神が人類に敗北した。
有り得ない筈のその光景に、神々は言葉を失っていた。
呆然とする神々。
そんな神々が神が負けた状況に対して返せるのは、“沈黙”のみだった。
シヴァ「………」
フレイヤ「…………」
ヘカーティア「…………」
シヴァ、フレイヤ、ヘカーティアの3名、言葉を失う。
アレス「……見事だったぞ。相手も、ターク達も」
ヘラクレス「ああっ………人類のウマ娘も、俺達のウマ娘も!実に良い走りだった」
アレスとヘラクレスは、自分のウマ娘達だけでなく、ライス達も讃えた。
フギン「前列は見ましたが、やはり信じられん………」
ムニン「だが、俺等が見てんのは現実だ………」
オーディン「…………フッ」
フギンとムニンは前列を見た事があっても、やはり人間が神に勝つ瞬間というのは、やはり受け入れにくかった。しかし、オーディンは何処か嬉しそうだった。
???「あーあっ。負けちゃったかぁ」
其処へ、細い体をした男が風と共に現れた。
『北欧神話:悪戯の神ロキ』
フギン「ロキ!?」
ムニン「オメェ何処に行ってたんだよ!」
ロキ「やあやあ。フギンにムニン、それにオジ様も」
ロキの傍にメイド達が現れ、ロキの椅子を用意した。ロキは椅子に座って寛ぎ始める。
ロキ「それにしても、トールを追い詰めちゃうわ、全てのゲンソウウマ娘の頂点に立つ三女神にレースで勝つわ、人類にも中々面白そうな奴等が居るんだなぁ〜……良いなぁ!」
ロキの表情が、狂気的な笑みへ変貌した。
ロキ「僕も選ばれたかったなぁ〜♥」
フギン&ムニン「「ッ!」」ゾワッ
フギンとムニンは、ロキから感じ取った殺気と好奇心が混ざったオーラを感じ取り、背筋が凍り付いた。
そして、人類側は静寂に包まれた神々と反して、勝利を祝福する大歓声に包まれていた。
ヘイムダル『だ、誰が、この結末を予想出来ただろうか!?遂に、遂に第二回戦にして、人類が………神から1勝をもぎ取ったああああぁぁぁあああっ!!』
ゲル「やった………やったっすよぉおおおおおお!!」
人類『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』』』』
人類が大歓声に包まれる。
ゲル「やったっすよお姉様!!遂に、人類が神に勝ったっすよ!!」
ブリュンヒルデ「ええっ。本来ならお祝いしたい所ですが、まだ、8勝しなくてはなりません」
ゲル「あっ………」
ゲル(お姉様………本気で神々に勝利するつもりなんすね)
しかし、ブリュンヒルデも内心興奮していた。ウマ娘とはいえ、人類の底力を神に見せる事が出来た。
ブリュンヒルデ(神々よ!目を啓くのです!此れが、人類の底力です!)
そして、人類はウマ娘へ祝福の言葉を届けた。
人類『最高だったぜぇスペシャルウィーク!!』
人類『スペちゃん!愛してる!』
人類『トウカイテイオー!!俺達の帝王!!』
人類『テイオー!!最後スゲかったぜ!!』
そして、彼等がメインで祝福しているのは、ライスシャワーであった。
人類『ライスシャワー!!カッコ良かったよー!!』
人類『お前、スゲェ走りだったぜ!!』
人類『おめでとう!!私達に勝利を齎してくれて!!』
人類『馬鹿にしてゴメンな!!』
人類『ライスー!!おめでとう!!』
人類全員がライスシャワーを称えた。
オニジャ「よっしゃ!勝ったお祝いでもすっか!」
そんな本人達はというと…………全身筋肉痛で立てなくなっていた。
テイオー「いや……!待って!」
スペ「今まで走った事無い距離なんですよ!?」
ライス「あ”あ”あ”あ”………立てない……」
オニジャ「お、おう………」
オニジャは手を貸そうとするが、一人ではとても3人を背負い切れない。
メジロマックイーン「手伝いますわ」
ミホノブルボン「私も」
その場に現れる、マックイーンとブルボン。その背後には、沢山のウマ娘達が待機していた。
オニジャ「おう、悪いな。俺はスペを医務室に運ぶから、テイオーとライスは任せるぜ」
そして、ブルボンはゴールドシップ、ダイワスカーレットとウォッカと共にライスを抱えて運んだ。マックイーンはターボ、ルドルフと共にテイオーを抱えて運ぶ。
マックイーン「見事でしたわ。テイオー。まさか神様に勝つなんて思いませんでしたわ。それにしても、最後はどうやってゴールしたんですの?」
テイオー「いやー、僕もよく分からないんだ。なんか周りが止まったみたいに遅くなっててね?あれが時間が止まるって感じなのかな?」
ルドルフ「時間停止という事か?それはヤバいな……お前は何かするだろうと思っていたが、それは強過ぎるだろう」
ターボ「やるな!流石だぞテイオー!」
そして、ライスもブルボン達に支えられながら、人類からの祝福の紙吹雪や降り注ぐ米を見た。
紙吹雪による祝福。そして、自らの名前の由来でもある『ライスシャワー』。本来なら結婚式で新郎新婦を祝う為の儀式だが、今回はライスを祝う意味を込めて、人類からライスへ贈られていた。
