【第1章完】キラキラ!~美人七姉妹とのドキドキ同居生活!?※キラキラしたものとは言ってない~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第9話(1)噂の真偽

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「おい、山田……」

 

「……」

 

 教室でたそがれていた山田は話しかけてきた佐藤に目をやり、すぐにそらす。

 

「おい、ナチュラルに無視すんな!」

 

「あ、ああ……」

 

 山田が向き直る。

 

「わざとらしいな!」

 

「気がつかなかったんだ」

 

「嘘つけ! しっかりとこっち見ただろうが!」

 

「……何故にお前を無視したかというとな……」

 

「はっきり無視って言ったな……」

 

「分かるか?」

 

「いいや、さっぱり分からん」

 

 佐藤が首を振る。

 

「お前と絡むと……ロクなことがないからだ」

 

「ひ、酷くないか⁉」

 

「いいや、ちっとも酷くない」

 

「酷いだろ、ちょっと傷付いたぞ!」

 

「とにかく……あくまで経験則に基づいた行動だ」

 

「それほどは迷惑かけていないだろう?」

 

「それほどの時点でおかしいんだよ」

 

「まあ、それはいいや」

 

「よくない」

 

「雑談くらいは良いだろう?」

 

「雑談?」

 

「ああ、噂の真偽を確かめたい」

 

「噂の真偽だと?」

 

 山田が首を傾げる。

 

「ああ、山田、お前……声優ライブのバックダンサーを飛び入りでこなし、人気インディーズバンドのサポートメンバーも務め、新進気鋭のカップル系VTuberの中の人であり、老舗ラーメン屋の経営を立て直し、IT企業が買収されるのを防いだって本当か?」

 

「……長々と何を言っている」

 

「いや、俺も自分で何を言っているかよく分からねえんだが……それに加えて……」

 

「加えて?」

 

「天翔七姉妹と色々仲を深めているとか……」

 

「……色々ってなんだ?」

 

「いや、それはまあ、色々だよ」

 

「はっ、くだらんな」

 

 山田は頬杖をついて窓の外に目をやる。

 

「じゃ、じゃあ、それらの噂は全部デマってことか?」

 

「ああ、そうだ。声優ライブに出たかと思えば、IT企業の買収を防ぐって、一体全体どんな高校生だ?」

 

「いや……お前ならやりかねんと思ってよ」

 

「常識で考えろ」

 

「お前に常識は通用しないことはよく知っている」

 

「俺のことを過大評価し過ぎだ……」

 

「そんなことはねえ。お前のことはよく分かっているつもりだぜ」

 

 山田が佐藤に視線を戻し、自らの胸に手を当てる。

 

「俺が声優ライブのバックダンサー?」

 

「お前、中学の時、体育のダンスの授業で教わってもいない複数のステップを組み合わせたオリジナルダンスを披露していたじゃねえか」

 

「あれは……その場のノリだ」

 

「即興であんなことはなかなか出来ねえぞ」

 

「……インディーズライブのサポートメンバー?」

 

「中学の文化祭、ギター一本で誰よりも盛り上げていたよな……」

 

「あれはオーディエンスに乗せられたんだ……」

 

「オーディエンスってフレーズ、自然と口から出てこねえぞ」

 

「……新進気鋭のカップル系VTuberの中の人?」

 

「中学の時、歌ってみた動画がバズったよな?」

 

「あれは妹に頼まれたからちょっとやってみただけだ」

 

「それでバズるやつはそうそういないんだよ」

 

「……老舗のラーメン屋を立て直した?」

 

「これも中学の時、調理実習の料理の出来栄えがあまりにも見事で、他の用件で取材に来ていたテレビ局が急遽そっちにフォーカスしたよな?」

 

「レシピを聞かれて面倒だったな。感性だけで作ったのに……」

 

「それもおかしいんだよ」

 

「……IT企業が買収されるのを防いだ?」

 

「……ガキのころから、『〇鉄』や『〇ムシティ』の類が得意だったよな? プロのeスポーツチームからもオファーがあっただろう?」

 

「『桃〇』のeスポーツってなんだという疑問がまず湧いたな」

 

「まあ、俺もそれは思ったな……」

 

「しかし……」

 

 山田が佐藤をまじまじと見つめる。

 

「ん?」

 

「お前、いちいちよく覚えているな……」

 

「そうか?」

 

「ちょっと……いや、だいぶキモいぞ?」

 

「! いやいや、そんなことはないだろう⁉」

 

「俺自身が今の今まですっかり忘れていたというのに……」

 

「忘れる方がおかしいだろうが! 結構なトピックだぜ⁉」

 

「無駄なところで記憶力が良いのは分かった。もういいだろう?」

 

 山田が話を打ち切ろうとするので、佐藤が慌てる。

 

「ちょ、ちょっと待て!」

 

「……なんだ?」

 

「噂の前半部分はともかくとして……後半部分はどうなんだ?」

 

「後半部分?」

 

「だから七姉妹との色々だよ」

 

「それもデマだ」

 

「待てよ、必ずしもそうは言いきれないんじゃないか?」

 

「なんだと?」

 

「お前、時々オパールちゃんやサファイア先輩と楽しげに話しているじゃねえか!」

 

 佐藤が山田をビシっと指差す。

 

「同じ学校の生徒だ、話してもなんらおかしくはないだろう?」

 

「いいや、おかしいね! 学校を代表する美人姉妹だぞ? そのどちらとも親しいっておかしいだろう?」

 

「そんなにおかしいことか?」

 

「ああ、どんなラッキーだよ」

 

「前世で徳を積んだんじゃないか」

 

「ふざけんな!」

 

「おいおい、八つ当たりならよそに行ってくれ」

 

「い、いや、すまん……」

 

「それに事実誤認があるぞ。別にあの姉妹と特別親しいわけじゃないさ」

 

「そ、そうなのか?」

 

「ああ、たまたま話をしているだけだ」

 

「あ! 山田パイセン~一緒にサファイアお姉ちゃんの所に行こうよ~」

 

「!」

 

 オパールが廊下から声をかける。佐藤のみならず周囲の視線が集中し、山田は頭を抱える。

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