国連の首都大陸であるアスバウルから数十㎞ほど離れた場所にある主に8個の島を中心としたラエント諸島、ここはいつの時代においておいても重要視され国際連邦成立以前はアラウス連邦による陸海空軍の共同基地が作られたり、東側諸国を牽制するために中距離弾道ミサイルを配備したりするなど何かと歴史に振り回されてきた諸島なのである。
そして今度の大陸転移でもその影響を最も受けたのもラエント諸島であった。
国際連邦 アラウス連邦国 ライエント州 ラエント諸島 エンタイ島 エンタイ市
ラエント諸島では転移以降主な8つの島の内4つの島を中心に電波が届かなくなっていたため本国からのありとあらゆる情報が手に入らないでいた。
そのため、州政府が電波が届かない4つの島の中で最も大きいエンタイ市に配備されている情報を即座に共有できるシステムを搭載した特殊艦1隻を8つの島の中でも特に大きい都市があるライトミル島へと派遣する事である程度の情報を入手することが出来るようになった。
本来なら情報通信艦も他の艦と同様、飛行能力を有していたが転移による影響で原因不明の広域電磁現象が発生し飛行が出来なくなった事やありとあらゆる通信類の通信可能範囲が減少、その他の全分野で影響を受けたものの、テレビやラジオ放送など、メディアは対して影響を受けていないということが技術者たちの頭を悩ませていた。
そして、本日2回目の航行を開始した。
情報通信艦『ユメライ』
「艦長、この何日間もの間に何回も何回も情報を受け取っていますが、いつになったら復旧するんですか?」
「まだ復旧の目処はたっていないな、何でも海底ケーブルが根こそぎ使い物にならないらしい、」
「まだ、海底ケーブルなんて使っていたんですか?もう使ってないかと思ってました」
「無線が使えないときには有線が1番効率的だし、海底ケーブルを各大陸に敷設すれば即時共有が可能になるから現在でも重宝されているのさ。もっとも、各大陸に敷設していたケーブルが一定の海域できれいに切断されていたらしいが…」
転移初日に他惑星や他大陸と一切通信が出来ないとの報告を受けて急遽編成された調査隊をケーブルが敷設しているところに向かわせ問題が無いか確認作業を行っていた。
その際にアラウス連邦国の有するある一定の海域でケーブルが不自然なほど垂直に切断されていた。しかも、一カ所だけで無く各大陸に繋がっている全てのケーブルで同様の現象が発生していた。
国連政府はこの事態を受け、転移初日の午後6時から『国連非常事態宣言』を発令。これにより官民問わず全ての施設が閉鎖された。
さらに国連政府は、これらの一連の事態を『未知による攻撃』と判断して国防省はデフコンレベルを最高の『ファイナル・ワールド』に指定、突然のこの指定に多くの市民が困惑したもののパニックには陥らなかった。
現在では全ての国民がシェルターに避難し、軍は厳戒態勢を敷いて国内の治安維持及び外敵の侵略に備えている。
因みに、これらの宣言を受けて全ての証券取引所は無期限停止措置を受けており、無期限停止中はいついかなる時であっても全ての数値に変化は起きないという法律があるため、企業及び株主が損害を受けることはない。
だが、そのような情報でさえエンタイ島含む4島では入手することが出来なかった。
いや、情報が入ってこなかったならまだよかった…まだ…
電波だけではなく陸海空問わず各種レーダーの使用が出来なくなっていたのだ。
ただ、それだけではない…転移から数時間後には未知の大陸が発見された方角から
しかし、シャケ達が持っていたフライパンや鉄の柱のような物の上に飛んでいるシャケ?などはインクで攻撃を行っていたが、我々に対しては無力らしく通報を受け駆けつけた警察とたまたま付近で演習の準備をしていた国連軍によってほぼ全てが駆除された。
その2日後には後には、臨時で出航した『ユメライ』によって『国連非常事態宣言』と『ファイナル・ワールド』が発令された事を初めて知ることとなった。
「はぁ、はやくテレビをみたいです…」
「テレビならいつもやってるだろ?」
「あれは!ニュースじゃないですかっ!しかも『核戦争』だ『最終戦争』だで、全然面白くもないですよっ!」
「まぁまぁ、落ち着けよ、後もう少しでライトミルに着くし、帰ってこれば俺達はしばらく休暇がもらえるらしいからそれまで頑張ることだ」
「それ、本当ですか?前にも同じ事聞いたんですが…」
「本当だとも、俺が嘘をついた事があるか?」
「「「「ありますっ!」」」」
艦長の問いに乗組員全員がそう答えた。ここにいる者は口頭で、ここにいない者は無線で答えた。とても高い団結力である。
「何だよ!今回は本当だってのっ!」
「では、8パーセント信じることにします、俺には『艦長への疑いを』を自分方針にしてますので、」
「うん、信じられてないね」
それからしばらく航行していた時、突如レーダーに反応があった。
「艦長!未知の大陸方向より不審船を確認!こちらに接近してきます!」
