終末のワルキューレvs若き戦士達   作:ちいさな魔女

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BGM:『優しい彗星(YOASOBI)』


優しき悪魔VS傲慢の魔王 最終回

爆発の煙が晴れる。

 

ヘイムダル『り、両者の攻撃がぶつかり合い、お互いどうなったんだ!?』

 

そして、其処には………お互いの攻撃によって瀕死となっているルシファーとアモンの姿があった。

 

両者は全身に火傷を負い、出血も酷い。アモンは口から血を吐き、ルシファーは全身の鎧が砕けそうになっていた。

 

ルシファー「ハア!ハア!」

 

アモン「ガッ………グッ……………」

 

ヘイムダル『りょ、両者瀕死だ!!凄まじい攻撃がぶつかり合い、両者の肉体はもう限界だぁぁー!!』

 

神々『や、ヤベェぞ!ありゃあ!!』

 

神々『奴等、肉体はもう限界だ!!』

 

神々『が、頑張れアモン!!』

 

人類「頑張れ!頑張れルシファー!」

 

人類「ルシファー!負けないで!!」

 

神々や人類が、それぞれの闘士を応援する。

 

そして、アモンに仕える悪魔達も、応援し始めた。

 

側近「アモン様……!お嬢様!」

 

アモンの側近は泣き崩れていた。

 

側近「クソぉぉ!!私は、此処から見る事しか出来ないのか!?」

 

悪魔「何言ってんだ!!だったら俺等に出来るのは、この戦いを見守る事だけだろう!!」

 

悪魔「そうですよぉ!!お嬢様は七つの大罪全てと融合してまで、アモン様にリベンジを挑みに来たんです!!」

 

悪魔「俺等に出来るのは、アモン様とお嬢の両方を応援してやる事じゃねぇか!!」

 

アモンを慕う悪魔達。ルシファーも同じ位慕われていた。

 

側近「皆…………ありがとう!!」

 

側近は胸に手を当てる。

 

側近(アモン様!お嬢様!どのような結果になろうとも、私は此処で見守っております!思う存分、戦ってください!)

 

――――――――――――――――――――――――

 

アモン「まだ………やれるかぁ!!」

 

ルシファー「あったりまえよ!!」

 

アモンは立ち上がる。ルシファーも立ち上がる。お互いに地面へ膝を付いていたが、直ぐに起き上がった。出血で足からも血が垂れて、地面に落ちて出来た血溜まりを踏み付ける親子。

 

アモン「………見ない間に、成長したな!流石は私の、愛する娘だ………!」

 

ルシファー「当たり前よ………!私はアモンの娘!傲慢の魔王ルシファー………!この程度で、倒れたりなんかしないわ!!」

 

レヴィ『お姉様……!』

 

レヴィが半透明の姿で、ルシファーの隣に現れる。彼女の体もルシファーと同じ位にボロボロだ。

 

ルシファー「七つの大罪……!お願いがあるの!もっと力を私に貸して!!もっと強い力を私に頂戴!!」

 

レヴィ『そんな!!そんな事したら、お姉様の体が壊れちゃうよ!!』

 

ルシファー「何よレヴィ。私が……信用出来ないの?」

 

レヴィ『違うよ!そうじゃないよ!!』

 

ルシファー「なら、力を貸して。信じなさいよ。アンタの愛する私を、誰だと思ってるのよ?私は魔王ルシファー!全ての種族の頂点に立つ、傲慢の魔王よ!!」

 

レヴィ『っ!!//////』

 

その時、レヴィの胸が更にときめいた。胸の奥から熱い気持ちが込み上げてきた。

 

レヴィ『分かったよ!!レヴィ、お姉様を信じるよ!!』

 

サタン『そうだな!!瀕死だから何だ!!貴様を倒すのは我だ!!我以外に負けるのは許さん!!』

 

ベルフェゴール『負けないお!!力貸すおー!!』

 

ベルゼバブ『勝って!!一緒に勝とう!!』

 

アスモデウス『だって負けたら色々♥楽しめないもの♥』

 

マモン『ええっ。わたくしも、子供達を置いて逝く訳には行きませんもの』

 

七つの大罪達も、覚悟を決める。七つの大罪の魔王達が輝き出す。

 

ルシファー「行くわよ!!パパ!!」

 

アモン「来い!!娘よ!!」

 

