【第1章完】キラキラ!~美人七姉妹とのドキドキ同居生活!?※キラキラしたものとは言ってない~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第1話(3)今回はご縁がなかったということで……

「えっと……」

 

 緑メッシュが鼻の頭をポリポリとかく。青ショートボブが追及する。

 

「募集していたのは女性では?」

 

「そ、そうね……」

 

「なんでここに……」

 

「山田パイセン」

 

 オレンジロブがボソッと補足する。

 

「……山田君がここにいるのですか?」

 

「……えた」

 

「え?」

 

「……間違えた」

 

「よく聞こえませんが」

 

「ええい! 間違えたのよ! てっきり女の子だと思って!」

 

 緑メッシュが机をバンと叩いて、立ち上がる。

 

「間違えたって……」

 

 水色ウルフが苦笑を浮かべる。

 

「どんな間違いよ……」

 

 紫姫カットが冷ややかな視線を向ける。

 

「エメ姉、そういうところあるよね~」

 

 ピンクミディアムが笑う。

 

「写真とか確認しないのですか……」

 

 青ショートボブが呆れたように呟く。

 

「ボクに一言でも聞いてくれれば良かったのに~」

 

 オレンジロブが腕を組む。

 

「エメちゃん……ドンマイ♪」

 

 黄色ポニーテールが両手で握りこぶしをつくり、前に突き出す。

 

「え、ええい、うるさいね! どうせケアレスミスに定評があることでお馴染みなダメダメ女社長ですよ!」

 

 緑メッシュが机に突っ伏す。

 

「あ~あ、スネちゃった……」

 

 紫姫カットが髪をいじりながら呟く。黄色ポニーテールが近寄って、そっと声をかける。

 

「エメちゃん、間違いは誰にでもあるわよ」

 

「トパ……」

 

 緑メッシュが顔をわずかに上げる。

 

「だからと言って……」

 

「ああ、そんな間違うか?」

 

 青ショートボブの言葉に水色ウルフが反応する。

 

「だって、こういう名前よ!」

 

 緑メッシュが画面を表示した端末を皆に見せる。オレンジロブ一人を除いて皆が驚く。

 

「!」

 

 緑メッシュが対面に座る山田を指差す。

 

「山田ガーネット! 女の子だって思うでしょう!」

 

「あ~これは確かに……」

 

 黄色ポニーテールが遠慮気味に頷く。

 

「くっくっく……山田という平凡な苗字からまさかのキラキラネームw」

 

 ピンクミディアムが笑いを堪える。

 

「ま、まあ、無理もねえかな……」

 

 水色ウルフが腕を組む。

 

「オパ、知っていたのですか?」

 

 青ショートボブがオレンジロブに尋ねる。

 

「学校の有名人じゃん、入学したてのボクでも知っていたよ」

 

 オレンジロブが頷く。

 

「こほん……まあ、あらためて……」

 

 緑メッシュが咳払いをひとつ入れてから立ち上がり、山田を見つめる。

 

「?」

 

「この度は不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした」

 

 緑メッシュが深々と頭を下げる。山田は慌てて両手を左右に振る。

 

「あ、い、いや、大丈夫です。誤解は解けましたから……」

 

「ですが……」

 

「はい?」

 

「それはそれ!」

 

「うわっ⁉」

 

 緑メッシュが急に顔だけ上げた為、山田は驚く。

 

「今回はご縁がなかったということで……」

 

「え?」

 

「ご期待に沿えず申し訳ございませんがご了承ください……」

 

「ええ?」

 

「今後の山田ガーネット様のご活躍を心よりお祈り申し上げます……」

 

「え、ええ……」

 

「……はい、お疲れ~」

 

「ええっ⁉」

 

 体勢を戻した緑メッシュがひらひらと手を振る。山田は戸惑う。

 

「えっと……どういうことですか?」

 

「どういうことも何も、今回は女性を募集していたんだからね、男性は対象外だよ」

 

「だったらその旨をきちんと書いておいてくださいよ!」

 

「うん、それは……」

 

「それは?」

 

「正直スマン」

 

 緑メッシュが顔の前に両手を合わせる。

 

「い、いや、謝られても!」

 

「さあ~飯だ、飯……」

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 

 部屋を出て行こうとする緑メッシュを山田が必死で引き留める。

 

「うん? まだ何かあんの?」

 

「ありますよ! ここの求人がすごい良い条件だから募集したんです!」

 

「ああ、そうなの……」

 

「だからここで働けないと困ります!」

 

「そうは言われてもな……」

 

 緑メッシュが頭をかく。山田が立ち上がって頭を下げる。

 

「お願いします!」

 

「君ならいくらでもバイト見つかるだろ?」

 

「その辺のバイトの給料ではたかが知れているんです……」

 

「え?」

 

 山田が淡々と述べる。

 

「俺の両親はどうしようもないクズで……方々でとんでもない額の借金を作って……いわゆる闇金にも手を出しちゃったみたいで……」

 

「ああ、そりゃあどうしようもないな……」

 

「とにかく、借りたものは返さないといけません」

 

「まあ、そうだな……」

 

「期限も迫っているんです。分割返済ですけど、額が額で……それを返せないと……」

 

「ふむ……いわゆるあれだな? 借金の片に……ってやつか」

 

「はい……」

 

「妹さんが気の毒だな……」

 

「いえ、妹は関係ないです」

 

「え?」

 

「借金の片に売られるのは俺自身なんです!」

 

「ええっ⁉」

 

 緑メッシュが驚きの声を上げる。

 

「ですから……なんとかお願いします!」

 

 山田が再び頭を下げる。緑メッシュが額を抑えながら尋ねる。

 

「そ、それはあれかい? 名前で君を女の子と勘違いして……」

 

「いえ、そういうわけではありません。そんなケアレスミスするわけないじゃないですか」

 

「そ、そうだな……」

 

 緑メッシュの胸がちくりと痛む。

 

「はい」

 

「ちょっと待て、ということは……?」

 

「先方は男がお望みだそうです」

 

「そ、そういうパターンか……」

 

「このままでは俺の貞操の危機です!」

 

「聞いたことのないことを言うね……」

 

「お願いします! 働かせてください!」

 

「そうは言ってもね……」

 

「お願いします!」

 

 山田がその場で土下座する。緑メッシュが困惑する。

 

「男が簡単に頭を下げんなよ……」

 

「すみません! なりふり構っていられないんです!」

 

「必死だな……貞操がかかっているからか」

 

「どうか!」

 

「う~ん……」

 

「そういえば……」

 

「なんだ?」

 

 緑メッシュが黄色ポニーテールの呟きに反応する。

 

「おかずを一品作るのを忘れちゃったのよ」

 

「は?」

 

 黄色ポニーテールがしゃがみ込んで、土下座する山田に尋ねる。

 

「あなた、お料理出来る?」

 

「出来なければ、そもそも募集していません!」

 

 山田が顔を上げて答える。

 

「今からお願い出来る?」

 

「はい!」

 

「冷蔵庫の余りものしかないけど……」

 

「十分です!」

 

「力強いお返事♪ それじゃあ、キッチンに行きましょうか」

 

 黄色ポニーテールが山田を連れて部屋に出る。

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