終末のワルキューレvs若き戦士達   作:ちいさな魔女

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今回で決着!長かった!これまでで一番長く書いたかもしれない!


希望の魔法少女VS絶望の道化師 最終回

ジョーカーが走って刀を振り下ろす。まどかはジョーカーの振り下ろして来た刀を紙一重で避けて行く。刀は光を反射し、まどかが避けたお陰で斬れた机やテーブルは真っ二つになった。

 

ジョーカー「魔法少女も大変だな!!お前に俺は殺せねぇ!!」

 

ジョーカーが刀を振り下ろした。まどかは身を後ろへ傾けたり、横に避けたりしてジョーカーの刀を避けて行く。まどかはジョーカーの刀を避けて行くが、避けてばかりではない。まどかはジョーカーの足を足払いで引っ掛けて、足を上に上げる。そして、ジョーカーを転倒させて今度はまどかが馬乗りになる。

 

まどかは拳をジョーカーに振り下ろそうとするが、ジョーカーが再び胸のコサージュから液体を出した。まどかは右手で液体を受け止めるが、右手の手袋が溶け始めた。

 

まどか「うわわわっ!」

 

まどかは右手の手袋を脱ぎ捨てて、床へ投げ捨てた。手袋は酸で溶けていき、液状化して使い物にならなくなった。

 

ジョーカー「ヒャーハハハッ!!やっぱり殺せねぇんじゃねえか!!」

 

まどか「私だって人を殴りたくないとか、誰かを傷つけたくないとか、綺麗事を言い続けるつもりはないよ。そうでなかったら、こんな大会にだって出てない!戦うのは辛いし、誰かを傷付ける感触は何時だって嫌だし、命を奪うのはずっと怖い!」

 

まどかはジョーカーの腹を殴る。ジョーカーが振り下ろす刀が迫る前に、ジョーカーの右腕を握り締めた手の甲で弾くように殴る。

 

女神とは思えない、とても人間臭いまどかの言い分。

 

まどか「………でも……私は……それでも……誰かの役に立ちたい。誰かの為に戦えるなら、誰かの役に立てるなら!こんな鈍臭くて、泣き虫で、弱虫で、役立たずで、なんの取り柄もない、こんな私でも!」

 

まどかの顔は、覚悟が決まった強い表情となっている。

 

ジョーカーが刀を振り下ろす。

 

ジョーカー「じゃあ俺等人間の為に死ねぇ!!人類生かしてぇならお前が死ねば、俺達は有利になるからな!!」

 

まどか「それは出来ないよ!!家族や友達、私に力を貸してくれる獣達やほむらちゃん、魔法少女達にフレンズの皆、そして、私を信じて待ってくれる皆と約束したんだ!!勝って、帰って来るって!!だから、私は絶対!!貴男に負けない!勝ちたい!」

 

まどかは右目を再び斬られる。右目は酸で溶けたせいで再生が出来ず、傷は塞がったが火傷痕だけが残ってしまった。なので右目の有った箇所が斬られただけだ。

 

ジョーカー「我が儘な奴だ!!」

 

まどかが右目から走る痛みに構わず、ジョーカーの腕を掴んでそのまま床へ投げ飛ばした。一本背負い。柔道の投げ技だ。

 

まどか「それでも良い!!誰かの役に立ちたいのは、この試合に勝ちたいのは、私の我が儘だから!!」

 

まどかが床へジョーカーを叩き付けた。ジョーカーは口から血反吐を吐き出す。まどかが迫るが、ジョーカーは両足を突き出してまどかを蹴り飛ばし、まどかを数歩後ろへ下がらせた。

 

ジョーカー「ヒヒヒヒッ。だから俺を殺す事も躊躇わねぇか。だが俺は殺せてねぇ。口で言ってもお前等魔法少女に人殺しなんて出来ねぇ。だがなぁ」

 

ジョーカーは両足と腹筋の力で起き上がり、ゾンビのように立ち上がった。

 

ジョーカー「俺はお前を簡単に殺せるんだよ。鹿目まどか」

 

まどかは再び構える。

 

ジョーカー「ヒャアアアアアアアアアッ!!!」

 

まどか「うあああああああああああっ!!!」

 

お互いが同時に走り出し、ジョーカーは刀を、まどかは自分に向かって振り下ろされた刀を白刃取りの要領で止めた。それを真上に投げたが、そのままお互いに頭突きを繰り出した。

 

ジョーカー「ぐあっ……おおっ!」

 

まどか「くっ……ううっ!」

 

まどかはその場で膝を付く。

 

その瞬間、ジョーカーの刀がまどかに迫った――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その刀はまどかの胸に深く突き刺さる……事は無かった。

 

 

