サンズが割り込み、その場は沈黙が走る。
サンズ「よお。何やら騒がしいから来てみれば、一触即発になりそうだったからな。止めに来たぜ」
骨が全て消えた後、サンズがルシファー達に話し掛ける。
サンズ「どうやら、アンタ達が襲われそうになってたらしいな」
すると、月のヘカーティアが声を荒げた。
月「ア”ァ”ッ!?テメェいきなり割り込んで来てんじゃねえよ!何様のつもりだゴラァッ!!」
サンズ「おいおい口が悪い神様だな。もうちょい発言を慎みなよ」
月「テメェに言われる筋合いはねぇよ!」
しかし、可奈美達は屈しない。
可奈美「此処で神様と戦うなんて思わなかったけど、この人達によって集って暴力を振るうなんて、神様って人間みたいだね」
それが月のヘカーティアを更にキレさせる。
月「ア”ァ”ン”ッ!?テメェ等人間と一緒にすんじゃあねぇよ!」
地球「落ち着きなさい月の私。此処まで言えるなんて、彼女の度胸は尊敬に値します。ですが………あまり調子に乗らせる訳にも行きません」
月「ヘッ!分かってんじゃねえか」
地球のヘカーティアは可奈美を褒めたが、怒っている事に変わりはなく、月のヘカーティアに並んで掌に強大なエネルギーを放つ。
ロキ「はぁ。まあいいや………消えろ」
ロキは掌から鎌を付けた鎖を放つ。
一触即発に成りかけた。サンズも冷や汗を流す。自分の力はタイマンで力を発揮する。こうした集団戦を想定した戦法は、はっきり言えば苦手だ。自分の力だけでは一人や二人を逃がせるかもしれないが、犠牲が出てしまう。
その時だった。
突如発砲音と共に矢と弾が飛んできて、ロキ達神側の地面に刺さる。地面に刺さった矢の隣には、弾痕が煙を吹いている。
弓矢が吹いた方を向くと二人の神が歩いてくる。一人は、首の痣から伸びている銃を両手で握り締めたほむらだった。まどかと入れ替わり、この騒ぎを静める為にやって来た。さやか達やまどかの両親、医者達の許可は得ている。手にしている銃は、軍隊が軍法違反者を銃殺刑に処する際に使用するライフル銃だった。それが何を意味するか?当たれば神々も、銃殺刑を受けた形で即死していたのだ。外したのは、威嚇の為だ。
もう一人の神は、ギリシャ神話において知らない者はいないと言えるほどの神だ。その神は様々な神や英雄を育て上げてきた神々の師匠言える存在。まどかから相談を受けたり、様々な弟子を持つ、ギリシャの神々や他の神々からも信頼され尊敬されている神である。
『Fateシリーズ:ケイローン』
ケイローン「ロキ、ヘカーティア様達、プッチ、貴方達は自分が何をしているのか解っていますか?ここいる者達は、自分の命を賭けてまで守りたい人たちいるために戦っているのです」
月「ア”ァ”ン”ッ?テメェに指図される筋合いはねぇよ!!」
ケイローン「月のヘカーティア様!ここにいる人類や神の何人かは、私を含めた代表達です!もしここで代表達に何かあれば、それは命を懸けて戦う者達と戦った者達の冒涜です!それを承知の上なら、私達は貴方達を止めます!」
ケイローンの言葉に、神々は沈黙する。ケイローンは仮にもヘカーティアと同じくティターン神族の血を引き、ゼウスとは異母兄弟である。プッチやロキではまず敵わない。ヘカーティアですら、3人が揃わなければ厳しいだろう。
ロキやヘカーティア達やプッチは戦闘態勢を解いた。
ロキ「………いぃっきし!あーあっ、ケイローン先生に説教されたなら、大人しく引き下がるよ~。ルシファーちゃん?もし本当にそうなら、覚悟してね?」
プッチ「………畏まりました。神のご意思に従います」
ロキとプッチはすぐにその場から去った。
月「………ワーッたよ。ケイローンには昔世話になったしよ」
地球「では、失礼致します」
ヘカーティア二人も去って行く。
真莉亜「い、行った?」
レヴィ「そうみたいだね」
真莉亜はその場で座り込んだ。生きた心地がしなかった。
すると、ケイローンがルシファー達の元を向いて、謝罪の後に自己紹介をした。
ケイローン「先程はロキやヘカーティア様達、プッチがご迷惑をお掛けしました。ルシファーにレヴィ、それに真莉亜さん。それと、人類代表の衛藤可奈美殿とその友人方も、先程の御無礼をお許しください。私はケイローンと申します」
