やっと、やっと、やっと見つけた
もう二度と会えないだろうと諦めていた、だが生きてた
あの時、俺の手の中で消えていったミオネが、今は俺の腕の中で寝息を立てている
だが、ミオネの体は傷だらけで、古いものから新しいもので体はボロボロだ
そして抱きかかえている体も、とんでもなく軽くて、そして細い
よく生きてこれたと感じてしまうほどに、ミオネの体はボロボロだった
実際シエルさんの解析でも、生きているのが奇跡レベルだと
もう少し早く見つけていれば…
そして、ミオネにこんなことをした奴等を全員殺しておかないと
両親に見える何かや高校にいた生徒や教師の名をかたる何かは全員殺した
だが足りない、中学や小学校、そしてミオネと血が繋がっている奴ら、そしてミオネの存在を知っている奴らは全員殺さないといけない
かなりの作業だが、ミオネの為だ
ミオネの事を知ってるのは、俺たちだけでいい
そしてミオネも、あんな奴らの事なんて覚えてなくていい
俺ほどとは言わないが、他の誰よりも多いユニークスキルやスキルを持っているミオネだから、記憶操作で忘れさせることは出来ないが、俺たちと一緒に過ごして徐々に忘れさせればいい
もしこっちの世界に帰りたいと言っても、帰さない
また俺たちの前からいなくなるなんて考えたくもない、ありとあらゆる手段をとってでも阻止して見せる
もう二度と、離さない
離すものか
「…ん…」
体にわずかに残る倦怠感を感じながら、目が覚める
そして視界に飛び込んできたのは、何処か見覚えがある板張りの天井
だけど、その見覚えはきっと違うものなのだろうと思いながら首を捻れば、視界に飛び込んでくる縁側
そして縁側から見える、見覚えのある街
間違いない、今見えている街は
魔国連邦首都、リムル
この国のリーダーの名前を要する都市
確かリムルさんは反対したけど、多数決で決まっていたような記憶がある
私の名前も候補にあったけど、恐れ多いどころの話じゃなかったから辞退させて貰ったんだっけ
それにしてもまた発展したなぁ…
最後に見た時から多少変わってる部分はあるけど、ほぼ間違いない
そして、何でこんなところで寝ているのか、その原因であろう記憶を思い出す
確かいつものように暴力を振るわれてたところに呼び鈴が鳴って
何度も鳴らしてくる事にいらいらした父親が玄関に向かって
怒鳴り散らそうとした父親の首が転がってきて
で、リムルさんが入ってきて喚いた母親の首を落として…そして…
『無理やりにでも連れて行く』
あの時、とてもリムルさんから発せられたとは思えない言葉と、黒く濁った瞳を思い出す
リムルさんに間違いない、間違いない筈なんだけど…何かおかしい
「お目覚めになられましたか?ミオネ様」
久しぶりに見る街を眺めながらそんなことを考えていると、誰かの声がする
夢の中の呼び方をするなんて、この国がある世界の人しか考えられない
そしてこの声…
声がした方向に首を向けてみれば、そこには一人の女性
長い桃色髪を後ろの方で束ねていて、巫女服に身を包んでいる
そして特徴的なのは、額から伸びている白い角
そして…リムルさんの秘書
「シュナ…さん?」
「はい、シュナですよ」
私の言葉に微笑みながらそう言うシュナさん
傍らには手拭いや回復薬が置いてあって、私を看病してくれていたってことが分かる
責めて謝罪の言葉と感謝の言葉を述べようと体を起こそうとしたけど、まるで体全体に凄く重いものが取り付けられてるのかと思うぐらい体が重いうえに、腕に力が入らない
ふと自分の体を見てみれば、全身にあった筈の傷が綺麗さっぱりなくなっていた
いや、それどころか汚れだらけの体が綺麗になっている
多分回復薬を使ったんだろう、でなきゃこんな綺麗になってるはずがない
「駄目ですよ、まだお体が万全ではないんですから」
何とかして体を起こそうとしている私を、そう言いながら優しく布団に戻すシュナさん
実際これ以上頑張っても起き上がれそうにないから、大人しく布団に戻される
「すいません、迷惑かけて…」
「いいえ、寧ろこうしてまた…会えたのですから…嬉しい限りです」
そう言いながら目元を拭うシュナさん
…何で泣いているんだろう、私なんか雑魚以外の何者でもないのに
不思議に思ってたけど、ふと気になることがあったから聞いてみる
「ところでリムルさんは…?」
多分、私を連れてきた張本人であろう人が見当たらない
というより、ここは本当に現実なのか区別がつかない
「リムル様でしたら只今執務中だと思います、もうすぐこちらに伺うと申されておりましたよ」
「そうですか…」
そう言えばリムルさんって一国の主だったな…それに魔王だし
そんな忙しい身なのに何で私なんかを探して、しかも連れて帰ったんだろ
