ヘイムダル(どれほど………どれほど待ち侘びたか!こいつを、思いっ切り吹けるこの日を!!)
ヘイムダルは片目に涙を溜めるが、今は感動に浸るよりもギャラルホルンを吹く事を優先する。
『北欧神話エッダ
ー終末の番人ヘイムダルがその手にせし
ヘイムダルはギャラルホルンを通して大きく息を吸い、そしてギャラルホルンから息を吹いた。
天界に笛の音色が響き渡る。神と人類のタイマンが、幕を開けた。
ヘイムダル『さあ、最強神VS最強プレイヤーの闘いが遂に始まった――』
その時だった。二人はそれぞれ構えを解く。トールはミョルニルを地面に着けて、ユウキは剣の切っ先を地面に着ける。
人類『えっ?』
神々『何だぁ?』
ヘイムダル『ん?こ、此れは………両者、武器を下げた?』
トールは持ち手を握り締めてミョルニルを地面に引き摺り、ユウキは切っ先を地面に着けたまま、お互いに歩み寄る。
ヘイムダル『こ、此れは、ノーガードだ!両者共に構えを取らない!そして、そのまま近付いて行く!!』
二人は武器を下げたまま近付いて行く。
ゼウス「フォッフォッフォッ〜。相手の出方に興味無しか。様子を見るつもりなど無いようじゃのう」
ゼウスは特別席から見て、二人の行動の意味を読む。
アスナ「ユウキ………」
キリト「大丈夫だ。ユウキを信じろ。ユウキは、アスナや俺に勝ったんだ。きっと神様にだって勝てる」
アスナ「………そうね。ユウキ、頑張って!」
アスナはユウキが心配だったが、キリトの励ましを受けてユウキを強く信じた。
シヴァ「まあそうなるよねぇ」
シヴァは興味無さそうに見ていた。
フォルセティ「な、何だぁあの人間は!?畏れを知らぬ不敬者め!」
ゲル「だ、大丈夫なんスか?ユウキの方が寧ろトール様を舐め腐って無いッスか!?」
サンズ「いや、そうじゃねえ。俺にもあのユウキの行動の意味が分かる。あれは舐め腐っているんじゃなく、絶対に勝てる自信がある。目を見れば、彼女の瞳の奥に勝とうとする強い意思が湧き上がってるのが見える」
ゲル「そ、そうなんスね………」
そして、互いに距離を縮めて、とうとうお互いの距離が1メートルの所まで来て、止まる。
そして、先に行動を起こしたのは、ユウキだった。手をトールに差し出すユウキ。剣を左手に持ち替えて、右手を差し出した。
ユウキが行ったのは、トールに対する握手の要求だった。
神々『なっ!?』
神々は驚く。人間が神に手を差し伸べる光景を、信じられないという眼差しで見ていた。
アスナ「……ふふっ。ユウキ」
クライン「成る程な」
キリト「そうか」
しかし、ユウキの居た世界の人達は理解していた。ユウキの行動は、此れから闘う相手へ敬意を示し、良い試合をしようという意味が込められていた。
トール「………ふっ、面白い」
トールは握手に応じ、ユウキの手を握る。握手を交わした後、二人は握り合う手を離した。
ユウキ「ありがとう。でも、僕は選ばれた以上、全力でやるよ!そっちも手加減無しでやってね!」
トール「問おう。貴様は死が怖くないのか?」
ユウキ「怖くないよ。一度経験したし。それに皆が僕を信じてくれるなら、死ぬのなんか怖くない!」
トール「そうか。どうやら真のようだな。ならば来るがいい」
ユウキ「うん!」
ユウキは持ち手を握り締めると、剣を振り上げてトールに振り下ろした。トールはミョルニルで防ぐと、ユウキの剣を弾いた。弾かれたユウキは攻撃を止めず、剣を片手で回した後に再びトールへ振り下ろそうとする。しかし、トールはミョルニルを振り上げてユウキを攻撃する。ユウキは横へ避けて振り下ろされたミョルニルを回避し、トールの懐に迫る。
トール「やるな」
ユウキ「フッ!」
ユウキは剣を突き出そうとするが、トールが稲妻の走る左手を手刀にして振り下ろし、ユウキの体に振り下ろす。ユウキは最低限の動きでトールの手刀を回避し、剣を振り上げる。トールは後ろへ体を傾けてユウキの剣を避ける。
しかし、トールの攻撃は止まない。トールはミョルニルの持ち手でユウキを押し潰そうとするが、ユウキはトールのミョルニルに跳び乗って蹴りを放つ。トールは左腕で蹴りを受け止めた後にミョルニルを地面へ叩き付ける。しかし、ユウキはその場から跳んでおり、トールから一時距離を離していた。しかしトールの元を向いて、剣を再び構える。
トール「ッ!」
トールは自分の攻撃を見極めて回避し、自身に食らいつくユウキの闘い方に興味が湧く。
ユウキ「凄いね!そんなに大きなハンマー振り回してるのに小回りが効くなんて!」
トール「貴様もだ。俺の攻撃を此処までいなし、食らいつけたのは貴様が初めてだ」
トールとユウキは互いに認め合う。
ヘイムダル『ご、互角!!全くの互角!!スゲェ!!とんでもない展開になってきやがったぜぇ!!』
人類『『良いぞ!!頑張れユウキ!!』』
人類もユウキを応援し始める。