エレン「ケイローンって、ギリシャ神話のあのケイローンですか!?」
薫「ヘラクレスやアキレウスを含めた、多くの神々や英雄の師匠が、まさかオレ等を助けてくれるなんてな」
可奈美「あの!ありがとうございました!」
ケイローン「いえ。ですが、私は貴方達のような若い闘士達と戦える事を光栄に思います。ルシファー、貴女にもご迷惑を掛けました」
それを聞いたルシファーは、ため息を吐いた後にケイローンに告げる。
ルシファー「まっ、ありがと。私達は戻らせてもらうわ。行くわよ、真莉亜、レヴィ」
真莉亜「う、うん」
レヴィ「うん!お姉様!」
ルシファーもその場から去る。残った可奈美達はケイローンと話を続けた。
可奈美「もし戦う事になったら、絶対に負けません!全力で闘いましょう!」
ケイローン「ええっ。私も、神として恥のない戦いを望むつもりです」
可奈美とケイローンは握手を交わす。
ケイローン「では、失礼します」
ケイローンはその場から去って行く。ケイローンの姿が無くなった後、可奈美は握手をした手で胸元を抑える。心臓の鼓動が早くなっており、冷や汗を流しつつ目は獲物を見つけた狼のように鋭くなっていた。
姫和「可奈美。全くお前は」
舞衣「可奈美ちゃんったら……」
姫和も舞衣も、可奈美が早く戦いたがっているのを見抜いていた。
その時、可奈美達は、空が金色に輝いているのを見た。
――――――――――――――――――――――――
遡る事、数分前。
メイプルはギドラに再び噛み付かれる。ギドラはメイプルに再び噛み付かれ、その肉を喰らわれてしまうが、そんなのをお構いなしに攻撃を続けた。二本の尻尾を逆立てて、その両先端からエネルギーを放出。エネルギーはぶつかりあった後に消えた。
メイプルがギドラを喰らい続けるその背後で、七芒星の魔法陣が展開される。そして、その場に信じられない物が出現した。
メイプル(?)「全武装展開!!攻撃開始!!」
其処には何と、機械神を纏うメイプルの姿があった。
ヘイムダル『なぁにいいぃぃぃっ!?メイプルがもう一人ぃ!?ギドラがメイプルを作り出したというのか!?』
神々も人類も、もう一人のメイプルの出現に驚愕する。
そして、メイプル(?)が機械神の砲門から、無数の光線を放つ。光線はギドラを喰らい続けるメイプルの背中に直撃した。
メイプル「アアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
メイプルは断末魔の悲鳴を上げた。直撃し大爆発が発生。
すると、機械神となったメイプル(?)はすぐに霧散した。どうやら長くはこの時空に居られないようだ。
メイプル「ぐっ………」
アルヴィト『メイプル……しっかり!』
メイプル「大丈夫………あっ」
メイプルはその場にうつ伏せに倒れる。突然、全身に力が入らなくなった。
ヘイムダル『め、メイプルが倒れた!!ギドラが呼び出したもう一人のメイプルによる攻撃!!やはり効いていた!!』
サリー「メイプル!!」
ギドラ『ギャオオオオオオオオオオオオッ!!』
ギドラが咆哮を上げた。その時、ブラックホールから伸び出て居る翼がブラックホールの中へ吸い込まれた。軈て七芒星の魔法陣がブラックホールに浮かび上がると、そのまま上空へ上がっていく。
それは数分間掛けてゆっくりと上がっていく。何故ゆっくりなのか?それは、余裕と、何処へも逃げられないという意味の2つが込められていた。
ヘイムダル『ギドラが何かやろうとしている!!だが、メイプルは起き上がらねぇ!!どうしたメイプル!?』
メイプル「………ぐっ……あ………」
体が言う事を聞かない。その理由は、体の負傷だけではない。
フレデリカ「メイプル!!何やってるの!?早く立って!!」
ミィ「メイプル!!立ってー!!」
ドラグ「まさか、彼奴………」
ペイン「メイプル………怖がってるのか?」
サリー「楓………そんな………」ボソッ
人類がメイプルに立ち上がるよう願うが、サリーやペイン、ドラグはメイプルの様子がおかしい事に気付く。
メイプル(怖い……!怖いよ………死ぬのは嫌だよ!でも、ギドラがこんなに強いなんて…………勝てないよこんなの!)
