彼はコブラオーグのアジトに向かうも、コブラオーグは不在。アジトの記録から車による作戦行動に出たことを知り、コブラオーグの後を追う………
雑木林を疾走する車、"ん・5・29"の謎めいたナンバープレートが地面に轍をつける。白い仮面を身に纏った運転手がバッグミラーで後部座席を覗き込む。
そこには、青と水色のチェック柄を纏った少年、彼を捕らえるように絡みつく蛇、右手に蛇をつないだオーグメント怪人が映し出された。
蛇のようにしなやかに垂らした髪を左手でいじり、鼻息が荒くなるオーグ。彼のマスクは口を開けた蛇のような形状をしている。
「コブラオーグ様、後ろからバッタオーグ様が追いかけてきてます!」
サイドミラーに映る小さなバイク乗りの姿を確認し、運転手はコブラオーグにどうするか問いかけた。
「子供を連れて行け、僕はこっちは面倒を見る。」
「了解しました!」
車は廃ビルに到着する。コブラオーグは右手の蛇を左手で切り離し、ドアを開けて車から飛び出した。
そして、車が離れ去った直後、風を切って光るバイクが後方から現れた。
銀色のマスクに黒調のコート、そして風にはためく赤いマフラー。"バッタオーグ"の登場である。
「きたな、"バッタオーグメント"!」
「"バッタオーグメント?"それは俺たちの名前じゃない。お見せしよう、俺たちは………」
両腕を右に広げ、半回転。両腕を左に集め拳を握る。風の中に漂うプラーナが彼のベルトの風車を回す。身体が超人へと変貌し、その眼に赤光が灯される!
「仮面ライダーだ!」
「名前を変えたところで本質が変わるとでもいうのか!」
「『名は体を表す』というだろ?あんただってコブラオーグを名乗って蛇の仮面をつけてるじゃないか。」
「………黙れよ政府の犬風情が!」
コブラオーグは右手を挙げる。そこには切り離されたはずの蛇が存在しており仮面ライダーを威嚇した。
ザッ!と廃ビルから複数人のSHOCKER下級構成員が出現。ナイフを手に、仮面ライダーに向かって威嚇する。
仮面ライダーは飛び上がった!バッタの力を持つ仮面ライダーにとって廃ビルの高層階など階段を登るに等しい。
SHOCKER下級構成員と同じ階に飛んだ仮面ライダーは逃走、SHOCKER下級構成員はそれを追走する。逃走、追走、逃走、追走、逃走、追走。その果てに仮面ライダーは廃ビルから飛び降りる!
華麗なる着地!SHOCKER下級構成員も仮面ライダーと同じく飛び降りるが、その多くが着地に失敗した。
「全滅はかたいと思ったが2人残っちまったな」
ふとSHOCKER下級構成員の方向に目を向ける。次々と爆散するSHOCKER下級構成員の死体。
「あれ?泡にならないのか」
「犬よ!SHOCKERの隠蔽技術は泡になるだけではない!」
「ご説明どーも」
生き残ったSHOCKER下級構成員はナイフを手に仮面ライダーに襲いかかった!左、右、と素早く繰り出されるナイフを紙一重に避ける。
痺れを切らしたSHOCKER下級構成員はベルトを狙った執念深いナイフ攻撃!だが仮面ライダーはこの動きを読んでいた。がしりと精密に手首を掴みナイフを封じる。そして顔面に向かって1発、2発、3発、4発!SHOCKER下級構成員は吹っ飛ばされ爆発!
もう1人のSHOCKER下級構成員はマスクにナイフ、これも手首を掴み避け、仮面ライダーは背負い投げを行いSHOCKER下級構成員を無力化。同じく爆散した!
「役立たずが………!」
コブラオーグは廃ビルから飛び上がり、仮面ライダーを強襲。この攻撃を仮面ライダーは飛び上がり回避した!
一歩踏み込めば致命的一撃を加えられる間合いにいる両者、睨み合い、戦闘態勢をとり、機を待つ。
「なんで子供を攫ったりした?SHOCKERの非道の中でもなかなか許せるもんじゃないぞ」
「知ったことか、犬!子供は僕が使うために攫っただけのこと。貴様のような犬の知ったことではない!」
「どこにいるんだ子供は」
「うるさい!死ねライダー!」
コブラオーグメントは生きる右手を前に繰り出す。右手の蛇が間合いを簡単に横断し、仮面ライダーの首に放たれる。仮面ライダーは咄嗟に左手を差し出して防御、蛇は左手に巻きつき舌をしならせる。
仮面ライダーのチョップが蛇に命中!たまらず蛇は拘束を解き、コブラオーグの右手に戻った!