ルシファーは剣を構え、その背中に12枚の翼を生やした。アモンは青い炎を全身から発した後に、バンド系の楽器を下げて、オーケストラ系の楽器を召喚した。

 

ルシファーとアモンの、最期の親子喧嘩が始まった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

神々&人類『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』』』』

 

ヘイムダル『白熱した試合!!アモンとルシファーの熱き猛攻が炸裂!!』

 

ルシファーとアモンの激突が激しさを増す。

 

ルシファーが剣を振り下ろす。アモンが剣を両手で挟んで止めた。ルシファーが放った蹴りをルシファーは避けた。更にアモンはヴァイオリンを奏でて電撃がルシファーの内部から発生させるが、ルシファーは足を止めない。

 

ルシファーの炎の剣が上から振り下ろされ、アモンの右目を斬った。アモンは怯まず、炎を纏った拳でルシファーの頬を殴る。ルシファーの頬は抉れて、頬の皮膚が地面に落ちる。

 

ルシファー「おおおおおおおっ!!」

 

アモン「ぬおおおおおおっ!!」

 

ルシファーとアモンの攻撃がぶつかり合う。アモンの拳の連撃が、ルシファーの剣技が、光の速さを越え始める。闘技場が徐々に抉れていく。

 

ルシファー「オオオオオオ―――」

 

アモン「オオオオオオ―――」

 

二人の叫び声すら聴こえなくなる。お互いの攻撃がぶつかり合う音すらも響かなくなる。

 

光の速さを越える。それが何を意味するのか。

 

二人の世界には音が無くなり、光が無いせいで周りも見えなくなる。二人の動きは周りには見えず、無数の線で構成された円が大量にその場で蠢いているようにしか見えない。

 

しかし、二人は見えている。光が無いせいでお互いの姿は見えない。聴こえない。しかし分かるのだ。

 

しかし、ルシファーは“強欲”に勝利を求めていた。そして神々への“憤怒”を滾らせている。父の強さに昔から“嫉妬”していた。

 

もう負けたくない。別れるのは辛い。しかし、此処で勝つと決めたのだ。

 

例え父親殺しの汚名を背負う事になろうとも、アモンに絶対負けたくない。

 

アモン「―――――ォォォオオオオオオッ!!」

 

アモンの炎の右ストレートがルシファーの腹を捉える。ルシファーの腹に炎の拳が命中し、鎧の腹の部分を砕いて炎が肉体を突き抜ける。

 

ルシファー「ガフッ!」

 

ルシファーが口から血反吐を吐き、アモンから後退る。腹に開いた穴が燃え盛っている。ルシファーの口からは、冷気が流れ出ている。

 

漸く全員にもその動きが見えるようになったが、その時にはアモンにルシファーが一撃を受けていた。そして、ルシファーは仰向けに地面に倒れた。

 

神々『良いぞぉ!!』

 

神々『やっちまえアモン!!』

 

神々『裏切り者を殺せェ!!』

 

神々はアモンの勝利を確信する。

 

アモン「許せ………」

 

アモンは楽器を奏でようとする。しかし、此処で異変に気付く。アモンは楽器を奏でさせてるのだが、その楽器から演奏が発生しない。

 

アモン「ッ!!」

 

ルシファー「まだ、よ!!」

 

ルシファーは再び立ち上がる。アモンは楽器を見て、全てを理解する。楽器は全て氷漬けにされており、演奏が奏でられないようになっていた。

 

ルシファーはアモンに腹を殴られた瞬間に、血反吐と共に冷気を吐き出していた。そして、それで楽器を凍らせていたのだ。

 

これでは演奏攻撃が出来ない。アモンの演奏による攻撃は、演奏を奏でて聴いた相手を攻撃するのではなく、『演奏を相手に聴かせる』という概念攻撃だ。概念攻撃である為、何処にいても回避は不可能。

 

しかし、その攻撃の源たる楽器か歌声を無力化すれば、アモンは概念攻撃を行えなくなる。

 

アモン「……そうか。だが、忘れたか?私の武器は音楽だけでは――――」

 

アモンは楽器を消す。再び出しても凍らされたり、先程の激しい闘いで壊れるだけだ。ならば、直接戦闘で倒す。もうルシファーに音楽攻撃は通用しない。

 

しかし、ルシファーは猛攻を続けた。

 

ルシファー「“射抜け、氷の雨”!」

 

