「これより、イカ国と国際連邦との会談を開催いたします」
司会の開催宣言とともに両国の外交交渉が始まる。すでに、両者の挨拶は済ませてあるのでそのまま交渉へと移る。
今回の会談において、国際連邦側からは外務長官が、イカ国側からは首相がそれぞれ出席した。
しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは国連側であった。
「今回のユメライ轟沈の件に関して我が国ととしましては、実行犯の引き渡し及び賠償の支払いを貴国に要求いたします」
「詳しくはこちらの紙をご覧下さい」
外務長官の隣にいた外交官が紙をイカ国外交官側へと渡す。
だが、紙に書かれている内容にイカたちは怒りをあらわにする。
「なんですかこれは!何故、貴国への賠償とはいえタコツボキャニオンやタコツボバレーをオクタリアンへ返還しなければならないのですか!」
「何が問題なのか私には見当がつかない。そもそも、タコツボキャニオンもタコツボバレーもオクタリアンの領土です。それをあなた方が治安維持の名目で不法に占拠しているだけに過ぎません。ですが、速やかに二つの領土を返還するなら、我々は貴国への賠償を取りやめてもいいのですよ、」
「わ、、我がイカ国が、そのような要求をのむわけがないッ!お前達のでっち上げた自作自演の轟沈事件に構っている暇はないのだ!」
本来の外交の場であれば禁句に値するような発言も、正気を失った首相は軽々と口にしてしまう。
「それに、ハイカラスクエアを攻撃しておいてその態度とは、、そちらこそ賠償を支払ってもらいたいものだ!」
「貴国が先ほどの要求を受け入れるなら、都市の復興費用を負担しましょう。どうします?」
首相は考える、このまま彼らの要求を聞き入れ入れるべきか、それとも彼らの要求を全面的に拒否し全面戦争に打って出るか。
そもそもではあるが、事の発端は新カラストンビ部隊の5号を中心とした至上主義派による一方的な攻撃から始まっていた。
そのため、これらの問題を引き起こした5号等を引き渡せば済むことであり、なんなら、バレーとキャニオンを返還さえすればハイカラスクエアの復興費用まで全額負担してくれるのだ。
こんなに、おいしい話はほかにないだろう。
だが、今いるのはイカでもタコでもクラゲでもエビでも無い、、
ニンゲンなのだ
そもそも、この世界に突然転移してきたというのも俄には信じがたいことであるが、、なによりも、、、
彼らがこの星を、
もはや彼の答えは、初めから決まっていた。
ニンゲンなんかに自分たちのプライドを貶されるだけでなく、これまでイカ国が貫いてきた姿勢に泥を塗るような行為は決して許される訳がない。
答えは二つに一つである。
首相は沈黙を貫いていた重い口を開いた。
「残念だが、あなた方の要求をのむことはできない、我が国に対して不当に攻撃を加えるどころか、敵対国のオクタリアンに軍事支援を実施している現状では不可能だ、」
「そうですか、それは残念です」
「では、我々はこの場で宣言させていただきます」
「本日をもって、イカ国に対して」
「宣戦を布告します」
両者に間に緊張がはしる。今までとは打って変わり首相は外務大臣を睨みつけるが、彼は全く動じない。
「我が国は、幾たびの困難を乗り越えて今がある。そう簡単にはやられない。もし、停戦の申し入れがあれば外務省まで来るといいでしょう」
「こちらこそ、停戦の申し入れの際は無線で空母マレスにお越しください。その際は我々が対応いたしましょう」
両国間の交渉は決裂した。
ただ、一ついえることは、
イカたちは、選択肢を大いに誤ってしまったことである。
◇◆◇◆
オクタリアン国 オクタリアン軍トーブ中枢司令部 中央会議室
トーブ中枢の中央会議室では、国際連邦軍関係者とともにイカ国への侵攻作戦を考案していた。
「イカたちは、基本的には享楽てきで単純細胞です。ですので、よほどの知識人でなければ我々の戦略タコツボ兵器でも十分に戦果は上げられるでしょう」
「わかりました。では、我々は第280連隊と第542ミサイル連隊などを占領したキャニオンに展開しましょう」
「我々は、バレーを占領しそこから首都圏を攻撃する」
「すでに、スクエアの方は爆撃が完了しているのでシティの首相官邸と大統領官邸を制圧し付近の官公庁なども制圧できるでしょう」
スクエア爆撃からまだ数日しか経過していないものの、まだ、ハイカラ地方以外のイカ国民達は未だ普段の日常生活を送っていた。
たとえ、イカではなかったとしてもイカと行動を共にしていたらイカと同じになってしまうのだろうか。
「では、作戦は2日後開始します」
会議は終了し彼らは自分たちの部隊へと戻りそこでも会議を行った。
2日後、後の教科書で『ハイカラの悪夢』と呼ばれる連合軍とイカ国との全面戦争が勃発することとなる。
戦闘は次話となります。