【第1章完】キラキラ!~美人七姉妹とのドキドキ同居生活!?※キラキラしたものとは言ってない~   作:阿弥陀乃トンマージ

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ひとまずのおわり

                  ひとまずのおわり

 

「……」

 

 山田が長テーブルの短い辺に置かれた椅子に座る。それを見て、エメラルドが声を発する。

 

「それでは……いただきます」

 

「いただきます」

 

 山田と向かい合う場所の椅子に座ったエメラルドに続き、左右両側に座った六人の妹たちが食前のあいさつをする。昼食以外、朝食と夕食はよほどのことが無い限りは、七姉妹揃って食事をすることがこの家のルール。七姉妹は山田が用意した朝食をそれぞれ口に運ぶ。

 

「うん、今日も美味しいわね……」

 

「ありがとうございます」

 

 エメラルドの言葉に山田は頭を下げる。

 

「そういえば……ダイヤ、昨日のことだけど……」

 

「え⁉ な、なにっ⁉」

 

 ダイヤモンドが身構える。

 

「なにをそんなに身構えているのよ……」

 

「い、いや……」

 

「最近配信の調子はどうなの?」

 

「あ、そ、そっち……?」

 

「そっちって何よ」

 

「い、いや、なんでもない。配信はまあまあ、順調だよ」

 

「そう、それはなによりだわ。トパはどう?」

 

「お店のこと? どこのお店もお客さんが一杯よ」

 

「それは結構なことね」

 

「どうしたの? 急にそんなことを聞いてきて……」

 

 トパーズが首を傾げる。

 

「別に……昨日はせっかくの機会だったのに、そういう話が出来なかったなと思ってね」

 

「せっかくの機会ね、私にとってはなかなかの迷惑だったわ……」

 

 アメジストが軽く頭を抑える。アクアマリンが笑う。

 

「へっ、あれくらいで調子崩すのか?」

 

「そんなわけがないでしょう……“プロ”のメンタルを舐めないで」

 

「プ、プロを強調すんな……!」

 

「なにか気に障ったかしら?」

 

「ちっ……」

 

 笑みを浮かべるアメジストに対し、アクアマリンが小さく舌打ちする。

 

「……昨日なにかあったんですか?」

 

 山田がおずおずと尋ねる。オパールが答える。

 

「昨日、7姉妹揃って入浴したんですよ」

 

「へえ……」

 

「へえ……って、パイセン、皆の裸を想像してない?」

 

「し、してないですよ!」

 

 オパールの唐突な問いかけに対し、山田が慌てる。オパールがいたずらっぽく笑う。

 

「そうかな~?」

 

「手筈通りなら見られたのに……ねえ、ダイヤモンド姉さん?」

 

「そうだよ~そういう風に段取り組んだのに……はっ⁉」

 

 ダイヤモンドがハッとして、向かいのサファイアを見る。サファイアがボソッと呟く。

 

「引っかかった……」

 

「ったく、そういうことかよ……」

 

「間抜けはあぶり出せたわね……」

 

 アクアマリンとアメジストがダイヤモンドを冷ややかな目で見つめる。

 

「いやあ、えっと……」

 

「……ごちそうさまでした」

 

 サファイアは食事を終える。

 

「は、はかったな、サファ⁉」

 

「……行ってきます」

 

 サファイアがダイヤモンドを無視して皆に頭を下げる。トパーズが手を振る。

 

「行ってらっしゃ~い♪ 気をつけてね」

 

「はい……」

 

 トパーズの言葉にサファイアは静かに頷く。

 

「じゃ、じゃあ、ウチもちょっと、朝のマラソン配信でも……」

 

「ダイヤ、話を聞かせてもらおうかしら……」

 

「そうね~じっくりと……」

 

「い、いや、はは、ははは……」

 

 エメラルドとトパーズに見つめられ、ダイヤモンドは苦笑する。

 

「馬鹿馬鹿しいな……ごちそうさん」

 

「珍しく意見が合ったわね、ごちそうさま」

 

 アクアマリンとアメジストが揃って席を立つ。

 

「ふあ~あ、行ってきます……」

 

 アクアマリンが食器を片付け、ダイニングを出ようとする。

 

「あら、朝のライブでもあるの?」

 

「そんな健康的なことはしねえよ……」

 

 アメジストの問いにアクアマリンが肩をすくめる。

 

「だって、こんな時間に出るなんて珍しいじゃないの?」

 

「出席だよ」

 

「出頭?」

 

「出席! これでも大学生なんでな」

 

「あら、そうだったかしら?」

 

「ケンカ売ってんなあ……」

 

「はいはい、仲良く、仲良くね~」

 

 トパーズがアクアマリンたちに声をかける。

 

「ちっ、行ってきます……」

 

「行ってきます」

 

「行ってらっしゃ~い♪」

 

「行ってきま~す!」

 

「行ってきます……」

 

「はい、行ってらっしゃ~い♪」

 

 トパーズの声を背に受け、オパールと山田が揃って家を出る。

 

「いや~こうしてパイセンと揃って登校するのは久しぶりな感じだよ~」

 

「数日ぶりだろう、大げさな……」

 

「それにしても、ダイヤモンドお姉ちゃんは一体何をやらかしたのかな?」

 

「どうせロクでもないことじゃないか?」

 

「ああ、それなら納得……」

 

 オパールが腕を組んで頷く。

 

「納得するんだな……でも、羨ましいな」

 

「羨ましい? みんなの豊満なボディが?」

 

「ち、違っ……豊満?」

 

「みんな結構着やせするタイプなんですよ」

 

「ふむ……」

 

「想像力をたくましくしていますね?」

 

「うわっ⁉」

 

 オパールがいつの間にか、山田の顔の隣に顔を寄せていたので、山田は驚く。

 

「今のは間違いないですね~。でもボクは黙っていてあげますよ……」

 

「くっ……!」

 

「って、パイセン、どこに⁉」

 

「煩悩退散するために、サファイアさんとランニングして登校する!」

 

「ちょ、ちょっと待って、からかっただけなのに! もう、せっかくの二人での通学が……まあ、慌てなくてもいいか。パイセンはこれからもボクらと一緒なんだから……」

 

 オパールが走る山田の背を笑顔で見つめる。自らへ注がれた視線には気づかずに……。

 

                  ~第1章終~




(23年8月5日現在)

これで第1章が終了になります。第2章以降の構想もあるので、再開の際はまたよろしくお願いします。
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