ライス「此れが………お祝い………………ライスがずっと欲しかった…………応援されるって…………歓喜と祝福って、こんなに嬉しいんだね………ふえぇぇぇぇっ!!」
ライスは運ばれながら大泣きした。自分がずっと欲しかった物が、人類全員から贈られてきた事が、嬉しくて嬉しくて堪らないのだ。
ブルボン「言った筈です。“何時か此れが、歓喜と祝福の声になる日が来る”と」
ゴールドシップ「しっかり噛み締めておけ。お前がずっと欲しがっていた、祝福だぞ」
ダイワスカーレット「お疲れ、ライス先輩」
ウォッカ「よくやったね」
ハルウララ「おめでとう!ライスちゃん!」
ライス「………うん!」
目から涙を流しながら、強く頷いたライス。
そして、スペもオニジャに背中からおんぶしてもらって運ばれながら、友達からお祝いの言葉を貰っていた。
セイウンスカイ「お疲れ、スペちゃん。バトン落とした時はどうなるかと思ったけど、私達が勝てて良かったね」
キングヘイロー「ええっ。お疲れ様!」
スペ「エヘヘッ。でも、オニジャさんが力を貸してくれたから、私達は勝てたんだよ」
オニジャ「俺も楽しかったぜ。お前等ウマ娘って、スゲェんだな!」
エルコンドルパサー「そうですか?なら今度、私達のレースを見に来てください!一生懸命走ります!」
グラスワンダー「何時でも歓迎致します」
オニジャ「おう!」
スペ「エヘヘッ。でも先ず………湿布を貼ろう」
こうして、ウマ娘同士の闘いは、人類側の勝利で終わった。人類の3人のウマ娘を讃える声は、落ち着きを取り戻す一時間後まで響き渡ったという。
――――――――――――――――――――――――
その日の夜。天界の神々の離宮では、複数人の神々が集っていた。
ゼウスはティーカップの取っ手を摘むと、そのまま口元へ運んで紅茶を飲む。
ゼウス「……ふぅ。すまんのう、急に集まってもらって」
シヴァ「いやぁ、構わねえよ」
集まったのはゼウスとシヴァだけではない。人類に勝たれて不機嫌なガタノゾーア、ゼウスの背後で壁により掛かる暇そうなヘカーティア、人類と神の試合を動画にして再び鑑賞して楽しんでいるフレイヤ、シヴァの隣に座る暇そうなロキ、そしてゼウスの座るソファーの隣に立つヘルメスの姿があった。
ヘラクレスとアレスの姿は無い。数千年も共に居たウマ娘を失い、かなりショックであろう。今はそっとしておくのが一番だ。
ロキ「アレスちゃんやヘラクレスちゃんは居ないの?」
ヘルメス「ご察しください。アレスお兄様も、ヘラクレス様も………」
ロキ「……あー、成る程ね☆」
そして、ゼウスは両手でカップを持ち、ティーカップ用の皿に乗せた。
ゼウス「ま、あの三女神よりあのウマ娘が速かった。ただそれだけじゃよ…………それに、お主等も見ていたなら分かるじゃろ?この闘いが、どういうものか」
ワルキューレは本気で神々を斃すつもりだ。それが本気で伝わる試合であった。
ゼウス「………しかし、認めるしか無い。人類は強い。ならば、此方もそのつもりで殺らねばなるまい」
ゼウスの目が真面目かつ殺意に満ちたものとなっていた。
ガタノゾーア「はーい!はいはーい!!わたしがやるー!!人間をはやくぜつぼーさせたいの!!なかせたい!!さけばせたい!!ひきさいて、たたきつぶして、ひきずりまわして、ぜつぼーさせたい!!はやく、はやく人類をぜつぼーしなきさけぶすがたを!!はやくはやくはやく!!!はやくみたいんだよー!!!いじめたいよー!!!」
舌からよだれを大量に垂れ流しながら自分の唇を豪快に舐め回し、キャハハハと笑うガタノゾーア。
シヴァ「いいや俺だ!!俺を参加させろ!!彼奴等に二度と調子に乗らせねぇ!!俺は久々に滾ってんだ!!ぶっ壊してやるよ!!」
ガタノゾーア「やだやだー!わたしがやるのー!!」
シヴァ「テメェは引っ込んでろ!!」
ガタノゾーア「やーだー!!にんげんをぜつぼーさせたいのー!!」
ゼウス「それなんじゃがのう…………」
ゼウスはヒゲを擦る。
シヴァ「んだよ俺にやらせろ!!」
ガタノゾーア「わーたーしー!!」
ゼウス「すまんのう……………」
シヴァ&ガタノゾーア&ロキ「「「ッ!!」」」ゾワッ
ゼウスの肉体が膨張し、痩せ細った見た目とは裏腹に膨大な筋肉が露となる。更にゼウスの全身から放たれる怒気が、彼が怒りをその体から放っている事を三人は理解した。シヴァとガタノゾーア、そしてロキが、寒気を感じる程の怒気。しかしそれはゼウスだけでなかった。
ヘカーティアの顔はゼウスやヘルメスと違って笑っていたが、その目は怒気と殺意が込められており、怒りが頂点に達している事を示していた。
ヘルメスは何時ものにこやかな笑みは消えており、真顔のまま全身から怒気を放っていた。
ゴドルフィンバルブ、ダーレーアラビアン、バイアリータークの三人は、ギリシャ側に所属する女神だ。
ゼウス「儂等の借りは、儂等ギリシャに返させてくれんかのう?」
ヘカーティア「………………」
ヘルメス「………………」
ガタノゾーア「………分かったよ。そのかわり、人類をしっかりぜつぼーさせてきてね!!くるしませてくれたら、うれしいな♥」