コブラオーグは、自分の攻撃が防がれたことに憤慨し、怒声を上げた。
「この………!!」
だがコブラオーグはその怒声をグッと堪え、その場で回転。地面の中に入り込みその場から姿を消した。
「逃げたか。………何、本郷、大丈夫さ。俺の耳はすごくいいのはお前もわかるだろ?」
仮面ライダーは地面に耳を澄ませコブラオーグの振動を感じ取る。その動く方向に向かってシン・サイクロンを走らせていった。
廃ビルから離れて約2km。コブラオーグは廃工場を改造したアジトにいた。彼は少年を連れてきて、蛇で縛り上げていた。彼の顔は仮面で覆われていて、どことなく愉悦が見えた。
「助けてぇ!助けてぇ!!!!」
少年は体を暴れ、表紙には少年の靴が落ちてしまった。靴は溶解液の中に入り、溶かされてしまった。
「ひえ?!」
少年の顔に汗が垂れる。靴の末路が自分自身に迫っているような気がした。
その予感は当たっていた。蛇は徐々に下がり、少年を溶かそうとしていた!
「なぜこんなことが…!?」
「………僕はね、犬が嫌いなんだ」
「はっ?」
「四つん這いになって這いずり回り、人間に媚び諂う。好意する理由がない。」
コブラオーグは、嬉しそうに言葉をこともなげに紡いだ。
「僕は犬が嫌いだ。嫌いなものは消したい。犬も、犬を飼う人も、犬みたいに命乞いをする人も………」
最後の「犬」の部分を言いながら、コブラオーグは少年の顔を愉快そうに見下した。
「君は僕の幸福になるんだ。その一歩として!」
コブラオーグは右手の蛇で少年を拘束する蛇を殺す。そして、落下する少年!
少年は思わず目を瞑り、身を震わせた。覚悟する時間すらなく身を溶かされてしまうのか?
1、2、3………いつまでも溶ける痛みが訪れない。少年は目を開ける。そこには、闇を掻き消す赤い光が三つあり、少年を照らしていた。
「ライダァァァァァ!!」
「さっき聞いたけどよ、あんたの幸せがさっぱりわからん。一体、この子となんの関係があるんだ?」
「へらず口を………叩くんじゃねぇよ、犬がぁぁ!」
仮面ライダーは少年を連れて廃工場を後にする。通路の先々から飛んでくるナイフを避け、叩き、蹴りを食い込ませる。
次々と爆発四散するSHOCKER下級構成員。その熱が仮面ライダーを焦がす。しかし熱を恐れず走り、広いところに出た仮面ライダー。
彼は高く高く天に手を挙げた。その直後、ヘリが空を切り裂きやってくる。
「タチバナの親父さん。相変わらず手が早いですね。」
「お前には常に監視がついているからな」
タチバナの顔は崖を向く。そこには車が一台。
「では子供お願いしますよ。俺はまだ終わってないんで。」
タチバナの隣に少年を置き、ヘリを背にする。ヘリの羽が草を巻き上げ飛び立つ時、コブラオーグが仮面ライダーと対面した。
「ライダァァァァ!貴様は犬だ、許せん!殺してやる!」
「随分と殺気を向けてくるじゃないか。………まあ邪魔してやったし怒るのも無理もない話かっ!」
仮面ライダーの言葉の最後と共に繰り出されるパンチ!しかしコブラオーグの頭に当たらず空を切る。コブラオーグは廃工場近くの階段に登り、高所から右手の蛇で攻撃!伸びた蛇の牙には猛毒だ。仮面ライダーはプラーナを持たない純正な毒に弱い。噛まれたらお陀仏であろう!
仮面ライダーの決断は早かった。飛んできた蛇の脳天にチョップを喰らわせたのである!泡を吹く蛇は噛むことができない!そして蛇と連動し右手を負傷したコブラオーグの隙をついて飛び上がった!
バッタの羽が背中に現れ回転、繰り出されるは伝家の宝刀!弾丸よりも速くコブラオーグに放たれたライダーキック!
「ぎいゃぁ!」
あまりの破壊力を喰らったコブラオーグはそのまま廃ビルから落下し地面に激突………そして、
「じ、じごくたいしさまぁ!」
の断末魔をあげ爆発四散した。
「ん………やはり変だな。」
その様子を高所から見下ろす仮面ライダー、一文字隼人は疑問に思った。今までのオーグは敗れた際の情報漏洩を防ぐ手段は融解化のはずである。決して周りに被害を出す爆発ではなかった
「心スッキリしないぜ。本郷」
マスクに問いかけ燃える草木に対して睨みつける一文字隼人。その姿を見るタチバナは少年を起こした。
「起きなさい、もう安心だ」
その言葉と共に目を覚ます少年。タチバナは彼の名前を尋ねる。
「僕の名前?………ゴロウさ」
コブラオーグ、彼の敗北は仮面ライダーの更なる戦いの序章であった。
SHOCKER に存在する三つのグループ、その一つ「地獄使節団」とはいったいなんなのか?
少年ゴロウの思惑は?
次回シン・仮面ライダー対じごく大使
「三つ巴の幸福」
にご期待ください。