ゼウス「やりおるな。前列を見たとはいえ、人間がトールの攻撃をいなすとはのぅ。フォッホッホッホッ。だが『互角』とは夢を見せすぎじゃろう。トールの本当の力を知らぬ者にのう〜」
すると、トールはユウキの振り下ろした剣をミョルニルでいなした後、後方へ跳んでミョルニルを両手で持ち始める。
その時、トールの両手から稲妻が発生し、ミョルニルが雷を纏って行く。
ヘイムダル『の、ノーガードだったトール神が、ミョルニルを両手で構えたァ!!』
その時、トールが後ろへ体を倒し、ミョルニルと共に倒れて行く。
ヘイムダル『ば、バランスを崩し後ろへ……倒れるぅ!』
しかし、トールの背中は地面に触れず、ミョルニルも地面に着かずに空中に浮いていた。両足のみで立ち、膝から上はほぼ90度に後ろへ傾いていた。
ヘイムダル『いや、倒れない!!此れが構えなのか!?』
キリト「何をする気だ?」
シノン「あのまま振り下ろす気?それだと隙だらけだし、軌道を読めば避けられるわよ?」
リーファ「いや、相手は神様ですよ?それも、見る限り闘う神様………絶対何かある!」
その時だった。トールの持つミョルニルから電撃が走る。
ムニン「トールの奴、アレをやる気だぞ。面倒になってきたのか?」
フギン「いいえ。トールはあの人間を少しは認めたという事です。あの一撃は、その敬意の表れなのでしょう。でなければたかが人間一人にあの技は使わない」
トールのミョルニルが輝き、電撃がミョルニルとトールの全身を走る。
ユウキは知る。あの一撃は彼の必殺技だと。
ユウキ「フフッ」
しかし、ユウキは怯まない。襲い来る電撃が襲い掛かるが、ユウキは笑うだけだ。電撃は闘技場全体に広がり、神々と人類もあまりの電撃に全身が痺れ始めた。
神々『うわぁ!』
人類『きゃあ!』
リズベット「凄い電撃ね!」
シリカ「ひゃああっ!!ピナ!大丈夫!?」
ピナ「ーーッ!!」
キリト「こんなに強い電撃……此れが神様の力!」
アスナ「私達も女神の力を使ってたけど、彼奴はあの時の私達と比べ物にならない!でも、私はユウキを信じるよ!」
キリト達もトールの電撃を肌で感じ取る。
その時、ユウキはトールへ向かって走り出す。プレイヤーとしての経験上、敵が大技を仕掛ける時に隙が出来る。もし離れてしまえばこの電撃が襲い来る可能性があり、かといって接近し過ぎれば技を避け切れず直撃してしまう。チャンスは一瞬だ。ギリギリまで引き付ける。
ゼウス「何と!逃げずに向かって来るか!」
フォルセティ「何ぃ!?やーいあの大馬鹿!トール様に潰されちまえー!」
ゼウスはユウキの無謀さに感心し、フォルセティはユウキを馬鹿にする。
オーディン「見せよ」
オーディンの言葉は、トールの技を人類に示すよう命ずる意味があった。しかし、実はもう一つの意味がある。それは、ユウキに対してある意味も込めていた。
『受けてみよ』。
そういう事だ。トールに向かって来たユウキが、トールの攻撃をどう受け止めるのか?オーディンも見たくなったのだ。
そして、トールは振り下ろす。嘗てアースガルズに攻めて来た『
曰く―――
『
振り下ろされた一撃が、地面を貫いた。雷光と電撃が混じった極太の閃光が天と地を貫き、闘技場が真っ二つに粉砕される。その攻撃は、まるで落雷、否、光の速度に匹敵する速さで振り下ろされた。
更に、一撃から放たれた閃光は真上と真下に進み、闘技場の下に存在する地球に似た惑星の表面が、巨大な隕石が衝突したかのような大爆発を起こした。惑星全体が赤く染まり、炎に包み込まれ、灼熱が支配する死の惑星へ変わる。そして、真上に飛んだ閃光は、真上に存在する木星にも直撃し、巨大隕石が衝突したかのように表面が爆発し、ガスの中にある黒い星が露わになる。
キリト「なぁぁっ!?」
アスナ達『『キャアアアアアアアアアアア!!』』
クライン「マジかよおおおー!!」
キリト達も吹き飛ばされそうになる。
大地どころか星の大半を砕き、その熱量によって星全体を死と灼熱の支配する世界に変えてしまった。
闘技場は全世界の最高の金属を合わせて造られたが、それにも関わらずトールが真っ二つになるように粉砕した。
神々や人類は数名が闘技場の下に存在する死の惑星に何名かが落下したが、生き残った者達は観戦を続ける。
シヴァ「おーおー、やるねぇ。トール、ちっとも衰えてねぇな。まあ一回戦は終了だなぁ〜」
アフロディテ「んムム………」
アフロディテは襲い来る衝撃と風により爆乳が真上に上がり、顔が自分の爆乳に埋まる。
ガタノゾーア「あはははははははっ!!人間死んだー!よかったよかったー!人間死ぬのさいこー!!でも出来ればなきさけぶくらいくるしめてから殺すのがよかったなー」
ガタノゾーアは衝撃波に耐えながらも、ユウキが死んだかもしれない事を笑った。
ゲル(あれが神の本気?やっぱり人間が……神に勝つなんて………確かに前列があるッス………でも、聞かされた通り、直接神に勝つなんて……………)
ゲルは絶望した。人間なんかやはり神に勝てない。そう思ったゲル。
