才数多持つ私のヒーローアカデミア   作:スプライト・エルフ

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第八輪 戦いの予兆

 

 

 

USJの一件から2日。1日の臨時休校を挟み、A組はホームルームの時間を迎えようとしていた。

 

 

「皆ー!朝のホームルームが始まる 席に着けー!」

 

 

「ついてるよ。ついてねーのお前だけだ。」

 

 

瀬呂君のツッコミもそこそこに教室の扉が開いた。

そこには、

 

 

「お(はよ)う。」

 

 

「相澤先生復帰(はえ)ぇぇぇぇ!!!」

 

 

全身包帯だらけでミイラと化した相澤先生が。

明らかに重症だったろうに…相変わらず凄い人だ。

 

 

…後で相談しようかな。今後について。

 

 

「先生!無事だったのですね!」

 

 

「無事言うんかな…アレ…?」

 

 

という言葉に、相澤先生が「どうでもいい」と返した。

いや、担任の安否は気になりますよ…

 

 

「何より戦いはまだ終わってねぇ。」

 

 

相澤先生の言葉に皆それぞれ反応する。

 

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

 

「クソ学校っぽいの来たァァァ!」

 

 

クラスのテンションは最高潮だ。

しかし、タイミングがタイミングだ。

 

 

「待って待って?(ヴィラン)に襲撃されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

 

 

これに対して相澤先生は雄英の考えを示した。

 

 

「逆に開催する事で雄英の危機管理体制が磐石だと示す…って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ。」

「何より、雄英(ウチ)の体育祭は()()()()()()()(ヴィラン)如きで中止していい試みじゃねぇ。」

 

 

…超常の存在はかつてのスポーツ大会の実施を難しくした。

その結果衰退したオリンピックに代わり、この国で愛されるようになった祭典。それが“雄英体育祭”。

 

八百万さんが補足してくれたけど、プロヒーローもスカウト目的で見る。それほどの影響力がある。

 

プロヒーローとしての資格を取り、卒業したなら、先達の事務所に相棒(サイドキック)として所属していく。上手く行けばそこから独立ルートに入れる。

 

今のヒーロー制度はこんな感じだ。

 

 

「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓ける訳だ。」

 

 

とは相澤先生の談。

 

 

「ーー年に一度、計三回だけのチャンス。ヒーローを志すなら、見逃せないイベントだ!」

 

 

 

 

四限の現代文が終わると、皆盛り上がっていた。

正しい形で拓けた夢への第一歩なのだから。

 

そんな私は今、相澤先生を訪ねて職員室へ来ていた。

 

 

「どうした?」

 

 

「医療用の“個性”使用許可免許を、取ろうと思っています。リカバリーガールにも一昨日話を通して、了承してもらっています。」

 

 

「『癒の天使』への嫌悪が薄れた訳じゃなさそうだが…そうだな。今までのお前ははっきり言って不合理だった。だから…まぁ、いいんじゃないか。婆さんが許可してんなら、俺としても否は無い。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

私はその後直ぐに職員室から出た。長居は職務の邪魔なので。

 

 

 

 

 

廊下を歩いて、少し考えてみる。

あの日、私が既に先述の免許を持っていれば、『癒の天使』を相澤先生に行使できた…と思う。

そうすれば相澤先生は目元の後遺症を回避できただろう。

 

相変わらず、あの才能に対する嫌悪は拭えぬままだ。

人に行使できるか、それが、怖い。

 

拳を強く握り締める。決まりきらず、ブレッブレの覚悟だけれど…それでも私だってオールマイトに憧れた一人だ。

 

なってやる。多くの人を護れるヒーローに。

 

 

とは言え、“腹が減っては戦ができぬ”。私は、昼食を摂るために、食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

「何事だぁ!?」

 

 

帰りのホームルーム後、帰ろうとして人混みに邪魔されて帰れない麗日さんの叫び。

何となく意味は察するけど…進路妨害はなぁ…

 

と思っていると、文字通りの爆薬がドアに向かっていった。

 

 

(ヴィラン)の襲撃を耐え抜いた奴らだもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてぇんだろ。」

 

 

安定の爆豪節が炸裂。そして続く言葉が、

 

 

「意味ねぇからどけ、モブ共。」

 

 

これである。

 

 

「知らない人の事取り敢えずモブって言うの止めなよ!」

 

 

飯田君、ナイスツッコミ。しかしなぁ…爆豪君は相変わらず言葉が強い。

 

そんな時、人混みの後ろの方から声がした。

 

 

「どんなもんかと見に来たが…随分偉そうだなぁ…ヒーロー科に在籍してる奴ってのは皆こんななのかい?」

 

 

爆豪君の威嚇も意に介さないまま爆豪君の前に躍り出たのは一人の男子生徒。

 

その“瞳”に私は興味を抱いた。

 

 

「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ…普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴一定数いるんだって…知ってた?」

「体育祭のリザルトによっちゃあヒーロー科編入も検討してくれるんだってさ。その逆もまた然りらしいよ。」

「“敵情視察”?少なくとも俺は調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞーっつー宣戦布告しに来たつもり。」

 

 

そういえば、アイツら(去年の同級生)元気かな。私と違って進級してる筈なんだけど。体育祭が学年別総当たりな関係上。二年ステージは録画になっちゃうからな…

 

そう思っているとB組の生徒も乱入してきて混沌とした状態になった。

 

 

ヘイトが集まるのは勿論爆豪君に対して。

その中で彼は言った。「上に上がりゃ関係ねぇ。」と。

 

 

実際は更に敵を作った形だけれど、爆豪君なりの“覚悟”なのだと思った。私は早足で帰る彼を横目に見つつ、帰る準備を進めた。

 

体育祭当日までは二週間。あっという間だ。





医者にも個性使用の免許はあるはず…!(多分)
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