「何だと?すぐにその不審船に警告しろ!」
「了解です!」
さっきまでの空気とは変わり、今では艦全体を冷たいが空気が支配している。彼らは初めて非常事態の意味を知ったのである。
「こちらは国際連邦軍である、現在当領海は非常事態宣言により封鎖されており無断での航行を禁止している。直ちに最寄りの港へと帰還せよ、繰り返す、こちらは…ダメだ全然効果がない、このままでは衝突するぞ!」
呼びかけの後もそのままユメライへと向かっていく不審船。艦長は決断を迫られる。
「回避行動を実施せよ!全速力で不審船を振り切る!」
艦長がそう指示を飛ばしたとき不運が起きる。
「艦長大変です、エンジンの出力が急速に低下しています、現在の速度から上げることはできません!」
「回避も振り切ることもできないか、仕方ない最悪の場合は主砲のレールガン砲をお見舞いしてやるしかないな」
「それが、主砲はおろか艦に搭載されている全兵器が使用できません」
「はああぁぁっっ!じゃあもう全員が持っている拳銃か小銃しかないぞ、まったく肝心なときに使えなかったら何にも意味がないのになぁ」
艦による抵抗を封じられた彼らは、もはや自らが持っている武器でしか対抗できない事に不安を持っていた。
不審船が目と鼻の先に来たときに乗組員の一人が望遠鏡を手に目の前の不審船を見つめる。
「なんだ?乗っているのは…イカ…この世界にはオクタリアンと呼ばれるタコがいるらしいがイカもいるのか…」
「ん?側面に何かあるぞ、字とマークがあるが字の方は全然わからないな」
不審船をしばらく監視していると、不審船からヒトが出てきた、手には何かをもっている。
突如ロケット弾のような物が発射される。
「なっ!不審船よりロケット弾と思われる物がこちらに向けて発射されました!」
「っっ!回避しろ!回避だ!」
館長が回避行動を命令するがすでに遅く、不審船より放たれた複数発のロケット弾が艦右舷部に命中。この時1発のロケット弾が火薬庫に命中し激しい爆発を引き起こし艦の水量コントロールの限界を超える量の海水が流入し、さらに、沈む際に燃料庫にも引火し2度目の大爆発を引き起こした。その後、ユメライは乗組員全員と共に海の底へと沈んでいった。
ユメライが轟沈した後、不審船はしばらく周りに浮遊している油や残骸を集めた後、未知の大陸へと進路を変更した。
これが後に『ユメライ轟沈事件』と呼ばれることになる。
ユメライを轟沈させたのは後に『New!カラストンビ部隊』に所属する隊員による独断行動により引き起こされた事件だったと判明する。
この事件は、国際連邦に大きな衝撃をもたらし…いや、
⚠⚠⚠⚠終わりへと向かう始まりとなった⚠⚠⚠⚠
◇◆◇◆
俺の名前はライト、カラストンビ部隊の5号。
今俺たちは部隊が所有する小型船に乗っている。
ある任務のために…
そう『ニンゲン』の船を沈めるために。
もちろん、俺たちが放つインクでは塗ることは出来ても破壊することは出来ない。そこで俺たちは『オルタナ』の隠し部屋で見つけた『さんしきたいかんろけっとだん』と呼ばれる旧人類の使っていた兵器を使用することにした。
最初は冗談半分で目の前の戦略タコツボ兵器に向けて使用したんだが…直後に今まで感じたことのない衝撃と爆風が自分を襲ったんだ。
吹き飛ばされた俺は戦略タコツボ兵器に目を向けると粉々になっていた…
爆発の威力に驚いた。ホタルさんやアオリさんそして司令まで言葉を失うほどすさまじい物だった。
まさか、あの兵器がこんなに凄い物だとは思わなかったし、これがあればオクタリアンの兵器なんてすぐに鉄くずに変えられると思った。
だが、裏を返せばこの兵器を造ったのはニンゲンだ。そのニンゲンが何故こんな物を使っていたのか?そもそも、ニンゲンほ海洋生物ではないし、インクも出ないからこういう兵器がたくさん造られたんだろうと思う。
そして俺は、ニンゲンが好きではない。
何故直接会っているわけではないのにそう思えるのかって。それは、これまでに起こった事の全ての元になっているのがニンゲンだからだ。
思えばオクタリアンの技術、ネル社を設立したタルタル、そしてクマサン商会を立ち上げたクマサン、第2の地球と呼ばれたオルタナ(これに関しては悪くは思ってはいない)、そして海面上昇。
そのすべてにおいて、彼ら…ニンゲンが関わっている。
まぁそうはいってもさすがにこれだけの理由では…船を沈めることなんてできない、前の部隊ならなおさらそのような事は出来なかったが、今のカラストンビ部隊は2年前とは比べものにならないほどのヒーローとしては超大規模な組織へと変貌を遂げたし、なにより世界が俺たちの行動に賛同してくれるからだ。
これまでに一体何度世界を滅ぼされかけたことか…そして、そんな状況を覆してきたのが俺たちヒーロー…New!カラストンビ部隊だった。
あの最後のクマサンとの戦いの後俺たちはいつも通りの生活に戻っていった。
