才数多持つ私のヒーローアカデミア   作:スプライト・エルフ

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第七輪 結末

 

 

 

 

オールマイトの一撃は脳無をUSJの天井をブチ抜いた上で更に遠くまで吹き飛ばした。

 

 

「…漫画(コミック)かよ。ショック吸収を()()()()にしちまった…究極の脳筋だぜ。」

 

 

切島君の言葉も分かる。

超人社会において尚浮世離れしたパワーだった。

 

 

「やはり衰えた…全盛期なら5発で十分だったろうに…300発以上も打ってしまった…」

「さてと、敵。お互い早めに決着付けたいね。」

 

 

「衰えた…?嘘だろ完全に気圧されたよ…よくも俺の脳無を…チートがァ!」

 

 

轟君は出る幕はないと退く判断をした。

普通なら間違いじゃない。

だけど…

 

 

ここで来るか…!

私が驚愕と共に予言書の記述を見る。

 

 

「敵の攻撃で平和の象徴、死亡」

 

 

即座に横線を引く。未来は、消えた。しかし問題なのは修正の可否ではなく、記述が現れた事そのもの。

何故かは分からないけど、オールマイトは多分、もう敵の攻撃を捌ける状態にない…!

 

 

「どうした?来ないのかな?クリアとか何とか言ってたが…できるものならしてみろよ!」

 

 

恐らくオールマイトの言葉は虚勢…!

なら、今できる事を…!

 

 

「ぐぅぁぁ…!」

 

 

階段から離れて起き上がろうとすると、全身が滅茶苦茶痛い。

それらを無理矢理“癒す”。

 

“才能”

 

フローレンス=ナイチンゲール…『(いゆ)の天使』

 

 

「+…!」

 

 

宮本武蔵…『歪二天礼法』

 

 

黒モヤが諭したのか、首魁と黒モヤはオールマイトに迫ってる…

 

それを見て、私はオールマイトに向けて跳躍した。

 

 

相抜(アイヌキ)ッ…!」

 

 

『歪二天礼法』は剣術の才能…では無い。

包括的な“剣士”の才能。

 

宮本武蔵の由来たる二刀。踏み込み、打ち込む筋力。動体視力。そして、超常の武才。それらを揃える才能こそが『歪二天礼法』。

 

その技の一つ。お互いに無数の剣の幻影を突きつけられ、身動きを封じる技“相抜”。

 

私はそれを黒モヤに仕掛けた。

瞬間、緑谷君も奴に向けて飛んだ。

 

私達の認識は同じだったのだろう。

 

“より危険なのは黒モヤ”

 

迫る緑谷君を見た敵首魁はモヤに手を突っ込んだ。しかし、転移は起きない。

 

どんなにモヤが不定形であっても、生身の部分を相抜は逃さない。

そして、相抜に囚われたなら、身体変形の“個性”は大きく鈍る。

 

そして、決定打が入る。

 

銃撃が首魁の手に刺さった。

 

 

「ごめんよ皆。遅くなったね。すぐに動ける者をかき集めてきた。」

 

 

聞こえるのはこの学校の校長の声、そして、信じて送り出した後輩の声。

 

 

「1ーAクラス委員長飯田天哉!! ただ今戻りました!!!」

 

 

増援(教師陣)が、到着した。

 

 

「あーゲームオーバーだ。帰って出直すか…黒霧…」

 

 

未だ逃げられると踏んだ首魁に更に銃撃が刺さる。

だけど、私が地面に叩きつけられた衝撃で相抜が弱まった。

 

予想していたとは言え、転移を止めきれない…!

ワープゲートが大きく広がり、首魁を包み込む。

 

13号が“ブラックホール”で引き付けたけど、転移の方がギリギリ早かった。

 

 

「今回は失敗だったけど、次は殺すぞ。平和の象徴。オールマイト。」

 

 

敵は去った。大きな傷跡を残して。

 

 

 

 

「17…18…19…両足重症の彼を除いて、ほぼ全員無事か。」

 

 

刑事さんの言葉にどうにか安心する。

今回の一件で重大な問題の片鱗に触れたかもしれない。

 

と思ったけど、今はクラスメイトの無事を喜ぶべきと心を切り替えた。

 

 

相澤先生は両腕の骨折に顔面骨折…もっと言えば眼窩底骨折の粉砕骨折で目に後遺症が残る可能性すらある…と。

 

 

オールマイト、13号、緑谷君は保健室で大丈夫との事で、既に運ばれたらしい。

 

 

リカバリーガールに確認、取るか。オールマイトに面会させて貰えるように。ようやく打開策が見えた。初めて命を賭けた戦いをして気づくものがあったから。

 