ルシファーは右手に展開していた光輪から、魔術を編み出した。その力は、状況や相手に応じて魔術を作り出すのだ。

 

ルシファーはその右手で、嘗て人類に(知恵)を与えた。それを再現した魔術である。

 

ルシファーは右手から氷の矢を放つ。一発ではなく、何千もの小魚にも似た氷の矢を、連続で放ち続ける。

 

アモンの体に氷が突き刺さる。炎が如何に強くとも、氷は簡単には溶けない。仮に溶けたとしても、出血多量で死に至る。

 

アモン「ガッ…………」

 

アモンは再び立ち上がる。倒れる訳には行かない。自分は神側の代表だ。そして、ルシファーの父だ。ならば、此処で倒れる訳には行かない。無様な姿は見せられない。例え娘に手を掛ける事になったとしても、自分の帰りを待つ仲間や部下達が居る。ならば、彼等の期待に答えなくてはならない。

 

しかし、アモンには心残りがあった。

 

それは、娘のルシファーの事だ。

 

彼女に手を掛けたくない。本音を言えば、手を掛けるのは嫌だ。

 

胸が苦しい。

 

きっと顔にも、ある程度出てるかもしれない。

 

しかし、ルシファーは幼い頃に言った。約束した。

 

自分に勝って見せるのだ、と。自信満々に。

 

ならば、自分も、ルシファーの思いに答える。

 

アモン(成長したな、ルシファー…………そして、良い友達が出来たな。もし私が負けるならば………サタン様、アスモデウス様、マモン様、ベルゼバブ様、ベルフェゴール様……そして、レヴィに真莉亜…………娘を……頼むぞ)

 

アモンは上空に跳んだ。そして、本来の姿である獣の姿に戻る。梟の頭に狼の体、そして蛇の尻尾を持つ、悪魔としての自分の姿。

 

アモン『ルシファアアアアアアアアアアアアッ!!!私は此れより最大の一撃を放つ!!!もしお前が、私に勝ちたいと願うならば、この一撃を凌ぎ、見事私に勝利してみせよ!!!』

 

アモンの全身が光に包まれる。そのエネルギーは、このラグナロクが開催される宇宙全体を包み飲み込んで行く。

 

ヘイムダル『い、一体何が放たれるというんだ!!物凄いエネルギーだぜぇ!!』

 

会場が揺れる。先程よりも遥かに強い力がアモンから溢れ出る。

 

ゼウス「行かん!!アモン!!止めるんじゃあ!!」

 

ゼウスが手を伸ばす。

 

アレス「えっ!?アモンは何を!?」

 

ヘルメス「アモン様は最期の一撃を放つおつもりです。恐らく、この最終闘争宇宙(ラグナスペース)を巻き込む程の一撃を」

 

アレス「な、そんな一撃は………最早“ビッグクランチ”ではないか!!侯爵の悪魔が何故そのような力を!?」

 

すると、その背後から現れた者が口を上げた。

 

???「“契約”の力だ」

 

背後から現れた者に、ゼウスを含めた全員が驚愕する。

 

アレス「は、はで……」

 

ハデス「何時まで座っている。其処は“余”の席だ」

 

アレス「は、はいぃっ!!」

 

アレスがVIP席から慌てて退く。そして、ハデスはVIP席の前まで赴き、席に座る。

 

ハデス「悪魔は“契約”によって力を増す。アモンは自らに契約を掛け、あれ程の力を得たのだ」

 

ゼウス「じゃが…………あやつがあれ程の力を得られる程の契約とは……何じゃ?」

 

ハデスは冥界の神だ。ヘカーティアとも通じて、地獄の統率者。ならば、悪魔の契約について詳しい。

 

ハデス「………余には分かる。ヘカーティアもきっと、理解してるだろう」

 

ハデスは微笑みながら、アモンを見て告げる。

 

アモンの契約内容とは―――――

 

――――――――――――――――――――――――

 

ルシファー「………『聖なる右』が使えれば!」

 

ルシファーは息を切らす。もうルシファーの肉体は限界を迎えていた。一瞬、『聖なる右』を万全な状態で使えればと思ってしまった。

 

ルシファー「……いや、違うわ!!私は魔王!!天使だった頃の聖なる力じゃなく、魔王としての強い力を望むわ!!だって私は、全ての頂点に立つ魔王ルシファーだもの!!」

 

アモンの一撃を防ぐ術が無い?ならば作れば良い。

 