だが、ある日のことinkagleニュースの記事にカラストンビ部隊とクマサンの戦いが動画付きでアップされていた。しかも、これまでのカラストンビ部隊の活躍や歴史までご丁寧に記されていた。最初は何かのいたずらだろうとおもったが…数日後にはテレビのニュースにのった。題して『世界を救った名もなきヒーローたち』という題名でだ。
それ以降は多数の取材が殺到したり、部隊に入りたいという入隊希望者が無数に現れたり、イカ国トップの首相から司令に感謝状が贈呈されたりと、とにかく様々な事が同時に起きたじきだった。
それからだった、世界が変わったのは、、、
まず、クマサン商会はイカ政府によって統制されることになり、ネル社についてもカラストンビ部隊が制圧の上イカ政府に統制された。
さらに、オルタナ、タコツボバレー、タコツボキャニオンにもイカ政府は進出を推し進めた、オルタナにかんしては今や世界3大観光名所に指定されるほど有名になっている。
しかし、度重なるイカ側によるタコ領への侵略や事件の数々によって2年ほど前にタコワサ将軍の勅命大使がイカ国との国交を無期限に断絶すると通達した。
つまりタコたちはイカ国…世界全域に対して国交を断絶した…孤立したのである。栄光ある孤立
ちなみにカラストンビ部隊はクマサン商会、ネル社、オルタナ、タコツボバレー、タコツボキャニオンを初め、地球全域の活動圏を手に入れただけでなく、イカ国政府と同等の権力を有するまでに成長し、
そして今まさに、我々カラストンビ部隊はこの世界へと
そのはじめが、ここ数日の間に複数回行き来をしている1隻の船を攻撃し沈めるというものだ。
決して失敗は許されない、本作戦は、あくまで俺と有志たちによる独断行動なのだから。
「5号隊長!目標を捕捉しました!」
「目標からの反応はどうだ?」
「今のところ、そのような反応はありません」
「他には?」
「敵からの反撃の恐れがあるため特定強化シールドの使用を具申いたします」
「わかった。使用を許可しよう。進路については、そのまま前進してくれ」
「了解です!」
ここに来るまでの間、いつニンゲン達の反撃が来るかと内心冷やついていたが…どうやら、単なる憂鬱に終わったみたいだ。
今日は例の兵器『さんしきたいかんろけっとだん』をニンゲンの船に使ってみようと思う。
戦略タコツボ兵器を粉々にした恐ろしい兵器…ニンゲンという今の我々が知らないほとんど未知の生命体に対して、我々の攻撃が通用するかは未知数だが、ニンゲンの兵器を同じニンゲンに使用すれば必ず打撃を与えられるはずだ。
その後も航行を続け、レーダーだけでなく目視出来る範囲まで船に近づく事ができた。ここまでは、うまくいっている。
相手の乗組員たちはこちらの接近に驚いたのか、旗を振り回したり、船に搭載されているライトをこちらに向けチカチカ点灯させたりしている。一体これらの行為に何の意味があるのだろうか?
まあ、意味を知る必要なんてないか…後は『ろけっだん』をつかって沈めるだけなんだから。
俺は、小型船の屋根の上にのぼり、持ってきた『ろけっとだん』を相手の船へと向ける。
ロックオンが完了したことを告げる無機質な機械音を聞いた俺は引き金を、引いた、、、、
直後、耳をつんざくような金属と金属をぶつけたような音が鳴り響く、それからすぐに衝撃をともなった爆発が起きる、その直後から船体が傾き始めていく、わずか数十秒で船体のほとんどを海水が吸い込んだ、そして、最後の爆発が起き船は完全に沈んでいった。
ついにやってやった!俺たちがニンゲンの船を沈めたんだ!!
反撃されなかったのは不自然だったが…成功したことに変わりはない。これで、奴らが不当に我々の領土に侵略してくることはないだろうな。
いや…奴らがいつまでも領土を保有させるのは危険だからな、軍に協力を要請してニンゲンの持つ領土を占領してもらうとしようか。
その後、俺たちカラストンビ部隊は沈没した船の残骸や燃料を採取して港へと戻ることにした。
これらを、メカ好きのイイダさんやアルサ教授等に引き渡せば俺たちの…いや部隊の功績はますます挙がるばかりだ。
◇◆◇◆
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巨大なディスプレイに映し出されているのは、先ほど『ユメライ』を轟沈させたカラストンビ部隊の小型船であった。
「まさか、無事に帰れると思っているのか?」
「とんでもない奴らだ、オクタリアンたちとは違いなんて野蛮なやつなんだ」
「お前らのようなテロリスト共にはこいつがお似合いだ」
そう言い放ち、操作装置のあるボタンを押す、それから直ぐに数十発のミサイルが発射装置より発射される。
ミサイルが飛んでいった方向にはハイカラ地方最大の港であるハイカラ港が存在した。
このミサイルは破壊に特化した、デストロイヤーミサイルであった。
ミサイルは1発も迎撃されることも認知されることもなくハイカラ港へと着弾し、ハイカラ港とその周辺地域を灰燼に帰した。
イカとニンゲンの戦いはここに始まったのである。
この世界、国際緊張度すでに振り切ってそう。