ガタノゾーアは引き下がったが、ギリシャが人類を苦しめてくれる事を期待した。手を合わせてお願いする程だ。
シヴァ「オメェホントブレねぇな」
此処まで純粋に人類を苦しめたがるガタノゾーアに、少し愛らしさすら感じたシヴァ。
ロキ「でもガタノゾーアちゃんの気持ち分かるよ〜!僕も見たいなぁ♥人類が負けて失意に落ちちゃう、その顔♥」
ロキも好奇心増し増しの笑みを浮かべる。
ヘカーティア「………ゼウス。私を出して。あの子達の仇討ちを、私に任せてくれる?」
ゼウス「あー、お主が出るまでも無いわい。既に、出場する神は決めておる」
ヘルメス「先程、あの方に文を届けました」
ヘカーティア「そう………次は勝つわよ」
ゼウス「ああっ………儂等三兄弟の、次男である彼奴なら、きっと勝てるであろう」
神々は出場選手を決めた。その際、その場に潮の香りが僅かに漂っていた。
――――――――――――――――――――――――
その日の晩、ブリュンヒルデは食堂でゲルと共に夕食を食べていた。
ブリュンヒルデ「一先ず一勝目。人類が勝利出来たのは大きいです」
ゲル「はい。でも、後8勝しなくてはならないんすね」
ゲルは野菜の盛り合わせを口にする。とはいえ緊張してるせいか、あまり味を感じてなかった。
???「今緊張しても仕方ないよ。今は食べて英気を養おう。明日始まる第三回戦は、きっと激しくなると思うから」
『SSSS.DYNAZENON:怪獣優生思想シズム』
シズムはステーキをナイフで切り、フォークで口に運んだ。
ゲル「はい。分かってるんすけど、やっぱり緊張してあまり食欲も進まないっす」
ブリュンヒルデ「その気持ちは分かります。ですが今は、次に現れるであろう神との闘いに備えて、人類側からの出場者を決めなくては」
ブリュンヒルデはロコモコバーガーを食べながら次の闘士を誰にするか考えていると、突然ブリュンヒルデの懐に仕舞った端末から連絡が入る。
ブリュンヒルデ「っ!失礼!」
ブリュンヒルデは立ち上がって端末を操作し、通知内容を確認する。
すると、ブリュンヒルデは通知内容をしかめっ面になりながら見た。
ゲル「お姉さま?どうしたんすか?」
シズム「………次の対戦相手が決まったんだね」
ブリュンヒルデ「……ええっ。次の相手は、ポセイドン様です」
ゲル「えっ?えええええええええええっ!?」
シズム「ポセイドン。海の神にして、ゼウスやハデスを含めた三兄弟の次男。でも、反応を見る限り、かなり強いんだね」
ゲル「強いっすよ!!海のゼウスの異名を持つ、天界最強の三兄弟の次男っす!!神々は僕等を、というか人類を確実に殺しに来てるっす!!」
シズム「そうか…………それは良かった」
シズムは好奇心が湧いてきた。
ブリュンヒルデ「………海神には海を渡る者を。ポセイドン様に相応しい相手は、もう決めています」
ゲル「えっ!?誰なんですか!?」
ブリュンヒルデ「海の神をも越えて行く、千の海を陽気に越えて行く………………海賊です」
ブリュンヒルデは端末を操作して、戦士を指名する。
ゲル「こ、この人は!?」
シズム「へぇ…………面白いね」
そして翌日。第三回戦が行われる時間が訪れた。
ED:『memories(ONE PIECE)』
次のお遊び回で使って欲しい曲は?
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ユメヲカケル!
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ブルーバード(いきものがかり)
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ルードルーズダンス
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インパーフェクト(オーイシマサヨシ)
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ALONES
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ささやかな祈り(ライスシャワー)
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心臓を捧げよ
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涙の種、笑顔の花
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空色デイズ
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REASON(ゆず)
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ALIVE(ClariS)