストがピタッと立ち止まって、ビシっと遠くの空を指差す。

 

「ド、ドームライブ⁉」

 

「ふふっ、度肝を抜かれたかしら?」

 

「あ、ド、ドームは逆方向です……」

 

「……」

 

「………」

 

「と、とにかく、メンバーが多いわりに、現場マネージャーが足りないのよ!」

 

 アメジストが三度歩き出す。

 

「は、はい……」

 

「だから今日、あなたはそのヘルプってことね!」

 

「は、はあ……し、しかし……」

 

「どうしたの?」

 

「マネージャーと言われても、何をすれば……?」

 

「余計なことはしなくていいわ。ただ言われたことだけやれば良いのよ」

 

「そ、そうですか」

 

「あと、現場では天翔さんね。下の名前で呼ばないでちょうだい、変なところで妙な噂を立てられたくないから」

 

「わ、分かりました……」

 

「……着いたわよ」

 

「え? わりと大きいホールですね……」

 

「そうよ、今日はライブだからね」

 

「ラ、ライブ⁉」

 

「行くわよ」

 

「は、はい!」

 

 アメジストと山田は会場に入った。

 

「おい、バイト! 弁当がまだ届いてないから……」

 

「あ、お弁当屋さんに電話入れました! もうすぐ着くそうです」

 

「お、おお……」

 

「あ、バイト! 音響の関係でリハーサルの順番が前後することになったから……」

 

「はい、メンバーの皆さんだけでなく、衣装さんやメイクさんたちにも伝えました!」

 

「お、おう……」

 

「あ、あいつなかなか気が利くな……」

 

「そ、そうっすね……」

 

 きびきびと動く山田をマネージャーたちは見つめる。

 

「へえ……」

 

 アメジストはそれを横目に見て、感心したように頷く。そして、リハーサルも順調に進んでいたその時……。

 

「た、大変です!」

 

「どうしたんだ⁉」

 

「ラストの曲でバックダンサーを務める研修生の子が足首捻っちゃって……」

 

「なんだって⁉ 状態は?」

 

「歩くのもしんどいみたいです……」

 

「ダンスは無理か……」

 

「そうですね……仕方ないからバックダンサーは一人減らして……」

 

「ダメだ、ラストのあの曲はバックダンサーも含めて、あの人数でやることに意味があるんだ! 減らすわけにはいかない!」

 

「で、でも、どうするんですか⁉」

 

「……! 振り付けの先生に入ってもらおう!」

 

「そ、それは無理です!」

 

「なんでだ⁉」

 

「研修生の子、結構長身ですから、先生と衣装のサイズが合いません!」

 

「くっ……」

 

「ったく、変なところでケチらず、最初からプロのダンサーさんを呼んでくれば良かったのに……半分素人を呼ぶからこうなるのよ。私のステージにケチがつくじゃないの……」

 

 慌てるスタッフたちをアメジストは腕を組んで呆れた様子で見つめる。山田が尋ねる。

 

「どうかしたんですか?」

 

「なんでもないわ。あなたは気にせず自分の仕事を……」

 

「君!」

 

「えっ⁉ お、俺が何か……?」

 

 スタッフが山田を取り囲む。

 

「……どうだ?」

 

「背格好はちょうど良いですね。ルックスも悪くない……」

 

「よし! これで行こう!」

 

「はい!」

 

「え? え?」

 

「ちょっと、どういうことですか?」

 

 戸惑う山田に代わり、アメジストがスタッフに尋ねる。

 

「ケガをしたバックダンサーの代わりを彼にやってもらう!」

 

「「え、えええっ⁉」」

 

 山田とアメジストが揃って驚く。

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