サンズ「おい。何してんだ。立てよ、ゲル」
ゲル「サンズさん?」
サンズ「まだ試合は終わってねぇよ」
ブリュンヒルデ「サンズさんの言う通りです。よく見るのです。人類が神に抗う、瞬間を」
ブリュンヒルデにそう言われ、闘技場の中心を再び見つめるゲル。すると、思いもしなかった光景がゲルの目に映る。
その異変に一番最初に気付いたのは、他ならぬ現場に居たトール本人だった。
振り下ろした一撃は、大地を砕いた。しかし、人の体を叩き潰した感触を感じなかった。
トール「ッ!!」
トールは気が付く。しかし、全ては遅すぎた。
トールの懐、其処から紫色の光が放たれる。トールが其処を視認すると、其処には無傷のユウキの姿があり、剣を紫色に輝かせて突きの構えを取っていた。
ユウキ「やあああっ!!」
ユウキは突きを一発放ち、続けて二発、三発、四発と放ち続けて、そして5発目の突きを撃ち込んだ。その瞬間、トールの肉体は5発目の突きが当たった箇所から大爆発を起こし、トールは背後へ吹き飛ばされた。体に5つの刺し傷と爆発による大火傷が出来上がる。しかし、トールはミョルニルを大地に着けて勢いを殺す。
ユウキ「よし!!」
その光景を誰もが見た。神々は目を疑い、人類は歓喜した。
ヘイムダル『と、トール神の肉体が貫かれた!!ユウキの突きの連撃が、神の体を傷付けたぁ!!!!』
人類『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』』』』
人類が大歓声を上げた。
アスナ「やったわキリト君!!ユウキがやったわ!!」
キリト「ああっ!!やったなユウキ!!」
リーファ&リズベット&シリカ「「「ばんざあああああああああああい!!!」」」
クライン「いよっしゃああ!!ユウキィ!!やったぜぇ!!」
神々は呆然、或いは困惑に包まれていた。
ゼウス「………」
オーディン「………」
ゼウスやオーディンも、言葉を失っていた。前例は見たが、それでも信じられない。
シヴァ「マジかよ」
ヘカーティア「わお!!」
アフロディテ「うふふっ」
特別席の神々も驚いていた。
フレイヤ「やるわね。人類も強いじゃない」
フォルセティ「そんな馬鹿な………トール様が……人間なんかに…………傷を負わせられた……………」
神「そんなばかな…………笑い事ではないぞ!」
神々は困惑が収まらない。
そんな中、トールは傷に触れて流れ出る血を掌で掬い取って見つめた。そして、ユウキを見て確信する。
ユウキは我が生涯において、
ユウキは、もしトールとALOで出逢っていたら、最高のゲーム仲間であり
ユウキ「トール!凄い一撃だったね!もし叶うなら、君とは殺し合いじゃなくて、ALOで戦いたかったよ!でも、僕はどっちみち君に負けない!!勝たせてもらうよ!!」
トール「エーエルオー。その意味は知らぬが………貴様、人間なんぞにしておくには勿体無いな。だが、勝つのは俺だ。我が友よ」
二人は再び構える。二人の闘いは、まだまだ続く。
過去は敢えて描写しません。
それと、トールの一撃で分かる通り、神の実力をお見せしましたので、大体の神々の強さの基準と思って頂ければ。
次のお遊び回で使って欲しい曲は?
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ユメヲカケル!
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ブルーバード(いきものがかり)
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ルードルーズダンス
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インパーフェクト(オーイシマサヨシ)
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ALONES
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ささやかな祈り(ライスシャワー)
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心臓を捧げよ
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涙の種、笑顔の花
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空色デイズ
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REASON(ゆず)
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ALIVE(ClariS)