私がいたところで迷惑しか掛けないのは目に見えてるのに
リムルさんみたいに強くもなくて、そこら辺のスライムにすら負けるぐらいの雑魚、得意分野というものもない、そしてリムルさんみたいなカリスマもない
シュナさんも私なんかより、リムルさんの補佐がしたいだろうし、リムルさんも楽になるのに
「…ネ様、ミオネ様?」
「あ、は、はい!何か御用ですか?」
考え込んでいてシュナさんが呼んでいることに気付いていなかった
シュナさんが心配そうな顔をしているのを見て、また迷惑かけちゃったな…
「いえ、思い悩んでいられたようなので…如何なさいました?」
「あ、い、いえ、何でもないですよ?」
「ならいいのですが…何か困ってることがありましたら遠慮なく言ってくださいね?」
シュナさんの言葉に曖昧に頷く
とはいっても、そんな恐れ多いことなんて出来やしないけど
シュナさんはリムルさんを主と崇めてるだけで、私の事はどうとも思ってないだろうから
そんなことを考えていると、慌ただしい足音と共に誰かが近づいてくる
「ミオネ!」
私の名前を呼ぶ声と共に襖が勢いよく開く
そして勢いよく開けた人はというと、起きている私を見て目を見開いている
「リムル様、嬉しいのは分かりますが落ち着いてください、驚かれておりますよ?」
「あ、あぁ、すまん…でも、良かった…!」
シュナさんの言葉となんか怖い笑顔に気圧されつつも、私が寝ている傍まで来て手を取るリムルさん
意識を失う前に見た服装とは違って、結構ラフな格好
「良かった…一週間も目覚めなかったから…!」
「え、一週間…?」
そんなに寝てたのか、私…
「大丈夫か?どこか痛むところとかないか?」
「は、はい、別に…体が物凄く重いこと以外は…」
「あー…多分あれだな、こっちの世界に来たばっかりだからまだ慣れてないんだろ、少ししたら治るさ」
何処か歯切れが悪そうにそう言うリムルさん
まぁ、こっちの世界じゃ魔素なんていう概念があるみたいだから仕方ないのかな
それより…
「あの、ここって…間違ってなかったらここって…」
「ん?あぁ、テンペストだぞ?」
やっぱりそうなのか
でも何で、どうして私なんかを?
今魔国連邦は大変で猫の手も借りたい様な状態のはず
でも私なんかいても迷惑しか掛けない
リムルさん達みたいに何かスキルを持っているわけでもない、頭がいいわけでもない、戦闘に関しても体力がないから役立たず
そんな私がいても何の役にもならない
やっぱり私はこの世界にいちゃいけな
「させないからな?」
突然リムルさんが顔を覗き込んでくる
その顔は笑っていたけど、瞳が黒く濁り切っていた
おまけに何と言うか…威圧感が凄い…
「リムル様、ミオネ様が怖がっておられますよ」
「…あぁ、悪い悪い」
シュナさんがそう言うと顔の目の前から離れるリムルさん
さっきの威圧感は消えて、瞳は金色に戻っていた
何なら罪悪感すら漂っている…何でリムルさんが抱くんだろう
私の気のせいだったんだろうか
「とにかく、今は休んでくれ、後でゆっくり話すからさ」
「あ、はい」
そう言うと頭を撫でてから出ていくリムルさん
国のリーダーだからやることも多いのに、私なんかを見舞いに来てくれて申し訳なさしかない
というかシュナさんは手伝わなくていいのかな、私なんかの看病してくれるよりリムルさんの手伝いの方が大事だと思うけど
というより私を元の世界に戻した方が…元の世界?
え、私は日本に住んでた…日本って何処だっけ…?
「ミオネ様の看病を優先するようにとリムル様から言いつけられておられますので」
「あ、そうなんですか…私の考えてることそんなにわかりやすいんですか?」
「えぇ、というよりミオネ様はよく顔に出ておられますから」
そう言いながらくすくすと笑うシュナさん
何というか…私そんなに顔で分かりやすいのかな
「しかしリムル様もお人が悪いですね…まぁそれに協力してる私達も私達なのでしょうが…」
「?何か言いました?」
「いいえ、何でもございませんよ」
何かシュナさんがぶつぶつ言ってたけど…気のせいか、うん
シュナ
一見普通に見えるがまぁ例に漏れず
ミオネが何処かへ行かないように四六時中見張ってる
まぁ比較的まとも
リムル
あの地獄から連れて帰れたと思ったら、役立たずは元の世界に帰らなきゃとミオネが思ってることにキレて威圧してしまった
後で死ぬほど後悔してそう
病むという次元を超えている一人
なお、ミオネの体の倦怠感と一部の記憶がない原因はこの人とシエルさん
他のキャラ
大体病んでる
特に一部は病むという次元を超えている
ミオネと関りがあった元の世界の住人
リムルが全員殺した
ミオネの存在を知っているのは俺たちだけでいい