しかし、胸に切っ先が浅く刺さっており、一本進めばまどかの心臓か肺を貫いてしまいそうだ。肺ならまだ後で神々の治療室で取り返しは付くが、心臓や脳は駄目だ。もし貫かれたり、破壊されたら再生出来ずに死んでしまう。

 

死ぬのは怖くない。しかし、約束したのだ。帰って来ると。だから、私はまだ死にたくない。

 

まどかは心臓に刺さる前に、ジョーカーの刀を両手で掴んで止めたのだ。

 

ジョーカー「ぐっ!?ぐああっ!」

 

まどか「はっ!」

 

まどかは両手で掴んだ刀を、体ごと横と後ろへ動かして、へし折った。

 

ヘイムダル『お、折った!!』

 

ジョーカー「折れた!?ぐっ!!まだまだぁ!!」

 

ジョーカーは折れた刀を振り下ろした。まどかが片腕でジョーカーの両手首を押さえて、ジョーカーの攻撃を止める。

 

ジョーカー「HAHAHAHAHAHAHAHA!!」

 

まどか「ふん!」

 

まどかは左手で掴んだ折れた刀身を掴み、胸に浅く刺さった刀身を引き抜いた。そして、刀身の向きを変えて振り上げる。ジョーカーの右手が、折れた刀身によって切断された。

 

まどか「………ごめん、許して!」

 

まどかはジョーカーの胸を、もう片方の右手で貫いた。

 

心臓の部位。まどかは心臓を右手で貫き、ジョーカーの背中ごと刺し貫いた。

 

ヘイムダル『こ、此れは決定的!!まどかの腕が、ジョーカーの心臓を貫いたァァーッ!!』

 

まどか「ッ!!」

 

まどかはその瞬間、ジョーカーの全てを見た。彼の過去、ゴッサムで味わった過去。そして、ジョーカーの心の奥底に眠る、本当の感情を。

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

僕は産まれた時から、喜劇だった。

 

ゴッサムの人達は僕を蔑んだ。

 

世界が僕を見て笑う。

 

僕の苦しむ姿を見て笑う。

 

どうして僕を………見てくれない?

 

理解してくれない?

 

僕だって人間なんだ。

 

僕は障害がある。

 

それだけじゃないか。

 

どうして誰も理解してくれない?

 

どうして助けてくれない?

 

誰か……

 

誰でもいい………

 

悪魔でも………神様でも………誰でもいい。

 

誰か………

 

僕は此処に居る。

 

此処に居るんだ。

 

今までしてきた事が悪い事なのは分かってる。

 

許されないのは分かってる。

 

それでも良い。

 

誰か………誰か……僕を見て。

 

見つけて………………。

 

僕を―――――

 

―――――ううっ……!ひぐっ!』

 

――――――――――――――――――――――――

 

まどか「うああああああっ!!ああああっ!!うああああああああああああああああああああっ!!」

 

まどかは、ジョーカーを抱き締めた。まどかはジョーカーを抱き締めながら泣いており、その目からは涙が止め処無く流れ出て行く。

 

抱き締められたジョーカーは、驚きを隠せなかった。手にしていた刀を床に落としており、抵抗する様子も無い。

 

ヘイムダル『なっ!?まどかがジョーカーを抱きしめて泣いている!?なにがあったんだ!?』

 

神々&人類『『『ザワザワザワザワザワザワザワザワ』』』

 

ヘラクレス「………まどか、もしかしてジョーカーの過去を見たのか」

 

アレス「えっ?それはどういう事だ?」

 

ヘラクレス「彼女は円環の理ではなくなったが、それでも彼女は、素手で触れれば相手の全てを見通す事が出来る。例え本人が忘れていても消せない過去もな。さっき溶かされた手袋は、その力を抑える為に天界で造られた特別製の手袋だ。そしてそれが溶かされた事で、ジョーカーに触れたまどかは……ジョーカーの全てを見たんだ。泣いてるのは、きっとそのせいだ」

 

アレス「………そうか」

 

神々も人類も、まどかが泣き出した事と、ジョーカーを抱き締めた事に困惑する中、まどかはジョーカーを強く抱き締めて泣き続けた。

 

ジョーカー「…………」

 

まどか「ううっ………ひぐっ………ごめんね………貴男を助けられなくて………手を差し伸べられなくて……本当にごめんね…………」

 

まどかはジョーカーを…………アーサー・フレックを強く抱き締めた。

 

アーサー「…………ああっ、全部思い出した」

 

アーサーは、最後の力を振り絞り、まどかの背中に手を回し、優しく抱き締めた。

 

アーサー「俺は…………僕の名前は、アーサーだ。偽者でも、母がくれた名前だ」

 