メイプルは震えていた。此れは、ゲームではない。此処での死は、二度と取り返しが付かない。しかし、ギドラに勝てない。死の恐怖とギドラへの恐怖が同時に襲い掛かり、体が動かない。
メイプル「ヒイイィィィッ!!いやああああああああああああああああああっ!!」
とうとうメイプルは発狂した。頭を抱え、体を縮こませ、側臥位になって体を震えさせる。
メイプルは恐怖のあまり、動けなくなっていた。
神々『何だぁ彼奴!?』
神々『今更怖気づいたか!!』
神々『誰も勝てるわけねぇんだよ!!』
神々もメイプルの様子に気付く。
軈てギドラのブラックホールが星の外、銀河の外へ飛び出した。軈て眩い光を放つブラックホール。
そして、ブラックホールからギドラの翼が飛び出した。
その翼は、メイプルや他の闘士、神や人類の居る闘技場、そしてメイプルの居る星、いやその星がある銀河を遥かに超えた大きさで、銀河を包みこんでしまえるようだ。
ヘイムダル『なっ!?お、おい!!俺等まで巻き込むつもりか!?おいやめろ!!』
ギドラ『ギュオオオオオオオオオッ!!』
そして、ギドラは翼を振り下ろす。
ヘイムダル『なっ―――――――』
人類『―――――――』
神々『―――――――』
その時、巨大な黄金の翼が銀河を包みこんでいく。
銀河全体が黄金の光に包みこまれていく。
メイプルの敗北は、もう濃厚で、火を見るより明らかだった。
銀河が光に飲み込まれ、星が次々と喰らいつくされていく。
メイプルは、負けた。
かに、思われた。
メイプルは気が付くと、うつ伏せで黒い空間に居た。体を縮こませ、震わせていた。恐怖で体へが動かなかった。死にたくない。しかしもう闘う勇気が出て来ない。
メイプル『皆………ごめんなさい………私………勝てなかった………………』
目から涙を流す。
自分に負けた人達の気持ちが、少しは理解出来た気がした。
アルヴィト『………メイプル』
アルヴィトは地面を殴るが、まだその顔には諦めが見えてない。
しかし、メイプルは震えたままだ。
ギドラが強過ぎる。あんなのどうやって勝てるというの?
メイプル『……理沙……クロムさん……イズさん……カスミ……カナデ……マイちゃん……ユイちゃん……ごめんね』
しかし、メイプルの手は、壊れた盾や短刀から離れてない。寧ろ、その手を強く握り締めていた。
???『本当に?』
何処からか声が聴こえる。
???『本当に君は負けたと思ってる?』
幻聴ではない。何処からか、声がする。
???『その涙はね、君の心がまだ負けを認めてない、諦めてないという証拠。君はまだ、敗北を認めてないんだよ』
メイプル『……分かんないよ。どうやって勝てって言うの?あんな星を喰う化け物、私じゃ勝てないよ』
???『本当?私からすれば、君の方が凄いと思うけどね』
メイプル『もう………誰なの?私は………負けて……あれ?』
メイプルは気付く。負けた筈だ。もう勝てない相手に挑むなんて無理だ。
そう、思ってるのに、胸の中が、熱い。体温ではなく、ココロの中で何かが動き出している。
???『ほらね』
メイプル『私は………負けを認めてない?』
メイプルは起き上がる。怖いのは変わらない。しかし、その分心が奮い立つ。怖いのに、悔しいのに、体が動く。その度に心が奮い立つ。
謎の声のする方向を見たメイプル。其処には人間の目1つ分の穴が有り、其処から1つの目が覗き込んでいた。
???『私、君とギドラの戦いだけじゃなくて、実はあの会議の時からずっと、君達の事を見てたんだ。その中でも君に一番興味があったの。なんだか人の姿をした怪獣みたいだね』
アルヴィト『プッ!!アハハハハッ!!』
メイプル『酷い!!そんな言い方無いでしょ!?』
アルヴィト『だって、そうじゃない!アッハハハ!』
メイプル『アルヴィトちゃん酷いよー!!』
???『アハハハッ!でも事実だよ!』
メイプル『ひど〜い!!』
危険な状況にも関わらず、他愛ない会話を弾ませるメイプルやアルヴィト、そして謎の少女の声。暫く続いた会話だが、謎の声は話を切り替えた。
???『ごめんごめん!でも、君はもう決心してる。もう怖くはないでしょ?ほら、自分の体を見てみて』
メイプル『えっ?あっ………』
メイプルは気が付く。いつの間にか恐怖が消えていた。ギドラの事が怖くない訳では無いが、それでも恐怖は晴れていた。体の震えも止まり、呼吸も安定していた。
???『君は、どうしたい?』
アルヴィト『メイプル………』
アルヴィトが、メイプルの右手の甲に手を置いた。
メイプル『私は――』
メイプルは思い出す。
敗けたらどうなる?