ルシファー「こんな『右手』なんて要らない!!『右手』の力も必要無い!!」

 

ルシファーがそう告げた瞬間、ルシファーの右肩から出現した第三の腕が、ルシファーの右手に掛けられた腕輪が、消えた。すると、ルシファーの頭から生えた山羊のような角が3対6つに増えた。

 

ルシファー「『七つの大罪』首領として全『七つの大罪』に命ずる!!!!私に自由なる勝利を齎せ!!!!」

 

七つの大罪『『『了解!!!!』』』

 

ルシファーの体に力が溢れ出る。コズミックパワーが齎した『原罪』が、体中を流れているのを感じる。

 

ルシファー「『色欲』があるからこそ“愛”があり、『強欲』だからこそ“前に進む”し、『憤怒』があるからこそ相手を“叱れる”し、『怠惰』があるからこそ“休める”し、『嫉妬』するからこそ“頑張れる”し、『暴食』があるからこそ“食べる”し、そして『傲慢』だからこそ“自信”が持てる」

 

ルシファーの足元に七芒星が浮かぶ。

 

ルシファー「パパ。今こそ貴男を超えてみせるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いに攻撃を放つ。アモンは宇宙の終焉を迎えさせる一点の光を放ち、ルシファーは『原罪』の力を纏めた一筋の光を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いの光がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝ったのは…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルシファーだ。

 

 

ルシファーの放つ光が、アモンの齎す終焉の光を払う。闘技場を中心に、宇宙が再び作り直されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かなる闘技場。舞台の上には、その場に立つルシファーの姿があった。そして、ルシファーの前には、四肢を失い、上半身のみとなったアモンが、仰向けに倒れていた。

 

 

アモン「………私の、負けか」

 

ルシファー「…………パパ」

 

ルシファーは、アモンの背中に手を回して、負担を掛けないよう起き上がらせた。

 

アモン「………本当に、強く……なったな。パパは嬉しいよ……」

 

ルシファー「…………パパ!貴男を超えたい!勝ちたいと思えたから、私は頑張れた!『自分は自分。強い自信を持て』と教えてくれたお陰よ………パパのお陰で………私は強くなれた………」

 

ルシファーは目から涙を流す。血の繋がりは無くても、自分にとって唯一の父親はアモンだけだ。

 

アモンの体は、徐々に消えて行く。もう永くはない。

 

アモン「…………私はもう死ぬ………だから、別れる前に言わせてくれ…………」

 

アモンは腕のない腕でルシファーに抱き着き、ルシファーはアモンの思いに応えるように、アモンを強く抱き締めた。消えて行く体を抱き締めるルシファーの耳元で、アモンは囁いた。

 

 

アモン「…………“愛してる”」

 

 

軈て、アモンは光の粒子となって、消えた。ルシファーの手の中で、アモンは粒子となって宇宙へ消えて行く。

 

ルシファー「………愛してるわ。パパ」

 

ルシファーは泣いたままだったが、空へ消え行く粒子を笑顔で眺めていた。子供のように無邪気で純粋な、しかし優しい笑顔を向けるルシファーであった。

 

 

ヘイムダル『ら、神VS人類最終闘争(ラグナロク)、第6回戦!!勝者!!人類代表、ルシファー!!!』

 

 

アモンVSルシファー

試合時間:13分

決まり手:『原罪』の光

勝者:ルシファー




最終闘争宇宙(ラグナスペース)

作中において、ラグナロクの舞台となる宇宙。本来なら多元宇宙規模の攻撃や破壊力さえも、この宇宙ならば崩壊しても直ぐに元に戻ってしまう。『新天地』を元にして神々が創り上げた“新たなる天地”である。作中では何度も宇宙が崩壊してるが、次の対戦時や対戦中に何度も直っているのである。

元ネタ:『とある魔術の禁書目録』の『新天地』。


反応及び掛け合い、まだ募集してます!↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=300314&uid=330799


次回:冥界の王VS刀使ノ巫女

次のお遊び回で使って欲しい曲は?

  • ユメヲカケル!
  • ブルーバード(いきものがかり)
  • ルードルーズダンス
  • インパーフェクト(オーイシマサヨシ)
  • ALONES
  • ささやかな祈り(ライスシャワー)
  • 心臓を捧げよ
  • 涙の種、笑顔の花
  • 空色デイズ
  • REASON(ゆず)
  • ALIVE(ClariS)
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