 

 

 

 

全校早退となっても、私は帰らず、保健室の前に居た。

警察の事情聴取も終わったタイミングだ。

 

大丈夫だろうと、私は扉を三回ノックした。

 

 

「………入りな。」

 

 

「失礼します。」

 

 

保健室の中には寝ている緑谷君と、椅子に座るリカバリーガール。そして、ガリガリの男性が居た。

 

 

「オールマイト…何か事情がありそうだな、とは思いましたが…」

 

 

「君に見られるなら、まだ大丈夫かな。」

 

 

そう言って苦笑するオールマイト。ガリガリだからか、いつもの力強さが見受けられない。

 

 

「私達は共にお互いの秘密を握り合う形になった訳ですか…首を突っ込んだのはこちらなだけに、申し訳ないです。」

 

 

「いや、いいよ。校長から事前に事情は聞いていたんだ。凄まじい…力だね。」

 

 

恐らく、『予言者』の事だろうな、と思った。

 

 

「未完成の欠陥品ですよ…そんな、人に誇れる物でもないです。」

 

 

「だとしても、さ。私のかつての相棒(サイドキック)も未来を知る“個性”を持っていてね…まぁ、今はこの話はいいんだ。それで…話って?」

 

 

こちらを伺うオールマイトに向けて、単刀直入に言った。

 

 

「貴方の“個性”を学ばせて下さい。」

 

 

「…色々言いたい事はあるけども、君、“個性”の習得は出来ないんじゃなかったっけ?」

 

 

「はい、そうだと()()()()()()。これを見て下さい。」

 

 

オールマイトに手を差し出す。その表面は汗で濡れていて、それらの汗が光と熱を発して弾けた

 

 

「これは…!」

 

 

「爆豪君の“個性”です。勿論、出力、扱い方両面が圧倒的に不足しています。ですが、“個性”は習得可能でした。それでも今まで習得の素振りすらなかったのは、“個性”というモノの本質を読み違えていたからでした。」

 

 

「本質…?」

 

 

「個性とは、人と“共に在る”物です。その個人と共に人生を形成する。では翻って私の、廻り者の“輪廻の才能”はどうか。」

「答えは簡単でした。“才能”は、人を“塗り潰す”物です。」

 

 

これはリィンカーネーションの花弁の中でも語られている事だ。完全な廻り者達はやがて才能を欲して頸を斬った“己”を忘却していく。

 

私にとって“才能”こそがデフォルトであり、“個性”の在り方が今一つ理解出来ていなかった。これが真相だった。

 

 

「条件は整いました。了承、して頂けませんか?」

 

 

オールマイトは少し考え込んで、首を横に振った。

それを見て、ハッと気づく。余りにも性急だった。

 

 

「…少し頭冷やします。」

 

 

「あぁ。扇耶少女、君の“悪癖”が出てたぞ。先程の君は”才能“に流され、知識欲で私に迫った。であれば、平和の象徴としての力。学ばせる訳には行かない。」

 

 

最悪…常日頃から気をつけていた筈なのに、戦闘後のせいか御し切れてなかった…

 

 

「“個性”を学べるようになったのは僥倖だけれど、気をつけるんだよ。君自身が分かっているように、君の“才能”は大きな可能性を秘めている。それは善にも悪にも傾きうるんだ。」

 

 

「…はい。」

 

 

「ただ、USJでクラスメイトを助けようと奮闘した君は、紛れもなく“ヒーロー”だったと思うぜ。」

 

 

項垂れていた私は、その言葉にバッと顔を上げた。

 

 

「ありがとう…ございます…!」

 





[人名]

フローレンス=ナイチンゲール

『才能』
???

[癒の天使]
患部に触れる事でどんな傷でも癒す才能。
才能の行使者の接触部位は身体のどこでもいいらしい。

[]

〈小話〉
セイが最も使用を嫌がる才能。[一寸の極み]習得時に同時に習得した。視覚の限界使用のバックファイアを癒すのが主目的。
尚今回は全身の裂傷や打撲も癒した模様。

[人名]

宮本武蔵

『才能』
???

[歪二天礼法]
二本の大太刀“首狩り”と“腹削ぎ”を顕現させる。
膂力、瞬発力、動体視力の大幅強化。
殆ど異能な剣術の習得等、様々な変化を及ぼす才能。

〈小話〉
要は“ヤベーイ剣士”を生み出す才能と言える。
これはリィンカーネーションの花弁原作ヒロイン“灰都=ルオ=ブフェット”の才能なのだが最初期から登場する割に巻末の説明欄に一度も登場していないためまだまだ謎の多い才能となっている。
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