サリー達と二度とゲーム出来ない。もしリアルでクロムさん、イズさん、マイちゃん、ユイちゃん、カナデ、カスミのギルドメンバー、集う聖剣に炎帝ノ国の皆と会えたら、一緒に遊びたい。一緒に行きたい所も、一緒に遊びたい事もいっぱいある。
負けてしまったら、二度とそれは叶わない。
もし負けたら、ギドラに全てを奪われてしまう。
それに、まだ自分は充分と言えるだけの人生を送れてない。
まだだ。
まだ終わりじゃない。
皆と一緒に遊びたい。皆と一緒にまたゲームしたい。皆と一緒に、また冒険したい!
人生がどれだけ辛い事の連続だとしても、皆と一緒に生きたい。
その為に、負けられない。
メイプルは、己の本当の気持ちを告げた。
メイプル「勝ちたい!!」
目に残った涙を流しながら告げたその言葉は、メイプルが心に秘めていた強い想いだった。
メイプル「私はまだ死にたくない!!負けたくない!!理沙や皆と一緒にゲームしたい!!家族に会いたい!!一緒に冒険したい!!一緒にいろんな場所へ行きたい!!一緒に探検したい!!一緒に美味しいものを食べたい!!一緒に旅行とかしたい!!大人になって、働いて、結婚して、家族になって、一緒にゲームしたい!!皆と一緒に、もっと遊びたい!!一緒に、皆と………未来を生きたい!!!!」
思いの丈を叫ぶ。心の底から響き渡る、決死の叫び。
アルヴィト「っ!!メイプル、これっ!?」
アルヴィトの全身と、メイプルの全身が、強く光り輝いた。
メイプル「ええっ!?何これ!?」
???『それが君の神器の、本来の力だよ。アルヴィトの名前の意味は、『軍勢の守り手』。そして、覚悟を決めたメイプルの防御を究極の域へ高めてくれた』
すると、メイプルを覗き込むその穴から、小さな光る欠片が入って来た。
???『今の君なら、きっと勝てる。ご褒美に此れを上げる。私も、ある意味とある世界の神様だからね。頑張ろうとする人には、ちゃんとご褒美をあげないと』
メイプル「神様?所で、貴女は?」
???『私?私は………いや、今は急いだ方が良いよ。早くしないと、ギドラが皆を食べちゃう。私が少しだけ時間を稼ぐから、今あげたそれを、早く食べて。急いで、5秒が限界だよ』
メイプルの手元に、赤く光る小さな宇宙の欠片が送られる。それを食べろと言われたメイプルは、それが何かを直感的に理解する。
此れが、ギドラに勝てる力であると。
???『彼がきっと、力を貸してくれる。私も友達を助けたい、からね』
そして、
そして、聞き覚えのある言葉を放つ。
???『インスタンス・ドミネーション!』
メイプル「ッ!!ありがとう!」
そして、メイプルはその欠片を口にした。その瞬間、メイプルとアルヴィトを中心に、無数のユニバースが展開された。
――――――――――――――――――――――――
ギドラ『ギ、ガッ……ギュオオッ!?』
ギドラは突如、自身の体の自由が効かなくなる。
ヘイムダル『―――ん?な、何だ!?』
ギドラが突然動かなくなる。
そして、倒れたメイプルは起き上がる。起き上がった直後、手を真上に翳して、力を解放する。
メイプル「インスタンス…………アブリアクション!!」
メイプルの両目が赤く光り輝いた、その瞬間だった。
???『やれやれ。アカネ君には敵わないな。どぉれ、面白そうだから、私も協力させてもらうとしよう!!お邪魔するよ!お嬢さん!!』
突然メイプルの背後に、半透明の謎の男が姿を現し、メイプルと融合する。
アルヴィト『誰かは知らないけど、メイプルに力貸してくれるなら、大歓迎よ!!』
そして、メイプルを中心に大きな結界が展開された。メイプル自身も、全身から強い光を放った。
次回BGM
『インパーフェクト』&『UNION』&『uni-verse』
メイプルVSギドラ戦、後2話。
次のお遊び回で使って欲しい曲は?
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ユメヲカケル!
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ブルーバード(いきものがかり)
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ルードルーズダンス
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インパーフェクト(オーイシマサヨシ)
-
ALONES
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ささやかな祈り(ライスシャワー)
-
心臓を捧げよ
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涙の種、笑顔の花
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空色デイズ
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REASON(ゆず)
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ALIVE(ClariS)