その時、ピエロの化粧が溶けていく。ジョーカーとしての彼が、徐々に崩れ落ちて行く。

 

軈て、化粧の無い素顔のアーサーが現れた。まどかが見た、過去のアーサーの顔だ。

 

まどか「っ!アーサー!」

 

まどかはより強く抱き締めた。右手で背中に出来た貫通して出来た傷を押さえ、左手をアーサーの腰に回す。

 

まどか「思い出したんだね」

 

アーサー「そうだ………僕はアーサーだ。マレーの事も、母の事も………ゴッサムのことも………君は、僕を理解したんだね」

 

まどか「ごめんなさい!ごめんなさい!私………貴男の事を救えなかった!貴男のような人達に手を差し伸べられなかった!貴男が苦しんでたのに………何もしてやれなかった!本当に、本当にごめんなさい!」

 

まどかが泣いていたのは、アーサーの辛い過去を見ただけではない。自分の力の及ばなかった所で苦しんでいたアーサーに、ずっと手を差し伸べられなかった罪悪感からだった。誰かの役に立ちたいのに、アーサーを救えなかった。

 

何が女神だ。何が魔法少女だ。

 

こんな目の前の苦しんでる人を一人救えないで、どうして大勢を救えるものか。

 

しかし、アーサーはまどかを抱き締めるのを止めて、まどかから離れ始めた。

 

アーサー「良いんだ…………君は僕を分かってくれた。それだけで良いんだ………誰も理解してくれなかった僕を、わかってくれた……………救ってくれたよ」

 

誰も自分を理解してくれなかった。分かろうとしてくれなかった。

 

そして、アーサーは近くにあったベッドに寝転がる。

 

その体は、既に欠片となって消えて行く。

 

まどか「アーサー………」

 

ほむら『まどか。代わって』

 

まどか「ほむらちゃん?うん」

 

そして、まどかの姿が瞬時にほむらの姿となった。ほむらはベッドの横で膝を付き、右手をベッドに置いた。

 

ほむら「私も貴男の過去を見たわ。でも、まどかが貴男の唯一の理解者ね。私だったら、貴男を看取れなかったわ」

 

アーサー「………」

 

アーサーは言葉を上げる力も無かったが、ほむらの右手に右手を添えた。その顔は微笑んでおり、もう邪悪な気配は無かった。

 

そして、ほむらの姿がまどかの姿となる。

 

アーサー(君達が僕を理解してくれた………それだけで良いんだ。ありがとう……………)

 

アーサーが今までしてきた事は許される事ではない。しかし、それでもまどかとほむらは、自分を理解してくれた。

 

まどか「大丈夫。例え世界中が貴男を拒絶しても、私達は貴男の味方だよ。貴男のした事も、してきた事も、許される事じゃないし、まだモヤモヤしてるけど………大丈夫」

 

まどかは、アーサーの手にもう片方の手を添えた。

 

消え行くアーサーに、まどかは告げる。

 

まどか「私は、貴男を“赦します”」

 

そして、ほむらに代わって、ほむらも告げた。

 

ほむら「私は、貴男を“赦します”」

 

そして再びまどかに戻る。

 

その時、アーサーは塵となって消えて行く。その時、彼と融合していた青年が、半透明の姿で現れる。ジュウガ。怪獣優生思想の一人で、眼鏡が特徴的な青年だ。彼もその体が消えていく。ランドグリーズと同じく、人類代表と神器錬成(ヴェルンド)した者は、このように消える。

 

消える前に、ジュウガはまどかの方を向いた。

 

ジュウガ『ありがとう、彼を理解してくれて。俺もずっと彼と共に居たから、彼の寂しさを理解出来た。俺も彼と共に死ぬけど、後悔は無い。アーサーを救ってくれて、本当にありがとう――――』

 

そして、ジュウガは塵となって消えた。その様子を見ていたまどかは、哀しくも優しい笑みを浮かべていた。

 

まどか「さようなら。アーサー・フレック。そして、ジュウガさん。どうか、安らかに」

 

それが、まどかが二人に掛けられる、鎮魂の言葉だった。

 

 

 

希望の魔法少女VS絶望の道化師

試合時間:1時間6分6秒

決まり手:手刀

勝者:鹿目まどか&暁美ほむら




次回、星を喰う者VS要塞少女

次のお遊び回で使って欲しい曲は?

  • ユメヲカケル!
  • ブルーバード(いきものがかり)
  • ルードルーズダンス
  • インパーフェクト(オーイシマサヨシ)
  • ALONES
  • ささやかな祈り(ライスシャワー)
  • 心臓を捧げよ
  • 涙の種、笑顔の花
  • 空色デイズ
  • REASON(ゆず)
  • ALIVE(ClariS)
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